終わりのはじまり編

　教皇庁旧本部からアカデミー都市に戻るために飛行機に乗っていた七瀬幸太郎（ななせこうたろう）たちだが、到着寸前のところで機内で襲撃されて飛行機は墜落してしまう。

　その襲撃で幸太郎は因縁のある北崎雄一（きたざきゆういち）、彼の協力者であるアルバート・ブライトに捕まってしまった。

　そして、北崎は幸太郎を利用して鳳グループと教皇庁に自分の要求を呑ませようとする。

　人質を取られてしまい、アカデミーは相手の要求を呑むことしかできなくなってしまう。

〇登場人物

七瀬幸太郎

・北崎に捕まり、捕らわれのヒロインと化した主人公。輝石（きせき）使いでありながらも輝石をまともに扱えない、アカデミーはじまって以来の落ちこぼれ。しかし、とある力を持っているため、北崎たちに狙われる羽目になり、その力を強引に引き出されることになる。アカデミーの治安を守る風紀委員に所属しているが、活躍はほとんどない。アカデミー都市に戻ったら、焼肉を食べたいと思っている。

白葉（しろば）ノエル

・短めの白髪を青いリボンで結い上げた、神秘的で儚げな雰囲気を身に纏う、美しく、凛々しい容姿だが、アカデミー都市内を清掃・監視のために徘徊するガードロボットように機械的で生気をあまり感じさせない少女。かつて、アカデミーの治安を守るために国から派遣された制輝軍（せいきぐん）を束ねているほど、輝石使いとしての実力は高く、アカデミートップクラスの実力を持っている。幸太郎に恩があるために、彼を守るために動いており、大胆にも彼の寝床にまで侵入することもある。

サラサ・デュール

・幸太郎と同じく風紀委員に所属している中等部の少女。赤茶色の髪をセミロング伸ばした褐色肌の鋭い目つきの口数少ない少女だが、誰よりも心優しく、争いを好まない性格をしている。今回、飛行機墜落事故で動けない仲間たちに代わって、風紀委員を動かし、幸太郎を守るために奔走する。年下ながらも幸太郎は彼女に母性を感じており、母性レベルはかなり高い。

アリス・オズワルド

・現在ノエルに代わってアカデミーにいる制輝軍を束ねている、プラチナブロンドの髪をショートボブにした、人形のように可憐だが全身に冷淡でドライな空気を身に纏っている少女。自他共に天才と称される父を持ち、中等部ながらも知能指数は高い。機械いじりが得意であり、制輝軍にあるガードロボットはほとんど自作。ロケットパンチに並々ならぬ思いを感じている。サラサには遠く及ばないが、彼女もまた母性レベルは高く、幸太郎曰く教育ママ的な感じらしい。

御柴巴（みしばともえ）

・鳳グループに所属している、艶のある長い黒髪を後ろ手に結った美女。かつては風紀委員を束ねていた時もあり、現在も鳳グループの仕事をしながら風紀委員の手伝いをしている。大勢の人を束ねる力を持っているが、実はかなりの初心。少しエッチな小説で色々と偏った知識を得ており、日々妄想を繰り広げている、むっつりえっちなおねーさん。

刈谷祥（かりやしょう）

・制輝軍が来る前に、アカデミー都市の治安を守っていた『輝動隊（きどうたい）』に所属して、容赦のない戦い方から敵味方問わず『狂犬』と呼ばれていた男。派手なほど金に染めた髪をオールバックにして、独創的というよりも趣味の悪いセンスの服を着ているせいで近寄りがたい外見だが、実際は面倒見のいい性格をしている。恋人を作ろうと必死だが、すべて無意味に終わってしまっている。最近、またフラれた。原因は確実に、本人の割に純真で、理想が高いこと。

鳳大悟（おおとりだいご）

・アカデミーを運営する組織の一つである、鳳グループの社長。上に立つものとしていっさいの私情を捨て去り、常に冷静沈着で、情に流されない冷淡な性格をしている。口数少ないが、喋るかければちゃんと反応をするし、アドバイスもしてくれるので、近寄りがたい雰囲気を持っているが、結構慕われている。私情を捨て去っているが、娘たちには若干甘い。しかし、娘たちが花嫁修業のために作っている、食物とは呼べない手料理を定期的に食べて、最近トイレに数時間こもった。

エレナ・フォルトゥス

・鳳グループとともにアカデミーを運営している教皇庁を束ねている教皇。栗色の髪のロングヘア―を三つ編みに束ねた神秘的な雰囲気の女性。煌石（こうせき）と呼ばれる輝石以上の不思議な力を持つ、輝石を生み出すティアストーンと呼ばれる煌石を操ることができる。大悟と同じく上に立つものとしていっさいの私情を捨て去っている。普段から感情を感じさせないので、何を考えているのかわからないが、実は結構ものぐさで公務をサボって昼寝やお菓子を食べていたり、ずっと教皇として育てられていたので世間知らずで天然な性格をしている。最近、幸太郎に紹介された駄菓子にはまっている。神秘的な容姿で、実は教皇庁内でファンクラブも存在している。

ヴィクター・オズワルド

・アカデミー都市内のセキュリティを構築し、アカデミー都市内を清掃しながら監視・警備しているガードロボットを開発した自他ともに認める天才であり、マッドなサイエンティスト。常に狂気に満ちた瞳と、うるさい笑い声を上げるが少しだけ常識人な一面もある。一人娘のアリスとともに妻のこともかなり愛しており、かなりの熱々夫婦。幸太郎のクラスの担任で、毎朝生徒たちに妻とのラブラブエピソードを語っている。

御柴克也（みしばかつや）

・鳳大悟の秘書を務めている、大悟の右腕的存在。成人した一人娘がいるとは思えないほど若々しい外見をしている。鳳グループ幹部として、大悟の秘書として的確な指示をしているが、昔ヤンチャしていた頃の粗暴な素が出ることもある。ヤンチャしていた頃を知っている刈谷からは尊敬されているが、本人は少し黒歴史だと思っている。

萌乃薫（もえのかおる）

・アカデミーの校医を務めていると同時に、鳳グループの幹部を務めている、長い髪をポニーテールにしたスレンダーな美女――ではなく、きれいなお兄さん。現在ヴィクターとともに幸太郎の身体について調べているが、ヴィクターが深夜まで調査を続けているので、夜更かしはお肌の大敵だと考えている萌乃は辟易している。克也に恋をしているが、同時に最近幸太郎もちょっといいなと思っている、恋に恋する男女（おとめ）。

ドレイク・デュール

・サラサの父であり、元教皇庁に所属していたボディガード。現在は鳳グループに協力している。筋骨隆々としたスキンヘッドの強面の大男であり、口数が少ないため娘と同様誤解されがちだが面倒見のいい優しい性格をしている。与えられた指示を的確にこなして仕事は完璧にこなすため周囲からの評価が高い。かなりの愛妻家で、娘のサラサを愛しており、娘のこととなると饒舌になり、感情的になる。奥さんはかなりの美人。

北崎雄一

・眼鏡をかけて、スーツを着た優男。かつて、風紀委員の活躍によって輝石使いの犯罪者や、輝石に関わる事件を引き起こした犯罪者を収容する『特区（とっく）』にぶち込まれたが、最近になって脱獄した。輝石を扱う資格を持たない人間でも、輝石を扱えるようになる『兵輝（へいき）』を設計し、協力者の手を借りて開発・完成させた。自称、博愛主義者の平和主義者であり、争いは好まない。兵輝を作り出して何をするのかは不明。細身の外見の割には意外に健啖家であり、質よりも量の食事を好む。

アルバート・ブライト

・かつてはヴィクターと並ぶ天才と称された人物であり、彼とともにアカデミー都市のセキュリティを設計し、彼とともに多くの発明品を遺した。増え続ける輝石使いを危険視し、彼らに対抗するために輝石と機械を無理矢理融合させる『輝械人形（きかいにんぎょう）』を発明したが、煌石を扱う人間を道具として扱い、発明に大勢の人に人体実験をさせたので、ヴィクターの手によってアカデミーから追放される。自分の研究の邪魔をしたヴィクターを恨み、北崎たちと手を組んでアカデミー都市で輝械人形を暴れさせたが、北崎とともに特区にぶち込まれる。その後、彼とともに脱獄。自身が思い描く平和で明るい未来を目指している。

アルトマン・リートレイド

・輝石や煌石に関する研究者として多くの文献を遺し、ヴィクターとアルバートを教え子に持ち、輝石使いの実力においても教皇庁に認められて聖輝士の称号を授与されそうになったほどの実力者。とある事件で命を落としたと思われていたが、伝説の煌石・賢者の石の力で生きていた。世界中に大勢の北崎、アルバートともに協力して『祝福の日』を招いた張本人であり、アカデミーで発生する多くの事件の裏で暗躍している。

リクト・フォルトゥス

・教皇エレナの息子であるが、少女と見紛うほどの外見の持ち主。母と同じくティアストーンを扱う力に長け、次期教皇最有力候補。海外にある教皇庁旧本部に残っていたが、飛行機墜落事件のことを聞いてアカデミーに戻った。女性陣を差し置いて、母性レベルはトップ。幸太郎に甘えられ、それを嬉々として受け入れている。活躍はちょっとだけある。

鳳麗華（おおとりれいか）

・鳳大悟の娘であり、幸太郎の同級生で風紀委員の設立者。一部の髪が癖でロールしている煌く金糸の髪をロングヘア―にした、類まれな美貌の持ち主であり、スタイル抜群の美少女だが、性格がきっついお嬢様。飛行機墜落事件で意識不明になってしまう。そのため、活躍はほとんどない。

セラ・ヴァイスハルト

・幸太郎の同級生であり、彼と同じく風紀委員のメンバー。大人っぽく、凛々しい外見で、誰にでも分け隔てなく接しているため男女年齢問わずに人気が高い。麗華と同じく、墜落事件のしえで意識不明になってしまっている。そのため、活躍はほとんどない。