第19話

 もうすぐだ……もうすぐ接触してくるはずだ。

 そうすれば、もう終わる……

 もうすぐ、もうすぐ終わる――だから、大丈夫だ。


 鳳大悟が社長室に到着したという話を聞いて十分以上経過しているが、まだ音沙汰がない状況に村雨は不安に押し潰されそうになる自分自身を心の中で鼓舞していた。


 不安を消し去った村雨は自分の仲間と、人質の様子を見る。


 アンプリファイアの影響で疲労感はあったが、それでも仲間たちは依然として変わらず、強い意志を宿した表情だった。


 しかし、戌井たちの身に起きた、支配下に置いていた新型ガードロボットが暴走したという話に不安を隠し切れないでいた。


 意見が対立しながらも、村雨を支えてくれている戌井の表情は、警戒心と不安で満ちており、それが周囲の仲間の不安をさらに煽っていた。


 人質とされているアカデミー外部から来たパーティー出席者の不安と恐怖は限界まで張り詰め、今にも爆発しそうだった。


 会場全体に不穏な空気が流れており、このまま膠着状態が続けば、パニックになって人質が暴れるか、仲間たちが不安に押し潰される光景が村雨の頭に過った。


 だが、村雨はもうすぐ鳳大悟が接触してくると信じて、ただジッと待った。


「村雨さん、そろそろ諦めたらどうですか?」


 張り詰めた空気の会場内に芝居がかった耳障りなキザな声を張り上げる貴原。


 明らかに人質たちに、自分の勇敢さと有能さを売り込むことしか考えていない貴原の様子に、村雨は小さく嘆息すると同時に軽蔑の視線を彼に向けた。


「確かに人質を取れば自社の体面を気にしてすぐにあなたたちの目当ての人物である、鳳大悟氏が現れるかもしれない。でも、人質を取った状況であなたが言う真実を語らせても、何も意味がなく、アカデミーも変えられないと思いますが?」


 意地の悪い笑みを浮かべる貴原の言葉が刃となって村雨を傷つけ、後悔が生まれそうになるが、無理矢理それを抑え込んだ。


「鳳が何をしてきたのか周囲に理解させる必要がある。多くの人間が真実を知れば、今のアカデミーの状況を良く思わず、変えようと思う人たちが増えるはずだ。今日はちょうど多くのマスコミが集まるから、真実を広めるには良い機会だろう?」


「かもしれませんが――あなたなら、関係のない人間を巻き込まなくても、別の方法を考えられたんじゃないんですか?」


 自分を売り込むような芝居がかった口調から、村雨を説得するような口調になる貴原。


 失望と軽蔑が混じりながらも、貴原の瞳にはどこかむなしさがあることに村雨は気づく。


 本人は気づいていないかもしれないが、貴原の本心が垣間見えたような気がした村雨は、思わず彼から目をそらしそうになってしまったが――


「いい加減にしたらどうだ、村雨」


 無駄に大きくて芝居がかった貴原の声と比べてだいぶ小さな声だが、それでも会場全体に響き渡る落ち着き払った冷ややかな声に、村雨は反応して声の主に視線を移した。


 声の主――両手を拘束されている草壁雅臣は立ち上がり、恐れることなく堂々とした足取りで村雨に近づいた。


 勝手な真似をして自分だけならまだしも、人質にも迷惑がかかるかもしれない草壁の行動だったが、無表情の彼から放たれる殺気にも似た冷たい威圧感が周囲を黙らせた。


「私は大悟と長い付き合いだ。お前の察しの通り、天宮家との顛末も知っている……大悟に代わって私が真実を話そう。その代わり、人質は解放してもらう」


 人質を解放しろと村雨を説得する草壁に、パーティー出席者の人質は安堵と感謝しきったような目を草壁に向けていた。


「草壁雅臣――冷血で有名なあなたが勇敢にも前に出て、そんなことを言うとはな」


「大悟に信用されている人間として、関係のない人質のために果たすべき責任がある」


「きれいごとを吐くな。正直に自分たちのためと言ったらどうだ」


 マニュアル通りのように聞こえる、心にもなさそうな草壁の淡々とした言葉に、村雨は思わず鼻で笑ってしまう。


「どう思おうがお前の勝手だ。だが、こちらはお前が求める真実を知っている」


「こちらが求めている真実を知らない場合もあるだろう」


「そうかもしれないが、そうではないかもしれない……さあ、どうする?」


 思わせぶりな態度で挑発的な言い方をする草壁に、村雨は信用できなかった。


「村雨、彼の知る真実が、我々が求めているものかどうかはわからないし、一時凌ぎの嘘である可能性もあるから信用できない。――だが、ガードロボットの暴走の件もあるんだ。ここは人質だけでも解放するべきだと僕は思う」


 村雨と同じく草壁を信用できないと思いつつも、新型ガードロボットの暴走の件もあったので戌井は人質を解放することにだけは肯定的だった。


 草壁に続いて自分たちを解放してくれそうな戌井に、人質たちの期待に満ちて、救いを求めるような視線が集まった。


 ……そろそろ人質のストレスも限界だ。いつ爆発してもおかしくはない。

 だが……人質を解放したら、この状況が外に気づかれて、制輝軍たちとの大きな争いになってしまうかもしれない。

 元々、人質を取ったのは鳳大悟が真実を言わない場合に備えて人質解放を条件に真実を聞くためであり、外部に気づかれた場合にこちらの被害を最小限にするためでもある。


 ――だから、安易に解放はできない。

 それに、今回の件は鳳大悟の口から直接説明させなければならない。

 それが御使いとの約束、そして、自分たちの目的だ。


 数瞬の思考の後、村雨は答えを決めた。


「たとえあなたが俺たちの求める真実を知っていたとしても、俺たちの目的は鳳大悟の口から真実を聞くことだ」


 人質を解放することを頑なに認めない村雨に、人質たちは揃って落胆の声を漏らした。


 そして、戌井は何も言わずに村雨を非難するように睨み、草壁は小さく嘆息する。


「強情だな……どうなっても知らんぞ」


「鳳大悟が出てくればすべてが解決する、それだけだ」


 脅すような草壁の言葉に、村雨はまったく動じなかった。


 すべてはアカデミーのため、自分の仲間のためであると信じて、今は心を鬼にする村雨だったが、内心では不安でいっぱいだった。


 自分が人質解放を認めなかったことで、人質のストレスは一気に高まり、パニックへのカウントダウンが一気に早まったと、村雨は人質たちから伝わる焦燥感でそう感じていた。


 ……さあ、鳳大悟、後はお前だけだ……

 出てこい……――出てきてくれ。


 会場内の不穏な空気がギリギリまで高まって弾けそうになる中、村雨は口を真一文字に閉め、自身と向かい合うように立っている草壁を睨みながら、待っていると――


『このマイクってもうスイッチ入ってるの?』

『こ、このバカ! 準備は万端だと言ったばかりですわ!』

『マイクテストしなくても大丈夫?』

『シャラップ! 口を閉じていなさい!』


 突然会場内に呑気な会話が響き渡る。


 すると、不穏な空気が高まり、張り詰めた緊張感に包まれていた会場内が一気に弛緩した。そんな中で、セラだけは突然響き渡った呑気な会話を聞いて安堵していた。


 七瀬幸太郎君? それと――鳳麗華さん?


 突然響いた声の主が七瀬幸太郎と鳳麗華だということに気づいた村雨は周囲を見回すが、二人はどこにもいなかった。


 だが、声がした場所が天井のスピーカーからであることに気がついた。


 二人の会話の後に、鬱陶しそうな小さな咳払いが響くと――


『……聞こえているようだな、村雨』


 村雨たちの目的の人物である、鳳大悟の声が会場内に響き渡る。


 スピーカー越しだが、人質がパニックになる前に登場した鳳大悟に、村雨は安堵すると同時に、この場にいない彼への怒りが芽生えていた。


「こっちには人質がいるというのに、あなたは姿を見せないで、安全な場所にいるというわけですか――あなたは今、一体どこにいるんだ」


『社長室のシステムを使ってお前たちと話している』


 淡々とした大悟の答えを聞いて、村雨の頭の中に嫌な予感が駆け巡る。


「まさか……システムを奪還したのか?」


『お前たちが支配していた警備用ガードロボットも元に戻り、すぐにでも緊急警報システムを作動させ、本社外から制輝軍を呼ぶことができる状況だ。そうなれば、お前たちを捕まえるために大勢の制輝軍が現れ、すぐに人質は救われることになるだろう』


 厄介なシステムを作動させることができる状況に、人質は揃って安堵の息を漏らす。


 圧倒的に相手が有利な状況に、万事休す――そう思い、歯噛みする村雨だったが、『だが――』と、大悟の話は続く。


『人質のために、そして、無益な争いを避けるためにお前が求める真実を話そう。それがお前たちの目的であり、お前たちの背後にいる人間の目的のはずだ』


 願ってもないチャンスだったが、都合が良すぎると思って村雨は信用できなかった。


 しかし、大悟はそんな村雨の心を見透かしているかのように話を続ける。


『お前たちは鳳が天宮を裏切った際に、鳳が天宮から奪ったものの話が聞きたいはずだ』


「随分簡単に真実を言うつもりのようだな……人質に良い姿を見せたいがためか?」


 求めていた真実を簡単に言うつもりの大悟に肩透かしを食らいながらも、その裏にある魂胆が見えたような気がした村雨は冷ややかな表情を浮かべていた。


 そんな村雨の皮肉に、大悟は『そうだな』と認めつつ、話を続ける。


『真実を口にする準備は昔からできていた』


 スピーカー越しで淡々と放たれた言葉だったが、その言葉の裏にある暗く、力強く、執念にも似た覚悟を感じ取った村雨は、思わず気圧されてしまっていた。


 大悟から感じ取った覚悟は――この騒動を起こすために自分たちがした覚悟とは比べ物にならないほど、大きいものだと村雨は感じ取ってしまった。




―――――――――――




 大和たちがセキュリティルームに無事に到着して目的が達成できたのか、突然社長室の壁一面がモニターとなって、パーティー会場内の様子が映し出された。


 飾り気のない質素で寂しい雰囲気の社長室が、SFに出てくるような秘密基地のような雰囲気になって、情けなく口を大きく開けて幸太郎は感嘆の声を上げていた。


 そんな幸太郎を放って、パーティー会場にいる村雨と会話をする準備をはじめる鳳親子。

 準備が終わると同時にマイクを弄った幸太郎は、麗華に怒られて大人しく下がった。


 そして、麗華は固唾を呑んで父と村雨の会話を見守っていた。


 だが――父が『鳳が天宮を裏切った際に、奪ったもの』と言った時、初耳だと言わんばかりに麗華は驚いていた。そんな麗華を幸太郎は不思議そうに見つめていた。


「真実を口にする覚悟は昔からできていた」


『それならば、どうして今まで言わなかった! 言っていれば、ここまでアカデミー都市の状況が悪くなることはなかった!』


「それについてはタイミングが悪かった――それしか言うことはない」


 スピーカーからでも十分に室内に響き渡る村雨の怒声に、大悟はいっさい弁護をしないで、甘んじて村雨の怒りを受け止めていた。


「だが、今話すべきことはそんなことじゃない。お前は真実が知りたいんだろう」


 大悟の言葉で『……そうだな』と、村雨は落ち着きを取り戻して本来の目的を思い出す。


『それなら、説明してもらおう……天宮家から奪い、鳳が隠し持っているという、煌石こうせき・『無窮むきゅう勾玉まがたま』、そして、それを奪ってどうなったのかを』


 煌石――輝石以上の力を持ち、不思議な力を持つ石のことだった。


 神話や伝説に登場する石はすべて煌石とされており、現存する煌石は教皇庁が持つ、輝石を生み出す力を持っている、『ティアストーン』だけだった。


 ティアストーン以外の煌石を鳳が持っているということに、パーティー会場内にいる人質は、自分たちの立場を忘れて声を上げて驚いていた。


 もちろん、この場にいる幸太郎も同じだったが――大悟の娘である麗華も驚いていた。


「お、お父様……本当に『鳳』は煌石を持っていますの?」


 幸太郎に邪魔するなと言っておきながら、思わず麗華は父と村雨の間に入ってしまった。


『どうやら、あなたの娘は鳳が煌石を持っていることを知らなかったようだな……ちゃんと説明したらどうだ? 娘に、そして、この場にいる人質に』


「無窮の勾玉は確かに鳳が持っている。いや、アンプリファイアと呼んだ方がわかりやすいのかもしれないな。アンプリファイアは無窮の勾玉から抽出された力の欠片だ」


 隠すことなく煌石を持っていることを認めると同時に、アンプリファイアの正体を説明して、会場内にいる人質たちはもちろん、麗華の表情は驚愕に染まっていた。


 整った顔を無様にさせて驚いている麗華を見て、幸太郎は失礼にも笑っていた。


 そして、笑いながら幸太郎はヴィクターが、アンプリファイアは煌石の欠片である――そう言っていたことを思い出していた。


『どうして、アンプリファイアの正体を知りながら隠していた。そうすれば、実力主義が蔓延するアカデミーに絶望し、アンプリファイアの力に縋ろうとする純粋な輝石使いの被害者を抑えることができたはずだ!』


「今更何を言っても言い訳にしかならないが――世界で唯一現存している煌石を持つ教皇庁が、ティアストーン以外の煌石があると知ったらどうなるか想像しろ。それも、、だ」


 声を荒げる村雨に、大悟は淡々とした声で現実的な質問を返した。


 現実を突きつけられ、村雨は口を閉ざしてしまっていた。


「何としてでも、教皇庁は危険な力を持つ無窮の勾玉を教皇の管理下に置くだろう……だが、あれは人の手には負えない代物だ。にそれは実証されている」


 大悟が放った十一年前という言葉に反応する麗華。


 十一年前――鳳グループと教皇庁が手を組んで、輝石について科学的な研究を行った結果、輝石の力は暴走して研究は失敗し、暴走した輝石の力は世界中に飛び散って、多くの人間を輝石使いに変えた、教皇庁が『祝福の日』と呼んでいる事件が麗華の頭に過った。


「あの時――輝石の研究のために鳳グループは教皇庁と手を組んだが、実際鳳グループは無窮の勾玉と輝石の力を利用して兵器を作るつもりだった。しかし、すべては失敗に終わった」


 遠い目をしながら、淡々とした様子で祝福の日の真実を大悟は述べた。


 今まで知らなかった事実を聞いて、麗華は呆然とした様子で父を見つめていた。


「失敗したのは当然だ。本来、無窮の勾玉はティアストーンを操る教皇と同じく、資格を持つ者が何とか操れる煌石だった。しかし、研究の途中で、無窮の勾玉を操る資格を持っていた、『御子みこ』と呼ばれる天宮の人間が命を落とした――だが、それでも鳳は研究を止めなかった。その結果起きたのがあの日起きた事件、『祝福の日』だ」


 十一年前に起きた祝福の日のことを思い出して、大悟の口調は若干刺々しかった。


『まさかここまで真実を話すとはな……あなたの覚悟はどうやら本当のようだ』


 今まで包み隠さず真実を話す大悟に、モニター越しにいる村雨は感心していた。


 だが、まだ村雨は満足していなかった、まだ、大悟に真実を追求するつもりでいた。


『――しかし、説明を忘れていることがあるだろう』


 まだ大悟は真実を隠している――そんな口ぶりの村雨で大悟を追求するが、彼の求める真実をすべて話し終えたと思っていた大悟は言葉に詰まる。


『俺は天宮家当主の娘――天宮加耶に会い、姫と呼ばれている彼女から御子としての力を見せてもらった。だから御使いが話す真実を信じて、御使いと協力した』


 村雨が出会ったという『天宮加耶』の名前を聞いて、大悟はすべて得心したように頷き、一方の麗華の表情は雲って俯きがちになっていた。


 一人の人物の名前を聞いて様子が明らかにおかしくなった二人の姿を、幸太郎は不思議そうに眺めていた。


『無窮の勾玉を兵器開発に利用させようとしたのはあなたの判断だろう!』


 抑えてきた激情を一気に解放して、村雨は怒声を張り上げて大悟が話さなかった真実を告げる。


『十年以上も前からあなたは判断を誤り続けている! 真実をいつでも口にする覚悟があるのならば、過去に真実を公表するべきだった! あなたは現実ばかりを見続けて、変えることができる未来に希望を失くして怯えているだけの卑怯者だ!』


 的を射るような村雨の言葉に、ずっと無表情だった大悟は口を綻ばせて、思わず自嘲を浮かべて、何も言い返すことができなかったが――


「耳に痛い言葉だが――やはりお前は御使いに利用されている」


 憐れむように言い放った大悟の言葉に、村雨は平静を装いつつも明らかに戸惑っていた。


「兵器開発に関して、私は関わっていないと否定する。無窮の勾玉の兵器利用を進言したのは、祝福の日のすぐ後に亡くなった先代・鳳グループトップであり、私の父である鳳将嗣おおとり まさつぐ……だが、父の凶行を止めることができなかった私も同罪だ」


 自嘲を浮かべながら、父と自分の罪を語った大悟の無表情だった表情に、はじめてハッキリとした感情が宿る。その表情は深い後悔と、償いきれない罪の意識に苛まれて弱々しく、過去に何もすることができなかった自身への怒りと嘲りが含まれていた。


 感情を露わにする父の表情をはじめて目にする麗華は呆然とした表情で眺めていた。


 モニター越しの村雨は、御使いと大悟――どちらの言葉を信じるべきか理解するとともに、自分が利用されていることにようやく気づいたようだった。


 自分の過ちを理解した村雨に、投降するように大悟は声をかけようとした瞬間――


 マイクが途切れ、会場を映し出していたディスプレイがブラックアウトする。


「何があった! ――返事をしろ!」


 マイクに向かって怒声を張り上げる大悟だが、会場からの応答はなかった。


 パーティー会場内の異変を察知した大悟は即座に、自身の机の上に置いてあるノートPCから緊急警報システムを作動させる。


 瞬間――鳳グループ本社内にけたたましいサイレンが鳴り響いた。


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