八百八十九話 称号:四神の盟約者の獲得&覇戈神魔ノ統率者に進化
玄武のレリーフの表面を玄武、青龍、白虎、朱雀の姿の魔力が行き交う姿には迫力があった。
それぞれの形相が厳ついから怖い。
何か荒ぶる魔獣と対峙している気分だ。
自然と<魔雄ノ飛動>を意識。
幻影の青龍は青白い鱗が結構リアル。
金色の双眸と龍の髭が揺れている。
幻影の白虎は
幻影の朱雀は、あのような『鳳凰の羽ばたき』を俺が使えるようになるのか?
幻影の玄武を見ると……時獏を思い出す。
今も、惑星セラのどこかにいるはずだが。
さて、青龍の姿を見ながら――。
一応<龍神・魔力纏>を発動。
第一関門こと<血道第一・開門>も発動。
<血魔力>を体に纏いつつ、<霊血の泉>と<光魔の王笏>に<水月血闘法>も実行。
覚えたばかりの<魔闘術の仙極>も実行。
<滔天仙正理大綱>と<滔天神働術>を意識。
続けて<滔天内丹術>も意識した。
<仙魔・
霧と白炎が周囲に発生。
<経脈自在>で得られた<闘気玄装>の効果で、体をフォースフィールド的な白炎が纏う。
体内も、丹田を軸に下丹田と横隔膜から小腸、腹大動脈、骨盤、インナーマッスル、腸腰筋など、体を巡る魔力の勢いは凄まじい。指先まで直ぐに魔力が行き渡った。
脳のセロトニンなどの神経伝達物質と腸脳ホルモンが高まっていると分かる。とにかく無数の体内と体外の魔力がうねり、魔力の網のような経脈は体のあちこちに陰陽がある。そしてそれは細胞の末端にまで及ぶ。
空も飛べそうな勢いだ。
刹那――。
目の前の四神柱が閃光を放つ。
玄武のレリーフが盛り上がる。
四神柱は俺の魔力の高まりに影響を受けた?
その四神柱から四神の幻影魔力が飛来し、俺の近くを浮遊中だった玄樹の珠智鐘と触れた四神たちは姿が拡大しながら俺に近付いてきた。
四神たちの迫力が増す。恐怖を感じたが、受け入れよう。
四神たちは俺の頭部と胸元に突入してきた。
――ドドッ、ドッ、ドッ――重しがぶつかるような衝撃と重低音が体内から響く。
玄武、青龍、白虎、朱雀の思念のようなモノを感じた。
が、神々とは違う。
『ギュゴォォォ』
『ガルゥゥ』
『ガオォォォ』
『グォォォォ』
獣のような思念。
四神たちの言葉は分からない。
その四神の神気は俺の体内で縦横無尽に暴れまくる。
精神や魔力が喰われるような感覚と内臓が喰われるような感覚、体内で激しい痛みが連鎖した。
「ングゥゥィィ!!」
四神、霊獣の野性味と気概が合う?
しかし、心臓の律動が高まり、血管や経脈の幾つかが破裂しては再生を繰り返す。
その度に激しく痛みを感じた。
<経脈自在>と光魔ルシヴァルの種族特性があるから耐えられる痛み。
普通の人族なら無理だろう。
ま、普通の精神や魔力では玄智の森に来ることはできないか。
そして、この暴れる四神を乗りこなしてやる。
しかし、魔力操作が難しい。<血魔力>も狂う。
精神力と魔力の消費が激しくなっていく。
「ングゥゥィィ!! グゥ、マズイ、マリョク!」
俺を助けようとしてくれているのか。
――泣かせるじゃないか。
「ハルホンク、無理はしないでいい」
「ングゥゥィィ!」
美味しい魔力を喰わせてあげたいが、ここは神界セウロスの親戚のような異世界だからな。
ま、もうじき鬼魔人系が多い奴らと戦うだろうし、ハルホンクも喜ぶ機会が増えるはず。
……丹田を中心に魔力を練る。
<
四神の神気と俺の魔力がかなり混じり合い始めたところで――。
急激に四神の雰囲気が変化した。
『『『『ガルゥゥ……』』』』
霊獣、獣としての野獣の思念をまた寄越す。
しかし、先ほどと違い、どこか落ち着きがあり、風格があった。
体内の魔力と<血魔力>の狂いも治まった。
獲得したばかりの恒久スキル<滔天内丹術>が早速効いている?
<経脈自在>。
<魔闘術の心得>。
<魔闘術の仙極>。
<闘気玄装>。
のお陰もあるか。
他にも小さい龍の魔力、小型の龍たちの効果もある。
この小さい龍の魔力は<龍神・魔力纏>だ。
今も数匹の小さい龍の魔力が――。
俺の前腕を締めるように
今、俺が身に着けている防護服は半袖で、生地が薄い。
濃厚な神界セウロスの魔力を体感している最中だから仕方ない。
だから、小さい龍の魔力たちが腕の表面を
そして、この<龍神・魔力纏>の行動は腕以外にも体中で起きていた。
更に俺が発動した<闘気玄装>、<魔闘術の仙極>、<血魔力>、<滔天内丹術>のスキル効果も加わって、より強力な<龍神・魔力纏>へとパワーアップを遂げている。
それらの複合的な要因で強まった様々な<闘気霊装>系統類が、<血魔力>、魔力、神経伝達物質と共に体の内側に陰陽図を作るが如く激しく行き交っていることは理解できた。
中でも<経脈自在>と<滔天内丹術>が包括的役割を担ってるのか――。
『大人しくなったか、四神、霊獣か。俺と融合したのか?』
『『『『……』』』』
四神の思念は獣としての息遣いのみ。
相棒のゴロゴロ音とは違う。
猛獣の息遣いだ。
すると、左前方で浮かび続けていた玄樹の珠智鐘から鐘の音が響いた。
更に、俺の周囲を回っていた腰に注連縄を巻く
「――デッボンッチィ、デッボンチッチィチッチィ」
と音色を発しつつ、玄樹の珠智鐘を引き寄せ、赤ちゃんのような掌で器用に掴む。
デボンチッチの手の大きさに合わせて縮んだ玄樹の珠智鐘から魔力の波動が迸る。
その魔力の波動を浴びた。
すると、体の内部、精神に感じていた四神の気配がパッと消えた? 否、小さくなった。
ピコーン※称号:四神の盟約者を獲得※
※称号:血の盟約者が躍動※多重連鎖確認※
※称号:センビカンセスの蜘蛛王位継承権が躍動※多重連鎖確認※
※称号:ラメラカンセスの蜘蛛王位継承権が躍動※多重連鎖確認※
※覇槍神魔ノ奇想と四神の盟約者が統合サレ進化します※
※称号:覇戈神魔ノ統率者を獲得※
おぉ、称号が進化。
ピコーン※<玄武ノ纏>※スキル獲得※
※<玄武ノ瞑想>※スキル獲得※
※<玄武ノ探知>※スキル獲得※
※<玄武ノ纏>と<玄武ノ瞑想>と<玄武ノ探知>が融合します※
※<玄武ノ心得>※恒久スキル獲得※
ピコーン※<青龍ノ纏>※スキル獲得※
※<青龍ノ瞑想>※スキル獲得※
※<青龍ノ探知>※スキル獲得※
※<青龍ノ纏>と<青龍ノ瞑想>と<青龍ノ探知>が融合します※
※<青龍ノ心得>※恒久スキル獲得※
ピコーン※<白虎ノ纏>※スキル獲得※
※<白虎ノ瞑想>※スキル獲得※
※<白虎ノ探知>※スキル獲得※
※<白虎ノ纏>と<白虎ノ瞑想>と<白虎ノ探知>が融合します※
※<白虎ノ心得>※恒久スキル獲得※
ピコーン※<朱雀ノ纏>※スキル獲得※
※<朱雀ノ瞑想>※スキル獲得※
※<朱雀ノ探知>※スキル獲得※
※<朱雀ノ纏>と<朱雀ノ瞑想>と<朱雀ノ探知>が融合します※
※<朱雀ノ心得>※恒久スキル獲得※
※<玄武ノ心得>と<青龍ノ心得>と<白虎ノ心得>と<朱雀ノ心得>が融合します※
ピコーン※<四神相応>※恒久スキル獲得※
――おぉ!
凄まじいスキル獲得ラッシュ。
最終的に<四神相応>の恒久スキルに進化したか。
スロットなら、ビンゴビンゴビンゴ、ラッキーセブンが揃った感じだ。
四神の魔力と融合できたことで、四神に纏わるスキルをゲット!!
……この<四神相応>は調べなくても、三つのことが自然と理解できた。
一、四神の能力がある程度発動可能。
二、四神の装備が装備可能。
三、四神の装備と関係するモノが近いと反応する場合あり。
四神に纏わる遺跡に装備が、神界セウロス、玄智の森、惑星セラの地表にあるということだろう。
しかし、毎年、この武王院で優勝した院生は、四神柱とこういった接触修業をこなしているのだろうか。
だとしたら、優れた仙武人もタフで強い。
<導想魔手>の高度を下げた。
「――シュウヤ、四神とコンタクトを!?」
「おう、スキルを色々と獲得した」
<四神相応>と内包されている<玄武ノ纏>を意識。
体内の魔力の質も玄武の心が混じっているような感覚で違和感がある。
「「「おぉ」」」
四神闘技場にいるエンビヤとイゾルデとノラキ師兄が驚きの声を上げている。
<四神相応>と<玄武ノ纏>を解いた。
精神力と魔力を消費した感があった。
胆汁のようなモノは溢れてこないが、胃が捻れる感覚は……初期の頃の<仙魔術>と同じ感覚か。
そして、その皆が見守る床には戻らず。
四神柱の玄武のレリーフの下を凝視。
この四神柱には〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟と似たレリーフが沢山あるからな……。
それらのレリーフを観察しながら……。
薄着の防護服を展開してくれている
すると――。
注連縄を腰に巻く
その注連縄を腰に巻く
更に、
玄樹の珠智鐘の鐘の音が強まる。
除夜の鐘ではないが、その強い鐘の連打音が合図のように――。
周囲のデボンチッチたちが
グアアンッという甲高い音が響く。
思わず書物を落としそうになった――。
が、逆に
その
捲られていく頁は白紙ばかり。
が、徐々に光る文字が出現し始めた。
捲られるのが速すぎて<翻訳即是>が追いつかない。捲られてゆく頁の真上に光る梵字のアニメーションが展開された。
梵字で人の手の印を表している?
あ、曼荼羅?
ネオンが強いアニメーショングラフィック。
ホログラム的で、SF感が強いことが面白い。
ブルービーム計画を連想する。ま、極めて優れたプロジェクションマッピングのほうが正しいか。
と思ったところで、捲られていた頁が止まった。
アニメーションも消える。
白蛇竜小神ゲンの輝く魔法の文字が浮かぶ。
と、魔法の文字は四神柱の下のほうに移動した。
俺も白蛇竜小神ゲンの輝く魔法の文字を追う。
<導想魔手>を一旦消して真下に移動。
「「「おぉぉ」」
「きゃぁぁぁぁ」
「黒髪の新入生素敵~~」
「エンビヤよりわたしを見てぇぇぇ」
「きゃぁぁ」
「うるせぇぇ」
「俺をミロォォ」
「四神の魔力が見えたぞぉぉぉ」
「取り込んでいたようにも見えた!!」
「おぉぉぉぉ」
「四神と特別な盟約を結んだのかァァァ?」
「すげぇぇぇ」
「「おぉぉ」」
歓声が凄い。
しかし、野郎の黄色い声は聞きたくない、背筋が凍る。
肝心の白蛇竜小神ゲンの魔法の文字が柱と融合した部分は、柱の根元よりは上の部分。
滝壺の水面に近い部分で、小さい白蛇の硝子?
あのガラス細工のような白蛇が……。
白蛇竜小神ゲン様?
「――ここからでは見えませんが、四神柱には
「――そうらしい、白蛇竜小神ゲン様の反応だと思う」
「――おぉ、今まで気付かなかった!」
「はい、わたしもです!」
「エンビヤ、シュウヤの持つ書物はなんだ?」
「あれは、
「あぁ、あれが……」
「はい」
ノラキ師兄にエンビヤが説明していた。
「神界セウロスの白蛇竜小神ゲンの微かな魔力が、否、魂の欠片が玄智の森に……」
「その言い方だと、魔界側との激しい戦いで白蛇竜小神ゲン様は倒された?」
「我と同じく激戦が好きだったはず。だとするならば、我が知らぬ間に、暴虐の王ボシアドや淫魔の王女ディペリルの諸勢力に倒されたのかもしれぬな」
「……反応はかなり小さいから、倒されていた説が高いか。だとすると白蛇竜小神ゲン様と関わる物があの硝子か」
大きさ的にアクセサリー的な物かな。
まだ分からないが……。
「シュウヤ様の魂と神遺物に呼応したのだろう」
イゾルデの言葉に頷くと、レリーフの中にある白蛇竜小神ゲン様だと思われる小さい白蛇竜が実体で出現。
同時に
その小さい白蛇竜は、
「ゴァ――」
と鳴きつつ――。
近付いてくると、直前で止まる。
竜ってより龍だが、渋い竜の落とし子的か。その小さい白蛇竜は「ゴァ……」と白色と黄色の息を吐きつつ更に寄ってきて、俺の指に触れた。
その直後、小さい白蛇竜は散る。
「あ!」
「あぁ~!」
「「ええええぇぇ」」
「短槍が出現した!」
小さい白蛇竜は短槍に変化。
穂先は蛇矛で、柄には硝子で白蛇の絵柄が刻まれている。
その白蛇竜小神ゲン様の短槍を掴む。
短槍で、雷式ラ・ドオラを想起する重さだ。
こりゃいい――。
掌で白蛇竜小神ゲン様の短槍を回しつつ――。
すると、腰に注連縄を巻く
その玄樹の珠智鐘もポケットの中に仕舞う。そして腰に注連縄を巻く
エンビヤとイゾルデとノラキ師兄がいる四神闘技場の上を滑るように着地。
――戻った。
「シュウヤ、その槍は!」
「おう、白蛇竜小神ゲン様の短槍だろう」
「槍が具現化? ……
「……神槍の短槍とはな。優勝はシュウヤだろうと読んでいたが、四神柱のすべてから魔力を得て、自身に取り込みながらも平然としているとは……驚きの連続だぞ」
「はい。普通は一つの四神柱の四神から魔力を送られるぐらいですから……」
ノラキ師兄とエンビヤがそう発言。イゾルデは不思議そうな顔付きで俺を見て、
「シュウヤ様の得物が増えた。エンビヤから二槍流を学んでいた理由か」
「おう。一の槍の風槍流が主力なのに変わりはないが、二槍流、三槍流、四槍流も学んでいる」
「ふふ」
「……」
「そ、そうだったのか……」
エンビヤとも模擬戦はこなしているが……。
イゾルデは少しショックを受けた?
エンビヤは自信を得たように胸を張っていた。
ノラキ師兄は二人を見て『何の話だ?』的に片方の眉を上げつつ俺を見る。
『知らんがな』
と心で応えていた。
すると、
「シュウヤ殿! 四神の魔力を!」
「シュウヤ殿! その武器は! そして、新しい<魔力纏>を開発したのか!」
「シュウヤ! 新しい槍がいきなり出現したが!」
周囲の滝壺の蓮から――。
シガラさん、クレハさん、ダンが、俺たちがいる四神闘技場に跳び移ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます