第5話 アノ感覚。
気持ちいい。誰かが私の乳首を優しく噛んでいる。時に激しく求められるけれど、全身で私のことを愛してくれていることがわかる。中に入ってくる・・・と、きゅっと体がすぼまったところで目が覚めた。夢、だった。そうだよね。顔もわからなかったし。妙に生々しい、触れられた指の感覚が残る、不可解な夢だった。私は処女だ。だけど、さっきの入ってくる感じ、絶対日常的にしていた行為だ。ゆうたママの日記に出てきた遊園地も気になる。
「なんだろう・・・。前世・・・?」
もう居てもたってもいられなかった。
今日も体調が悪くて学校から帰って休んでいた私だったけれど、パーカーとトレパンに履き替えてウォーキングに行くことにした。
「ちょっとぉ、大丈夫なの?早めに帰ってくるのよ。」
ママのいつもの心配そうな声をよそに、私は小走りに家を出たのだった。
さっきの気持ち良さがまだ身体から抜けない。舌でころころと私の乳首を弄んでいたあのヒト。・・・誰なんだろう。。。
そんなことを考えながら歩いていると、顔が火照ってくる。顔だけじゃない。身体も・・・。道行く人がみんな私の事をそういう目で見ているような気すらしてきた。
「あー、いかんいかん、これじゃあ盛りのついたなんとか、じゃん。」
でも身体は正直だ。今誰かに触られたら間違いなくそれだけで『いって』しまいそうだった。やーん、女子高生、杏ですよん。こんなふしだらなっ!
そのときだった。
赤ちゃんがこちらをじっと見ていた。
よくわからないけど、多分まだ歩くような歳ではないはず。髪の毛もほわんほわんで、言葉だってそんな喋られないような。すぐそばにはお母さんらしき若い女性がいて、お店のおばちゃんと楽しそうに話している。引き寄せられるようにして私はその赤ちゃんに近づいて行った。
綺麗な目をしている。ブルーの洋服を着ているので男の子だろうと察しはつくが、その甘い雰囲気から、パッとみた感じは男の子か女の子か悩むようなルックスである。
「可愛い・・・」
思わず声をかけた私にお母さんらしき女性がくるっと振り向いて、
「あら、ありがとう~」
と嬉しそうに返事をした。
「抱っこしてみてもいいですか?」
と思い切って聞いてみるとどうぞどうぞとその女性は赤ちゃんを抱きあげ、私にそうっと渡してくれた。
「ほら、ゆうた~、かわいい女子高生に抱っこしてもらいなさい~」
とおどけて言われ、その名前にハッとして顔を上げた瞬間、目の前には知らない景色が広がっていた。
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