出発の時2
大男の孫、エミは箱の中でどこかに向かっているのは感じている。エレベーターの中で目を瞑っても動いてるか動いてないかぐらいはわかるのと同じだ。目的地はわかっているのだが、アーマー・ゾーンの箱の中に入るのは初めてだし、外の様子は一切見えない。移動してるんだなと言う感覚だけが伝わってくる。
箱の中でエミは先日のググルとのやりとりを思い出していた。
「坊っちゃま、いよいよ明日出発ですが、心の準備は出来ていますか?」
エミにググルが聞いた。
ググルの風態はいわゆるガイコツである。学校の保健室に置いてある骨だけの人体模型そのままだと思ってくれれば良いのだが、生意気にもオシャレなので身体中の関節部分に何かと装飾をしている。皆がそれをカッコ良いと思ってるかどうかは別の話。だが知識は星一番である。知らない事はないのでは?と噂される程の知識や資料の持ち主である。
「大丈夫だよ!すっごい楽しみなんだ!今すぐにでも行きたいよ!」
エミが 笑顔で答えると
「それなら安心です。でも今更ですけど何故あんな小さな島国を選んだのですか?」
ググルは装飾品をジャラジャラさせながら聞いた。
「ググルに地球の資料見せてもらったでしょ?その中で1番日本が気に入ったんだよ、親父も日本の話よくしてたしさ。日本好きなのは血筋なのかな?だからこの一年間日本の文化と日本で一番無難だと思われる敬語を勉強してきたんだ。その中でも僕は特に東京の秋葉原ってとこの女の子に興味あるんだ。秋葉原には『萌え』って言う感情が生まれるところが沢山あるらしいんだよ。ググルは萌えって感情わかる?」
「私も萌えは聞いた事しかありません。なるほど。それで日本なんですね。味わった事の無い感情を感じる事はどんな感情でも坊ちゃんのプラスになるでしょう。坊っちゃまなら必ずや征服出来るはずです。しかし、大魔王様と比べてもまだまだお子様。魔法力、体力もかなり劣ります。失礼ですがまだまだ弱い部類だと思っていてください」
「わかってるよ!」
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