05 凶拳
『ファイト!』の声とともに、試合が再開された。
第一ラウンドは、まだ一分少々しか経過していない。しかしその間にテイクダウンを取られて何発ものパウンドをくらったユーリは、左のまぶたを出血したあげく、顔や腕を赤くしていた。
相手が想定外のタックルを仕掛けてきたということで、ユーリの構えはクラウチングに変更されている。セコンド陣から、そのように指示が飛ばされたのだろう。その臨機応変な対応は心強いばかりであったが――それにしても開始早々にプランを変更しなければならないというのは、嫌な流れであった。
ジジ選手はまた試合の開始時と同じように、上体をゆらゆらと動かしながらステップを踏んでいる。
あれだけのラッシュを見せたのだから、多少なりともスタミナを使ったことだろう。ただし、それに見合うだけのダメージをユーリに与えているはずであった。
「……この選手は短期決着が多いから、どれだけのスタミナを持ってるかも未知数なんだよな」
低い声で、立松がそのようにつぶやいた。
「ファイトスタイルや体形なんかを見てると、そうまでスタミナがあるようには思えねえんだけど……ともあれ、ダメージを抑えて長丁場に持ち込むってのが、こっちの基本戦略だ。桃園さんがペースを崩してないといいんだが……」
「大丈夫っすよ。ユーリさんは、いい意味で無神経ですから」
そのように信じて、瓜子はユーリの試合を見守った。
ジジ選手が奇襲技を使うほどに戦略を組み立ててきたというのは、脅威的な話であったが――裏を返せば、それだけユーリのポテンシャルを警戒しているということだ。それが過大評価でないということを、ユーリに示してほしかった。
ユーリは、じわじわと接近していく。
ジジ選手は当たらぬ位置から左ジャブを放ちつつ、ステップを使って遠い間合いをキープした。
ユーリはカウンタースタイルであり、相手は名うてのインファイターであるのだから、間合いを詰めるのはあちらの役割だ。
相手の前進は、左ローか右膝で迎撃する。アップライトからクラウチングに戻しても、ユーリの戦法に変わりはないはずであった。
果たして――ジジ選手はなかなか近づいてこない。
時間が二分を経過して、観客たちが焦れたように歓声を渦巻かせたとき――ジジ選手が、大きく踏み込んだ。
ただし、左足ではなく、右足である。
ジジ選手はいきなりサウスポーにスイッチして、右ジャブを放ってきたのだった。
ユーリは反射的に左ローを放っていたが、踏み出されたのが右足であったために距離が詰まって、勢いが乗る前にヒットしてしまう。
そして相手の右ジャブは、ユーリの鼻面をしたたかに打ちのめしていた。
ユーリはいくぶん覚束ない足取りで後方に下がり、相手はサウスポーのまま前進する。そして今度は、右のショートフックを振るってきた。
ユーリもなんとかガードしていたが、いかにも重そうな攻撃だ。いかに前手の攻撃でも、それが利き手であれば相応の破壊力を持っているはずであった。
相手はアウトサイドに踏み込みつつ、ぐいぐい距離を詰めてくる。
それから逃げるユーリは、普段以上にステップがもたついていた。相手がいきなりサウスポーに変化してしまったため、対応が遅れているのだ。
「タックルの次は、スイッチかよ。今まで見せたこともない奇襲ざんまいじゃないか」
多賀崎選手が、苦い怒りをにじませた声でつぶやいた。
ジジ選手は右のジャブとフックで、ユーリを攻め込んでいく。
ユーリは上手く足が使えずに、ロープ際まで追い込まれてしまった。
満を持した様子で、ジジ選手は左フックを繰り出した。
頭をガードしたユーリの右腕に、重い拳が叩きつけられる。
あとは、左右のフックの嵐であった。
その過程で、足の位置が入れ替えられている。本来の構えに戻ったジジ選手は、これまでの試合で見せてきた通りの凶悪なラッシュを開始した。
ユーリがたまらず組みつこうとすると、それを強引に突き放して、また拳を振るう。途中からはボディブローとアッパーも織り交ぜられて、ユーリの左まぶたから再び鮮血が舞い散った。
『ダウン!』と、レフェリーが割って入る。
あまりに一方的な様相に、スタンディングダウンを取られてしまったのだ。
ユーリはすぐさまファイティングポーズを取ってみせたが、リングには再びドクターが呼ばれた。
客席には、「ユーリ!」のコールが巻き起こっている。
これでレフェリーストップになってしまったら、暴動でも起きかねない勢いだ。
もちろんそれを恐れたわけではないだろうが、ドクターはさきほどよりもじっくり診察した上で、試合続行の許しを与えてくれた。
ユーリは意外に元気そうであったが、腕や顔はいっそう赤くなってしまっている。前腕のあちこちなどは、赤を通りこして紫色になりかけていた。
「……よくない流れだわね」と、今度は鞠山選手が低くつぶやく。
そんな中、試合が再開された。
ユーリは歓声に背中を押されるようにして、前進した。
そして今度はユーリが遠い間合いから、ワンツーと左ミドルのコンビネーションを繰り出した。距離を無視して乱射する、威嚇のコンビネーションだ。
ジジ選手は悠然とステップを踏んで、間合いの外に逃げてしまう。
ユーリはさらに前進して、右のハイキックからレバーブロー、それから両足タックルという変則的なコンビネーションを披露する。
ジジ選手はそれも楽々と回避して、応戦する気配もなかった。
このパターンも、ユーリは何度か試合で使っているのだ。
もしもジジ選手がきっちりユーリを分析してきたのなら、それも戦略に織り込み済みであるはずであった。
ユーリはめげた様子もなく、さらに前進する。
今度は二発の左ジャブと、右ローだ。
その右足を戻す動作に合わせて、ジジ選手が足を踏み込んだ。
フルスイングの、オーバーフックである。
ユーリはがっちりと頭部をガードして、右の膝蹴りで迎撃する。
すると――ジジ選手の身体が、再び沈み込んだ。
今度は、胴タックルである。
ユーリの右膝がヒットするよりも速く、ジジ選手の逞しい腕がユーリの両脇を抱え込む。
片足立ちであったユーリはあえなく倒れ込むかに思えたが――左足だけでぴょんと後方に跳びすさり、右足と同時にマットを踏みしめ、相手の両腕をかんぬきにとらえた。
まだユーリが不利な双差しのポジションであるが、がっちり組んでの力勝負なら、そうまで分は悪くない。ユーリならばここから腕を差し返して五分の状態に戻すことも期待できそうなところであった。
が、ジジ選手はすぐさま腕を引き抜いて、距離を取ってしまう。
そして、ユーリの追撃を牽制するように、左フックを繰り出した。前進しかけていたユーリは、その一撃で足を止められてしまう。
そして――返す刀で、右のフックが振るわれた。
まだガードを固めていなかったユーリの左頬に、凶悪な拳がクリーンヒットする。
ユーリは力なく倒れ込み、レフェリーは『ダウン!』を宣告した。
「一方的じゃん! ちょっとこれは、やばいんじゃない?」
と、灰原選手が背後から瓜子の身体を揺さぶってくる。
それに答えるゆとりもなく、瓜子は祈るような気持ちでユーリを見守っていた。
ユーリは拳をマットについて、ゆっくりと身を起こす。
なんとか、意識は保っているようだ。ヒットしたのがテンプルや下顎でなかったのは、九死に一生を得たようなものであった。
ユーリがファイティングポーズを取ると、レフェリーはグローブに手を当てて余力を測り、左まぶたの傷口の様子も確認してから、試合再開の合図をかけた。
残り時間は、一分ていどだ。
青コーナー側で、サキは懸命にアドヴァイスを送っている。
ジジ選手は、猛然とたたみかけてきた。
ただし、構えがまたサウスポーになっている。重い右ジャブと左フックで、ユーリはたちまちコーナー際まで追い込まれてしまった。
あと一回のダウンで、ユーリの敗北となってしまう。
瓜子はもう、祈るような気持ちでユーリの底力を信じるしかなかった。
ユーリがコーナーに押し込まれると、ジジ選手はまた構えをオーソドックスに戻して、彼女の本領であるラッシュを仕掛ける。
ユーリは頭を抱え込み、防戦一方であった。
レフェリーはロープにへばりつくようにして、厳しい視線をユーリに送っている。
(ユーリさん! 守ってるだけじゃ、スタンディングダウンを取られちゃいますよ!)
瓜子が心中でそのように叫んだとき――ユーリが、ジジ選手につかみかかった。
頭を下げての、無茶な組みつきだ。ジジ選手の左脇に頭を突っ込み、ギロチンチョークをかけてくださいといわんばかりの体勢になってしまった。
「馬鹿! それは危ないって……!」
同じ技で敗北にまで追い込まれた多賀崎選手が、痛恨のうめき声をあげる。
ジジ選手はとろけた天使の微笑む左腕で、ユーリの首を抱え込んだ。
瞬間――ユーリの身体が、ぐりんと反転する。
ジジ選手に首を抱えられた状態のまま、上を向いたのである。
そして、回転の勢いのままに、自分の右腕を相手の右の膝裏に引っ掛けていた。
さらにユーリが全身をひねりあげると、ジジ選手もその回転に巻き込まれて、ともにマットへと倒れ込むことになった。
が、そこはコーナー際であったため、ジジ選手の下半身がロープの下から飛び出してしまう。リング下に待機していたサブレフェリーが慌てて転落を防いだところで、第一ラウンド終了のゴングが鳴らされた。
観客席は沸きに沸いて、控え室の壁を震わせるほどであった。
最後の最後でユーリが窮地を脱したので、大いに盛り上がっているのだろう。
しかし、瓜子を筆頭とする控え室の面々は、とうてい喜べるような心境ではなかった。
「……最後は見せ場を作ったけど、ポイントは完全に取られちゃったよね」
「ポイントなんざ、関係ないだわよ。このままじゃあ、次のラウンドで撃沈だわね」
「あのギロチンの逃げ方も、二回は通用しないだろうな。これはちょっと……手詰まりかもしれない」
「大丈夫だ」と言い放ったのは、立松であった。
「いや、大劣勢なのは事実だけどな。最後にひと噛みできたのは、上等だ。相手が桃園さんほどのスタミナを持ってなければ……どこかで挽回できるはずだ」
それは、自分に言い聞かせているような口調であった。
しかし瓜子も、同じ心境である。ユーリは三月の復帰以降、ずっと大接戦を粘り勝ちしていたのだ。今回も、ユーリの地力を信じるしかなかった。
(相手は、絶対王者なんだ。ミドル級では、最強の相手なんだ。これまでで一番苦戦するのが当然なんだ)
それでも、ユーリなら勝ってくれる――瓜子は、そのように信じるだけであった。
一分間のインターバルはあっという間に終了し、『セコンドアウト』のアナウンスが流される。
ユーリは元気いっぱいの顔であったが、左まぶたの傷口が痛々しかった。
ゴングが鳴り、第二ラウンドが開始される。
それと同時に、ジジ選手が突進した。
犬飼京菜にも負けない、猛ダッシュだ。その勢いのままに、ジジ選手は右の跳び膝蹴りを繰り出した。
ユーリはかろうじて、顔面を守った様子である。
しかしジジ選手の右膝は、その胸もとに突き刺さったようだった。
ユーリは前屈みで膝をつき、レフェリーは『ダウン!』を宣告する。
「なんだよ、もう! ああいう奇襲は、普通一ラウンド目でしょ!」
惑乱した声をあげながら、灰原選手が瓜子の両肩を揺さぶってくる。
あまりユーリと交流を深めていなそうな灰原選手でも、こうまで熱心に応援してくれているのだ。それを心の片隅で嬉しく思いながら、瓜子も目の眩むような惑乱を抱かされていた。
ユーリはなんとか、カウントエイトで立ち上がる。
そうして試合が再開されると、ジジ選手は足を使ってユーリの周りを回り始めた。
このラウンドは、すでにダウンでポイントが取れた。あとは、逃げに徹しようというのだろうか。スタミナの温存をはかるなら、それもありえそうな話である。
しかし、そう見せかけておいてユーリの攻撃を誘い、また何か奇襲技でも仕掛けるつもりなのかもしれない。それもまた、十分にありえそうな話であった。
(こんな風に考え込むだけで、相手の術中なんだ。サキさんやジョン先生なら……冷静に対処してくれるはず)
その対処の一環であるのか、ユーリはアップライトのスタイルに戻していた。
そして、遠めの距離からミドルやハイをぶんぶん振っていく。当たりはしないし、相手の接近を誘っていることは明白であった。
ジジ選手は意に介さずに、ガラでもないアウトスタイルに徹している。
ユーリは執拗にその後を追いかけて、今度はさまざまなコンビネーションを見せ始めた。相手の挙動など関係なく、機械的に発動されるコンビネーションの数々だ。
「その手は、一ラウンド目でも使ったじゃん! また動きを読まれて、カウンターを合わされちゃうんじゃないの?」
「やかましいだわよ」と、鞠山選手が灰原選手のわめき声を断ち斬った。
「今回はアップライトだから相手の組みつきを誘ってるのかもしれないし、そうじゃなくてもあの怪力でぶんぶん攻撃を出されるのは恐怖なんだわよ。ピンク頭はあんたと同じぐらい低能かもしれないけど、コーナーにはサキやコーチ陣が控えてるんだから、あんたよりは上等な考えがあるはずだわよ」
「そんなこと言ってもさー!」と、灰原選手は地団駄を踏んだ。
その振動に両肩を揺さぶられながら、瓜子も「大丈夫っすよ」と声をあげてみせる。
「ユーリさんはもともと受け身のスタイルが性に合ってないから、自分から動くほうがリズムをつかめるんです。それに、あれだけ元気に動かれたら、相手にはいいプレッシャーになるはずっすよ」
とたんに、両肩に置かれていた灰原選手の腕が、瓜子の首を抱きすくめてきた。
「うり坊、やっと喋ってくれたー! あんたが黙ってると不安になっちゃうから、あんまり大人しくしないでよ!」
「すいません。集中してるんで。首も苦しいんで、ちょっとゆるめてください」
「うり坊、冷たいー!」
と、灰原選手が瓜子の頭に頬をすりつけてくる。
それを黙殺させていただきながら、瓜子は一心にモニターを見つめた。
ユーリはこれまでのダメージを感じさせない軽快さで、コンビネーションを繰り出している。これは、どれだけ攻撃をくらっても前進してくるラニ・アカカ選手と同じぐらい、相手選手へのプレッシャーになるはずだ。
それに、ユーリの攻撃力は規格外である。本来はインファイターであるジジ選手がステップワークでそれをかわし続けるというのは――たとえユーリ対策でトレーニングを積んできていたとしても、それなりの消耗になるはずだ。付け焼刃のスタイルというのは、考えている以上に心身を疲れさせるのである。
少なくとも、ジジ選手がこのままラウンドの終わりまで逃げ続けても、スタミナ温存の効果は薄いことだろう。
そして、ジジ選手がユーリのコンビネーションのタイプまでをも研究してきたなら、どこかで反撃してきそうなものであった。
(きっと、その瞬間が勝負の
時間はすでに、三分を過ぎている。
ユーリは汗を散らしながら、美しいフォームのコンビネーションを見せ続けていた。
そうしてさらに、一分ほどが過ぎたとき――ついに、ジジ選手が動いた。
ユーリが最後に見せた両足タックルのフェイントを引っ込めたとき、大きく足を踏み込んで、左のショートフックを放ったのだ。
その拳は、ユーリの右目のあたりにめりこんでいた。
さらに返しの右フックが、ユーリの側頭部を狙う。
ユーリはガードを固めていたが、その威力に押されて倒れ込んでしまった。
レフェリーは無情に『ダウン!』を宣告する。
「ぜんぜんダメじゃん!」と、灰原選手はまた地団駄を踏んだ。
ユーリはこのラウンドも、二度目のダウンを取られてしまったのだ。一ラウンドからの通算ではすでに四度目のダウンであり――状況は、絶望的であった。
ユーリはカウントナインぎりぎりで、ファイティングポーズを取ってみせる。
レフェリーはユーリに余力があることを確かめてから、『タイムストップ!』の声をあげた。
今度は、右のまぶたが切れてしまったのだ。
そして、ガードごしにくらった右フックの衝撃で、左のまぶたもまた傷口を開いてしまっていた。
ドクターはこれまで以上の時間をかけて、左右の傷口を確認する。
今にもレフェリーが両腕を交差させるのではないかと、瓜子は気が気ではなかった。
しかし何とか試合の継続が認められて、その旨がアナウンスで告げられる。
残り時間は、一分ていどだ。
そしてユーリは、あと一回のダウンでTKO負けとなる。
試合再開の合図があげられるなり、ジジ選手は猛然とユーリに躍りかかった。
そして――ユーリはそんなジジ選手の足もとに飛び込んだ。
両足タックルである。
ジジ選手はすぐさま腰を落として、ユーリの背中にのしかかろうとしたが――その顔面に、ユーリの右拳が飛んだ。
両足タックルをフェイントにした、右のオーバーフックだ。
横っ面をぶん殴られたジジ選手は、もんどりうって倒れ込んだ。
客席に歓声が爆発して、レフェリーは『ダウン!』を宣告する。
灰原選手は瓜子の首を抱えたまま「やったやった!」とぴょんぴょん跳びはね、鞠山選手は「ふん」と鼻を鳴らした。
「今のは見え見えのフェイントだったのに、相手もKOチャンスで勝負を焦っただわね」
ジジ選手は右拳でマットを殴りつけると、怒りの形相で身を起こした。
カウントは、シックスで停止する。ジジ選手は余力を確かめようとしたレフェリーを乱暴に押しのけたため、その場で口頭注意を与えられることになった。
ついに、ユーリの一撃がジジ選手のリズムを壊したのだ。
残り時間は、数十秒である。
注意を与えられたために、そのぶん時間も浪費している。試合の再開とともに、ジジ選手は再びユーリに襲いかかった。
ユーリは再び、両足タックルの姿勢を取る。
今度はフェイントではなかったが、距離の目測が甘かったため、これはあっさりと潰されてしまう。
ジジ選手はユーリの背中にのしかかり、サイドに回り込もうとする。
ユーリは右腕をのばしてその前進をはばみつつ、するりと体勢を入れ替えてマットに背中をつけた。
ジジ選手は何を迷う素振りもなく、ユーリの足の間に入り込んで、パウンドを振るおうとする。
だが、やはり冷静ではない。あまりに大きく右腕を振りかぶったものだから、ユーリにその脇をくぐられてしまった。
そしてその頃には、ユーリの足先が相手の股座に潜り込んで、フックガードの体勢になっている。相手に密着しながらフックガードを取るというのは、異様に柔軟な肉体を持つユーリならではの所業であった。
虫のように丸くなったユーリに上体を抱えられたジジ選手は、それを突き放すべく膝を立てる。
その勢いを利用して、ユーリは足先を跳ね上げつつ、身体を右の側にねじった。ごろんと体勢が入れ替わり、ユーリがジジ選手の腰にまたがる。
そうしてユーリがマウントポジションを奪取したところで、第二ラウンド終了のゴングが打ち鳴らされた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます