三百二十五話 精霊珠想※
おっぱいどころじゃない。
名もなき神か未知のモノにコンタクトできる?
未知の知的生命体とコンタクトする。
それは長年の人類の夢。
地球外知的生命体探査、もとい、神様探査は、続けないとな。
だから、挑戦あるのみだ。
『……そういえば、まだ能力の確認をしていなかった。<精霊珠想>はヘルメとの一体化と分かるスキルだったが……本当に接触が可能なのか?』
『可能性があるだけです。閣下が<精霊珠想>を発動した状態で、わたしが、直に触れる必要がありますが』
ホクバの攻撃を防いだようにかな?
『それは、あれか? ホクバの時獏の魔力を吸い取ったように、この像の魔力を吸い取ってしまう?』
『いえ、戦いではないのでそんなことはしません。この像に眠っている魔力はもう極僅か。消えゆくように小さいです。それなのに、閣下に対してがんばろうと必死に……ですから、昔のわたしを……』
あぁ、そういうことか……。
俺が気付かないほどの微かな魔力を内に秘めた像。
そんな像の内部から、懸命に、俺に対して反応を示してきたことに、共感を覚えたのか。
ヘルメは俺の尻に住む前……。
『わたしは、しがない〝外れ精霊〟、名は水の妖精ヘルメ。一年に一回、この季節に一日だけ命を得ることのできる、この湖の精霊です』
あの時のヘルメの涼やかな声と瑞々しい格好……。
それに、至極のぱふぱふ……は、よ~く覚えている。
僅か一日だけの命の湖に住む精霊でしかなかったからな。
『……分かった。だが待ってくれ。皆に説明をする。そして自分の能力の確認のあとだ』
『はい、いくらでも』
看護師姿でなぜか宙を平泳ぎするヘルメちゃんを横目に、皆を見る。
「この寂れた像の先に、たぶんゾルの家がある。だが、まだ行かない。俺は少し実験を行う。ミスティ、兄の家だ。先に行っていいぞ」
「え? もう兄貴の家……」
ミスティは、兄の家が近いことを聞いた途端、動揺を示す。
不安か、憎しみか、血を欲しているのか、分からない。
が、彼女は双眸を変化させる。
ヴァンパイアスタイルを醸し出すように……。
焦げ茶色、琥珀色、淡褐色系の綺麗なメラニン色素の虹彩がじわりじわりと鳶色の虹彩を侵食していく。
同時に目尻と頬にかけて、皮膚に血管が浮くように青筋が立つ。
ルシヴァルの眷属としての迫力がある顔だ。
彼女は、博士、先生である前に……。
やはり、俺の、ルシヴァルの<筆頭従者長>の一人。
選ばれし眷属たちの一人なんだ。
と改めて認識した。
ハンカイ、ツアンのおっさん組も、綺麗なお姉さんとは違う吸血鬼のミスティとしての迫力を感じたのか、自然と、一歩、二歩、後退した。
そのタイミングで、ルシヴァルの紋章樹にある十個の大きな円を思い出す。
<筆頭従者長>としての意味を成す大円たち。
そして、ミスティを凝視しながら――。
<ルシヴァルの紋章樹>のエクストラスキルを強く意識した途端――。
<ルシヴァルの紋章樹>発動。
ブラッディサージテラー展開。
そんな見たことのない血文字が目の前に自動展開される。
未知の血文字は、指と手を模った。
俺に似た人型の頭部。
臍までを模る姿も……。
俺の形を血で作った?
が、すぐに俺の形は崩れて細くなると――。
黄金比を作るように螺旋の動きをしつつミスティとヴィーネの体へと纏わり付いていく。
しかし、ミスティとヴィーネは纏わりつく血に反応を示さない。
エクストラスキル<ルシヴァルの紋章樹>か<大真祖の宗系譜者>を持つ俺だけにしか見えない?
その纏わり付いた血の線は翳のようにミスティとヴィーネの背後に湧き立つ。
彼女たちの背後でゆらゆらとオーラのような氣の巡り的な血が揺らめく。
そのまま、血のオーラはルシヴァルの紋章樹を模る。
ルシヴァルの紋章樹の幹に刻まれた十個の大きな円はちゃんとある。
十個の大円は、それぞれ微妙に異なる大きな円。
大きな円の中に、ヴィーネとミスティの名が刻まれてある。
ヴィーネは第一ルシヴァル<筆頭従者長>。
ミスティは第五ルシヴァル<筆頭従者長>。
その名が記された大きな円の一つ一つが、カバラ秘術の生命樹を彷彿とさせる特別な魔法陣を形成するように……細かな線で繋がるさまは圧巻だ……。
そして、二十五の小さい円たちの<従者長>とも細かな線は繋がっていた。
ママニ、フー、サザー、ビア。
そして、自らの野望を達成させるための旅に出ているカルード。
皆、二十五の小さい円の中に筆記体的な古代文字が刻まれてある。
これは俺の一族の家系図みたいなものか?
ルシヴァルに通じる血に関する簡易ステータスみたいなものかな。
こういったものを見ると、ミスティも成長したらヴェロニカのように自分の血を分けた家族を作るのだろうか……と考えてしまう。
もしかしたら……。
血と金属を使った
知的生命体としてなら鋼鉄でも家族に迎えることは可能かもしれない……。
だが、ルシヴァルはヴァンパイア系。
さすがに血が通っていないと厳しいだろう。
まだ完成途中の新
人工脳、人工心臓、人工筋肉、人工血液を用いれば……可能か?
……難しそうだが、研究マニアの彼女ならいずれは到達できそうな気がする。
粘菌風の知的生命体的な金属なら可能かもな。
そもそもが、人族、人間の体内には、共生菌が無数に存在する。
ヒトや動物と共生する菌が、ヒトの意識に作用していたらとか、潜在意識に作用していたらとか、あんまり考えたくないが、俺もそうだ。光魔ルシヴァル菌が俺の自意識に作用していたらとか、怖いことを考えてしまう。
まぁ、この惑星は、いや、この世界は異常に上にも下にも横にも広い。
アンタッチャブルな存在はない。
やや、考えが広がりすぎたか。
ミスティ方面で考えると……。
金属加工ができるエヴァ。
紋章を持つ現地人の国、貴族関係者もいる。
あのような紋章を持つ貴族の数は少ないようだが……。
他にも竜を従える紋章の研究を行う国の機関もあるとサジハリは話していた。
だから、人工生命体を作り出そうとする研究者と転生者グループはいるはず。
国、貴族、秘密結社に支援を受けた優秀な錬金術技術を持つ大魔術師とか。
専門のスキルを持つ変な生命体はいるはずだ。
転移者と転生者に関係なく現地にミスティという存在がいる以上、可能性は無限大だ。
そして、ヘルメやヴィーネじゃないが……。
将来ミスティは、神聖ゴーレム帝国の女帝として君臨か?
そのタイミングで『バカね、そんなことより、研究よ、色々と調べないと!』と、ミスティの心の声が聞こえたような気がした。
と、一瞬の間に思考する俺も俺だ。
いや、<脳魔脊髄革命>の恩恵に感謝か。
すべてのことに感謝、南無。
と、寂れた礼拝堂の向こうを見ながら、
「……ゾルと出会ったのは、あの辺りだからな……」
そう指摘。
礼拝堂の右の裏だ。
あそこからローブ姿の男が登場した。
傷つき気を失っていたユイのことを……。
ある理由で見てくれた……。
特徴的な
ゾルの額にあった紋章とミスティの紋章を重ねるように思い出していく。
「……彼の家は、この廃れた礼拝堂の裏、小さい丘の上。山の上にある。坂に青白い石塔が残っていれば、すぐに分かると思う」
「……石塔。そういえば、モンスターの魔素が少しだけですが、遠のきましたね」
ヴィーネは翡翠の
彼女はラシェーナの腕輪から
小人にも見える闇精霊たちの色合いが少し血色に変化しているが、なぜ?
「……ふむ。確かに……この金剛樹の斧を振るい、縦横無尽に狩り続けていたせいもあると思うが……モンスターの動きが違う。ここを迂回している?」
「ン、にゃ」
「ついに、近くなのね……」
ミスティは不安気な面持ちが消えていない。
双眸に涙を溜めていた。
悲しみと憎しみ……少し
憎しみか……家族だ。
様々なことをミスティは思い出しては考えているのかもしれない。
「……ミスティ、大丈夫か?」
「……ごめん、まだ
そう語る表情は俺の心を貫く。
直ぐに、ミスティを元気付けるように――。
両手の内で、わざと、自分の頬を挟む。
「――いいさ。俺の胸を貸そうか?」
そう言いながら、変な顔を作った。
「ぷ、そんな変顔を作るマスターに胸を貸せ?」
ミスティはパッと表情を明るくさせてそう語る。
「――まったく、勿論、借りるわよ! バカ、優しいんだから!」
ルシヴァルとしての身体能力で、どんっと音を立てるように――俺の胸に飛び込んできた。
続けて、俺の二の腕ごと背中を締めるように、ぎゅっと両腕で挟んでくる。
彼女の両腕を優しく握りつつ、そのミスティの背中側へ手を回す。
「……ゾルの墓もあるが、無理なら……」
「ううん、もう、大丈夫だから」
見上げながら喋ったミスティの……。
その表情は、笑っているが、泣いているという感じだ。
「……だけど、マスターの匂いを嗅いでいたら血が欲しくなっちゃった」
「ふ、いいぞ。その血色の目と、口から尖らせている八重歯からしても、どうせ、最初から俺の血を吸うつもりだったんだろう?」
「そう、ばれていたか。んでは、頂きます!」
ミスティは目尻に指を当て、小さく敬礼すると、噛み付いてきた。
「……ご主人様、わたくしも後で……」
ミスティのように噛み付いてはこないが、ジトッとした視線で、銀の双眸を血色に染めているヴィーネさんが物欲しそうに語る。
「あとでな」
その間に、血をたっぷりと吸い終わったミスティ。
喉を震わせるように綺麗な小さい喉仏を見せ、恍惚めいた表情を浮かべながら俺の胸元から離れていた。
そんな彼女は小さい口から、血を一滴たりとも逃さないというようにぺろりと舌を使い唇を舐めている。
「……さ、ご馳走になって冷静になったし、兄の家と、この辺を先に見てくるとして、マスターの実験とは、ホクバから入手した変な箱のことかしら?」
そんなことを聞いてきた。
「あの箱の回収を見ていたか。あれはゾルの家についてからの予定。実験とは――」
左の目元に人差し指を当て、とんとんと叩きながら、
「新しく獲得したスキルだ。この俺の左目に宿る……常闇の水精霊ヘルメに関するスキル」
「精霊様に?」
「そうだ。この新しいスキルを利用して、寂れた古代の像に接触して内部に潜む
「そのような技を……あのアンムル三兄弟との命の遣り取りも無駄ではなかったのですね……」
精霊が見えているわけじゃないと思うが、ヴィーネが俺の左目を注視しながら語る。
「そういうことだ。ま、正直どうなるかわからないが」
「旦那、古代の神とは、まさか、その右肩のような存在ですかい?」
黙って周囲を警戒していたツアンが質問してきた。
前に、彼は
ん、この場だと、ツアンが唯一、あのングゥゥィィ! を知っているということか?
<光邪ノ使徒>というか、俺の側近だな、ツアンは。
イモリザとピュリンが、ツッコミを入れてきそうだから、彼の前では口に出さないけど。
「……そうかもしれない。だが、正直、何が起こるかわからない。警戒はしておけ」
「旦那が警戒しろというなら、気合いを入れますか……」
ツアンは双眸をぎらつかせると、両手に握っているククリ刃の縁から光糸を発生させて、一直線に光糸を太い樹木へ向かわせる。
彼は鎖鎌を彷彿とさせる動きで光糸を器用に操作。
太い枝に絡ませると、前と同じくククリ刃の剣腹を吸気口のように変えて、その中に光糸を収斂させていく。
そして、ツアンは光糸に導かれるように宙を駆け、樹木の下に移動しながら、鋼のように視線を鋭くした状態で、太い枝にぶら下がり、遊園地の遊戯を自ら実戦するが如く、樹木の周りを旋回――周囲を警戒している。
光糸を途中で切ったりもできるらしい。体に絡みそうで絡んでいない。
しかし、テクニカルな男だ。
軽業師の戦闘職業も持っていたのかも?
「使徒のツアンさんにこの辺りの警戒は任せるとして、精霊様かぁ。マスターの実験には興味があるけど、今回はパス。兄貴の家がすぐなら、先にいって見てくる」
ミスティは二、三歩前に歩きながら話す。
「……」
「ふふ、そんな心配気な顔を浮かべないでよ。本当にもう大丈夫だから」
あれ、つい、顔に出てたか。
知性を感じさせる焦げ茶色の瞳で笑うミスティ。
もうミスティの瞳は血に染まってはいない。
そして、眼鏡がよく似合う。ヴィーネも聡明な笑みをよく浮かべてくれるが、ミスティの博士女子の雰囲気の笑みもいいもんだ。
「……おう、あとでな」
「うん、それじゃ、簡易ゴーレムと<虹鋼蓮刃>を試しながら、探索してくる」
「了解」
ミスティはそういうと、腰から金属の玉を取り出して、簡易ゴーレムを作ると左の森の中へ歩いていく。簡易ゴーレムは枝を折り、樹木の幹を削りながら強引に進んでいた。
「――ツアンがいるから、俺も外回りといこうか。ミスティの周りで、当初の予定通り、この金剛樹の斧で暴れてやろう」
熊さんハンカイは右手の金剛樹の斧を強く縦に振るう。
少し遅れて、左手の甲に嵌まる魔宝石を輝かせながら手の内に握る金剛樹の斧を――。
横と縦へ瞬時に十字に振るう。新しい型だろうか。
ハンカイは、ミスティの後方から歩く。
『山颪』ときたら『熊颪』とかいう名前だったりして。
「――旦那ァ、あっちもあっちで、まだまだモンスターがいそうですぜ? 俺もミスティさんの方へ向かったほうがいいですかね?」
ツアンは光糸に引っ張られた遠心力を活かすような機動で樹木の間を回転中だ。
「お前の好きなようにしろ」
「了解、ならここにいます」
ミスティは振り向く。背後から近寄ったハンカイに頭を下げた。
ミスティは振り返り、樹木と樹木の間から、のっしのっしと音を立てるように歩く象ようなモンスターに指をさした。
先ほど
数は少ないが、俺たちを追ってきたのかな。
そこに、離れていた沸騎士たちが、登場――。
ミスティが指した象のようなモンスターの背後から奇襲を開始。
名前は失念したが……愛用の骨剣で蠍の尻尾を両断。
が、今まで姿を見せていなかったカマキリと似たモンスターも現れた。
沸騎士たちを追うカマキリのようなモンスターに、ツアンが仕掛ける。
ツアンが警戒していたように、乱戦になりそうだ。
すると、ハンカイが、何か文句をいうように蒸気を纏う沸騎士たちに襲いかかる。
否、沸騎士たちを守るように合流し、共にカマキリモンスターを倒し始めた。
赤沸騎士アドモスの背中を仁王立ちするように、守るハンカイ。
「ぬおお、この白いカマキリは貰うぞ! 腸を潰してやろう――」
大声を発したハンカイ。
両手に持った斧を構えてから、鬨の声を発し、吶喊していた。
金剛樹の斧刃を斜め下からドライブスイングするように振り上げて、カマキリの首を切断。
複眼が左右についたカマキリの頭部は地面に落ちていく。
そして、ハンカイがブーメランのように<投擲>していたもう一つの金剛樹の斧が、その落ちゆく頭部と衝突。
中空の位置でカマキリの頭部は爆散。
複眼の欠片が四方八方へ飛び散っている。
「……あの象型とカマキリに試したいことがありますが、わたしはここでロロ様と一緒に、ご主人様を待っています」
「にゃ」
珍しい沸騎士たち、ハンカイの戦いに混ざるだろうと思っていたが、
ちょこんと佇んでから、「ンン、にゃ」と、挨拶している。
「ロロ様、そのおめめと、声から判断しますと――この新しいビスケット、お菓子大王レベッカから頂きました、新しいお菓子をご所望ですね?」
母性が刺激されたような表情を浮かべたヴィーネ。
細い腰に紐で繋がれた腰袋から、焼き菓子を一つ取り出す。
そして、
「にゃんお~」
「ふふ、ロロ様、まだありますから、ゆっくり食べてくださいね」
戦場の右側とまったり空間のこちらとは、まさに正反対の構図だ。
甘えていた。ハンカイとは違い、フレーメン反応は起こしていない。
さて、俺もその間に、ちゃっちゃと、能力確認だな。
ステータス。
名前:シュウヤ・カガリ
年齢:22
称号:光邪ノ使者
種族:光魔ルシヴァル
戦闘職業:霊槍血鎖師:仙技見習いnew
筋力25→25.6敏捷25→25.8体力23.2→23.6魔力28.3→28.9器用23→23.4精神31.0→31.3運11.5→11.6
状態:普通
まずは、能力。
天凛堂、
お? 運が珍しく上がっているじゃないか。こりゃ、ペルネーテを出た祝いか?
それとも、のんおちゃんを含めた旅の一座を救ったことへの運命神からの祝福だったりして。
あのランプ使いのお爺さんのベンジャミンさん。
実は……まさかね。
次は、<霊槍血鎖師>の隣にある新しい戦闘職業、<仙技見習い>だ。
槍系と融合していないし、見習いだから、まったくの畑違いの職業ということかな。
俺の新しい可能性が開花した?
土台は大事だ。
長い長い修行を経ての、今があり、この土台だろうし、これから徐々に築かれていくものと考えた方がいいだろう。
なにごとも
スキルステータス。
取得スキル:<投擲>:<脳脊魔速>:<隠身>:<夜目>:<分泌吸の匂手>:<血鎖の饗宴>:<刺突>:<瞑想>:<生活魔法>:<導魔術>:<魔闘術>:<導想魔手>:<仙魔術>:<召喚術>:<古代魔法>:<紋章魔法>:<闇穿>:<闇穿・魔壊槍>:<言語魔法>:<光条の鎖槍>:<豪閃>:<血液加速>:<始まりの夕闇>:<夕闇の杭>:<血鎖探訪>:<闇の次元血鎖>:<霊呪網鎖>:<水車剣>:<闇の千手掌>:<牙衝>new:<精霊珠想>new
恒久スキル:<天賦の魔才>:<光闇の奔流>:<吸魂>:<不死能力>:<暗者適応>:<血魔力>:<超脳魔軽・感覚>:<魔闘術の心得>:<導魔術の心得>:<槍組手>:<鎖の念導>:<紋章魔造>:<水の即仗>:<精霊使役>:<神獣止水・翔>:<血道第一・開門>:<血道第二・開門>:<血道第三・開門>:<因子彫増>:<従者開発>:<大真祖の宗系譜者>:<破邪霊樹ノ尾>:<夢闇祝>:<光邪ノ使徒>:<仙魔術・水黄綬の心得>new
エクストラスキル:<翻訳即是>:<光の授印>:<鎖の因子>:<脳魔脊髄革命>:<ルシヴァルの紋章樹>:<邪王の樹>
次は新しい槍系スキルを調べる。
<牙衝>をタッチ。
※牙衝※。
※豪槍流技術系統:基礎下段突き。上位系統は亜種を含めれば、数知れず※
<牙衝>とは豪槍流系統に分類される技だったのか。
俺としては、師匠繋がりで<刺突>を含めた風槍流のスキルを自らの修行で獲得したいんだが……槍使いソレグの技を見て学んだ結果、豪槍流の技を獲得してしまった。
四腕を持つ
<刺突>との連携を模索していきたいところだ。
次は<精霊珠想>をタッチ。
※精霊珠想※
※使役している精霊の成長及び、様々な要因により獲得した仙技。仙魔術系固有スキル※
様々な要因の部分をタッチしても詳細はでない。
ま、後ですぐに試すからいいか。
ホクバ戦の時のような左目から出るカウンター型の能力と思えばいいだろう。
続いては、恒久スキルの<仙魔術・水黄綬の心得>だ。
※仙魔術・水黄綬の心得※
※水神アクレシスの加護が起因。成長した常闇の水精霊ヘルメと<仙魔術>、<水の即仗>スキルを扱う者が自動獲得するスキル。固有仙技<精霊珠想>を齎す※
これもタッチしても詳細はでない。
『ヘルメ、準備はいいか? やるぞ』
『はい』
<精霊珠想>を発動する。
その瞬間、俺の左目の網膜からにゅるりと煌めき現れる常闇の水精霊ヘルメ。
左目と繋がっている流体、液体状といえる精霊ヘルメの先端は丸みを帯びている。
彼女は星の重力に逆らうように立体的な形状を保ちながら浮いていた。
その流体ヘルメは下の礼拝堂の中で鎮座している神像、古代の女神かもしれない像へと向かっていく。
同時に左目から伸びている流体ヘルメの根元、木の根のような流体が、少しだけ横に広がり、俺の着ている
暗緑色のハルホンクを綺麗なターコイズブルーに染め上げながら左肩の一部を包む。
そして、左目の視界は前回と同じだ。
彼女の半透明の体内から見えている視界は、不思議な神秘世界。
一部とはいえ体が液体に包まれる行為、これは体を掃除してくれている時と、似てはいるが……その時とは雲泥の差だ。
ヘルメの中身は、魔力か、宇宙か、七福神を乗せた屋形船か、スライムか、流星か、電子殻か、アメーバか、デボンチッチか、わからないモノが交ざり融合するように体内を巡っていた。
<精霊珠想>の効果だが……。
これがホクバの攻撃を防いだ<精霊珠想>の仙技としての防御層かな。
外側の流体ヘルメの形は異質だ。
俺の<導想魔手>と近いかもしれない。
「にゃぁ……」
「おぉぉ、巨大地底湖アドバーン!! 幻の地底主の姿の写し絵に似ている……そして、ダークエルフの司祭が扱うような秘術系にも見えるぞ! 天蓋を彷徨う、怪しい星というモノにも似ている……」
ヘルメはヴィーネのたちの声が聞こえているのか、応えるように、微妙にウェーブを起こしている。
ヘルメの丸みを帯びた先端は、そのまま、地面の礼拝堂の中に佇む頭がない神像へ向かっていった。
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