九百五十四話 闇の八巨星の強者たちとの戦いとロロディーヌの魔雅大剣を使う
十文字槍を扱う者の面を凝視。
額の目は魔眼、頬には刺青。
魔族ではなく邪族なのか?
見た目では分からない。
十文字槍を扱う者は、ヘルメと
「――槍使い! お前は高祖級の
そう聞いてきた。
頷いて、三つ目の者に言葉を返そうとしたが――。
棒手裏剣が廊下の奥から再び飛来――。
雷式ラ・ドオラを上げ――。
頭部に迫った棒手裏剣を雷式ラ・ドオラの柄で弾く。
斜め上に跳ね返った棒手裏剣は壁に突き刺さった。
「チッ、反応が良い」
棒手裏剣を<投擲>してきた奴は短い金髪だ。
その棒手裏剣を<投擲>してきた奴に――。
<邪王の樹>の樹槍を<投擲>で返す――。
が、その<投擲>した樹槍は長剣で難なく切断された。
棒手裏剣と片手剣を扱う金髪野郎は、片目を瞑りながら観客席側の低い壁の近くに移動。
そこで俺を凝視して、
「樹の生成だと? 〝輝けるサセルエル〟持ちの
「違う」
「ではどの組織に所属している……」
金髪の男は片手剣の切っ先を俺に向け構えた。
反対の手が握る棒手裏剣の<投擲>のタイミングを虎視眈々と狙っている。
金髪の男は隻眼、否、目を瞑っているだけか?
片腕には束状の棒手裏剣が重なっている。
が、袖の中か、前腕の内側に棒手裏剣を格納した専用のアイテムボックスを装着しているんだろう。
そして、金髪棒手裏剣野郎は【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】ではない組織の人員と予想。
その金髪野郎に、
「【天凛の月】の盟主だ」
素直に告げた。
金髪野郎は驚いて、
「げ!? ああ! 槍使いの! 黒豹は、先ほどまで黒猫だった……チッ、フクロラウド・サセルエルも承知済みなのか……では【白鯨の血長耳】も……」
片目瞑りの男は動揺しつつ片目を泳がせる。
観客席に血長耳のメンバーがいると思っているようだ。
この片目を瞑る金髪は、俺たちが四階に足を踏み入れた際棒手裏剣を<投擲>してきた野郎だ。
俺が倒した槍使いや斧使いなどとは異なり慎重な男。
その用心深い金髪野郎の背後から――。
他の【闇の八巨星】の者たちが走り寄ってきた。
新手は魔獣を扱うテイマー。
と、槍使いの魔族系の男と、
金髪野郎は、俺の視線がその新手に向いた瞬間、棒手裏剣を<投擲>してきた。
――その棒手裏剣を雷式ラ・ドオラの穂先で叩き落とす。
反撃に<邪王の樹>や氷魔法に<鎖>などを繰り出せるが……今は飛び道具は止めておこう。
雷式ラ・ドオラを消し神槍ガンジスを召喚。
再び飛来してきた棒手裏剣に向け、右手が握る神槍ガンジスで<刺突>を繰り出した。
方天画戟と似た穂先が棒手裏剣の先端を貫く。
真っ二つとなった棒手裏剣は俺の足下に飛来。
その棒手裏剣だった二つの破片を、繊維状の青白い炎が貫くように弾いた。
繊維状の青白い炎には、玄智宝珠札と棒手裏剣がさし通されている。
ハルホンクの防護服の腰から飛び出た物だ。
その繊維状の青白い炎はハルホンクの防護服の中に吸収されるように消えた。
すると、新手の魔獣を扱うテイマーと槍使いと魔剣師が前進し、
「――ミクライ! その槍使いは何者だ?」
とその中の槍使いが聞いていた。
隣の魔剣師は、俺の後方に転がる死体を見て、
「端の死体は【天衣の御劔】の……魔刃ジャソダか? 【ラゼルフェン革命派】のギュララと戦う相手は水の女? もしや【龍双ハボ・リゾン】や【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】などとの乱戦、戦争が起きたのか?」
「――ガギュァ」
黒茶の魔獣が叫ぶ。
金髪の棒手裏剣野郎の名はミクライか。
そのミクライが、
「――ヒル、皆も勘違いするな、相手は【天凛の月】。下からそいつらが乗り込んできた直後、名目八封が反応し、我らが急ぎ攻撃したんだ――」
ミクライは新手たちに報告しながら――。
棒手裏剣を連続的に<投擲>してきた。
神槍ガンジスの柄で、その棒手裏剣を弾き続けた。
新手が、
「今年のサプライズは【天凛の月】の乱入ってことか」
「では、あの黒豹は……黒猫?」
「そうだ。あの黒髪の槍使いは、自分は【天凛の月】の盟主と発言していた」
そう告げると、新手たちは明らかに動揺。
「やはり……」
「「……槍使いと、黒猫……」」
新手の者は武器を構えながら数歩退き、
「おい、黒豹が、首から発生させている触手で、ギュララの十文字槍をへし折って遊びだしたぞ……」
「……あの黒豹は、ここに来た直後は黒猫だった。その名残だろう」
「ガギュァ……」
「狂獣ラジュルも刺激を受けている」
あの熊と大虎が融合したような魔獣は、狂獣ラジュルというのか。
「槍使いの<魔闘術>の操作が極めて高いのも納得だ」
「……
「……俺の方の参謀ココノ・トウドウから『時間が経つにつれて不透明なことが増えてきました。ザトクさん、気を付けて』と注意を受けたが……【天凛の月】の名はさすがに聞いていない……しかし……〝盲目なる血祭りを歩む……」
「ん? ザトクは何か知っているのか?」
「いや、まぁ……」
「毎回だが、サセルエル夏終闘技祭では、何かが起きるからな……」
「では、ギュララにダメージを与えている、あの
「あぁ、動きも速い……胸元の丸い輝きも
アクセルマギナをそう評する闇ギルドの者たち。
その中の金髪のミクライは、棒手裏剣を俺に<投擲>はせず、
「……暗殺一家の【チフホープ家】と争った間柄の【天凛の月】と聞いたが、実は手打ちを行い、暗殺一家を仲間に引き入れたとか?」
そう他の者たちに聞いていた。
三つ目のギュララとやらは素早くヘルメの氷礫を避けている。
激しい戦闘で答えている暇はないようだ。
槍使いと魔剣師は頷いて、
「それはないだろう。ネドーに付いて痛い目にあった暗殺一家の【チフホープ家】が【天凛の月】に付くとは思えない」
「そんなことより、【白鯨の血長耳】もここに乗り込んでいる?」
「それは分からねぇ……」
ミクライが観客席を見ながらそう語る。
ヒルと呼ばれたテイマーは、低い壁越しに見える観客席を見て、
「……【天凛の月】がここで暴れて、【闇の八巨星】の盟主と上級幹部を討ち、地下では【白鯨の血長耳】のメンバーが〝輝けるサセルエル〟の奪取を狙う作戦か?」
そう発言。
ミクライは頷いて、
「その可能性は高い――」
そう発言しながらまた棒手裏剣を<投擲>してきた。
その棒手裏剣を弾く。
【白鯨の血長耳】のメンバーが人知れず、地下で暗躍している可能性はある。
が、偵察用ドローンには映っていなかったからなぁ。
「ガギュッアァ……」
そう吠える狂獣ラジュルは、大柄な月の輪熊と大虎を合わせたような体格だ。
しかも眼球が六つ。
その眼前には不気味に浮かぶ魔法陣が漂っている。強そうだ。
その狂獣ラジュルは黒豹ロロディーヌを睨むと――。
「ガギュァァァ」
再び吼える。
その狂獣ラジュルの斜め後方に立つ者が、レイピアのような魔剣を俺たちに向け、
「ギュララと戦う水使いも【天凛の月】のメンバーか……あれは魔造生物か?」
そう聞いていた。
ミクライは、
「あの女は体を水のように変化させる。精霊か、もしくは水の幻獣とかだろう」
と返す。
すると、新手の槍使いが、
「【天凜の月】は【ラゼルフェン革命派】とも敵対か……しかし」
そう語りながら、周囲を見て、
「――【天凛の月】の盟主! 俺たちの話を聞いて攻撃してこないところを見ると、【闇の枢軸会議】や【闇の八巨星】と呼ばれる組織全体ではなく、【天凜の月】の標的は限定されていると判断したが、どうなんだ?」
そう聞いてきた。
「半分正解だ。俺たちの標的は【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】のみだった。しかし急遽、【剣団ガルオム】に肩入れすることになった。だから【剣団ガルオム】と敵対行動を取るすべての闇ギルドは【天凜の月】の敵となる」
テイマーの男、ヒルはこめかみに皺を寄せて、
「はは、ハッキリと言うじゃねぇか……噂に聞く豪傑だ」
「【天凜の月】が【剣団ガルオム】に加勢か。【豹雷都市トトラキラ】での揉め事は【闇の教団ハデス】も絡む一件と聞いている……」
そう発言。
棒手裏剣と長剣を扱うミクライが、
「死んだ闇のブレジンスキーはその流れか。で、【豹雷都市トトラキラ】と言えば、成り上がりのお前らのとこに近いが、お前らも関係しているのか?」
と
「近隣の都市だから【剣団ガルオム】の名を知っているだけだ」
「その【剣団ガルオム】ってのはなんだ? ローカルすぎてわからねぇ」
ミクライがそう聞くと、
「なにがローカルだ。俺からしたら、遙か西の【鉄角都市ララーブイン】や【鉱山都市タンダール】に、この【塔烈中立都市セナアプア】こそローカルだ」
「そうかよ。で、剣団ガルオムとはなんだ?」
「……剣団ガルオムは人族でありながら、聖王ホクマータを信奉し、神聖なる乙女の血を引くとされる者たちの組織だ。聖剣を使った剣術は有名だ。一部では秘剣集団や東方の秘境剣団の生き残りとも言われていた」
そう言いながら、俺を見る。
あの
金髪のミクライは、チラッと【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の部屋を見てから、
「【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】と【闇の教団ハデス】が固執する理由はその辺りか……」
すると、新手の槍使いの男性が、
「……【天凛の月】の盟主、俺の名はザトク。一殺槍ザトク。【龍双ハボ・リゾン】の幹部だ。そして、俺たちは【剣団ガルオム】に肩入れした【天凜の月】との争いは望んでいない。この場から退かせてもらいたい」
「退きたいなら自由だ。【龍双ハボ・リゾン】の盟主によろしく」
「承知した! では、リゾン様とココノ・トウドウに【天凜の月】の盟主のことを伝えよう」
ザトクさんの【龍双ハボ・リゾン】とは仲良くなれそうだ。
頷いて、
「で、改めて言うが、そこのヘルメとアクセルマギナと戦う三つ目のギュララとやらも聞いておけ!! 俺は【天凛の月】の盟主、名はシュウヤだ。【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】と関係ない者に用はない。が、俺たちと戦いたい武闘派は歓迎だ」
「ふはは――【天凛の月】の槍使い、良くぞ言った! その〝輝けるサセルエル〟が無くとも、武芸者であればお前と戦いたいと思う者は多い! だから、この邪魔な水精霊と
三つ目のギュララは叫ぶ。
「退きません――」
「はい!!」
「にゃご!」
ヘルメとアクセルマギナの攻撃を喰らった三つ目のギュララは後退。
相棒は三つ目のギュララにはあまり手出ししていないが、返事をしている。
三つ目のギュララはこの場で一番強いか?
一殺槍ザトクは、その三つ目のギュララと戦うヘルメとアクセルマギナと相棒の姿を見て、
「ギュララ、お前も【ラゼルフェン革命派】に所属している猛者なら、仲間に、この情報を伝えることが先決だと思うが……」
そう呟くように語ると、
「――はっ、お前は組織の犬かよ。お前のような奴は俺が冥府に送ってやろう――」
十文字槍の一つがザトクに向かう。
ザトクは微動だにしない。
長柄の槍を斜めにしてから、突き上げた長柄の穂先で十文字槍を跳ね返していた。
ザトクは速やかに横へ移動し、嗤ってからギュララに、
「はっ、何が冥府で組織だ、俺は俺。そして、今回のサセルエル夏終闘技祭は始まっているからな。お前には〝盲目なる血祭りから始まる混沌なる槍使い〟という言葉と、〝彼の世千日此の世一日を送る〟という言葉を贈ろうか。さて……」
そう発言しては、溜め息を吐いて、俺を見る。
長柄の槍を水平にしつつ拱手をしてくれた。
「――【天凛の月】の盟主、退かせてもらいます」
俺もラ・ケラーダの挨拶を返し、
「はい、どうぞ」
と発言。
【龍双ハボ・リゾン】の幹部ザトクさんは丁寧に頭を下げてから、さっと身を翻す。
廊下の奥へ走った。
しかし、【龍双ハボ・リゾン】の幹部ザトクさんが、〝盲目なる血祭りから始まる混沌なる槍使い〟という言葉を言うとは思わなかった。
実はカザネと知り合いとか?
あの態度は【闇の八巨星】の一角に思えない。
否、それは俺の偏見か。
そして、【天凜の月】も端から見れば【闇の八巨星】と同じ。
現在も屍山血河を進んでいる。
はは、まさに〝盲目なる血祭りから始まる混沌なる槍使い〟か。
すると、
<魔闘術>系統を発動しながら前進し、足を止める。
「――俺の名はズマコイ。俺も退かせてもらう」
「あぁ? ズマコイ、お前も逃げるのか? 【豹雷都市トトラキラ】は近いんだろう? 【天凛の月】がお前らと衝突するかもしれんのだぞ?」
テイマーの者が、そうズマコイさんに聞いていた。
テイマーのような者だが、レイピアを活かす魔剣師でもあるんだろう。
「だからこそだ。俺らの盟主と百人隊長は地下で戦っているか中央昇降台にいるはず。その盟主アンデファレウと百人隊長フレドナスに、この【天凜の月】が四階で起こしたことの情報を伝えることが先決」
「ケッ、どうだか、逃げたいだけだろう」
「……ギュララとミクライにヒル。血気の勇もいいが……ま、武闘派で男なら、強者の中の強者である槍使いが相手だからな、戦いたいと思うのは分かる。しかし、念の為、忠告するが、ここはフクロラウドの魔塔だということを忘れるなよ?」
他の【闇の八巨星】だと思うが、忠告しているし。
「はっ、余計な世話だ」
「成り上がりに心配されたかねぇや。臆病な三つ目の猫ちゃんはさっさと帰れ」
「……」
ミクライとヒルにそう言われた
ズマコイさんは、俺を見て武者震いを起こしたように
俺は光魔ルシヴァル宗主専用吸血鬼武装を消去。
金髪のミクライと、テイマーと黒茶の魔獣の狂獣ラジュルは残る。
その金髪のミクライは、廊下を走る他の【闇の八巨星】のメンバーを見て、
「【龍双ハボ・リゾン】と【十刻アンデファレウ】は、【闇の八巨星】の名にふさわしくねぇ」
そう発言。
三つ目の魔族らしき存在のギュララが、
「――怖じ気付いた連中は放っておけ――どっちみち俺と【ラゼルフェン革命派】の皆が他の【闇の八巨星】と――このうぜぇ精霊女と【天凛の月】のすべてを倒し、〝輝けるサセルエル〟も頂くんだからな――」
廊下でヘルメたちと戦いながら、そう喋り、前進しながら二つの十文字槍を振るう。
ヘルメ相手に近々距離戦を挑む。
が、ヘルメは応じない――。
ギュララはヘルメの繰り出す氷礫の連続攻撃を十文字槍で防げず体に喰らうと、吹き飛んで後退。
両足を床に突けて仰け反りつつも体を持ち直すが――。
アクセルマギナのエネルギー弾をその体に受け続け、「ぐあぁぁ」と痛がって後退した。
三つ目のギュララの痛覚は普通か。
しかし、体の傷は回復していないようで、回復しているようだ。
<黒呪強瞑>系統の影響で判断がしにくい。
まぁ、確実に強者か。正直、戦いたい。
が、金髪のミクライが、
「ギュララ、悪いが、〝輝けるサセルエル〟は俺がもらう――サセルエル夏終闘技祭の優勝も、俺で決まりだ――」
棒手裏剣を俺と相棒に<投擲>してきた。
その棒手裏剣を神槍ガンジスで弾く。
すると、テイマーが、
「ハッ、ミクライとギュララ! 【天凜の月】の盟主と戦うのは俺たちが先だ! ふはは!」
「ガギュァ!」
熊と虎が合体したような黒茶の魔獣の狂獣ラジュルも叫ぶ。
「あ? その狂獣ラジュルを使う気か! チッ、この水精霊、強い――」
三つ目のギュララはそう叫ぶ。
素早く横に移動。
ヘルメとアクセルマギナの攻撃を避けていた。
ミクライは棒手裏剣を再び俺に<投擲>して、
「――ヒル、【天凜の月】は俺の獲物だ。しゃしゃり出るな」
と棒手裏剣をヒルにも<投擲>。
その棒手裏剣は、ヒルが振るったレイピアで弾かれていた。
「あぁ? ミクライ、うぜぇこと言ってんなよ、お前も
「獲物の横取りはさせねぇ」
「決めた、槍使いを殺した後、お前も殺す」
「上等だ。お前とそのラジュルに、お前の【五重塔ヴォルチノネガ】も、【天凛の月】の槍使いを殺したら、俺がすべてを潰してやる」
「はっ、落ち目の【天衣の御劔】のくせに御託を並べるな。とにかく【天凜の月】の盟主とあの珍しい黒い獣は俺がもらうからな。ラジュル、先に槍使いを殺せ!」
「ガギュァァァ――」
狂獣ラジュルが突進してきた。
三つ目の者に集中していた相棒は「ンン」と鳴いて俺の左前に移動してきた。
「相棒、悪いが皆のフォローと棒手裏剣野郎のミクライを頼む。狂獣ラジュルとヒルは俺が倒そう」
「ンン、にゃ」
相棒の声を聞きながら――。
<闘気玄装>を強めて前傾姿勢で前進。
両手首をクイッと前方に伸ばし<鎖>を繰り出した。
――直進した二つの<鎖>は狂獣ラジュルとテイマーのヒルに向かう――。
<魔闘術の心得>を意識。
同時に<神剣・三叉法具サラテン>を操作。
<仙魔・
続けて魔力の拳の<導想魔手>を発動――。
更に<仙玄樹・紅霞月>を繰り出した。
次に《
狂獣ラジュルは魔法陣を前方に生み出す。
その魔法陣の生成の間を先にすり抜けた<鎖>が、その狂獣ラジュルの前腕を貫いた。
「ガギュァ」
が、狂獣ラジュルは魔力を強めた。
赤茶色の魔力の波動のようなモノを六つの眼の前に生み出す。
元々発生していた魔法陣と重なるように積層型の魔法陣が生成された。
刹那、太い腕に刺さっていた<鎖>を吹き飛ばす。
――ひとつの<鎖>のコントロールを失った。
驚きだ。右手の<鎖の因子>が点滅すると、自然に右手首から伸びていた<鎖>が消えた。
右腕は動くが、<鎖>系統が麻痺?
あの狂獣ラジュルは要注意か。
一方、<神剣・三叉法具サラテン>の沙の神剣は魔法陣を二つ貫いた。
が、最後の魔法陣は柔らかいようで、網のように展開されて、沙が逆に包まれる。
『沙、戻れ』
『――うむ!』
その間に、ヒルは「<黒呪強瞑・狂神獣>――」とスキルを発動。
狂獣ラジュルよりも凶悪な面だと分かる幻影の獣がヒルの背後に出現。
その幻影を纏うヒルはレイピアを迅速に動かした。
更にスキルを使ったのか、魔力のレイピアを無数に生み出した。
その魔力のレイピアとレイピア本体の刃で<鎖>を突き、弾きまくる。
機動が、フルーレ・エペ・サーブル――。
一瞬で十数の連続攻撃を繰り出して<鎖>を寄せ付けない。
見事なフェンシング機動の剣士で<黒呪強瞑>系統も巧み。
見事な剣術で強さもあると分かるが――追える。
俺にとって最高の剣術師匠と呼べるユイとヴィーネの剣術は常に見ているし、武王院、武双仙院の師範シガラさんの剣術を体感している。
<鎖の念導>――。
操作した<鎖>が迅速に動くヒルを追う。
魔力のレイピアと本体のレイピアの剣術機動を読み、学びながら、隙を窺う。
見えた――瞬間、ヒルの前腕を貫いた――。
良し――。
「ぐぁ――」
<鎖>はヒルの腕を喰らうように腕の骨を潰しながら上昇――。
脇腹の鎧と脇に背骨の一部を突き抜けて、頭部をも貫いた<鎖>は背後の壁に突き刺さった。
その間に複数の三日月の血濡れた魔刃の<仙玄樹・紅霞月>――と。
《
狂獣ラジュルが生み出した魔法陣と衝突。
幾つかの魔法陣は罅割れた。
<仙玄樹・紅霞月>と《
が、狂獣ラジュルは、ヒルが倒れたことを知ったのか、体を萎縮させ、
「ガギュァァ……」
と鳴いていた。
その狂獣ラジュル目掛けて――。
布石の<導想魔手>の魔力の拳を振るい、
狂獣ラジュルを守る魔法陣は硝子が割れたような音を轟かせて崩壊。
魔線が連なる拳の<導想魔手>を消し、左手首から伸びている<鎖>を操作――。
斜め上にあった<鎖>を斜め下に向かわせる。
その<鎖>の先端が狂獣ラジュルの体を斜めに貫いた。
「――ガギュァァ!!」
<鎖>で狂獣ラジュルの体を拘束。
その<鎖>を左手首の<鎖の因子>に戻すように引き寄せる。
当然、<鎖>が絡まる狂獣ラジュルも引き寄せた。
狂獣ラジュルはまだ生きている。
「――ガギュァァ」
<鎖>が絡む狂獣ラジュルを見ながら<霊仙酒槍術>を意識。
更に左手に神槍ガンジスを移し――。
狂獣ラジュルの巨体を雁字搦めにしている<鎖>を左手首に引き込み途中で消去。
狂獣ラジュルの巨体は、解放されるがまま慣性機動で迫る。
その迫力が凄まじい血濡れた狂獣ラジュル目掛けて――。
――<霊仙八式槍舞>を実行。
左手が握る神槍ガンジスの双月刃が狂獣ラジュルの胸を突く――。
右手の仙王槍スーウィンも狂獣ラジュルの胸を突いた。
瞬間的な二連<刺突>系から横回転。
流れるような足捌きと連動する神槍ガンジスを左に傾け引く。
双月刃が狂獣ラジュルの胸を抉り斬り――。
右手の仙王槍スーウィンが斜め下へ――。
狂獣ラジュルの体をぶった斬りながら、更に横回転、神槍ガンジスの柄が狂獣ラジュルと衝突――ドッという衝撃音が響く最中に横回転――。
仙王槍スーウィンの煌びやかな柄と穂先が狂獣ラジュルの体を斬りながら衝突を繰り返す。
更に神槍ガンジスの<龍豪閃>にも似た一閃が狂獣ラジュルを斬った。
よっしゃ――。
八連続攻撃の<霊仙八式槍舞>が決まる。
狂獣ラジュルの体はバラバラになって廊下に落下。
まさに無双を体現する強烈なスキルだ。
「なんて槍舞だ……あの狂獣使いのヒルが、一瞬で倒されるとはな――」
相棒の触手骨剣を長剣で防ぐ金髪のミクライがそう発言。
後転して横に跳躍しながら棒手裏剣を相棒に<投擲>していた。
金髪のミクライも強い。
そう考えながら【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の大きな部屋を凝視。
中には複数の魔素がある。
神槍ガンジスの穂先を【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の大きな部屋の出入り口に向けながら、その出入り口に近付いた。
部屋から廊下に出ようとした魔剣師に向け<刺突>を繰り出したが、魔剣師だと思われる存在は、二つの長剣で神槍ガンジスの矛を見事に防ぐ。
そして「チッ」と舌打ちして部屋に逃げると、その部屋から手裏剣と魔弾が飛来。
素早く退いた。
【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の連中は中で籠城の構えか。
強引に中に入ることも可能だが……。
三つ目の魔族か邪族か不明な存在のギュララを注視しとくか。
三つ目のギュララは己の両手に十文字槍を握る。
二つの十文字槍を扱う槍武術もかなりレベルが高い。
それでいて、宙空に浮かばせた四本の十文字槍も自在に操作している。
先ほど<極穿・十文字星槍>というスキルを使用していた。
あれは召喚魔法? スキル?
十文字槍を宙空に出現させられる数は四つまでと仮定。
召喚か生成か、どちらにせよ、十文字槍が主力武器。
三つ目のギュララは本体も素早い。
常闇の水精霊ヘルメとアクセルマギナと、時折混じる
が、既に無数の傷を体に負っていた。
傷が増える度<黒呪強瞑>を強め、加速している。
回復スキル持ちだとしてもかなりタフか――。
沙の<神剣・三叉法具サラテン>を思念で操作――。
神剣の切っ先を三つ目のギュララへ向けて直進させた。
――神剣の沙は十文字槍を貫く。
三つ目のギュララは、
「<極穿・十文字星槍>の四式を砕くか! 面白い――だが!」
と嬉しそうに叫ぶ。
その三つ目のギュララの真上に新しい十文字槍が出現。
その十文字槍が直進――。
神剣の沙と衝突、沙を跳ね返す。
新しい十文字槍を覆う魔力の質は、先ほどまでの十文字槍を超えた魔力量。
『ぐぬぬ、妾の神剣を弾くとは! ナマイキな槍!』
いつもの調子の沙が悔しそうな思念を寄越す。
三つ目のギュララは、
「ははは――」
と嗤いながら――。
新しく召喚し直した十文字槍の一つを直進させた。
十文字槍は神剣の沙と再び衝突――。
他の宙空に浮かぶ三つの十文字槍を本体の防御に回す。
三つ目のギュララの体は加速。
ギュララの動きに浮遊しながら付いていく十文字槍の動きも速い。
ギュララが操作する三つの十文字槍は衛星のように周囲を回り、三つ目のギュララの体を狙うように直進した
アクセルマギナが放つエネルギーの弾丸とヘルメの氷礫をも十文字槍の柄と穂先が弾いた。
が、三つ目のギュララは、先ほどと同じく氷礫とエネルギーの弾丸のすべては弾けていない。
体に喰らいダメージを受けた。
しかし、三つ目のギュララは<黒呪強瞑>系統を強める。
体の回復力と力強さと素早さが増した。
刹那、十文字槍の動きが俺の思念操作の剣術を上回る。
――<導魔術>系統で動かしているだろう十文字槍への対応が難しくなった。
――『沙、羅、貂に任せた』
『うむ! 妾たちが三つ目を処断しようぞ!』
俺の思念から解放された神剣の沙は加速。
神剣が上下に増えて重なった。
三つの神剣<神剣・三叉法具サラテン>は上下左右に行き交う斬撃と突きの嵐で宙に浮かぶ一つの十文字槍を圧倒し、その十文字槍を消し去った。
『うはは――』
『三つ目の本体を倒します!』
『はい! でも、強い!』
沙・羅・貂の神剣から幻影の
華麗な仙女たちの神界妙技が炸裂か?
すると、高速な機動で後退中の三つ目のギュララは、体からオーラのような魔力を放出させる。
そのオーラのような魔力の内部から異界を突き抜けるように十文字槍が飛び出てきた。
その十文字槍はグングンと加速。
力も増して、神剣の沙・羅・貂と衝突しまくる。
<神剣・三叉法具サラテン>たちは逆に押し込まれて後退――。
強いなギュララは、ただ者ではない。
『<神剣・三叉法具サラテン>、戻れ――』
『承知』
『『はい』』
<神剣・三叉法具サラテン>の神剣を左の掌の運命線のような傷の中へと格納するように戻した。
その行動を追ったギュララが操作する十文字槍が飛来。
更に、相棒と戦っていた金髪のミクライの棒手裏剣も飛来。
――<
神槍ガンジスで、十文字槍を受け払い――。
仙王槍スーウィンで棒手裏剣を叩くように真っ二つ。
震動した神槍ガンジスが呼応。
神槍ガンジスは俺の魔力を吸う。
珍しい、というか初か?
「閣下、ギュララへの攻撃を続けます」
「おう」
「――く、この女精霊は厄介すぎるが、倒す!」
ギュララはヘルメに突進。
ヘルメは水で包んでいた十文字槍を溶かすように消失させる。
と、両腕を氷剣に変化させる。
氷の剣腕で接近戦に対応。
アクセルマギナは魔銃からエネルギー弾を放つのを止める。
神槍ガンジスの螻蛄首をもう一度見ると、もう梵字などは消えていた。
すると、
棒手裏剣を無数に相棒に飛ばした。
俺にも飛来。
相棒は「ンン――」と喉音を鳴らしつつ体がブレる加速から床を飛んで避難。
俺に飛来した棒手裏剣を神槍ガンジスで払う。
触手は、大きな部屋から廊下側に出ようとする魔剣師に向かった。
魔剣師は
その大きな部屋から、反撃の魔弾と魔剣と投げ槍が飛来。
相棒は横に跳躍し、大きな部屋の出入り口から飛来した魔弾と魔剣と投げ槍を避けた。
直後、部屋の出入口から再び外に出ようとした魔剣師が見えた。
両手の武器を消して血魔剣を召喚。
血魔剣で<血獄魔道・獄空蝉>を放つ。
が、<血獄魔道・獄空蝉>は出入り口付近の魔剣師に向かえず――ミクライが放った連続した棒手裏剣で相殺された。
「なんだ? その血が滴る剣は。槍使いは剣師でもある? 奇術師でもあるのか?」
ミクライがそう聞いてくる。
<血獄魔道・獄空蝉>は潰したが、血魔剣は予想外か。
その間にも、【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の魔剣師が、
「【天衣の御劔】のミクライか。ありがたい! が、お前たちは何者なんだ!」
と叫びつつ魔刃を相棒に繰り出す。
ミクライに<仙羅・絲刀>を返しつつ――。
走る
魔剣師が繰り出した魔刃を<鎖>の盾で防いだ。
「チッ、鎖の盾だと? 俺を追跡してきた女とは違う賞金稼ぎか?」
魔剣師は舌打ちしながら俺に聞くと、魔杖から生えたような魔刃を振るう。
魔刃を連続的に繰り出してきた。
「ンン、にゃ~」
と、ドドドッと凄まじい衝撃を受けている<鎖>の盾。
その<鎖>の盾越しに、魔剣師を凝視、そして、血魔剣を銃剣に見立て――。
血魔剣を振るい<血外魔道・石榴吹雪>を発動――。
血魔剣が膨れ上がる。
膨れた血魔剣の剣身から血の
瞬く間に血の吹雪となって魔剣師と衝突。
血を帯びた石榴たちは綺麗だ。
魔剣師は体の内側から爆発するように散る。
<血外魔道・石榴吹雪>の血を帯びた石榴は【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の部屋の出入り口と床に衝突を繰り返してから止まった。
良しッ。
「ンン」
相棒は俺の血魔剣のスキルを褒めた?
と、違った、<鎖>の盾の上部を蹴って斜め上に跳ぶ。
その壁に四肢を付けるやその壁をも蹴った。
見事な三角跳び――。
宙空で背を捻る機動を見せる。
天井に背中が付くのではないかと思ったが、「ン”ンン――」と力強く喉声を響かせて絶妙なタイミングでくるりと舞う。
<鎖>の盾を消去。
その声の意味は理解できた。
戦闘型デバイスから相棒用の武器、魔雅大剣を取り出した。
「了解、相棒、受け取れ――」
――
相棒は、背を俺に見せて四肢で天井を突いて跳躍し、魔雅大剣に向かう。
「ンン~にゃお」
と鳴きつつ魔雅大剣を咥えた
更に、その黒豹の体から橙色の魔力が放出された。
それはオレンジの翼にも見える。
相棒が向かう先には、棒手裏剣と長剣を扱う金髪のミクライがいる。
神獣ロロディーヌの能力にミクライは驚き、
「――炎の翼を得た黒豹だと!?」
が、そのミクライもプロ中のプロ。
「が、飛んで火に入る夏の虫って奴だ!」
冷静にそう喋ると、<魔闘術>系統を強め迅速に腕を振るう。
スキルだと思われる動きで無数の棒手裏剣を相棒に<投擲>した。
しかも、普通の斬り方ではない。
回転しながら棒手裏剣に己の体を絡み付かせるような螺旋回転斬り。
「すごっ」
と思わず魅了された。
獲物を狙う猛禽類の如く、ミクライに直進する
金髪のミクライが振るった長剣をスルリと避ける。
と、ミクライの肩を魔雅大剣が切断――。
ミクライの体に魔雅大剣が突き刺さった。
「げぇぇ」
更に
ミクライの首に喰らい付く――。
ミクライの頭部をもぎ取って見事な着地――。
更に、両前足で地面を抉り横回転――。
後ろ脚の爪を活かす回転蹴りをミクライの胴体と魔雅大剣に繰り出す。
頭部を失ったミクライの体は真横に輪切りにされ、二つの肉体は吹き飛ぶ。
魔雅大剣は斜め上に飛んだ。
「――ガルルルゥ」
唸り声を発した相棒。
金髪の男の頭部を噛み砕き「ガッ」とそれを吐き捨て、触手を魔雅大剣に付着させると、口持ちに戻していた。
凄すぎる神獣ロロディーヌの戦闘を垣間見て、思わず武者震い。
更に
全身から数十の触手を発生させる。
それらの触手が向かったのは三つ目のギュララ。
「――チッ、あのミクライまで倒されるとは……」
三つ目のギュララはヘルメとの接近戦と無数の触手から避難。
天井を駆けて後転し、巧みに、相棒の触手骨剣の連続攻撃とアクセルマギナのエネルギー弾の射撃を避けていた。
後転する三つ目のギュララは異常な速さだ。
が、アクセルマギナの魔銃の扱いも並ではない。
――偏差撃ち。
ギュララの避ける機動を先読みして放っていた。
エネルギー弾が何度も三つ目のギュララの体に衝突。
が、逆にギュララは、
「ははは、いてぇが、きかねぇ――」
と動きが加速し、天井を削る勢いで前転と後転を繰り返す。
ギュララは筋肉が増した? タフだ。
ギュララは天井を蹴る。
四階の観客席へ出られる低い壁へと飛翔――。
――低い壁は観客席に近い。
アクセルマギナのエネルギー弾とヘルメの氷礫と相棒の触手攻撃の数が減る。
皆は観客に被害が出ないように戦っているからな。
三つ目のギュララは廊下に低空機動のまま両足を滑らせ着地。
振り向きざまに十文字槍を飛ばしてきた。
――狙いは俺か。
その十文字槍を神槍ガンジスで弾く。
床に突き刺さる十文字槍は銀色の光を発して消えた。
すると、観客席側から漆黒のローブを着た長剣使いと漆黒の装束を着た射手が現れる。
そいつらが、
「バルミュグ様が言っていた通り、早速名目八封破りが起きた」
「あぁ、しかし、ここには【闇の教団ハデス】のブレジンスキーがいたはずだが……」
「倒されたってことだろう。それより、あの黒髪の槍使いの胸を見ろ。〝輝けるサセルエル〟持ちじゃねぇか。俺も参戦だ――」
「にゃごぁ~」
「チッ、【テーバロンテの償い】をも薙ぎ倒すか……」
と発言したギュララ。
合計六つの十文字槍を振るって、アクセルマギナが繰り出すエネルギーの弾丸を防ぎ続けている。
ヘルメは俺の横に来て、【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の部屋を見てから、俺に視線を寄越してきた。
その視線の意味は『水状態で忍び込みますか?』だろう。
頭部を左右に振った。
ヘルメは微かに頷くと、三つ目のギュララを凝視。
「あのギュララはわたしの攻撃に悉く対処してきました。<闇水雹累波>や閣下との融合技である<仙丹法・鯰想>を用いれば押し込めるとは思いますが」
「あぁ、まだ焦る必要はないさ」
「はい」
【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の面々は、廊下側に出てこなくなった。
一階の闘技場の偵察用ドローンを操作し、地下のクナの所を把握。
そのクナの近くに偵察用ドローンを移動させた。
クナは気付いてウィンク。
中央昇降台に〝輝けるサセルエル〟持ちが増えているが、総合上闘役のキルヒスはまだ来てない。
ブリーフィングはまだのようだ。
偵察用ドローンを操作して、一階と地下を繋ぐ出入り口の数と地形を頭に叩き込んでいく。
ひとまず、ヴィーネたちに連絡しよう。
『ヴィーネ、キサラ、エヴァ、上がってきていい。だが、【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】以外に【天衣の御劔】のミクライと魔刃の男と【五重塔ヴォルチノネガ】のヒルと【闇の教団ハデス】の闇のドロドロ巨人と【テーバロンテの償い】の奴らに、他にも何人か倒したから、その【闇の八巨星】連中に襲撃される可能性があると皆に伝えてくれ。あ、【ラゼルフェン革命派】のギュララはまだ生きている。そのギュララとこれから戦う予定だ』
『『はい』』
『ん、分かった。ユイとレベッカにも知らせておく』
『おう』
血文字を見たヘルメは頷いた。
「閣下、【闇剣の明星ホアル・キルアスヒ】の出入り口はわたしが見ておきます」
「了解、相棒とアクセルマギナ、下がっていい。三つ目のギュララは俺が担当しよう」
「はい――」
「ンンン――」
ギュララはエネルギーの弾丸の飛来が無くなると、四つの十文字槍を早速寄越してきた。
面白いほどの戦闘狂だ――。
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