第23話
御柴巴、サラサ・デュール、水月沙菜――
厄介だ、実に厄介だ。
目的地である鳳グループと教皇庁の仮の本部であるセントラルエリアのホテルの前に到着すると、自分を待っていた巴、サラサ、沙菜という実力者三人を見て、幸先が不安そうにアルトマンは小さくため息を漏らした。
巴は武輝である十文字槍、沙菜は武輝である身の丈を超える杖、サラサは武輝である二本の短剣を手にして臨戦態勢を整えていた。
……それに加え、輝士や制輝軍たちもおらず、最も厄介な久住優輝やティアリナ・フリューゲルもおらず、彼女たちしかいないということは、本戦力はまだ中に――
想定外の連続が起きても順調に進んでいたが、ここに来て滞ってしまうとは……
これも、仕方がないことなのか……
不承不承と言った様子でアルトマンは前へと、立ちはだかる三人へと近づく。
「一応は説得するつもりだったけど、どうやら無理のようね」
自分たち三人を前にして武輝である剣を持ったまま、迷いのない足取りで向かってくるアルトマンが問答無用で戦うつもりであることを察する巴。
しかし、そんな巴にアルトマンは仰々しくやれやれと言わんばかりにため息を漏らす。
「それはこちらの台詞だと言っておこう、御柴巴」
「こちらが大人しくすれば、見逃すとでも?」
「そういうことだ。最初からそうするつもりだったというのに、君たちが用意してくれた追手は血の気が多くて困ったものだ。大人しくしてくれれば痛い目にはあわなかったというのに」
「ヴィクターさんや薫さんにも同じことを言うつもり? 薫さんは抵抗したと思うけど、戦闘に不慣れなヴィクターさんに戦う意思なんてなかったはずよ」
「……あれは事故だったのだよ。お互いにとって、不幸な」
愁いを帯びた瞳で宙を見上げながらむなしそうにそう言い放つアルトマンに、巴は静かな怒りを宿す。
「今も二人は生死の境を彷徨っているというのに、その一言で済ませられるとでも?」
「あの二人が不用意な真似をしたせいで私は動かざる負えなくなったのだからな。まったく、頭が良過ぎるというのも困ったものだ――身を滅ぼしてしまうのだから」
「……アルトマン・リートレイド、どうやらここであなたを止めなければならないみたいね。ここであなたを止めなければ――大勢に人が傷つくことになってしまう」
「勘違いしないでくれ、今回の騒動においては私は自分の身を守っただけだ――こうして君たちが襲いかかってくるというのなら、私も自分の身を守ろう」
……戦闘は避けられない。
話が拗れて静かに戦意を漲らせている巴たちを見て、そう判断したアルトマンは静かに闘志を漲らせる。
お互いが攻撃をするタイミングを見計らっており、三人とアルトマンとの間に静かな空気が流れる――が。
「ここでおねーさんも乱入しまーす!」
気が抜けるような軽快な声とともに、アルトマンの頭上から武輝である身の丈を超える斧を掲げた銀城美咲が襲いかかってくる。
――銀城美咲も登場するとは。
これはいよいよ、相手も本腰を入れてきたようだ。
落下の勢いをつけながら大きく掲げた武輝を一気に振り下ろす美咲。
大振りの一撃だが、いっさいの容赦がないとともに動作も素早い美咲の攻撃に、苦い表情を浮かべながらアルトマンは大きく横に飛んで回避する。
アルトマンが回避した瞬間、爆発音にも似た轟音とともに美咲の攻撃が固いアスファルトを砕き、その強烈な一撃は隕石が落下したかのような小規模のクレーターを生み出していた。
「み、美咲、いないと思ったらどうしてここに」
「ウサギちゃんたちが心配だったけど、問題スッキリ解決したから乱入することにしたんだ💗」
「助かるけど事前に連絡してよ。そうすればもう少し連携が取れるのに」
「相変わらず巴ちゃんは真面目だなぁ。こういうのはアドリブで行かないと、ね☆」
突然の自分の乱入に驚く巴に、美咲はウインクしてそう答えた。
「ということはノエルたちがこの場所に来るということか……ちょうどいい」
「まあ、その前に――アタシがおとーさんをどうにかしちゃうかもしれないけどね」
……銀城美咲の言う通りだ。
三人に加えて銀城美咲が加わったことにより、状況は一気に劣勢だ。
ここは、大人しく投降するべきだとは思うが――ここで戦闘を避けるのはまだ早い。
それに、こちらの目的も順調に進んでいても、銀城美咲の想定外の登場でこの先何が起きても不思議ではない――仕方がない、か……
美咲の言葉からノエルたちがこの場に来ると知って笑みを浮かべるアルトマンと、アルトマンという強敵相手に好戦的で興奮しきった笑みを浮かべる美咲。
アルトマンは巴、サラサ、沙菜に加え、美咲も加わったことで一気に状況が悪くなると悟り、投降するべきかと迷うが、戦闘は避けられないと判断してその選択肢はすぐに消えた。
「それじゃあ、一気にイクよ❤」
強敵相手に興奮しきった笑みを浮かべながら、情動を抑えきれないと言った様子の美咲は一気にアルトマンに飛びかかる。
一気に間合いに接近すると同時に戦略も何も考えていないただただ力任せに、それでいて隙のない速度で武輝である身の丈を超える斧を振るう美咲。
美咲の一撃は受けきれないと早々に察して、彼女の攻撃をできるだけ最小限で、隙を少なくして避けることに専念するアルトマン。
反撃する間もなく次々と攻撃を仕掛け続ける美咲だが、アルトマンは避けつつも彼女の動きを観察し、僅かな隙を見つけて攻撃を仕掛ける――だが、そんなアルトマンの前に何の前触れもなく光球が現れ、それが弾け飛び、衝撃波が襲いかかる。
光球が現れた寸前に襲いかかる衝撃波にアルトマンは身構えながら後退する。
「もー、さっちゃん! アタシ一人にやらせてよぉ」
「で、でも、反撃されそうになっていましたので」
「戦いは血沸き肉躍るんだから、仕方がないよ❤ それに、今のアタシなら、攻撃を受けたら気持ちよさのあまり、いろんな意味でイッちゃうから、ドンと来てなんだけどなぁ☆」
「い、意味がわかりません」
「わからない? 優輝ちゃんにチョメチョメされている時に沙菜ちゃんが感じるアレだよ❤」
「そ、そんなことしていませんから! き、清いお付き合いですから!」
「清いお突き合い――なんちゃって❤」
「……美咲さん、おじさんみたいです」
横槍を入れてきた沙菜に文句を言いながら美咲はアルトマンに攻撃を仕掛けるが、上体をそらして回避され、同時に美咲の後方から沙菜が発射してくる光弾も状態をそらした勢いで地面に手をつき、勢いよく後方転回して間合いを取った。
一旦美咲との間合いを取りつつ次の手を考えるアルトマンだが、背後から伝わる微弱な気配を感じ取り、そんな暇はすぐになくなってしまう。
アルトマンの背後には自身の気配を限界まで希薄にさせたサラサが立っており、無言で、容赦なく二本の手に持った武輝である短剣で不意打ちを仕掛ける。
しかし、僅かなサラサの気配を察知したアルトマンは回避しながら反撃を仕掛けるが――すでにサラサは音もなく消え、再びアルトマンの背後に回り込んでいた。
避けられないと瞬時に判断したアルトマンは武輝で防御しようとするが――それよりも早くサラサは薙ぎ払った武輝をアルトマンの脇腹にめり込ませ、怯んだ彼の喉元目掛けてもう一方の手に持った武輝を突き出した。
的確かつ強烈無比な連撃を受けて怯むアルトマンの周囲に沙菜が生み出した無数の光弾が囲み、一斉に爆発してアルトマンを吹き飛ばした。
吹き飛ばされたアルトマンは受け身も取らずに固いアスファルトの地面に大きなヒビが入るほどの衝撃で叩きつけられ、大の字になって倒れた。
「ファーストヒットはサラサちゃんかぁ、うーん、おねーさん悔しい。でも、サラサちゃんも熟して来たって感じがしてきて、おねーさん楽しみ❤」
「あ、ありがとうございます……」
めきめきと成長を続けるサラサを発情しきった目で見つめて褒める美咲だが、そんな彼女の瞳の中に宿した淫猥な情熱に気づいていないサラサは照れていた。
能天気に会話をしている美咲とサラサに向かって赤黒い光を纏った光弾が襲いかかる。
しかし、それらを後方にいる沙菜が発射した光弾がすべて撃ち落とす。
「油断しないで!」
警告を促す巴の鋭い声とともに、前に出た巴は起き上がると同時に光弾を発射し、美咲たちに襲いかかっていたアルトマンの攻撃を武輝で防いだ。
アルトマンの重い一撃を受け止めた瞬間、巴の身体に衝撃が襲うが――受け止めると同時に舞うような足運びで僅かに後退し、体重を乗せた一撃を放ったアルトマンの態勢を僅かに崩しながら襲いかかる衝撃を捌き、そのまま流れるような動作で武輝を薙ぎ払って反撃する。
反撃がサラサの攻撃を受けて痛む脇腹に再び直撃し怯むアルトマンの鳩尾目掛けて、トドメの一撃を与えるために穂先に光を纏わせた武輝を突き出すが、痛みを堪えてアルトマンは紙一重で回避。
「これでおしまいだったら、ガッカリだなぁ――ぬふぅっと!」
巴の一撃を回避すると同時に、気の抜けた掛け声とともに美咲は光を纏った武輝から、周囲の迷惑や破壊をまったく考えないで特大級の衝撃波を放つ。
地面を砕き、街路樹を薙ぎ倒しながら迫る衝撃波にダメージが残って痛む身体ではまともに回避できないと判断したアルトマンは全身にバリアのように纏っている輝石の力の出力を上げ、武輝である剣を盾代わりにして防御する。
だが、美咲が放った衝撃波は簡単にアルトマンの防御を崩し、そのまま近くのビルの壁に叩きつけると、ビルの窓ガラスすべてが割れるとともに、建物が大きく傾いてしまった。
「美咲、いくら好き勝手に暴れていいって言われていても、さすがにやりすぎよ」
「アルトマンちゃんを捕まえれば結果オーライ☆ それに、巴ちゃんたち以外に誰にも見られていないし、もしもの時はアルトマンちゃんにすべて押しつければいいんだし」
「そういう問題じゃないの! まったく……」
……参ったな、これは参った。
気の抜けた巴と美咲のやり取りを聞きながら、壁に激しく叩きつけられてまったく動けないアルトマンは深々とため息を漏らしていた。
現状普通に戦って、この四人に勝てる見込みは限りなくゼロに近かった。
それぞれが弱みを持っているが、それを補うほどの力と技術を持っており、それ以上に相手の弱点を仲間たちがフォローをしているためにまったく打つ手がなかった。
それに加えて刈谷、大道、ドレイク、そして、大勢の追手たちとの戦闘で疲弊し、傷ついているので、本調子ではない今の自分では目の前の四人を対処できる方法がなかった。
「アルトマン・リードレイド――これ以上の戦いは無駄よ」
「……そのようだな」
「どうやら、まだやる気のようね」
倒れている自身を見下ろす巴の言葉を聞いて、アルトマンは諦めたように脱力した笑みを浮かべるが、彼の目にはまだ力強い光が宿っていることを巴は気づいていた。
「ここで君の言う通り、大人しく拘束されるのもいいかもしれないが、それでは騒動が中途半端に終わってしまう。この場には目撃者が必要だ。この騒動にはもう少し、センセーショナルを持たせなければならないのだよ」
「わからないわね。一体何が目的なの?」
「私の目的は賢者の石だよ」
「でも、ついさっき七瀬君を目の前にして逃がした」
「あの場で目的を果たしてもよかったのだが、タイミングがあまりに早かったのだよ。あれでは弱いのだ」
「……気になるけど、取り敢えず、詳しいことは拘束してから聞かせてもらうわ」
中々良い提案だが、やはりまだだ……まだ、タイミングは早い。
……仕方がない、か。
巴の言葉通り、今この場で自分の目的を告げるべきだという甘い囁きが頭の中で響くが、その甘い誘いをグッと堪えるアルトマン。
そして、心の中で深々と嘆息して、ポケットの中にあるあるものを取り出した。
それはアルトマンにとっての切り札であり――劇物だった。
握り締められた緑白色に光る石・アンプリファイアを見て、瞬時に反応した巴はアルトマンを拘束しようとするが――
それよりも早く、アルトマンはアンプリファイアの力を使用した。
そして――頭の中に、身体中から決定的な何かが砕け散る音が響き渡った。
―――――――――
戦闘音が止まった――……決着がついたのか?
目的地に近づくにつれて感じる強い力の波動、響き渡る激しい破壊音、天から降り注ぐ光弾から放たれる閃光が急に止んだことに、セラは目的地で付近で発生していた戦闘が終わったと推測するが――頭の中では嫌な予感が駆け巡っていた。
麗華たちの情報で目的地である鳳グループと教皇庁の仮の本部になっているホテル内には、大悟とエレナが残っており、二人を守るために集められるだけの最高の戦力を集めていた。
ティア、優輝、巴、美咲、麗華、大和、サラサ、それに加えて現在はセラ、ノエル、クロノも現場に駆けつけている最中であり、全員揃えばさすがのアルトマンでも敵わないと確信しているセラだが――拭いきれない不安があった。
数時間前にアルトマンと軽く戦った際に、セラは彼から諦めのような感情とともに、邪魔をするならば誰であって何であっても容赦はせず、向かってくるものすべてをどんな手段を用いても排除する覚悟を感じていたからだ。
そんなセラの不安を的中させるかのように――周囲の建物や街路樹が破壊され、アスファルトの地面が何か所も砕け散っている、つい先程まで行われていた激しい戦闘の傷跡が生々しく残る、目的地であるホテルの前で巴、沙菜、美咲、サラサが倒れていた。
「サラサちゃん、大丈夫?」
アカデミーでもトップクラスの実力者たちが倒れている状況に驚きのあまり呆然としていたセラたちだが、誰よりも早く幸太郎は近くで倒れていたサラサに駆け寄って抱き起す。
幸太郎に抱き起されたサラサは「こ、幸太郎さん……」と弱々しい声で反応する。
「わ、私、よりも……巴さんたちを……」
「無理しないでゆっくりして」
自分よりも巴たちを心配する優しいサラサの頭を幸太郎は撫でると、サラサは気持ちよさそうな表情を一瞬だけ浮かべて気を失った。
「す、すみません……アルトマンを止めることができませんでした」
サラサが気を失うと同時にフラフラと立ち上がりながら謝る巴に、我に返ったセラは倒れそうになる巴を支えた。
「巴さん、大丈夫ですか?」
「少し気を失ってしまいましたが、何とか……」
「それよりも、一体これは……」
「アルトマンです……すべてはアルトマンの仕業です」
「ありえません。アルトマン一人だけでは、巴さんたちを倒すのは無理だ」
いくらアルトマンが実力者であっても、短時間で多くの追手たちと戦闘し、その途中で刈谷、大道、ドレイクという実力者と戦った後で、巴たちと戦ってここまで圧倒的な勝利を収めるのはさすがのアルトマンでも不可能だとセラは思っていた。
「私たちは彼の覚悟を見誤っていました……どうやら、彼は自分の命をかけて、目的を果たそうとしている……」
巴のその言葉に、クロノとともに激しい一夜を過ごしたかのような満足気で、それ以上に妖艶で恍惚とした表情で気を失っている美咲の介抱をしていたノエルは「どういうことですか?」と、淡々としながらも僅かに焦燥感を滲ませて反応する。
「あ、アルトマンは――くっ……」
「――アルトマンさんは、アンプリファイアを使ったんです」
痛みで言葉を詰まらせてしまった巴に代わって、フラフラと立ち上がった沙菜が答えた。
沙菜の答えを聞いて、無表情ながらもノエルは衝撃を受けていた。
輝石から生まれた自分たちイミテーションはもちろん、使用者の力を無理矢理向上させて心身ともに影響をもたらしてしまう人間にとってもアンプリファイアは危険なものだからだ。
「さすがのアルトマンさんでも私たち四人相手に追い詰められていたようでしたが、土壇場でアンプリファイアを使われてしまい、一気に形勢が逆転してしまいました」
「沙菜さん、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です……私たちよりも、今はアルトマンさんを……」
ダメージが残る状態で無理して立ち上がったのか、倒れそうになる沙菜に駆け寄ろうとするセラだが、そんなセラを優しい笑みを浮かべて沙菜は制して先へ向かうように促した。
「ノエルさん……巴さんの言う通り、今のアルトマンさんは危険です。自分の身体を顧みないでアンプリファイアの力を使いました……あのままでは本当に命が危ない」
「……わかりました」
沙菜の忠告に、不安で若干の陰りがある神妙な面持ちのノエルは力強く頷くと、考えるよりも感情を優先させて誰よりも早くこの場から駆け出してホテル内に入った。
「待て、ノエル! ――七瀬も一人で行くな!」
そんなノエルを呼び止めるクロノだが、彼の制止よりも早く幸太郎がノエルの後を追った。
「まったくあの二人は……ごめんなさいセラさん。今の私たちでは足手纏いにしかならないわ」
「わかっています。巴さんたちは無理しないでゆっくりしていてください」
「とにかく、気をつけて……今のアルトマンは最終防衛ラインを守っているティアたちでさえも苦戦する相手よ」
後先考えずに先に向かった幸太郎たちに呆れながらも、怪我をしてまともに動けないことを謝罪する巴に、セラは力強い笑みを浮かべて安心させた。
「それと、セラさん……どうやら、アルトマンさんの目的は賢者の石であっても、七瀬君ではなさそうです」
「数時間前に幸太郎君を黙って見逃した時点でそれは私も思っていましたが――アルトマンの目的について、何かわかったことがあるんでしょうか」
「漠然としたものはわかっていませんが……アルトマンさんは何かを伝えたいように思いました。私たちを含めた大勢の人間と、七瀬君を利用して……とにかく、気をつけてください」
沙菜の言葉に力強く頷き、クロノとともにセラは先行したノエルたちの後を追う。
……幸太郎君が狙いではないということは何となくわかっていた。
しかし、私たち大勢の人間や幸太郎君を利用してアルトマンは何を伝えたいんだ?
何だろう、この漠然としない不安は……
――大丈夫だ、何も問題ない。
アルトマンを待っているのは優輝やティアたち。
それに加えて、私たちも――そして、幸太郎君も一緒にいるんだ。
だから、何も問題はない――そのはずだ。
巴たちを圧倒したアルトマンの命をかけた覚悟に圧倒されているわけではなく、ただただセラはこの先に待ち受ける何かに漠然とした不安を抱いて、先へと進むセラの足取りが重くなる。
しかし、そんな不安を強引に振り切ってセラは前へと進んだ。
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