千四百十九話 <魔皇獣咆ケーゼンベルス>と大広間の大公たちと激戦
悪神ギュラゼルバンたちを覆っている積層型魔法陣が丸く薄まった箇所に巨大な眼球が現れ、その眼球の虹彩が気色悪く変化すると、そこから雷撃を放ってきた。
雷撃は大公にミュラン公がいるテーブルを越えて俺たちに迫る。
直ぐに大きい駒の<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を召喚し、宙を直進させた。ドッと衝撃波を周囲に発生させてテーブルの上に載っていた魔族たちの体とフルーツのような物が一斉に飛び散る。雷撃を<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>で防ぐと魔力を得た。
片眼鏡を装備した巨漢魔貴族のベターン大公が、
「……悪神ギュラゼルバン様が使役する四眼王ラフマンの魔雷波を簡単に防ぐか」
と発言。眷属たちも使っていたように悪神ギュラゼルバンは雷属性の系統が得意か。
そこに頭上からガビーサーの眼球モンスターの死骸が大量に空から振ってきた。
道化帽子を被ったオルマルシィの真っ二つになった死体が落下してくる。
青白い炎を発しながら消えていく道化帽子を被っていたオルマルシィたちもいた。
そんな頭上には巨大な白い蝙蝠のビュシエに乗ったキッカとリサナとイモリザが居た。
悪神ギュラゼルバンたちを覆う積層型魔法陣が揺らめき、そこから長身の魔術師のガリボンズにザィアがにゅるっと現れて、魔杖から魔刃をビュシエたちへ飛ばしていく。
巨大な白い蝙蝠は口から<血魔力>の波動、超音波と目に見えて分かるような円状の波紋を前方に展開すると、飛来したすべての魔刃を破壊し、長身の魔術師の長身の魔術師のガリボンズにザィアが掲げていた魔杖も破壊すると、二人を積層型魔法陣の中へと吹き飛ばす。悪神ギュラゼルバンの足下に転がったガリボンズにザィアは血のようなモノを吐いていた。悪神ギュラゼルバンは見上げて、魔槍を掲げるが、立ち上がったガリボンズにザィアに何かを言われて魔槍からの攻撃を止めていた。
巨大な白い蝙蝠のビュシエにいるキッカは、
「――宗主、ここから敵幹部たちに仕掛けます」
「おう」
「悪神ギュラゼルバンが玉座にいますよ!」
「さすがに悪神ギュラゼルバンはわたしたちでは、無理です。下のふとっちょの強い奴を倒しましょう~」
「了解♪」
キッカとイモリザとリサナが発言すると跳躍。
波群瓢箪も遅れて、管と蔓が絡んでいるリサナの上半身に付いていく。
巨大な白い蝙蝠はビュシエ・エイヴィハンに変化を遂げた。
ビュシエは直ぐに幾つもの<血道・石棺砦>を宙空に生成し、その石棺にキッカとイモリザとリサナが着地した。ビュシエは長い金髪を靡かせる。
血魔力製の眼鏡は変わらないが新衣装となる。
元吸血神ルグナド<
大きい乳房の形がくっきりと分かる鋼のブラジャー。
スカートのタセット鎧が漆黒色と血色に輝く。
手に<血魔力>を含んだグレートメイスを持つビュシエがいた。
渋いが、エロカッコイイ。
「<血道第三・開門>――」
とスキル発動と同時に巨大な石棺が瞬く間に作られ落下――。
幅広なテーブルにいる片眼鏡を装備した巨漢魔貴族ベターン大公、褐色の翼を持つトーガを着た巨漢魔族と、貴婦人ミュラン公と、白粉の化粧が目立つ顔の女性の魔貴族がそれぞれ魔力を放ちながら見上げると、巨大な石棺は途中で震動して止まる。
<
背後に魔皇獣咆ケーゼンベルスが着地したことを把握しつつ、ゼメタスとアドモスを先頭に、キサラとヴィーネと共に歩いた。
同時に<血道第一・開門>を意識し発動。全身から血を放出させる。
足下から拡がった血の<血魔力>を見ながら瞬時に<霊血の泉>を発動させた。
<血霊兵装隊杖>の血の錫杖が鳴り響く。
※霊血の泉※
※<霊槍血鎖師>及び光魔ルシヴァル血魔力時空属性系<血道第四・開門>により覚えた特殊独自スキル※
※ルシヴァル神殿がある範囲内でだけ本人の周囲に聖域と化す霊気を帯びた血湖の作成が可能。霊気漂う聖域内は、眷属たちの能力がより活性化。初期段階において既にルシヴァルの紋章樹精霊と連携が可能となる※注※さらなる発展の兆しあり※
※聖域では、あらゆる事象がルシヴァルの眷属たちに有利に運ぶ※
テーブルから離れ、右奥の大広間で六眼キスマリと激闘を繰り広げている歪んだ頭蓋骨の魔貴族を凝視。時折、頭部の形と炎の色合いを変化させている。
頭蓋骨に紫色の炎が灯る太い肉を盛り付けられたような異様な顔だ。
最初に見た時と同じか。腕の数は二本で鋼鞭を華麗に扱いながらも、ドリル状の舌を幾重にも分裂させながらキスマリに向けて、武器代わりに使っている。
しかも鋼鞭の動きを超える速度だ。
キスマリの四腕が持つ魔剣ケルと魔剣サグルー魔剣アケナドと魔剣スクルドの剣術に対応している、キスマリは<黒呪仙炎剣>を使っては、
「――<欲王・
と独自のスキルも使うと、ドリル状の舌を切断しまくり、押し始めた。
大広間にいる片眼鏡を装備した巨漢魔貴族ベターン大公、褐色の翼を持つトーガを着た巨漢魔族と、貴婦人ミュラン公と、白粉の化粧が目立つ顔の女性の魔貴族を凝視。
ビュシエの<血道・石棺砦>を<
刹那、弧を描く機動で飛翔していたアドゥムブラリが見えた。
俺たちの右斜め後方の低空から前に出たアドゥムブラリが――。
<魔弓魔霊・レポンヌクス>を構えながら<魔矢魔霊・レームル>を無数に放つ。
大広間とテーブルにいる連中に<魔矢魔霊・レームル>が直進した。
偽魔皇の擬三日月も<投擲>。
それらの攻撃もすべて、片眼鏡を装備した巨漢魔貴族ベターン大公、褐色の翼を持つトーガを着た巨漢魔族と、貴婦人ミュラン公と、白粉の化粧が目立つ顔の女性の魔貴族の前で震動しながら止まっていた。翡翠の
直ぐにキサラとヴィーネを見て――。
<光魔・血霊衛士>を三体出現させる。
自律稼働でキサラとヴィーネのフォローに付かせた。
「シュウヤ様、敵の幹部たちはわたしたちが対応します」
「はい」
「『ウォン、主、<領域展開>なぞ、我が吹き飛ばしてくれる!!』」
魔皇獣咆ケーゼンベルスが駆ける――。
「ロロ、ゼメタスとアドモス、ヴィーネとキサラにアドゥムブラリ、ケーゼンベルスに合わせるぞ――」
同時に魔軍夜行ノ槍業と<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>を意識し、八人師匠たちの内、雷炎槍のシュリ師匠、断罪槍のイルヴェーヌ師匠、悪愚槍のトースン師匠、妙神槍のソー師匠を呼び出した。
「にゃご!」
「「承知!」」
「「「はい!」」」
「おう、てか、それが、主の魔軍夜行ノ槍業に棲まう師匠たちか。今のうち挨拶しておくぜ。主の師匠たち、オレは光魔ルシヴァル<
「ふむ、よろしく頼むぜ金髪のあんちゃんよ」
「金髪のイケメンちゃんね」
「戦場だぞ、前を見ろ」
「……」
すると、
「お前が魔皇獣咆ケーゼンベルス、どうして混沌の槍使いに……」
と発言したのは、白粉で化粧した顔の女性魔族。
更に、褐色の翼をばたつかせたトーガを着た巨漢魔族が、
「ん? 驚きだな、魔界王子テーバロンテに数千年抵抗し続けていたとされる魔皇の大魔獣か!」
と発言し太鼓腹から大量の蟲を生み出す。
蟲は繊毛のようなモノが大量に生えている。
構わず、魔皇獣咆ケーゼンベルスの突撃に合わせ――。
両手首の<鎖の因子>から<鎖>を射出する。
<闘気玄装>は維持しながら丹田を巡る魔力の流れを速くしていく。
更に悪霊驍将軍ゲーラー戦に用いて解除していた<滔天仙正理大綱>と<滔天神働術>と<水の神使>と<経脈自在>を再発動。
<霊魔・開目>を意識し発動。
<煌魔・氣傑>を意識、発動、<闘気玄装>を強める。
<水月血闘法>を意識し発動――。
<黒呪強瞑>を発動。
<闘気玄装>や<武行氣>は維持。
<仙玄樹・紅霞月>を繰り出した。
《
駆ける魔皇獣咆ケーゼンベルスに攻撃しようとしていたテーブル席の左にいた褐色の翼をばたつかせたトーガを着た巨漢魔族は、繊毛上皮細胞を大きくしたような蟲から、黄土色の魔法陣を眼前に展開。
依然と、頭上のビュシエたちの<血道・石棺砦>は震動したまま止まった状態だ。
黄土色の魔法陣と、右手首の<鎖>の先端と無数の《
テーブル席の左にいた白粉で化粧した顔の女性魔族は、両手に召喚した珠色の魔剣から蜘蛛の巣状の魔法陣を展開させる。
その蜘蛛の巣状の魔法陣と、左手首の<鎖>と無数の《
が、その間に、テーブル席を飛び乗った魔皇獣咆ケーゼンベルスは駆けた。
大皿に盛られた食事に燭台を吹き飛ばしながら前進――。
「――悪神ギュラゼルバンめが、我が倒す!!」
「チッ――」
「ベターン、ウゲラヌス、ケイラシュラ、上の連中はいいから、ケーゼンベルスを陛下に近づけさせないで!」
「分かったが、混沌の槍使いたちと、上の存在も脅威だぞ」
「仕方ないわ!」
「「――チッ」」
片眼鏡を装備した巨漢魔貴族ベターン大公は、片眼鏡から放っていた魔力を弱めた?
と、口から繭のようなモノを大量に吐き出す。
が、魔皇獣咆ケーゼンベルスには当たらずテーブルと大皿に載った料理の数々を溶かす。
褐色の翼をばたつかせたトーガを着た巨漢魔族、ウゲラヌスは太鼓腹の前から蟲ではなく、無数の臙脂色の魔刃を飛ばす。その魔刃は魔皇獣咆ケーゼンベルスには当たらず、テーブルの一部を貫くように破壊し、向かい側にいた魔貴族たちを臙脂色の魔刃が貫いていく。貴婦人ことミュラン公は、両手に生み出した細身の魔剣を魔皇獣咆ケーゼンベルスに突き出すが衝撃波を浴びて細身の魔剣は跳ね上がるとミュラン公は後退した。
白粉で化粧した顔の女性魔族が魔皇獣咆ケーゼンベルスを追おうとしたが、魔皇獣咆ケーゼンベルスの体から噴出している衝撃波を数度喰らって大広間に吹き飛んでいた。
強い魔皇獣咆ケーゼンベルスは、
「悪神ギュラゼルバンは我が倒す!!!」
と叫ぶとテーブルの端を踏み潰すように跳躍し、両前足で飛ぶ。
悪神ギュラゼルバンは、積層型魔法陣の表面に四つの眼球を出現させる。
四つの眼球から無数の雷撃がケーゼンベルスに向かった。
ケーゼンベルスは直ぐに着地し横に跳ぶ。
そのケーゼンベルスのフォローへと――。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>をケーゼンベルスの前に送る。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>から雷撃を防ぐのを見ずにヴィーネの光線の矢が、ミュラン公に向かうことを視認、相棒もミュラン公に突撃していく。
――<ルシヴァル紋章樹ノ纏>を発動。
――<龍神・魔力纏>を発動させながら吹き飛んでいた白粉で化粧した顔の女性魔族を狙うように<魔神式・吸魔指眼>を発動――。
<雷炎縮地>のシュリ師匠と<魔略歩式>の妙神槍のソー師匠も前進し、褐色の翼を持つトーガを着た巨漢魔族の傍にいた
雷炎槍エフィルマゾルを振るうシュリ師匠が瞬時に片付ける。
前進したソー師匠は褐色の翼を持つトーガを着た巨漢魔族に向かう。
アドゥムブラリも偽魔皇の擬三日月を持ち前進し、褐色の翼を持つトーガを着た巨漢魔族が繰り出した魔刃を払うとトーガの一部を刃物に変えた巨漢魔貴族と二人は数十と打ち合う。片眼鏡を装備した巨漢魔貴族に断罪槍のイルヴェーヌ師匠と悪愚槍のトースン師匠が向かう。
両手の指先から出た漆黒のゴムビームのような攻撃が白粉で化粧した顔の女性魔族当たるかと思われたが、足から分岐している複数の手から波紋のような魔力波動が出て、<魔神式・吸魔指眼>が切断されたように消える。
そんな魔力波動目掛け<
ヴィーネとキサラは、ミュラン公の骨針の攻撃を避けまくる。
と離脱し、白粉で化粧した顔の女性魔族に向かう。
その動きに合わせ、<光魔・血霊衛士>に白粉で化粧した顔の女性魔族に特攻させた。
ヴィーネがガドリセスとキサラがダモアヌンの魔槍と魔槍斗宿ラキースで白粉で化粧した顔の女性魔族に突撃を噛ます。
<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>をケーゼンベルスが踏み台にしたと理解した刹那、
魔皇獣咆ケーゼンベルスが「『――我には効かぬ!!』」と叫び、己の毛を無数に宙空に放つ――悪神ギュラゼルバンの積層型魔法陣の表面に出現していた四つの眼球から放たれる無数の雷撃のすべてを己の毛に集約するように相殺し、積層型魔法陣に喰らい付いた魔皇獣咆ケーゼンベルスは口から銀色の炎が吐いた。
すると、ケーゼンベルスの歯牙と四肢の爪が輝き、一瞬で、積層型魔法陣が噛み砕かれ、切り裂かれた。
魔皇獣咆ケーゼンベルスは玉座への侵入に成功――。
「『消し飛べ、悪神ッ!! <魔皇獣咆ケーゼンベルス>――』」
と、神意力を有した銀色の膨大な炎がケーゼンベルスの口から吹き荒れた。
一瞬で、悪神ギュラゼルバンは守りに入るように己の鎧を漆黒の炎で燃焼させる。
二人の長身の魔術師たちガリボンズにザィアは、二本の魔槍を持つ悪神ギュラゼルバンを守るように魔法陣を展開させたが一瞬で魔法陣もろとも炭化したように散った。
そのまま悪神ギュラゼルバンも銀色の膨大な炎を喰らう。
玉座も消し飛んだまま悪神ギュラゼルバンは、
「うごぁぁぁぁ」
大広間から外にと悲鳴のような声を発して吹き飛んでいく。
点滅していた巨大な鰐の骨がモンスターが揺れた。
更に、ビュシエの巨大な<血道・石棺砦>が落下。
片眼鏡を装備した巨漢魔貴族ベターン大公に<断罪ノ
悪愚槍のトースン師匠も退いた。
褐色の翼を持つトーガを着た巨漢魔族ウゲラヌス大公は、シュリ師匠とソー師匠に斬り刻まれていた。二人は退く。
直撃、テーブルごと周囲を陥没させた巨大な石棺でベターン大公とウゲラヌス大公は見えなくなった。
貴婦人ミュラン公は、石棺を避けたがキッカの<血魔力>を有した<血王印・血雲刃嵐>を喰らい体が幾重にも斬られ、青白い炎を発して倒れた。
白粉で化粧した顔の女性魔族はヴィーネとキサラと俺の<青炎・穿牙>と相棒の触手骨剣が捉えて倒すことに成功。
雷炎槍エフィルマゾルを持つシュリ師匠はウィンク。
笑顔を向けたが、まだ戦いはある。
魔軍夜行ノ槍業と<夜行ノ槍業・召喚・八咫角>に、その師匠たちを引き込みながら
「――皆、俺はケーゼンベルスの後を追う、悪神ギュラゼルバンはまだ生きている!」
「にゃごぉ」
「「「「はい!」」」」
「おう!」
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