千六十五話 魔魁三王ブカシュナとの戦いと<夜行ノ槍業・弐式>
闇神アーディン様の眷属の方の名はレンブリアさんか。
見た目は神社仏閣を守る
そのレンブリアさんから頭が禿げているブカシュナを見る。
同時に<生活魔法>の水を足下に撒いた。
<血道第一・開門>を意識し、<血魔力>も足下に展開させる。
<仙魔奇道の心得>と<滔天神働術>と<滔天仙正理大綱>を意識――。
※滔天仙正理大綱※
※滔天仙流系統:恒久神仙技<神仙霊纏>に分類※
※水の法異結界と大豊御酒に<魔闘術>系統と<魔手太陰肺経>の一部と<闘気玄装>と<召喚闘法>と<経脈自在>と<羅仙瞑道百妙技の心得>と<仙魔奇道の心得>に高水準の魔技三種が必須※
※霊獣四神と玄智の森の恵みが詰まった大豊御酒を飲んだことで水属性が強化され、新たな魔力活力源を獲得、滔々と流れる大河を心に宿した者、それは滔天仙流の開祖の証しだ※
※魔技三種の能力が上昇※
※近接と<投擲>の武術技術系統が向上※
※大豊御酒と水の法異結界を得ている使い手は<霊仙酒槍術>など様々な酒から功能が得られ、<霊仙酒豪槍鬼>などの戦闘職業が得られるようになるだろう※
※滔天神働術※
※滔天仙流系統:恒久神仙技<神仙召喚>に分類※
※戦神イシュルルの加護と<水神の呼び声>の水神アクレシスの強い加護と高水準の霊纏技術系統と<召喚闘法>と<魔力纏>技術系統と<仙魔奇道の心得>が必須※
※水属性系統のスキルと水に纏わるモノが総体的に急上昇し、水場の環境で戦闘能力が高まり、功能の変化を齎す※
※酒を飲むと戦闘能力が向上※
闇精霊ドアルアルの塊をハルホンクの防護服に仕舞った。
「――<魔闘気>系統を変化させたか。しかし、なぜ塊をしまったんだ? その塊も貴重品か!」
ブカシュナは闇精霊ドアルアルの塊に反応してきた。
アイテム類に目がないようだな。
蒐集家だから、この宝物庫に襲撃をかけてレンブリアさんと戦っていた?
そのブカシュナに魔槍杖バルドークの穂先を向けた。
と、俺の右前方に浮かぶ闇神アーディン様の神像の片目が――。
魔魁三王のブカシュナに向かう。
ブカシュナは<魔闘術>らしきスキルを発動して横移動を行い、体をブレさせながら片目から出た光を避ける。
と、目を見開いた――。
見開いた眼球の網膜が怪しく光る。
目元の鋼のような皮膚に筋が走った。
頭部の刺青も眼球の光に呼応して光を帯びた。
――ブカシュナは魔眼を発動。
網膜に炎を帯びた幾何学模様が出現。
その幾何学模様が眼球から飛び出た瞬間――。
眼前の空間が歪む。
その歪んだ空間に合わせた魔法の膜が展開された。
闇神アーディン様の神像の片目がブカシュナを追って横を向いた。
ブカシュナは二槍をクロスさせる。
そのブカシュナの前に展開されていた魔法の膜と闇神アーディン様の神像の片目から伸びていく光が衝突――魔法の膜は凹む。
闇神アーディン様の神像の片目の光は魔法の膜の影響で乱反射し、減退していく。
しかし、幾何学模様の魔法の膜は溶けた。
アーディン様の神像の片目の光は直進。
その光は二つの魔槍を持つ魔魁三王のブカシュナに当たった。
ジュッと蒸発したような音がブカシュナから響く。
「――ぐおっ」
と声を発しながらブカシュナは後退。
二つの魔槍以外の防具の表面が錆び付く。
と、やや遅れて、その錆び付いた部分が爆ぜた。
「――ぐっ」
爆風を体と鎧に収斂させたブカシュナは斜め後方へと床に傷を作りながら後退。
ブカシュナは周りに血飛沫を飛ばしながら動きを止める。
筋肉質な両足が止まっている床の色合いは薄緑色。
【闇の古寺】こと【闇神寺院シャロアルの蓋】に訪れた時に見えていたタイル状の床と似ていた。
ブカシュナが移動したせいでその床は焦げ付き、痕が残っていた。
ブカシュナの両足は素足に見えるが、足の裏には鋼の鋲でも付いているんだろうか。
そのブカシュナの防具の錆びた部分は乾いた
元の黒と金と赤が混じる鎧が輝く。
ブカシュナは爆発を体とその防具で吸収していたが、闇神アーディン様の神像の片目の光を浴びても余裕のようだ。
闇属性やスキルなどの諸能力と相性がいいだけかも知れないが……優れた回復能力を有した強者が魔魁三王のブカシュナだろう。
すると、
「闇神アーディン様の御使い様。そのブカシュナは瞑界シャロアルをさまよえるほどの強さを持つ魔魁三王の一人です。気を付けてください」
そう警告してくれたのは闇神アーディン様の眷属。
ここを守っている仁王のような魔族レンブリアさんだ。
ブカシュナはニヤリと嗤いながら前に歩きつつ、
「その像の目は神遺物、しかも闇神アーディンの目なのか?」
「そうだ」
「フハッ……いいねぇ」
獲物を見つけたような面となったブカシュナは楽しそうだ。
右手に持つ青白い炎を発している魔槍を肩に置く。
ブカシュナは俺の装備を見て、
「……名を聞こう。そこのレンブリアが俺の名を勝手に語りやがったが、その通り、俺の名はブカシュナ、魔魁三王の一人だ。そして、お前が最期に覚える名となるだろう」
と宣言。脳筋なのは確実か。
そして、見た目も、鎧と防護服の間から覗かせる筋肉は厳つい。
鋼鉄のような色合いの肌で、刺青が光を時々放っている。
青白い炎を発している魔槍の穂先は直槍。
もう一つの雷炎槍エフィルマゾルの穂先は
穂先の左右の鎌刃を雷と炎が覆っているから、左右の鎌刃がないようにも見える。
まぁ、どちらも渋い魔槍で、槍の間合いは深く広いと分かる。
槍武術も達人だろう。
そして、ブカシュナに槍武術の達人への尊敬の眼差しを送りながら、
「……俺はシュウヤ。種族は光魔ルシヴァルだ」
「光魔ルシヴァル? 聞いたことがない。で、シュウヤは闇神アーディンの眷属なのか?」
「……眷属ではない。そう言うブカシュナは、魔魁三王の渾名を持つ、どこかの賊塁から来たケチな盗賊か?」
と挑発すると、ブカシュナは額の刺青を輝かせる。
「……あぁ?」
少し頭に血が上ったようなキレ方だ。
その見た目からして、ヒャッハーな方ならビンゴ。
前衛を好むなら組みやすい。
苛ついた感情を表に出しているブカシュナは俺を睨みながら……。
斜め前に歩いてレンブリアさんをチラッと見てから俺を見る。
「……ハッ、闇神と関係ないと言い張る光魔ルシヴァルのシュウヤとやら、その闇神アーディンの右目を寄越してもらおうか!!」
ブカシュナは大声を発して<魔闘術>系統を強めると前進――。
青白い炎の魔槍を突き出してきた。
<魔闘術の仙極>を発動――。
<山岳斧槍・滔天槍術>を意識――。
続いて、魔槍杖バルドークの<刺突>を繰り出す。
青白い炎を発している魔槍の突きを迅速な<刺突>の紅矛で弾いた。
紅斧刃を有した<柔鬼紅刃>はまだ崩さない。
ブカシュナは「迅速な<刺突>、隙もない。だが――」と言いながら左から雷炎槍エフィルマゾルを振るう。
上下鎌十文字槍の<豪閃>のような一閃技を、魔槍杖バルドークを上げて柄で受けながら爪先だけの横移動――。
「おぉぉ、<愚皇閃>を受け流すとは! 動きがいい! レンブリアよりも槍は上とみたぞ! 本筋は槍使いか!」
ブカシュナは喜ぶ。
俺の歩幅と槍圏内に合わせる動きから青白い炎を発している魔槍と雷炎槍エフィルマゾルを突き出して、俺の胸元を狙ってきた。
その青白い炎を発している魔槍の突きを見ながら半身の姿勢で――。
<闘気玄装>を強める。
斜め後方に後退。
連続した突きを魔槍杖バルドーク一本で受け、弾きながら後退。
頭部の刺青を煌めかせたブカシュナは「ハハハハハ――足ぃぃぃ」と言いながら<牙衝>とは異なる連続下段突きを繰り出してきた。
魔槍杖バルドーク一本で、その猛然な勢いで繰り出されてくる二本の魔槍の連続下段突きを払いながら避け続けた。
弾く度に足下から凄まじい火花が散る。
二つの魔槍がしなりまくって蛇のように見えてきた。
そのすべてを弾き、防ぐと、
「チッ――」
ブカシュナは舌打ち――。
漆黒の梟の形をした魔力がブカシュナから飛び出た。
ブカシュナは腰溜めから<刺突>のモーションのまま前進――。
「――退くだけか? <愚王鬼・嵐突>――」
と言葉を吐きながら青白い炎を発している魔槍で連続的に突いてきた。
同時に、視界に金色と黒色の霧が一瞬で展開される。
「掛かった――」
金色と黒色の霧から飛び出てきた二つの穂先を魔槍杖バルドーク一本で受けきったが、頭上から浴びせ蹴りが迫った。
それを左手に神槍ガンジスを召喚し、神槍ガンジスの柄で受ける。
続けざまの下から迫った掬い上げの一閃と振り下ろしの一閃に、中段突きからの紫電染みた連続突きを魔槍杖バルドークの柄で受けて弾く。
手が痺れるほどの払いと連続突きの槍舞だが――。
<山岳斧槍・滔天槍術>は崩れない。
「俺の<魔愚皇・梟槍舞>が!? だが、まだだ――」
雷炎槍エフィルマゾルで俺の胸を狙う。
雷炎槍から紫電が走る。
迫力のある
その<刺突>系統の迅速な紫電突きを神槍ガンジスの双月刃で受けて横に弾いた。
素早く後退――槍圏内から離脱した。
『……弟子、すべて受けきっているから凄いけど、あの鎌刃は間合いが変化するからね』
『はい――』
ブカシュナは痺れを切らしたように全身から魔力を噴出させた。
「こなくそが!!」
と叫びながら――前傾姿勢で前進してきた。
二つの得物で突き機動に入る。
先ほどの<魔愚皇・梟槍舞>とは異なる槍技。
コンマ数秒も経たせず――。
<仙魔・
※龍神・魔力纏※
※九頭武龍神流<魔力纏>系統:奥義仙技<闘気霊装>に分類※
※使い手に龍の魔力が宿り、周囲に無数の細かな龍の魔力が展開※
※<白炎仙手>などの仙王流系統の<仙魔術>と相性が良い※
※龍韻を刻む心、<脳魔脊髄革命>、<魔雄ノ飛動>、魔技三種、<白炎仙手>、<水神の呼び声>、<光魔武龍イゾルデ使役>、注連縄を腰に巻くデボンチッチの魔力と汗が必須※
※水神アクレシスと白蛇竜大神(はくじゃりゅうおおかみ)インと神人万巻、
神槍ガンジスを正眼に魔槍杖バルドークを下段に構えたまま――ブカシュナを心静めて待つ。
<夜行ノ槍業・弐式>を実行――。
俺に迫る雷炎槍エフィルマゾルの上下鎌十文字槍と青白い炎を発している直槍を見ながら――。
神速の勢いで魔槍杖バルドークを持ち上げた。
紅斧刃と直槍と上下鎌十文字槍が衝突――。
キィィィィンと甲高い金属音が響く。
と同時に紅斧刃が雷炎槍エフィルマゾルの穂先を真上に弾いた。
「な!?」
体勢が崩れたブカシュナ――。
同時に神槍ガンジスの払いが青白い炎を発している魔槍を弾く。
と、<夜行ノ槍業・弐式>の返し技から続く魔槍杖バルドークの突きがブカシュナの足に入るや否や神槍ガンジスの双月刃の迅速な突きが雷炎槍エフィルマゾルと衝突しながら直進――。
柄とブカシュナの持ち手の指を削りながら脇腹を抉る。
「げぇあぁぁ」
ブカシュナの持ち手の指が切り裂かれ消えた。
雷炎槍エフィルマゾルが外に飛ぶ。
そのまま<夜行ノ槍業・弐式>の『アタタタタタッ――』という魔槍杖バルドークと神槍ガンジスの連続突きが、ブカシュナの腹と内臓を削り下腹部を消し飛ばした。
刹那、僅かに前進したところで、動きを止める。
ブカシュナは上半身のみ――。
下腹部が消えているブカシュナは絶望的な表情を浮かべていた。
腰溜めモーションの強力な<刺突>が、そのブカシュナの上半身に決まる――。
上半身に風穴が空いた。
更に、左足の蹴りと右足の回し蹴りをその上半身に喰らわせ、ブカシュナの上半身を真上に蹴り上げた――。
そこから、魔槍杖バルドークの竜魔石に魔力を込める。
竜魔石から伸びた
<戦神震戈・零>を発動――。
体から神意力を有した膨大な魔力が湧き上がる。
俺自身から酒の匂いが漂うと、煌びやかな戈が出現。
前方の空間が、その戈となったかの如く、そのまま神槍ガンジスと重なって前進――。
煌びやかな戈と方天画戟と似た双月刃の穂先が融合しつつブカシュナのまだ残っていた頭部を貫いた。
ブカシュナは消える。
蒸発した音も聞こえない――。
外の闇雷の封泉シャロアルの液体世界を見てから着地――。
『わぁぁぁ、凄い!』
『主……凄まじいカウンター技と<神槍技>……』
シュリ師匠とシュレゴス・ロードがそう思念を寄越す。
『おう、<夜行ノ槍業・弐式>が決まった』
※夜行ノ槍業・弐式※
※夜行ノ槍業流:上位返し槍技※
※血槍魔流技術系統※
※仙王流独自格闘術系統※
※仙王流独自<仙魔術>系統※
※魔人格闘術技術系統※
※悪式格闘術技術系統※
※邪神独自格闘術技術系統※
※魔界セブドラ実戦幾千技法系統※
※闇槍流技術系統※
※光槍流技術系統※
※水槍流技術系統※
※水神流技術系統※
※風槍流技術系統※
※豪槍流技術系統※
※悪愚槍流技術系統※
※塔魂魔槍流技術系統※
※女帝槍流技術系統※
※獄魔槍流技術系統※
※魔竜王槍流技術系統※
※独自二槍流技術系統※
※独自三槍流技術系統※
※独自四槍流技術系統※
※意識と氣に水と氷の魔剄功の流動性と霊魔活を経た<魔雄ノ飛動>と<魔人武術の心得>と<滔天仙正理大綱>と<水神流槍武術・解>と<鬼神キサラメの抱擁>と三叉魔神経網系統の高水準の能力と<魔雄ノ飛動>系統と<魔闘術>と<魔闘術の心得>の極めて高い熟練度と魔技三種系統と高水準の槍武術の能力と、魔軍夜行ノ槍業の八槍卿のいずれかの教えが必須※
※八大墳墓の破壊、八槍卿の秘伝書、装備類、体、戦旗などを入手し、雷炎槍流、塔魂魔槍流、悪愚槍流、妙神槍流、女帝槍流、獄魔槍流、断罪槍流、飛怪槍流を扱う八大、八強、八怪、魔界八槍卿の魔槍使いの技術を学べば学ぶほど夜行ノ槍業流の技術が向上し、<夜行ノ槍業・弐式>の反応速度が上昇※
※ 八槍卿全員から技を学ぶと、自ずと夜行ノ槍業流は、魔軍夜行ノ槍業流へと昇華を果たすだろう。その時……※
※使えば使うほど、明鏡止水の心境を抱くことになり、カウンター槍技の閃き力が上昇※
闇神アーディンの神像の片目が動いて大きい柱の先を照らしていた。
両手の武器を消して雷炎槍エフィルマゾルを回収――。
『ぐふふ……。弟子ぃぃ、ありがとううううう』
はは、相当嬉しいようだ。
『はい、良かった』
『うん……後は……』
『あ、そうですね。まだ大事な頭部と両腕の交渉が……』
と、先ほどから拍手が響いている背後から、
「素晴らしい! 闇神アーディン様の御使い様は強い……」
闇神アーディン様の眷属のレンブリアさんの声だ。
振り向きながら闇精霊ドアルアルの塊を左手に出す。
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