七百三十八話 魔人ソルフェナトスと戦い
ソルフェナトスはそう宣言。
そして、
「血を纏う加速技を最初から使えよ?」
「おう」
<血道第三・開門>――。
<
<血魔力>を体に纏う。
<魔闘術の心得>も意識。
魔力が溜まる丹田から全身に魔力が巡る。
「素晴らしい魔力操作の練度だ」
ソルフェナトスに褒められた。
「――閣下、素敵です」
「使者様~、ファイト~♪」
「ん、さっきより魔力のうねりが激しく見える」
「うん……それだけソルフェナトスが強いってことね」
「はい……」
「愛するご主人様! 雄としての強さを見せるのだ!」
素のヴィーネらしい言葉だ。
ソルフェナトスは皆の様子を窺ってから俺を見る。
赤い魔眼に映る俺。
気合いの溢れる厳つい相貌だ。
しかし、どこか寂しい印象を受けた。
そんな二面性を感じさせたソルフェナトスは鋼色の魔槍の握りの位置を変える。
半身の姿勢を維持しつつ俺を見ながらゆっくりと……横に歩き足の魔力を強めると、全身の魔力を強めるように銀色と紫色の魔力を体から放出する。
鎧の節々から漏れた魔力は質が高い。
そして、鎧の溝から出た紫紺の魔力は下から上に湾曲しているから、その魔力は翼って印象だ。
そのソルフェナトスからプレッシャーを感じた。
直に肌が痺れる的なモノはないが……。
アキレス師匠やクレインと戦った時を想起した。
極まった武芸者の域だな。
魔人と言うより武人のソルフェナトス。
鋼色の魔槍の角度を変える。
タイミングを測っている?
連続的な斬り技を想定しているのか。
そのソルフェナトスに、
「歩くだけか?」
そう分かりやすく挑発を行う。
「ふっ」
笑ったソルフェナトス。
また魔槍と魔剣の構えを変えて――。
「行くぜ――」
前進してくる。
鋼色の魔槍の穂先がぶれた――。
直槍の穂先を活かした<刺突>のモーションだ。
その直槍の穂先が前へ前へと三つに分身して見える速度で迫る。俺は自然体のまま――魔槍杖バルドークを下に傾けた。
嵐雲の穂先で鋼色の魔槍の穂先を受けた直後、手首を落とす。微妙に魔槍杖の角度を変えると鋼色の直槍の穂先は魔槍杖の柄の表面を上手い具合に滑り落ちる――。
リコの技術で鋼色の直槍の受け流しに成功するや側面に移動――。
そこからソルフェナトスの接地を更に崩す狙いで――魔槍杖バルドークを握る右手を持ち上げた。
下から竜魔石の石突がソルフェナトスの顎先へと向かう。
ソルフェナトスは魔槍杖バルドークの柄頭の竜魔石を凝視しつつ下にズレた鋼色の魔槍を片腕で持ち上げると右へと横回転。
『顎砕き』狙いの竜魔石を避けた。
右側に出たソルフェナトスは後退。
間合いを取ったが、いきなり、下腕が握る魔剣を下投げで放ってきた。
紫紺の魔剣の切っ先と剣身が回転しながら俺の胸元に迫る。
俄に両手で捻り回した魔槍杖バルドークの中央の柄で、飛来した魔剣を受けた。風槍流『中段受け』が成功した。
が、魔剣は重い。
魔槍杖バルドークが震動しつつキィンと硬質な金属音が響いた。
そして、<投擲>の威力に押されて後退する。
と、見せかけた――。
魔力を集中させたアーゼンのブーツで地面を蹴って前傾姿勢で前進。
――ソルフェナトスは手に俺が弾いた魔剣を引き戻していた。
そのソルフェナトスとの間合いを詰めた。
腰を捻り重心を低くし、背筋と腰筋と足に魔力を溜めた左足で地面を穿つ踏み込みから――。
魔槍杖バルドークの<刺突>を繰り出した。
右手で正拳突きを行うが如くの、突き出た嵐雲の穂先がソルフェナトスの胸元に向かう――。
が、ソルフェナトスは鋼色の魔槍を盾代わりに<刺突>を見事に防ぐと――鋼色の魔槍を斜めに上げて横回転するや魔槍杖バルドークを内に引き込む。
当て身から武器を取る技か。
狙いを察知した直後に、右手から魔槍杖バルドークを消す。
即座に引いた右手に魔槍杖バルドークを再出現させるや<豪閃>を繰り出した――嵐雲の穂先がソルフェナトスの首に向かう。
ソルフェナトスは「チッ、便利な魔道具だ――」と言いながら縦に構えた魔剣で自身の首に迫った<豪閃>の嵐雲の穂先を防ぐと、その防いだ魔剣を握る手を離した。
鋼色の魔槍を二つの手で握り直す。
「――<渠妙愚閃>」
――薙ぎ払いか。
鋼色の魔槍が脇腹に迫った。
左手に移した魔槍杖バルドークの柄で――。
その<渠妙愚閃>を防ぐ。
魔槍杖の柄と鋼色の直槍から火花が散った。
胸元に火花が掛かる中、右手の掌で魔槍杖の柄を下から押し上げた――。
俺の狙いはソルフェナトスの頭部だ。
だが、嵐雲の穂先は難なく魔剣の腹で防御された。
ま、想定の範囲だ。
素早く左手に神槍ガンジスを召喚――。
その神槍ガンジスで<牙衝>を放つ――。
しかし、ソルフェナトスは反応。
鋼色の魔槍を斜め下に出して神槍ガンジスの<牙衝>を防ぐ。
方天画戟と似た双月の矛と鋼色の直槍の矛が激しく衝突し、足下から火花が散った。
その火花を消し飛ばすように、魔槍杖バルドークの穂先で地面を突いての右回しの中段蹴り。
が、その中段回し蹴りにも、ソルフェナトスは魔剣を上げて反応、柄で蹴りは防がれた。
蹴り終わりのモーション中に――。
両手から魔槍杖と神槍を消去。
再び両手に魔槍杖と神槍を出現させる。
<双豪閃>。
「ぬぉ――」
驚いたソルフェナトス。
赤い魔眼の中心の小さい黄金色の瞳を拡げつつ――。
二腕持ちだった鋼色の魔槍を一つの腕に移行させるや、他の二つの腕がそれぞれに持つ魔剣で円を宙に描く。
更に、その片方の魔剣を<投擲>――。
<双豪閃>の魔槍杖バルドークと神槍ガンジスの薙ぎ払いに、二つの魔剣を交互に衝突させつつ<投擲>をも当てて<双豪閃>の威力を減退させてきた。
ソルフェナトスは呼び寄せた魔剣と魔槍を操作しつつ、自身の右の上腕が握る鋼色の魔槍で、神槍ガンジスと魔槍杖バルドークの<双豪閃>を受けきった直後――。
全身から銀色が濃くなった紫紺の魔力を噴出させるや――。
「ぬおおおおお」
気魂溢れる声を叫ぶ。
ソルフェナトスの体がブレた。
加速しつつ鋼色の魔槍で<刺突>の反撃を寄越す――。
基本とは思えない<刺突>を上段受けの魔槍杖バルドークで弾く。
右腕ごと槍と化したソルフェナトスへ向けて反撃を、と考えた瞬間――。
「<愚導魔・剣槍鬼>――」
左右から魔剣と魔槍が迫った。
咄嗟に頭部を引く――鼻先を左右に通り過ぎた魔剣と魔槍が俄に反転――が、ソルフェナトス自身も攻撃のモーションに入っていた。
――鋼色の魔槍の穂先で俺の足を狙う?
<牙衝>か!? 下段攻撃が来ると判断した刹那――。
目の前の地面が炸裂。
礫が飛来して視界を失った――。
ドッ――ぐぇあ――背中に強い衝撃――。
腹に違和感――げぇ。
鋼色の魔槍の穂先が腹から出ていた。
ソルフェナトスは背後に回っていたのか――。
その鋼色の魔槍の穂先は一瞬で消える。
鋼色の魔槍を引き抜いたソルフェナトスを見ようと、振り返ろうするが――。
上と斜めから魔槍と魔剣が迫った。
刹那――。
振り向こうとした背後から――。
ガッと、更なる強い衝撃を受けた。
背中と後頭部を失ったような感覚――。
気付いたら吹き飛んで地面を転がりつつ遺跡の岩場に激突――。
グアァンと重低音が脳内に響き、魔槍杖バルドークと神槍ガンジスを見失う。
同時に喩えようがない激しい痛み。
――盛大に血を吐いた。
「「シュウヤ!」」
「にゃごおおお」
心配する皆の声が響いた。
その皆の声援が力となって地面を片手で突いた。
反動で横に跳んだ――。
真っ赤に染まる視界に礫が迫る。
礫を腕で払う――。
俺がいた地面は抉られていた。
追撃のソルフェナトスの一撃。
鋼色の魔槍を持つ二つの腕は太く長い。
ソルフェナトスは強い。
痛みと畏怖が身を焦がす……が、同時に心が喜びに奮えた。
偉大な武人ソルフェナトスと戦えたことに神々へと感謝を抱いた。
ソルフェナトスは地面に刺さる鋼色の魔槍を引き抜いた。
そのまま得物を振り回して俺を凝視。
ソルフェナトスの指ぬきグローブ風の骨魔武具から煙が立ちのぼっている。
俺の背中と後頭部に受けたダメージは……。
あの拳の上に漂う骨刃のショットガンか……。
『主……大丈夫か? 敵は個人戦闘なら最高クラスの強さだ……』
『ふむ……背後からの強烈な骨刃は<御剣導技・沙剣桜花擢>的な威力がある……<仙丹法>系のスキルが欲しいところであるが……蛸の魔印、器の力を信じろ』
『……分かった』
左手に棲まうシュレゴス・ロードから心配されたか。
同時に<神剣・三叉法具サラテン>の沙から強い信頼を感じる。
腰の魔軍夜行ノ槍業は静かだ。
閃光のミレイヴァルとフィナプルスの夜会は振動している。
悪いが、二人は使わない。
「主……俺を使え」
<武装魔霊・紅玉環>のアドゥムブラリも反応。
指輪の表面からぷっくりと半球の額が盛り上がっている。
「そうだな――」
アドゥムブラリの額に
右手が<ザイムの闇炎>で燃える。
しかし、俺のハルホンクの防護服をあっさりと貫いたってことだ。
そのソルフェナトスは<ザイムの闇炎>で燃えた右腕を見ては、片腕に魔剣を引き寄せる。
と、続けて鋼色の魔槍の切っ先を俺に向けた。
「闇の炎か。魔界の力ってか。そして、回復力は高祖吸血鬼と大差ないが……反応速度が並じゃねぇな――」
そう喋りつつソルフェナトスは前進。
同時に俺の左右から魔剣と魔槍が迫った。
目の前からは加速したソルフェナトスが迫る。
ソルフェナトスの槍歩法を見て――。
強いアキレス師匠を想起。
<脳脊魔速>が脳裏に浮かぶ。
――が、まだだ。
目の前のソルフェナトス目掛けて――。
<
咄嗟に衝撃波を察知したソルフェナトス。
鋼色の魔槍と魔剣で十字受けを行う。
が、衝撃波を受けて吹き飛ぶ。
俺は覚えたばかりの<血想槍>を実行――。
――血を纏う聖槍アロステ。
――血を纏う王牌十字槍ヴェクサード。
――血を纏う魔槍グドルル。
それらの血を纏う槍が――。
ソルフェナトスが実行中だと思われる――。
<導魔術>系の<愚導魔・剣槍鬼>が操る魔剣と魔槍を宙空で受け止めた。
俺は自身の血の視界から出るように前進――。
右手に聖槍ラマドシュラー。
左手に雷式ラ・ドオラ。
を召喚――そのまま駆けた。
「シュウヤ、いっけぇぇぇ――」
「ん、シュウヤ! シュッ、シュッ、シュッ!」
「ご主人様の背中と頭部が……信じられない……」
「あぁ? ただの頭と背中だろうに。そして、再生したではないか、一々騒がしい奴らだ」
「にゃごぉ」
「黙りなさい頭蓋骨――」
相棒とキサラの怒った声がキストレンスを黙らせた。
ソルフェナトスは地面に刺した鋼色の魔槍と魔剣の切っ先を持ち上げつつ、
「血の技か――」
そう発言して――。
鋼色の魔槍を持つ拳を俺に向ける。
その拳の真上に浮かぶ骨刃が飛来。
無数に迫る骨刃に向けて――。
聖槍ラマドシュラーを活かす。
ノーモーションのまま<攻燕赫穿>を繰り出した。
突き出た聖槍ラマドシュラーの穂先から――。
赫く燕が出現――。
聖槍の穂先と重なった赫く燕。
その燕から無数に小さい燕が周囲に出る――。
と、無数の骨刃と燕が衝突し、骨刃をすべて相殺。
そのまま赫く燕と一体化した聖槍ラマドシュラーを持った俺は爆発的な加速で前進――。
ソルフェナトスは全身に魔力を溜めていた。
銀色と紫紺の魔力を纏う鋼色の魔槍を引く。
<刺突>のモーション。
突き系の必殺技か?
「<愚王鬼・一紫槍>――」
ビンゴ――。
ソルフェナトスは体と鋼色の魔槍から、それぞれに紫紺の鬼の形相の幻影を出現させつつ前進。
魔界セブドラの神か、その眷属か?
――腰の魔軍夜行ノ槍業が震える。
鋼色の魔槍が物の見事に紫紺に染まっていた。
後部から紫苑の幻影の花々が咲いている?
その紫紺の魔槍の切っ先と赫く燕と一体化した聖槍ラマドシュラーの穂先が激突した直後――。
聖槍ラマドシュラーから淡い戦巫女イシュランの幻影が出現するや否や、爆発的な火花が赫く燕の形に変化しながら紫紺の魔槍を覆う。
紫紺の魔槍を持つソルフェナトスの左腕と左肩と胴体の一部が消し飛んだ――。
「閣下の聖槍ラマドシュラーが爆発!!」
ヘルメの声が効果音となったように、ソルフェナトスの紫紺の魔槍は弾け飛ぶ。怯んだソルフェナトスは右腕から武器を手放し、失った左腕を押さえるポーズから、
「ぐあぁぁぁ――」
と叫ぶと、後退した。
だが、瞬時に額と胸元から出た魔族の魔印が輝くと――。
ソルフェナトスの左の上腕と下腕に胴体の一部は再生。
すげぇ回復力。
右腕に他の魔槍を引き寄せたまま横回転。
ソルフェナトスは巧みなステップで距離を取る。
俺は<魔闘術>を活性化させつつ――。
<水月血闘法・鴉読>を発動。
足下から血の鴉が湧き上がる。
同時に<
地面に突き刺さっていた神槍ガンジスを近くに引き寄せたまま前進し、加速。
左手に雷式ラ・ドオラ。
右手に聖槍ラマドシュラー。
その二本の槍を握り神槍ガンジスを漂わせたまま、ソルフェナトスとの間合いを一瞬で詰めた。
そこから<刺突>のモーション。
俺はこのまま『突きを行うぜ?』と、あからさまなモーションを取る。
ソルフェナトスに上半身の防御を意識させた直後――下半身がお留守のソルフェナトスの足を狙う。
右足刀蹴りを繰り出した――。
「チッ」
と、舌打ちをするソルフェナトス。
宙に浮く神槍ガンジスがチラついたこともあると思うが、フェイントに掛かった。
しかし、反応は早い。
ソルフェナトスは武器を離した右手の下げた掌で俺の蹴りを受けるや――右腕に武器を引き寄せる。
「――舐めるな! <愚皇・連羽襲>――」
その右腕の魔剣でフェイク。
スキルを発動。
二つの魔剣の突技か。
否、魔槍と足の連続的な突技を繰り出してきた。
再生したばかりの腕から繰り出す突き技は遅い。
が、それが緩急を生む。
他の腕と足の最初の突きを、横に避け、屈んで避けたところで――後の突きは血の鴉が俺の代わりに受けて消失していった。
血の鴉のお陰で避けることはできているが、凄まじい連続技の質。
更にソルフェナトスは加速して蹴り技を繰り出す。
<
「反応が速ぇし防御が硬ぇ!」
業を煮やしたようなソルフェナトス。
<愚導魔・剣槍鬼>を操作。
俺も<血想槍>を操作する――。
――聖槍アロステ。
――王牌十字槍ヴェクサード。
――魔槍グドルル。
――血を操作し、魔槍杖バルドークを拾う。
ソルフェナトスが操る複数の魔剣と魔槍の攻撃を<血想槍>で往なす。
ソルフェナトス自身の攻撃も激しいが――。
俺は右手が握る聖槍ラマドシュラーを斜めに傾けて二つの魔剣の斬撃を弾いた。
同時に<
巧みな四腕の武術だ。
が、俺も対応。
連続的な突き技を往なし続けた。
十五合は打ち合った。
一呼吸を入れたソルフェナトス。
突然、前蹴りを繰り出す。
俺は雷式ラ・ドオラで蹴りを受けた。
そのソルフェナトスの足先から骨刃が湾曲しつつ伸びてきた――。
ハルホンクの防護服ごと膝と太股が裂かれる。
伸びた骨刃が頭部に迫ったが、構わず――頭部を傾けつつ両手から武器を消して間合いを詰めた。
<霊血装・ルシヴァル>が骨刃を弾く。
「なんだと!?」
驚いたソルフェナトスは周囲の武器を落とす。
構わず近々距離戦に移行。
<槍組手>の技術を活かす――。
魔剣の柄と伸びたソルフェナトスの左腕を――。
右手の甲と手首で受けた。
そして、デルハウトの『魔人武術・魔擒拿』を参考にした擒拿術でソルフェナトスの左腕を掴む。
続けて、左肘の打撃を、ソルフェナトスの左肘に当てる。
「ぐっ!?」
俺は左腕をソルフェナトスの左腕に絡めつつ風槍流『右背攻』を繰り出した。
「ぐぁ――」
ソルフェナトスの胸に、俺は肩と背中の打撃を喰らわせると同時にソルフェナトスの左腕を右肩に乗せつつ、そのソルフェナトスの左腕をむりやり捻り曲げた。
※ピコーン※<魔人武術・光魔擒拿>※スキル獲得※
「げぇぇぇぇ――」
ソルフェナトスは体を前に回転させて変形立ち関節から逃げようとするが――力で強引に押さえ込む。
そのままソルフェナトスの背中にある両腕ごと雷式ラ・ドオラで拘束――。
「ぐあぁぁぁぁ」
再生が速いソルフェナトスは体が仰け反ったまま痛みを連続して味わう。
<槍組手>の打撃を加えた変形立ち関節からの擒拿術は味わったことがないだろう。
V1アームロック、ガジャプターカパラ、アメリカーナ、等と<槍組手>を合わせた独自技術だ。
そのソルフェナトスに対して――。
<
<血想槍>で操作した――。
聖槍アロステ――。
王牌十字槍ヴェクサード――。
魔槍グドルル――。
魔槍杖バルドークを差し向けた。
ソルフェナトスの背中側で四腕を拘束中の雷式ラ・ドオラの締め付けを強めて……。
ソルフェナトスの片腕を折った。
「ぐぇぇ……ま、参った」
「降参か?」
「あぁ……まさか、ここまでとは……ぐ……締め付けを……」
すると、
「ふふ!! 大勝利!」
「使者様のエッチな<槍組手>を受けたい♪」
「はい! え? と、とにかく素晴らしい格闘技術です」
「魔人武術だと思いますが風槍流の<槍組手>もあるのでしょう」
「今開発したばかりの新しい関節技かと思います」
「ん、すごい!」
「閣下の手先は器用ですから、御業は豊富です!」
「ん!」
「……あのソルフェナトスが……」
「骨人形のキストレンスちゃん。なに、逃げようとしているの?」
「にゃご――」
俺からは小躍りするレベッカの姿は見えない。
相棒の姿は想像できた。
が、この関節技はまだ解かない。
「なぁ……離してくれないのか」
「口では、なんとでも言えるからな……」
と、ボキッと、ソルフェナトスの片腕をまた折る。
「げぇぇぇ――わ、分かった。キストレンス! そこの方々に俺が回収していたモノを渡せ――」
「な、本気なのか!!?」
「そ、そうだ……」
「チッ……色々とあるが……しかし、この黒豹を退かしてくれ……」
「相棒、今は何もしないでいい」
「ンンン」
「倒したばかりの……腕と足があるだろう」
「ん、ロロちゃんここ」
「にゃ~」
「キュ~」
「鬼婦ゲンタールか……しかたねぇ……だれに渡すんだ」
「って、わたし?」
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