第7話
教室から出てセラは幸太郎の手を引っ張って風紀委員本部に向かっていた。
早歩きで向かっていたため、あっという間に風紀陰本部の前まで到着した。
空き教室を借りた風紀委員本部の前に到着して、幸太郎はまだ出会えていない友達との再会で期待に胸を膨らませながら扉を開いた。
扉を開くと、風紀委員本部は去年とあまり変わっていなかった。
風紀委員を設立した人物が持ち込んだ私物ばかりが揃っており、資料やお菓子が置かれている棚、最新のデスクトップPC、着替え等が入っているクローゼット、本物のホワイトタイガーの毛皮で作られたラグ、室内の中央に向かい合うように置かれた本革のソファ、冷蔵庫、大画面の薄型テレビ等が置かれていた。
幸太郎は自分がよく知る、恥も外聞もなく派手に高笑いをする人物がいると思っていたが――その人物の代わりに、見慣れぬ人物がソファに座って緑茶を飲んでいた。
ソファに座っていたのは、長い黒髪を後ろ手に結ったスーツを着ている美しい容姿の女性だった。
女性は風紀委員本部に入ってきた幸太郎に気がついて、彼に向けてニコリと柔らかい笑みを浮かべた。
自分に向けられた美女に笑顔に、幸太郎は緊張してしまい、見惚れてしまった。
慈愛に溢れながらも強い意志を宿している瞳の女性は、穏やかだが凛とした雰囲気を併せ持っており、大人びて気品溢れる清楚で可憐な容姿は大和撫子と表現するには相応しい美女だった。
どことなく幸太郎はティアと雰囲気が似ていると思ったが、目の前にいる女性の方がティアよりも温かみを持っているような気がした。
「遅くなってしまって申し訳ありません、
幸太郎に続いて本部に入ってきたセラは、ソファに座っている『巴さん』と呼んだ女性に頭を下げたが、女性は「気にしないで」と言って、柔和な笑みを浮かべた。
女性はセラから幸太郎へと視線を移し、ソファから立ち上がって丁寧に頭を下げた。
「はじめまして七瀬幸太郎君。私は風紀委員の
御柴巴と名乗った女性の丁寧で気品溢れる態度、そして美しい外見に、思わず幸太郎は緊張してしまい、「ど、どうも」と軽く頭を下げて緊張で上擦った声で挨拶をした。
「さあ、座って――と、その前に……サラサさん、君も挨拶をしなさい」
穏やかだが有無を言わさぬ口調で、巴は自分の背後にいるサラサと呼ばれた少女にそう言った。
サラサと呼ばれた少女は赤茶色をしたセミロングヘアーの褐色の肌を持つ少女で、中等部女子専用の制服を着ていた。
ずっと巴の背後に立っていたが、幸太郎は少女の存在に今気がついた。
幼い顔立ちの少女の双眸には力強く鋭い光を宿していて妙な威圧感を放っていたが、どこか彼女の存在感は空気と同化しているように薄いものに幸太郎は感じた。
その鋭い双眸でサラサはジッと幸太郎を睨みつけるようにして見つめていた。
……サラサちゃんって子、多分年下なんだろうけど……目が怖い。
でも、どこかで会ったような気が……
サラサの鋭い眼光に思わず気圧される幸太郎だが、どこかで会ったような気がしてならない幸太郎は、彼女のことをジッと見つめて思い出そうとしていた。
幸太郎にジッと見つめられ、サラサは無言で鋭い眼光を彼に向かって飛ばし続ける。
しばらく二人の間に無言が続くが、呆れたようにため息をついて間にセラが入ってきた。
「この子はサラサ・デュールちゃん、今年中等部に入ってきたばかりの子です」
無言のままのサラサに代わって、セラがサラサの自己紹介をした。
セラに自己紹介をされると、サラサは俯いて幸太郎とは視線を合わせようとはしなかった。そんな様子のサラサにセラは小さく嘆息した。
「サラサちゃんは緊張しているみたいです」
サラサのフォローをするセラだが、彼女の気遣いは幸太郎の耳に届いていなかった。
サラサの名前を聞いて、幸太郎は頭の中で友人である、筋骨隆々としたスキンヘッドの人物・ドレイク・デュールの強面の顔が浮かんでいたからだ。
「サラサちゃんって、もしかしてドレイクさんの娘さん?」
「ええ。輝石使いであることは、半年以上前からわかっていたのですが、色々あって今年の春にようやくアカデミーに入学することができたんです」
「なるほどー、見覚えがあると思ったのはドレイクさんに似てたせいかな?」
セラの説明を聞いて一人納得している幸太郎に、ショックを受けているサラサだが、何も反論するわけでもなく、ただ無言で巴の隣に座って項垂れていた。
「全員揃いましたし、さっそく話をはじめましょうか」
セラの言葉を合図に、温厚な雰囲気を纏っていた巴の雰囲気が一気に張り詰める。
「さっそく質問をするけど――七瀬君、君がいなかった一年でアカデミーがどのように変化をしたのか、どの程度君は知っているの?」
「ニュースでアカデミーの話は聞いてました」
巴の質問に幸太郎は頷く。アカデミーを退学してからも、アカデミーの状況が気になっていた幸太郎は、アカデミーに関するニュースはなるべくチェックするようにしていた。
「どこがどう変化したのか、話せる?」
巴の質問に、幸太郎は一年間でテレビのニュースで集めた情報を頭の中から掘り起こす。
「アカデミー名物料理が評判になったと――」
「それ以外で」
「海外の有名なファーストフード店が――」
「もういいわ」
的外れな発言を繰り返す幸太郎に、巴は脱力して呆れたように深々とため息をついて質問を止めた。そして、脱力していた巴は姿勢を正して幸太郎を真剣な表情で見つめた。
「君がいなくなってすぐにアカデミーに国が干渉をはじめた」
巴は幸太郎がいない間のアカデミーの変化をゆっくりと話しはじめる。
「度重なる不祥事に外部の信用をアカデミーは失い、国はアカデミーに
巴の説明に、幸太郎は新しい学校に転入してすぐに報道されたニュースの内容を、そんなこともあったなぁと呑気な様子で思い出していた。
ニュースの内容は巴の言った通り、国がアカデミーに制輝軍を送り込んだということだった。
制輝軍とは、国が育成・管理している輝石使いたちが所属している組織で、制輝軍である証として輝石を模したバッジを持っていた。
アカデミー外で輝石使いが起こしている事件を解決するのが主な目的であり、災害地の派遣等も行っている。アカデミーにいる輝石使いの数に比べれば制輝軍の数は劣るが、実力者が多くいる組織であると幸太郎はニュースで知っていた。
頭の中で幸太郎は自分が知りうる限りの制輝軍についての情報を引き出している合間も、巴の説明は続く。
「制輝軍はアカデミー都市の治安を維持していた
制輝軍が輝動隊と輝士団から全権を奪ったという巴の説明を聞いて、幸太郎は自分が知っているニュースで得た情報とは食い違っていることに気がついて、首を傾げる。
幸太郎がニュースで得た情報では、制輝軍と輝動隊・輝士団の間は穏便な感じだった。
「幸太郎君は輝動隊と輝士団は制輝軍に吸収されたと聞いているかもしれませんが、実際はほぼ巴さんの言う通りです」
情報の齟齬に気づいた幸太郎にセラはフォローを入れた。
「率先して国と連携していることにしておけば、外部からのアカデミーの評価が高くなると考えたアカデミーの上層部が輝動隊と輝士団を切り捨てました……簡単に」
トラブルを起こしながらも今までアカデミーに尽くしてきたというのに、簡単に輝動隊・輝士団を切り捨てたアカデミー上層部に対してセラは怒りを抱いているようだった。
「治安維持部隊に所属していた実力がある一部の輝石使いは制輝軍に引き抜かれましたが、それはごく一部で、ほとんどは納得できる説明もなく治安維持部隊を辞めさせられ、事実上輝動隊と輝士団は潰れました。幸い、私たち風紀委員は規模が小さいことや、輝動隊や輝士団のように大きな後ろ盾がなかったので、相手にされずに潰されることは免れました」
セラが説明する輝動隊と輝士団の末路に、幸太郎は二つの組織に所属していた友達のことが気になり、彼らの姿を思い浮かべて心配をした。
友達たちの心配をしている幸太郎をよそに、セラは説明を続ける。
「治安維持部隊が制輝軍によって統一され、治安維持部隊同士の諍いはなくなり、事件解決も迅速になりましたが――良いことばかりではありませんでした」
セラの表情は徐々に暗くなってくる。
「制輝軍は徹底的な実力主義を掲げ、実力のない輝石使いを見下しました。もちろん、全員ではないと思いますが、大多数の人は力こそすべてという考えを持っています……そして、その考えのせいでアカデミーに大きな影響を与えてしまった」
悔しそうにセラは拳をきつく握った。
「制輝軍はアカデミーで発生する多くの事件を解決しましたが、強引に事件を解決するやり方と弱者を見下す差別的な考えに、反発した多くのアカデミーの生徒たちとの間に多くの諍いが発生しました。しかし、制輝軍は容赦なく反発する生徒を力で黙らせました」
徐々に雲行きが悪くなるセラの説明に、幸太郎は状況の整理がつかなくなってきていた。
「邪魔する者には容赦のない制輝軍に、恐怖を覚えてすぐに生徒たちの反発の声はなくなり、今度は制輝軍の思想に賛同する生徒たちが多く――いえ、元々アカデミーでも実力主義的な考えを持っている生徒はたくさんいました。……その結果、元々差別的な目で見られていた実力のない輝石使いたちは差別を受けるようになりました」
説明を続けていたセラだが、ここでふいに巴に申し訳なさそうな視線を送った。その視線を受けて、巴は薄らと自嘲的な笑みを浮かべて頷き、セラに代わって説明をはじめる。
「すぐに、差別されて居場所がなくなった人と、制輝軍から実力不足と判断されて辞めさせられた元輝動隊・輝士団が手を組んで、『
淡々とした調子で説明をしている巴だが、明らかに自分の感情を押し殺しているようであり、彼女からは激しい後悔の念や自身への嘲りが滲み出ていた。
「そんな時――『アンプリファイア』がアカデミー都市内に出回りはじめ、事態がさらに混迷を極めた」
巴は忌々しげに『アンプリファイア』の名前を吐き捨て、拳をきつく握り締め、激情を抑えている様子だった。
アンプリファイア――アカデミー内に出回っている新種のドラッグの一種で、中毒者の輝石使いが数か月前に行われた、輝石使い同士の戦いが公式に認められた煌王祭で暴走したという事件が起きたことを、幸太郎は思い出していた。
「アンプリファイアは外部には『薬』として情報が回っているけど、正体は薬ではないの――その力は輝石の力を増幅させ、自身が扱える力以上の力を引き出せる力を持っている、不思議な力を持つ輝石のような石よ」
アンプリファイアに対しての憎しみを押さえている様子の巴の説明を聞いて、自分が知っている情報とは異なるアンプリファイアに、幸太郎は驚くとともに知らない情報ばかりで頭がパンク寸前になっていた。
「でも、力を得る引き換えに精神を異常に興奮させる作用を持っていて、限界以上の力を無理矢理引き出したことによる後遺症で、使用者は生死の境をさまようほどの重体になる危険物よ」
アンプリファイアの危険性を静かな怒りと憎しみを宿している表情で語る巴の威圧感に、思わず幸太郎は息を呑んでしまう。
「アンプリファイアが出回ったことで学生連合は力を得て、制輝軍との争いさらに激化した――でも、結果的にアンプリファイアを利用して本来の大義を見失った学生連合は破れ、実質解散状態になった。制輝軍に反発していた学生連合は消え、アカデミーに平穏は――」
激しい後悔に苛まれ、どこか自嘲的で、悲しそうな表情を浮かべた巴は一拍子遅れて「平穏は戻らなかった」と、結局は何も変わっていないことを教えた。
「学生連合の残党――いえ、学生連合の名を借りた大義もなくただ自身の力を誇示したい連中、アンプリファイア、学生連合がなくなって制輝軍がさらに台頭したせいでさらに追い詰められることになった実力不足の輝石使い――鳳グループと教皇庁は今の状況を解決するよりも、外部に対する体面を保つために必死で何も解決しようとしない……」
悪くなる一方のアカデミーの状況で、何もしない鳳グループと教皇庁への怒り、そして、自身に渦巻く激しい後悔に拳をきつく握り締めて、巴は顔を伏せた。
今のアカデミーの状況に悲観して、どうにかしようと真剣に考えて苦しんでいる巴の気持ちを、出会ったばかりの幸太郎でさえも痛々しいほど感じ取り、彼女のためにどうにかしたいという気持ちが芽生えはじめた。
「暴れたい人たちがほとんど集まっている今の学生連合は、アカデミーのためという大層な大義名分を掲げて暴れています。そんな学生連合を、先日制輝軍は大規模な一斉検挙を行い、制輝軍と学生連合との間に非常に緊張感が高まっています。その影響で、昨日幸太郎君は学生連合に襲われました」
セラの説明で昨日車を囲んだ強面の男たちが学生連合であることを知って「なるほどー」と、呑気に感心していた。
セラの説明が終わると同時に、巴は伏せていた顔をゆっくりと上げ、覚悟を決めた迷いのない表情を幸太郎に向ける。
「今の状況を打破するため、私たちに協力するため――七瀬君、君は戻った」
状況の整理で精一杯だった幸太郎は、巴の口から突然自分の名前が出てきたことに、遅れて反応して首を傾げた。
「退学処分となった君が呼び戻された理由は、今のアカデミーの状況を少しでも良くするため。実力がない君が風紀委員で活躍すれば、実力主義が蔓延する今のアカデミーで君は注目を浴びて、多くの人に希望を与えることになる……君はただ、私たちに協力して、私たちに利用されるためだけに戻った、というわけよ」
「巴さんの言う通り――私たちは幸太郎君を利用するつもりでいます」
アカデミーに戻れて浮かれている幸太郎を冷たく突き放すように厳しく巴は言い放った。
巴に続いて幸太郎の隣に座っているセラは、申し訳なさそうでありながらも、意を決したように幸太郎を見つめて、言い訳することなく堂々とそう宣言した。
「力を持つ者として情けないですが、力を持つ私たちでは――力だけでは今のアカデミーの状況を根本的に解決することができません。だから、幸太郎君を利用するんです」
セラは自分に言い聞かせるようにそう宣言した。
「私たちに協力しなければ、君は即刻アカデミーから去ることになる――……選択肢はないも同然、さあ、君はどうするの?」
挑発的な物言いの巴だが、幸太郎は特に気にすることも、深くも考えなかった。
ただ、自分の気持ちに従うままに――
「いいですよ」
幸太郎は巴たちに協力することに決めた。
短い一言だが、その言葉には迷いはなく、強い意志が存在していた。
相変わらずの幸太郎の様子にセラは複雑そうな表情を浮かべ、巴は感情を押し殺したように「結構」と頷いた。
「そういえば鳳さんは? こういう時に必ずいる人なのに……」
風紀委員にとってかなり重要な話だと思っている幸太郎は、ここにいない、風紀委員を設立した張本人であり、アカデミー運営する巨大な組織の一つである鳳グループトップの御令嬢・鳳麗華がいないことを話がはじまってからずっと不思議に思っていた。
麗華の名前が幸太郎の口から出た途端、セラの表情は暗くなる。
「麗華は風紀委員を――いえ、アカデミー高等部を辞めたわ」
「……そうなんですか?」
「驚いているところ申し訳ないけど、話を元に戻すわ」
今までアカデミーの状況を聞いても、話の内容を整理するのが精一杯で驚けなかった幸太郎だが、麗華が高等部を辞めたことを巴から聞いてかなり驚いていた。
驚いている幸太郎を無視して巴は話を続ける。
「今、アカデミーに大量のアンプリファイアがばら撒かれるかもしれないという噂が出回っていて、風紀委員は噂の真偽を確かめるために情報収集をしているの。噂が本当なら私たちはそれを止めるつもりでいる……その過程で、必ず戦わなければならない状況が訪れる」
脅すような厳しい口調でそう言い放つ巴は、安易に自分たちに協力すると決めた幸太郎の判断を改めさせようとしているようだった。
「私たちに協力するということは、当然君は争いに巻き込まれる。輝石使いとしての実力がない君にとって命に関わる大きな争いに……協力には感謝する。でも、軽い気持ちで首を突っ込めば後悔することになるし、君の力では足手まといにもなる。もう一度よく考えてから答えを出しなさい」
突き放すような厳しい巴の口調だが、ワザと厳しい態度を取って自分を気遣ってくれているのが幸太郎でも理解できた。
本心では幸太郎に謝罪をしているとともに、争いに巻き込みたくないという気持ちが巴から、そして、セラからも幸太郎は伝わってきたが、答えは変わらなかった。
「今日の話はこれで終わり……ゆっくり考えて答えが出たら、またここに来なさい」
どんなに冷たく突き放しても決して退くことのない幸太郎の覚悟を感じながらも、巴はもう一度よく考えるようにと強く彼に言って話は終わった。
「私とサラサさんはこれから巡回に向かうので、失礼するわ」
巴は丁寧に一礼下げて、サラサとともに本部を出てアカデミー都市内の巡回へ向かった。
二人が出て行くと、すぐにセラは隣に座っている幸太郎に、後ろめたい気持ちを抱いている視線を向けた。
「本来ならば今の話は昨日の段階でして、今のアカデミーにとって差別の対象になってしまう幸太郎君に注意を促すべきでした……守ると誓っておきながら話が遅れて、初日から多くの不快な思いをさせて申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げて、顔を上げたセラの目にはもう後ろめたい気持ちはいっさいなく、力強く迷いのない目になっていた。
「今の状況を少しでも良くするために私も巴さんも、幸太郎君を利用します」
「ドンと任せて」
迷いなくそう言い放ったセラに、幸太郎は頼りないくらい華奢な胸板を張った。
頼りがいがあるのかないのかよくわからない幸太郎に、風紀委員本部に来てからずっと硬かったセラの表情が柔らかくなった。
「私はあなたを守ると誓いながらも幸太郎君を争いに巻き込もうとしている、矛盾した中途半端な気持ちを抱いています……それでも――」
自嘲を浮かべながらも、セラは真っ直ぐと幸太郎を見つめた。
「どんな状況でも幸太郎君を必ず守り、幸太郎君の味方でい続けると誓います……絶対に」
幸太郎だけではなく、自分に言い聞かせるように力強く改めてセラは誓いを立てた。
「お言葉に甘えてもいい?」
「もちろん、ドンと任せてください」
先程の幸太郎の真似をするかのように胸を張るセラ。制服の上からでも十分にわかる起伏の富んだ山がプルンと揺れた。
「――でも、一人で無茶な真似をするのは自重してください。少しでも目を離すと、幸太郎君はすぐに勝手に無茶をするんですから」
「ぐうの音も出ない」
「でも、あなたが無茶をしても絶対に私はあなたを守ります」
「安心して無茶してもいい?」
「……程々にしてください」
自分の身の丈に合わない無茶をする気満々な相変わらずの幸太郎の様子に、セラは呆れたように深々とため息をついて、譲歩することにした。
しばらくして、二人は風紀委員本部を出た。
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