陰謀編

　冬休みが明けて、半年以上前から海外に出張していた、教皇庁のトップである教皇エレナ・フォルトゥスの息子であり、次期教皇最有力候補であるリクト・フォルトゥスが戻ってくることになった。

　友人であるリクトがアカデミー都市に戻ってくることを聞いた七瀬幸太郎（ななせこうたろう）は、アカデミー都市の近くにある空港まで迎えに行くが――

　教皇庁内の陰謀に巻き込まれてしまうことになる。　

〇登場人物

七瀬幸太郎

・主人公。アカデミー都市内の治安を守る風紀委員のメンバーである少年。輝石（きせき）を扱う資質を持つ輝石使いであるが、輝石の力をまったく扱うことのできないアカデミー創立以来の落ちこぼれ。色々あって今まで暮らしていた寮から、オートロックの高層マンションに引っ越した。

セラ・ヴァイスハルト

・幸太郎の同級生であり、風紀委員のメンバー。かわいいよりも、かっこいい容姿の少女。アカデミー都市内の輝石使いの中でもトップクラスの実力を持っている。誰に対しても分け隔てなく優しく接する性格のためか、アカデミー都市内でも異性同性年齢問わずに人気が高く、非公式のファンクラブも存在している。

白葉（しろば）ノエル

・アカデミー都市内の治安を守る、国から派遣された組織である制輝軍（せいきぐん）を率いている、短めの白髪の髪を赤いリボンで結い上げた少女。セラと同等かそれ以上の実力者であり、自分に与えられた任務を忠実に、そして、確実にこなす。自分の仕事に専念するためにアカデミーに通っていなかったが、最近アカデミーに登校するようになり、セラと同様多くのファンができた。本人は鬱陶しいと思っている。

鳳麗華（おおとりれいか）

・アカデミーを運営する巨大な組織である鳳グループトップを父に持つ、自称気品溢れるお嬢様。父のサポートをするためにアカデミーを自主退学していたが、年が明けると同時に学業に戻って、一人暮らしをはじめたが、苦戦中。

伊波大和（いなみやまと）

・麗華の幼馴染。人を喰ったような性格をしており、常に軽薄な笑みが絶えない人物。幸太郎によく懐いている。かつて、アカデミー都市の治安を維持していた組織・輝動隊（きどうたい）の隊長を務めていた。変わった物を集めるのが趣味。

ティアリナ・フリューゲル

・セラの幼馴染の銀髪の美女。自他ともに厳しく、ストイックな性格をしている。現在、アカデミーの訓練教官となるべく勉強中。プロテインを持ち歩いている。

リクト・フォルトゥス

・アカデミーを運営する巨大な組織・教皇庁のトップである教皇の息子であり、次期教皇最有力候補の少年。少年とは思えぬほどの美貌を持ち、美少女のような少年。半年前に海外に出張に向かい、年が明けてからアカデミーに戻ることになった。一つ年上である幸太郎のことを尊敬以上の感情を抱いている。

エレナ・フォルトゥス

・教皇庁のトップである教皇を務めており、リクトの母親。輝石以上の力を持つ『煌石（こうせき）』を扱う高い資質を持ち、輝石を生み出すティアストーンを管理している。彼女の持つ煌石を扱う高い力は、触れてもいないのに周囲に存在する大量の輝石を反応させることができるほど。

サラサ・デュール

・中等部一年でありながらも、風紀委員に所属している赤茶色の髪をセミロングヘアーにした褐色肌の少女。口下手であるため喋らないことが多く、それに加えて威嚇するような鋭利な目つきで強面なので周囲からは誤解されがちだが、心優しい性格をしている。

ドレイク・デュール

・サラサの父であり、麗華のボディガード兼使用人を務めているスキンヘッドの大男。常に冷静で口数少ないが、溺愛している娘のことになると饒舌になる。かつては教皇庁に所属しており、枢機卿と呼ばれる教皇庁上層部の人間を護衛していたが、色々あって辞めさせられた。

大道共慈（だいどうきょうじ）

・かつて、輝動隊とともにアカデミー都市内の治安を守っていた組織・輝士団（きしだん）に所属しており、面倒見の良い性格から、輝士団時代多くの輝石使いたちを鍛え上げていた。そして、リクトに頼まれて、彼を鍛え上げていた坊主頭の青年。実は婚約者がいる。今回、幸太郎と一緒にリクトを迎えに空港まで向かうことになる。

銀城美咲（ぎんじょうみさき）

・元々はアカデミー都市内にある、輝石使いの犯罪者や輝石に関わる事件を起こした犯罪者を収容する施設『特区』で看守長を務めていたが、ノエルにスカウトされて制輝軍に協力することになった、手入れのされていないボサボサロングヘアーの女性。ワイルドかつエロティックな雰囲気を醸し出している美女であり、ティアとは同級生。

アリス・オズワルド

・西洋人形のような外見の、ホワイトブロンドヘアーをショートボブにした少女。中等部二年でありながらも、制輝軍内でもトップクラスの実力を持っている。アカデミー都市全体のセキュリティシステムを開発した自他ともに認める天才マッドサイエンティストを父に持つが、不仲。

御柴克也（みしばかつや）

・鳳グループトップである麗華の父の秘書を務めており、右腕的存在。かなり若々しい外見をしているが、実は四十代。妻子持ちであるが、娘とはあまり仲が良くない。