九百三十九話 銀河戦士の超戦士ビーサ・ファガルが<筆頭従者長>となる!
ビーサはラービアンソードの柄を胸元に当てた。
種族ファネルファガル式の礼か。
宇宙海賊フルカブルカ式の礼でもあると聞いている。
そして、そのビーサは、
「――師匠、宣誓をした時よりも気持ちは高まり続けています! ナ・パーム・ド・フォド・ガトランス! 準備は出来ています!」
と片膝で地面を突いた。
すると、浮遊していたアドゥムブラリは口笛を吹いてビーサの後頭部の回りを飛びながら、
「ファガル二剣流、サッジ三剣流の使い手の眷属化か。しかし、この背中に格納されているラガジメタルの腕は魔機械だろう? その魔機械だと光魔ルシヴァルに変化しても対応は可能なのか?」
「――大丈夫です!」
「ぬぉ!」
意外に頭が回るアドゥムブラリはビーサの気合い声と同時に三つの器官から噴き出た魔力粒子を浴びて、後方へ逃げるように飛ぶ。
「ンン――」
そんなアドゥムブラリを追う
捕まったら単眼球を舐め回されるだろうな。
片膝を地面につけているビーサと視線を合わせた。
そのビーサに手を差し出して、
「ビーサ、立ってくれ」
「はい」
俺の手を握るビーサは笑顔。
その笑顔が素敵なビーサの手を引っ張ってビーサを立たせて、
「アドゥムブラリの発言だが……」
「はい。大丈夫と言いましたが、少々不安はあります」
「どんなことが不安なんだ?」
「光魔ルシヴァルの種族と
個体変異、要するに突然変異、ミュータントか。
俺の知る地球人類のポリジーンと光魔ルシヴァルの遺伝子群は異なると思うが、光魔ルシヴァルの血も、地球の人間と同じような遺伝情報を有したヘモグロビンは有しているっぽい。
血を分け合うことで分子レベルの変化が起きているのなら、種族ファネルファガルなら尚のこと突然変異はありえるか。
アクセルマギナも、過去に、
『はい、普通のアレイシステムでは捉えることが不可能な、次元拡張格子を備えた超DNA的な遺伝子情報を持つはずです』
俺のDNAをそう考察していた。
ま、こういった考察は無限に続くから止めとこう。
すると、
「……緊急次元避難試作型カプセルは溶かしていないから安心してね。光と闇を有した極めて珍しい金属の〝光闇の奔流〟はエヴァの足とわたしの暗器械に少し使って、ジェット・パックの〝エセルジャッジメント魔貝噴射〟は、修理を終えて使える状態よ。飛行術とどっちが良いか考察レポートも書き上げてあるから――」
金属博士と呼べるミスティがそう伝えてきた。
その考察レポートは面白そう。
光と闇を有した極めて珍しい金属の〝光闇の奔流〟は、ペルネーテに戻った際に、ザガ&ボンへのプレゼントや、新しい装備類との作製コラボもできるし、光魔ルシヴァル用の戦闘装備類の素材にもなる。
まぁ量はそれほどないはずだから、大量は無理だと思うが。
そして、ハルホンクに喰わせたら、光の素材の金属だけ外に吐きそうだ。
「おう」
と無難にミスティに返事をした。
そして、ビーサは、少し不安げな表情を浮かべていたが、もう目付きが変化していた。
「師匠、不安は不安ですが、大丈夫だと思います。わたしは緊急次元避難試作型カプセルから救出された時、師匠のシュウヤ様から光魔ルシヴァルの力を少し得ている……」
「あ、そういえばそうだった。<ルシヴァルの紋章樹>の紋様が出ていたな」
ビーサも俺の言葉のタイミングで深く頷いていた。
頷く度、後頭部の三つの器官の先端の孔から桃色の粒子が迸る。
三つの器官は肩の上に乗った髪を纏めている房にも見えて魅力的だ。
そのビーサは、
「皆さんの近くにいると、体内の魔力が活性化して自然と元気になる時がありました」
「へぇ」
〝黒呪咒剣仙譜〟で学んだスキルを試し合っている皆を見た。ヴィーネは素早く俺に視線を向けてくれる。
そのヴィーネに笑顔を送ると、ヴィーネも優しい表情を浮かべてくれた。
惚れているだけに、心臓が跳ねる。
ヴィーネに魅了されるが、今はビーサに集中、そのビーサが、
「そして、<ルシヴァルの紋章樹>の幻影がチラつくことも数回。上界の縄張り維持の戦いの最中にも、あ、下界では、ヴィーネさんの背後を守った時も活力を得ました」
頷きながら〝黒呪咒剣仙譜〟に夢中になっている眷属たちを再度見る。ミナルザンはユイを追いかけ回すように獄炎光骨剣を振るっていた。
ハウレッツも混ざる。
その氈鹿のハウレッツはミナルザンを吹き飛ばしていた。
ミナルザンとユイが模擬戦を行っていると勘違いしたのかな。しかし、ミナルザンには悪いが……美人剣師を追いかけ回すモンスターに見えてしまう。
ホラー映画のタイトルなら『死霊キュイズナーのはらわたⅣ/キャプテン・スーパーマーケット』と付けたくなった。
すると、ヴィーネが、
「――ビーサとは【天凛の月】の最高幹部&冒険者として、上界と下界で一緒に活動していました。あ、寝ているご主人様の傍にいた時間はわたしが一番です!」
「はは、ヴィーネの俺を想う気持ちは重に分かっているから焦らんでよろしい」
「はぅ、はい」
長耳が少し凹むヴィーネが可愛い。
ビーサに視線を戻すと、ビーサは、
「ふふ、たしかにヴィーネは寝ている師匠の傍にいることが多かったです。レベッカとエヴァも多かった。そして、悪戯をしていたことは……」
「ちょ、ビーサ! 内緒って言ったでしょ!」
「あ、はい」
微笑むビーサ。
シウも俺に悪戯をしていた……当然レベッカも俺に悪戯は行っていたんだろうな? とレベッカを見る。
レベッカと目が合うと、レベッカは急に視線が泳ぐ。
「えぇ~? し、知らない~」
頭部を左右に振って誤魔化している。
蒼い瞳はちらちらと俺を見てきた。瞳の動きが可愛い。
そんな頬を朱に染めているレベッカからビーサへ視線を戻した。
ビーサは、俺の視線の動きにびっくりしたのか、少し恥ずかしそうな表情を浮かべて瞬きを行う。
更に、後頭部の三つの器官の先端がピクッと動き、先端から桃色の粒子がぴゅぴゅっと放出される。
宙を仄かに桃色に染める。
その粒子が桜吹雪に見えた。
綺麗だな……ビーサとの出会いを思い出した。
ビーサは緊急次元避難試作型カプセルに入った状態でラロル星系の宇宙から惑星セラへ転移してきた。
そのビーサ入りの緊急次元避難試作型カプセルは、どういう理由か不明だが、烈戒の浮遊岩の中へと転移していた状態だった。
ラロル星系と俺たちがいる星系は……。
どれほど離れているんだろう。
重力レンズを用いなければ見えないぐらい離れている?
緊急次元避難試作型カプセルに入っていたとはいえ、転移はそれ相応の負荷が体に掛かるはず。
その転移に耐えた種族ファネルファガルのビーサ。
そのビーサはマハハイム共通語を最初から覚えているようだったことも印象的だった。
そのビーサの記憶も見ている。
宇宙母艦から中型の戦闘艦に乗り込んでの脱出劇。
最期の仲間を思うビーサの行動と
ビーサは、その仲間たちを未だに想っていることだろう。
そんなビーサの網膜にビーサの嘗ての仲間たちが見えたような気がした。
そのビーサの魔機械のレンズを凝視。
「……網膜レンズも特殊。光魔ルシヴァルとなった眼球にも、適応は可能なんだよな?」
「はい。バイオラージ・AR・アイレンズは優秀。光魔ルシヴァルの細胞にも適応すると思います」
「そのレンズはハッキングツールなどの機能が満載なんだっけ?」
小型飛空戦船ラングバドルを操縦した時を思い出す。
「はい、多岐に渡ります。一に、<ドパルアーニューシステム>を用いた操作。二に、<エレニウムワード>と連携した認証コードのハッキング。三に、このブリーザー――」
ビーサは小型ブリーザーを展開させる。
一瞬で銀色の鋼が、下顎骨のEラインを縁取った。
銀色の鋼は首と耳の一部も覆っていた。
戦国武将の『烈勢面』のような面頬と似た装備。
小型ブリーザーを展開させた能力は思念に見えたが、バイオラージ・AR・アイレンズを活かしたのか?
あ、ひょっとしてビーサの視界には……。
アクセルマギナと同じようなOS起動メニューと未来的なウィジェット類がARのように浮いている?
「そのバイオラージ・AR・アイレンズは、拡張現実として連動しているのか?」
「はい。現実の知覚に仮想の知覚情報が連動しています」
へぇ~。
さすがは元宇宙海賊なだけはある。
そして、小型ブリーザー越しに喋る声質が渋すぎる。
同時に優れた戦闘機の操縦士でもあるし、憧れるし、尊敬を抱く。そんなビーサに、
「あえてもう一度聞こう。種族ファネルファガルから光魔ルシヴァルへ変化するが、それでもいいんだな?」
そう聞くと、ビーサの双眸が輝く。
基調がエメラルドブルーで、虹彩の色彩のグラデーションが少し変化していく様が美しい。
「はい!
頷いた。
美しいビーサの瞳を見ていると、マリン・ペラダスのソサリーの種族を思い出す。
ビーサはバイオラージ・AR・アイレンズに浮かぶウィジェットを操作したのかブリーザーを元に戻し、
「光魔ルシヴァルの眷属の末席に加われる。皆様へ更なる恩返しが可能となる……」
ビーサの言葉を聞いた皆は微笑む。
分かる。心が温まる。
ビーサの気合いは十分だ。
「気概は重に理解した。で、前にも聞いたが、<従者長>を望むと語っていたな?」
「はい」
「悪いが変更だ。宇宙を知るビーサは貴重。だから<
「……良いのでしょうか」
「遠慮は要らない。そして、俺が
ビーサはジッと俺を見る。
目力を強めていた。
「……はい。〝自分の正義を信じろ〟。そして、〝小さなジャスティスを信じる〟ですね!」
小さなジャスティスは俺のポリシー。
ちゃんと受け継いでくれるようだ。
嬉しい。
「で、受けてくれるか? ビーサ・ファガル」
ビーサに対して丁寧に頭を下げた。
ビーサは『ハッ』と驚いて網膜が散大し収縮する。
そして、直ぐに片膝で地面を突くと、
「……勿論です。偉大な
頷いた。
『ふふ。また一人の強者が閣下の家族に!』
『おう。次はルマルディかな』
『そうですね。サイデイルの空軍担当ですが』
『ま、キッシュに色々と直に報告しないとな。あとは、一度は断られているが、ハンカイにももう一度眷族の話をしてみるつもりなんだ』
『え、あのハンカイを、閣下の友ですが……』
『あぁ、友だからこそ、避けていたが、ま、話次第だな』
『はい! では、ビーサは服を着ていますが、外に出て一部の者たちに見えないようにします』
『頼む』
『はい――』
左目から液体状のヘルメが迸る。
宙空に黝色と群青色の螺旋を描き着地するや否や、一瞬で女体と化し、両手をパッと広げた。
そのヘルメの両腕は既に半液体となっている。
その両腕を振るうと、七色の水飛沫が見えたと思ったら、俺たちの周囲に半円形の水の膜が展開された。
水の膜が展開された周囲を見たビーサは「精霊様の水は美しいです」と語る。
そのビーサは【天凛の月】の衣装を脱いでいた。
乳房は大きいほうか。背中に装着されているラガジメタルの腕を外す。
胸元と背中の一部に装着されている魔機械も幅が薄いコスチュームに収縮していく。
「《
「俺の成長も多少は影響しているのかもしれない。そして、ビーサ。光魔ルシヴァルの血の世界に入ってもらおうか……」
全身から血を放出させながら、再度、ビーサに手を向ける。
ビーサは恐る恐る俺の手を握った。
「はい……」
頬が朱に染まるビーサを見ながら、
「<光闇ノ奔流>と<大真祖の宗系譜者>を内包した光魔ルシヴァルの<光魔の王笏>を発動――」
体から大量の輝く血が迸った。
瞬く間に俺の周囲半径数メートルが血の海と化した。
毎回だが、もの凄く血を消費する。
光魔ルシヴァルの血は<筆頭従者長>の想いをビーサの体、否、魂へ伝えるが如くビーサの体を飲み込む。
血の海に飲まれたビーサは上に泳ぎながら横回転。
更に、ヘルメの《
「閣下! 勢いありすぎです!」
「すまん!」
成長した故か。コントロールが難しい。
俺の光魔ルシヴァルの血の海は、血の意識を強めると半透明な壁と衝突したように止まった。
その血の海を囲う半透明な壁はフォースフィールド的な印象だ。
光魔ルシヴァルの血の海の陽が射している部分は、仄かに輝く雪を載せた稲穂の群れがそよいでいるように見えた。
美しい。
その血の中には血妖精ルッシーと水鴉もいる。
七福神の格好をした闇蒼霊手ヴェニューたちもいた。
七福神の闇蒼霊手ヴェニューたちは面白いし、可愛いから、見ていて幸せな気分になる。
血妖精ルッシーはデボンチッチにも見える。
すると、常闇の水精霊ヘルメが《
血の海に包まれたビーサは俺の血を吸いながらも苦しそうだ。
血の渦に巻きこまれて溺れているようにも見えた。
勢いが凄まじい血の中で溺れているビーサ。
口から泡を大量に吹いているが、俺の血を吸収する速度はかなり速い。
これは俺の成長した結果なのか?
が、ビーサは目が回ったように混乱状態に移行してしまう。もう立ち泳ぎどころではないが……助けることはしない。
苦しいと思うが、がんばってもらおうか。
すると、血を吸収することに慣れたビーサは立ち泳ぎを止めた。
そのビーサを中心として、ビーサを囲う子宮の形をした層が瞬く間に出来上がる。
その血に満ちた子宮の中央に浮かんでいるビーサの口から、微かな空気の泡が漏れていた。
そんな空気の泡の群れにラービアンソードを扱う無数のファネルファガルたちが見え隠れ。
ビーサの祖先たちか?
古代の神殿の中央で笑顔を見せるファネルファガル。
そのファネルファガルは像に変化した。
もしかして……。
その幻影はビーサも見えているようだ。
苦しげな表情だったビーサは表情が一変。
顔色が変化した。
そんなビーサに『がんばれ』とメッセージを送る。
ビーサは頷いた。
同時に血の子宮の中に浮かぶビーサは体で十字架を作るように両手を広げる。
すると、血の子宮の一部がルシヴァルの紋章樹の幹へ変化。
周囲の血の海の一部はルシヴァルの紋章樹の根元に変化を遂げた。
樹の根元は深淵の暗さ。
対称的に幹の樹皮は光を表すように強い輝きを放つ。
まだ残る血の海に反射するコントラストが夜空を彩る星々を想わせる。
血で輝く幹の幻影は、隆起を繰り返す。
次々に新しい枝を生やして左右へ伸ばしつつ銀色の葉と花を無数に誕生させる。
銀色の葉と花以外にも幹に連なる極彩色豊かな植物が咲き乱れる。
ルシヴァルの紋章樹の輝く屋根が瞬く間に出来上がった。
天辺は太陽を縁取るような樹の屋根となった。
葉と花から銀色の魔力の波が放出。
波は、太陽のプロミネンス的に動き、魔力の粒子を散らす。
太陽を想わせる樹の屋根と、輝く樹の幹に枝と繋がる魔線の繋がりは、キッカとキサラと同じでマリオネット的な繋がりだ。
その魔線はルシヴァルの紋章樹の幹に刻まれている<
これらのルシヴァルの紋章樹の幻影は個人の資質と俺の成長で細かく変化を遂げると言うことだろう。
俺の称号は覇戈神魔ノ統率者となった。
戦闘職業も<霊槍・水仙白炎獄師>に進化している。
ビーサは一瞬ですべての光魔ルシヴァルの血を吸い取った。
同時に胸元から閃光が迸ると、幻影のルシヴァルの紋章樹とビーサが重なり、その幻影のルシヴァルの紋章樹の幹の一部から榊のような短槍にも見える棒が飛び出てきた。
キサラの時と似ている。
その榊を掴むと、自然と俺の掌に棒の部分がフィットした。
その榊を振るって、ビーサの表面を祓い撫でる。
と、光を帯びているビーサは弓なりに体を反らす。
「――あぁぁぁ」
悲鳴にも近い喘ぎ声を発したビーサ。
刹那、お祓い棒と似た銀色の葉と万緑の葉が無数に付いた榊のような棒が、俺の魔力を吸い取ってきた。更に、その榊のような棒は、俺の手から離れてビーサの体の中へ溶けるように浸透。
ビーサの揺れる乳房辺りから、眩しい光の粒子と血の粒子が宙に迸る。それらの眩しい光の粒子と血の粒子は、陽と陰のマークに変化しつつ俺たちの周囲を旋回してからビーサの体の中に戻っていく。
戻る度にビーサは体が跳ねた。
血が散る。散る血の中に宇宙的な幻影が出現。
その幻影の中に、
が、最後の一人となった。
その最後の幻影はくっきりと詳細に浮かぶ。
それはアオロ・トルーマーさんだ。
『――汝、須く寛大たれ、嘘偽りを述べるなかれ、生まれた星を愛すべし、いついかなる時も正義と善の味方となりて、不正と悪に立ち向かうべし!』
アオロ・トルーマーさんは思念を轟かせて消える。
すべての血を吸い取ったビーサは体中の筋肉が弛緩したように項垂れると、そのまま気を失って倒れた。
急ぎ前進――。
「ビーサ!」
「あぁ――アンッ」
俺の手が触れたビーサは体を痺れたように震わせると、起きた。
「師匠! 私のシュウヤ様――」
軽快に片膝を地面につけるビーサ。
<血魔力>を有しているビーサだ。
成功した!
新しい<
「<
「はい!」
良し!
ビーサに、ゴルゴダの革鎧服の一部を被せてあげながら、ハグ。
そこから、
「――ヘルメ、《
そう言いながら、ビーサに<血魔力>をプレゼントした。
その直後、「アァァ――」と喘ぎ声を発したビーサ。
同時に後頭部の三つの器官の先端から桃色の粒子が迸る。
視界が桃色に包まれた。
感じたビーサは体を揺らしつつ耳元で、
「あぁ……師匠の匂いと血の匂いと魔力が、直に……鼓動も……ぁん……」
また背筋を伸ばすように細い体を反らすビーサ。
感じまくってしまった。
ほどよい大きさの頂点の櫨豆さんのような乳首の感触が胸からダイレクトに伝わってくるから、俺もヤヴァいがな。
少し体を離すと「ぁぁ……」とビーサは俺を逃がさないというように腕を掴む。
そんなビーサへ<血魔力>を送ると、そのビーサは細い体をビクッと揺らし床に尻をつけていた。
乙女座りとなったビーサは<
感情や欲情で変化することは分かっているが、何度見ても飽きない。
生命体の神秘だ。
「おめでとうございます、ビーサ・ファガル! <
「「――おめでとう」」
「ん、家族!」
皆の声はビーサも聞こえていると思うが、返事はできず、体が数度震えるだけ。
皆に片手を上げてからビーサに、
「これからもよろしく頼む。早速だが、ペントハウスの二階に行こうか。処女刃を行う」
頬と首下にかけて斑に朱色に染まっているビーサは、頷いて立ち上がる。
「は、はい!」
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