七百六話 不思議な音階段と魔封層の戦場
鐘とチェロの音が響いた。
壇の左右の石像は大きく欠けている。
「マスター、不可解な魔風を感知。戦闘型デバイスのナノ防御機構が自動作動。不可思議な次元放射線の類いと認識。スキャン中……解析不能。極めて危険。ディメンションスキャンが機能しません。魔素転換効率も狂っています。ここではカレウドスコープの機能も狂うはずです。アンノウン・ソルジャーとの遭遇確率は96%。気を付けて!」
「おう」
右腕の戦闘型デバイスに浮かぶ小さいアクセルマギナが警告。
小さいガードナーマリオルスも無言だが球体の丸みを活かすようにぐるぐる回っていた。
纏わり付くような黒霧を気にせず数段下りると、風か闇の魔力的な風が体を吹き抜け、前髪が持ち上がった。
音を響かせる階段の感触は硬い。
足下は足の形に光っていた。相棒の足跡が可愛い。
だが、すぐに黒霧が覆った。
階段も人工ケムトレイル、いや、人工ミストのように、黒霧が足下を覆っていて、下のほうは見えない。
階段の下のほうの黒霧が強まっているようだ。
微粒子状の毒物とかが黒霧にミクロの単位で入っていたら危険だな。
アクセルマギナのナノ防御と光魔ルシヴァルの体内なら再生が勝つだろうとは思うが……。
危険そうな黒霧で音階段の幅が狭くなっている。
左右の神界セウロスの神々を模した石像は見えなくなった。
また数段階段を下りた。
下りる度に音階段から響く音程が強まる。
階段を下りる度にアーゼンのブーツは霞隠れ。
すると、神剣サラテンの沙が反応――。
剣身に神界文字と似た紋様が薄らと浮いた。
その浮いた紋様は瞬時に砕け火花の粒子となって剣身の中へと吸収された。
火花を吸収する剣身から沙の背中が見え隠れ。
背骨と背筋と腰にお尻の微かな凹凸の陰影を芸術的に見せるかのような点滅だ。
剣と一体化しているような美しい沙の幻影は上半身を起こす。
色っぽい空気の風が、周囲の黒霧を飛ばす。
半透明な沙の和風衣装は魅惑的。
しかし、胸元から下は急激に細まって足がない状態で神剣の柄と繋がっている。
精霊的な沙で<神剣・三叉法具サラテン>と一体化状態か。
動きだけなら<光魔ノ秘剣・マルア>と似ている。
『器よ、様々な神界の力が宿る階段と、ゲッセリンクの音のスキルで保たれた場ぞ。しかし、封印力は脆弱である。石像が破壊を受けた故であろう』
『黒霧は安全か?』
『器たちは安全である』
『黒霧は毒的なモノ?』
『瘴気の類であろうとは思う』
すると、視界に浮かんでいる小型のヘルメが頷く。
沙の念話を聞いていたヘルメは、
『閣下、黒霧は瘴気、濃厚な闇属性!』
『常闇の水精霊ヘルメの念話の通りぞ。普通の人族ではない光魔ルシヴァルの器ならば活力を齎す部類である。そして、モンスターを強める効果がある』
『はい、闇属性の黒霧。魔界、獄界、瞑界などにある瘴気の部類です』
『俺たちなら平気だが、キサラが』
『四天魔女も平気であろう』
『そうなのか?』
『本人に聞け』
とヘルメと沙から念話で情報を得た。
すると、相棒が、
「ンン」
「一応は、結界が作用していると判断できるが、ロロ、先に走るなよ」
「にゃ」
が、足下の黒霧に頭部を突っ込んでいる。
左右も黒霧。
壁はなく空間なのか?
階段の感触が気になる?
危なそうな黒霧が気になるのかな。
くすぐったいのかも知れない。
フガフガと肉球に鼻を押し付けるように連続的に噛む。
頭部を押し付けている片足の指と指の根元を拡げて、その指の間に頭部を埋めつつも、指の間を器用に噛んでは肉球を舐めて、また、その指の間を噛む。
その度に、足の爪が伸びては縮んでを繰り返す。
爪は黒豹だから大きく鋭いが、相棒の爪だから可愛い。
その片足で頭部を掻くように上下させるや、口元にまた片足の肉球を運ぶ。
舌で、その足の裏を舐めてから、再び黒霧に鼻先をつけた。
また、黒霧の匂いを嗅いでいた。
『……神獣の烈火の大炎ならば、黒霧と封印空間を焼き尽くせるかも知れぬ』
『上は神殿だ。特異空間だとしても、壊さない範囲で暴れようか』
『分かっておる。さきほども途中で止まったであろう』
『そうだった』
沙と念話をしていると
黒霧の匂いを嗅ぐのを止めて俺を見る。
『この黒霧、くちゃ?』
と言ったかは不明だが、そんな印象を抱く。
相棒は自身の濡れた鼻を舌でペロッと舐めた。
その鼻の孔を膨らませ拡げて窄ませつつ、ニカッと牙を見せる。
笑った?
『神獣は瘴気を食べたのか!』
「相棒、黒霧を食べたのか?」
「にゃおぉ」
触手で気持ちは伝えてこない。
その相棒は俺に呼ばれたと思ったのか頭部を足に寄せてくる。
ムラサメブレード・改を消去。
相棒の頭部を右手で撫でた。
その相棒の片方の耳を引っ張るマッサージを行いながら、
『瘴気の類の魔力は精神と魔素の感覚を狂わせるが、闇属性だから器には好都合』
『瘴気、毒みたいなもんだろうし、キサラが心配だ』
エヴァたちも階段を下りてくる。
そのことを皆に、
「皆、黒霧は見た目通り闇属性。瘴気って部類のモノらしい。沙はキサラなら大丈夫と念話で言っていたが、そうなのか?」
「はい、大丈夫です。姫魔鬼武装はメファーラ様の力。魔界の装備でもある。そして、ダモアヌンの魔槍にはメファーラ様の魔印だけでなく瘴気の力も宿っていますから。そして、黒魔女教団の教義が一つ、〝偉大な知記憶の王樹キュルハの根からの恩恵と神意の樹木の匂いを忘れるな〟です」
「キサラは魔界騎士みたい」
「ふふ、嘗て、犀湖都市で同じ言葉を言われたことがあります」
「エヴァは光魔ルシヴァルだから大丈夫だな。そして、四天魔女のキサラも、光魔ルシヴァルとして、そろそろ眷属化か」
「あ、はい! 近いうちにお願いします。しかし……」
「おう、気にするな。砂漠に向かう前か、ま、言っといて、まだあとだが」
「眷属化は体と精神が凄く痛い。けど、強くなる! でも、シュウヤはわたしたちより凄まじい激痛を……わたしたちには分からない激烈な痛みがあるはず」
エヴァは眉間に皺を作る。
そんな顔はエヴァには似合わない。の想いで笑みを意識。
「なぁに、いつものことだ」
「ふふ」
「ん!」
二人の天使の微笑を得た。
心が軽くなると、足取りも軽くなる。
相棒の頭部に乗ったような動きをする小型の幻影ヘルメも嬉しそうに微笑む。
『ふふ、キサラは勿論、<筆頭従者長>ですね』
『その予定だ』
すると、神剣サラテンが、
『器は神獣と同じく闇を好むから大丈夫である。そして、<旭日鴉の導き>ならば祓うことも簡単であろう。そして、さっきの先制攻撃は見事であった』
『狭い場所での急な攻撃には<鎖>もあるが、やはり<神剣・三叉法具サラテン>が頼りになる』
サラテンは、亜神ゴルゴンチュラも貫いた。
『よく分かっておる! 妾たちには<御剣導技>などもある。が、先ほどの不意を突く攻撃のような運用こそが、このシークレットウェポン系秘術:秘宝神具サラテン剣の基本であることを忘れるな』
『了解。左手に戻すぞ』
『うむ』
沙の上半身の幻影は神剣サラテンの柄と合体するように一体化。
神剣サラテンは掌から離れて浮かぶ。
フリーハンドの左の掌を刻む運命線的な傷はいつ見ても不思議だ。
そして、斜め下にある<シュレゴス・ロードの魔印>も光を帯びていた。
その魔印から桃色魔力の蛸足の先端が出た。
先端は頭を下げるようにペコリとお辞儀をした。
シュレの挨拶か。
すると、
「ングゥィィ……ングゥ、ル、ングゥルゥ♪」
「シュレの魔力は今はあげない」
「……ングゥゥィィ」
シュレの蛸足魔力の先端は掌の魔印の中に引き込んだ。
不満そうなハルホンクを意識。
衣装をミスランの法衣と魔竜王鎧と外套を併せた新装備にチェンジした。
短い丈のキルティングジャケットを意識した。
ズボン系に足先にはアーゼンのブーツを装着。
続いて、浮く<神剣・三叉法具サラテン>を意識。
神剣サラテンを鞘の中へと納めるように左手の掌の中に戻す。
そうして、また階段を下りた。
また階段から音が鳴る。
音は、鐘とチェロの音だ。
音が響く度に黒霧が薄まった。
傍に来たエヴァとキサラが、
「シュウヤ、階段の音が楽器を踏んで演奏している気分で楽しい! でも、霧は闇の魔力だから恐怖感もある」
「闇の魔力は階段を下りる度に弱まりますが、すぐに強まりますね。光は<音守・大楽譜魔封>の力と分かりますが、不思議です」
「にゃ」
相棒はエヴァとキサラに挨拶。
「あぁ、下のほうの黒霧は濃いし、もう階段も見えない。横も黒霧だけしかない」
『閣下、
『了解した』
ヘルメが言うように<夜目>も通じない。
左右は分厚い魔力の波と音波的なエネルギーが上下していると分かる。
そこで右手にもう一度鋼の柄巻を召喚。
その鋼の柄巻に魔力を通し――。
ムラサメブレード・改を振るった――。
――ブゥゥンと音が響く。
壁の薄暗い靄を裂くイメージで振るった。
薄暗い靄の手応えはない。
エヴァもトンファーで横の黒霧を突く。
キサラもダモアヌンの魔槍で突いた。
「――壁がない、もしかして、横は空中? あ、遠い右のほうに道がある? 光ってる」
俺は頷きつつ、エヴァが指摘する光っているところを見た。
「本当だ」
「横道にそれるように湾曲した光る道……」
幻の道のように見えるが……。
ペル・ヘカ・ライン大回廊にもあったような……。
巨大な穴越しの壁を掘った道とか?
「……あの遠いところに分岐している古道は、他の地下道かも知れないな」
「はい。音階段はセウロスの神々と関係があるようですから」
「地下の魔封層と直結した音階段とゲッセリンクは語っていた。が、現状は、この音階段を優先する」
「はい」
「ん、不思議な神殿と魔封層」
エヴァの言葉を聞いて、ふと、
「確かに、音階段自体が浮遊岩的な移動装置? 音符が出るから楽器移動装置か」
「ん、ふふ」
と笑顔を見せるエヴァっ子は本当に可愛い。
「ですね。特殊空間がそのまま下に続いているようですから」
そう語るキサラは珍しく不安そうだ。
そんなキサラの足に
……元気だせにゃ? かな。
黒霧は、魔素の感覚を狂わせるからな。
……魔素遮断型のモンスターが存在する以上……。
不意討ち攻撃の可能性はある。
荒魔獣モボフッドと骨剣魔人ブブルーは……。
魔界王子ハードソロウの眷属キュプロが棲んでいた遺跡で遭遇したヒトデ型モンスターの魔素遮断型タイプではないと思うが。
ま、何があるやらだ。
「……俺と相棒が先に下りる。俺と相棒なら急襲を受けても大概は平気だ。臨機応変にな」
「はい」
「ん」
「ンン、にゃ」
青緑色のブレードは目立つからムラサメブレード・改は消去。
正直、相棒に痛みは感じてほしくない。
攻撃を受けるなら俺が受ける。
そして、階段の下から、黒霧が包む影が上がってきた。
「――敵か? ロロ、俺が出る」
「にゃお~」
素早く<魔闘術>を纏う。
右手に魔槍杖バルドークを召喚。
下に向かう階段を駆けながら<血道第三・開門>を意識――。
<
右手の魔槍杖バルドークに<血魔力>を込める。
血と魔力を吸え、魔槍杖バルドーク――。
そして――<旭日鴉の導き>を実行。
指から出た小さい光を帯びた水鴉たちが俺の周囲を回る。
水鴉が俺の体に付着すると<
『閣下に無数の日輪と水鴉の幻影が!』
『え?』
『あ、日輪と水鴉たちは消えました』
『<旭日鴉の導き>効果か』
更に、数匹の水鴉が斜め下に向かう――。
速い水鴉は加速状態の俺の速度を超えて階段スレスレを飛翔しながら突進。
黒霧が包む影と衝突するや黒霧が消し飛ぶ。
黒霧を纏っていた存在は大柄の骨騎士。
「ウゴァァ」
四本腕の骨騎士の声が響く。
水鴉の噴水祭壇に現れていた骨騎士は二本腕が多かった。
あれが骨剣魔人ブブルーか?
その大柄の骨騎士の不意を打ったのか、大柄の骨騎士は魔法の網に掛かったように動きが遅い。
大柄の骨騎士との間合いを詰めた。
頭蓋骨を《
鴉の紋様が浮き沈みしていた。
――<旭日鴉の導き>の効果か。
即座に、<血道第四・開門>。
――<霊血の泉>。
血を纏う左足で階段を消し飛ばすような踏み込みから――。
<血穿・炎狼牙>――。
突き出た魔槍杖バルドークから迸る俺の血は巨大な狼を模る。
その血の炎の大きな狼は、炎の息吹を発しつつ突進――。
反応が遅れた大柄の骨騎士に血の炎の大きな狼が食らいつく。
炎の牙が胴体を裂いて歯形の形に大型の骨騎士の胴体を抉った刹那――。
大柄の骨騎士の背後に移動した血の炎の大きな狼が爆発。
爆発に巻き込まれた胴体が抉られた大柄の骨騎士は、背中から蒼炎に包まれつつ派手に吹き飛んだ。
最後に残った頭蓋骨の一部が蒼く燃えながら、俺の近くに落下。
まだ活動できるのか、燃えながらも頭蓋骨はカタカタと震えている。
その蒼い頭蓋骨目掛けて――。
引いていた魔槍杖バルドークの<刺突>を繰り出す。
嵐雲の穂先が頭蓋骨を穿った――。
基本の<刺突>だが、威力を物語るようにドドッと衝撃波が発生――。
左右の黒霧も吹き飛ばす。
大柄の骨騎士の頭蓋骨は粉塵と化して、跡形もなく消えた。
魔槍杖バルドークを消去。
さすがはアルデル師匠から教わった影狼流を基にしたスキルだ。
血槍魔流技術系統の最上位亜種突きなだけはある。
まだ続いている階段を足早に先に下りた。
下りる度に音程がずれて、いやな予感が増してくる。
黒霧も強まると――。
――剣戟音と重低音が響いた。
――震動波を感じた。
すると、斜め下の階段の先が見えた、月明かり?
黒霧が消えている。
あの微妙な明るさは【地下都市ダウメザラン】的だ。
背後から階段を下りてくる皆に向けて、
「――皆、階段の先が見えていると思うが、黒霧が消えてモンスターの反応もある。この先が魔封層の中心かも知れない」
「ん」
「はい」
「にゃおお」
黒霧を払うように掌握察を実行しつつ一気に階段を下りた。
階段終わりの空間が不自然に湾曲していた。
天井の出入り口のアーチが闇の炎だ。
更に、闇の炎が縁取った魔の異世界文字が刻まれた石板が浮いていた。
石板の文字は読めないが……。
恐怖を感じた。
<音守・大楽譜魔封>の効果が切れた証明だろうか?
違う世界に突入するようで躊躇するが……。
――ええいままよ! 吶喊だ!
「いくぞぉぉぉぉ」
皆に勇気を示すように――。
階段から地下に下りた。
――魔の異世界文字を刻む石板の真下を潜る。
何か膜的なモノを突き抜けた感覚を得た。
やった。無事に出た。
一気に開けた場所に出た――。
すると、胸元の<光の授印>が光った。
光は足下を射すと、十字架が目の前に出現。
十字架の下に草花が瞬時に芽吹く。
天籟の音が谺した。
どこか懐かしさのある風の音が身を撫でると、十字架は真上に飛翔して半透明になりながら黒霧の一部を突き抜けていった。真下にはオーロラ的な陽光が残っていたが、それも消える。
光は消えたが、陽光は俺に何かを伝えるように勇気をくれた。
そして、足下の小さな樹と草原。
樹は、ルシヴァルの紋章樹の形?
輝く血が滴っている。
周囲に、ゲッセリンクの<音守>のマークが浮かんだ。
さっきのような自然の音ではない、音叉の音も響いた。
耳に残るような音叉の音が連続で鳴ってから心を揺さぶるような――。
天使の階段的な甲高い音。
瞬時に階段の周囲に音の魔力が拡がった。
ゲッセリンク・ハードマンの魔力か?
ゲッセリンクの祖先たちの力が、俺の光魔ルシヴァルの力に反応し、呼応したか。
結界が拡がったようだ。
が、同時に結界の外に無数のモンスターの魔素を感知――。
数なら軍団規模だが、散らばっているのも多い。
モンスター同士がバラバラで無作為に暴れている?
『閣下、音! 音の魔力で結界が生まれたようです』
『あぁ』
『器よ、右の小さい石像を見るのだ。光っておる。まだ神々の石像の効力が残っているのかも知れぬ』
本当だ。しかし、ここは広い。
「マスター、複数の魔素を感知。フォド・ワン・ユニオンAFVを砦として活用しますか?」
「そうだな――」
広い場所に瞬時にフォド・ワン・ユニオンAFVを出した。
音叉の結界があるから大丈夫だと思うが、ま、簡易基地だ。
「アクセルマギナとガードナーマリオルス、出ろ」
右手の戦闘型デバイスから魔力粒子が迸る。
魔力粒子はアクセルマギナとガードナーマリオルスになった。
そのアクセルマギナとガードナーマリオルスに、
「フォド・ワン・ユニオンAFVの近くから皆のフォローだ。基本、依頼を優先。大砲はなし」
「はい――」
「ピピピッ」
「ん、シュウヤ。ここが地下の封魔層!」
「シュウヤ様……ここは安全地帯のようですが、戦場があちこちに……」
「あぁ」
皆の声に答えながらもう一度周囲を見渡す……。
――地下世界の戦場。
天井は三十メートルは超えていると分かるが、かなり高い。
横も斜めも、壊れた神々の石像ばかり、その近辺で火花が散る。
鷲の頭部を持つ獣モンスターと骨騎士モンスターが戦っている。
どちらも四本の腕剣を活かすような戦いっぷり。
強そうなモンスターだ。
荒魔獣モボフッド軍団が鷲の頭部と獅子の体を持つ獣モンスター。
骨剣魔人ブブルー軍団が骨騎士モンスター。水鴉の噴水祭壇で倒した骨騎士モンスターが多いが、腕の数と大きさがバラバラだ。四本腕が多く大小様々、亜種ばかりということか?
特に、角を持つ鷲の頭部と獅子の胴体のモンスターのほうは巨大だ。
光神の封印扉から神殿の内部に入ろうとした獣モンスターはもっと小さかった。
ゲッセリンクは『水火の争い』と語っていたが……。
封魔層の地下は戦場だ。
それにしても壊れた石像が多い。
石塁が積まれた砦もある。
石落としと忍び返しを備えた掘立柱建物的な櫓もあった。
湾曲した塁線を活かす作りか。
高台には複数の骨騎士の射手がいる。
その射手が放った魔矢が鷲の頭部のモンスターに突き刺さった。
骨騎士モンスター軍団は、砦を鷲の頭部を持つ獅子の体を持つモンスター軍団と争い中。
砦の内部には宝でもあるのか?
他でも散発的に争いがあるから、違うか。
すると、俺たちに近付く魔素が出現。
「ん、敵」
「シュウヤ様。左と右から敵が」
「数が多い左は俺が担当しよう。右はキサラ。エヴァと相棒はフォド・ワン・ユニオンAFVを基点にフォローを優先」
「にゃ」
「はい」
「ん、分かった」
左に駆けつつモボフッドを視認するや間合いを潰す前に――。
<
一度に複数のモボフッドを衝撃波の<
右手に鋼の柄巻、ムラサメブレード・改を出した。
左手に血魔剣を召喚――。
すると丘のような岩場からも他のモボフッドがわらわらと出現。
骨騎士も新手の俺に呼応するようにモボフッドに横槍を入れるが、たまたまだろう。
さて――左の敵に向かう前に。
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