百九十五話 仲間たちと月の残骸

 ◇◆◇◆



「囮の馬車は複数置いたままか?」


 黒一色の異常なる目を持つ小柄な男へ話しかけている女が喋る。

 その女は、短い金髪で美しい顔を持つが、眼帯を片目にかけていた。


「あぁ、もう準備は終えている。それでマースウ。もう一度確認だ――この人数でいいんだな?」


 眼帯女をマースウと呼んだ目が黒い男は、馬車の後部にある布扉を捲り、中に閉じ込められている数十人の猿轡をされ縛られている女たちを見ながら語る。


「そうだ、この女たち以外の準備はもう調っているな?」

「おう、西方フロング商会を含めて囮は複数ある」

「規模が規模だけに潜伏期間は長期間となるが……」

「マースウ、俺の配下だぞ? その点に関しては抜かりはねぇよ。オセべリア、いや、商取引をしている奴らは、普通の貿易商会だと思っているはずだ。実際に商売しているからな?」

「なら俺たちは撤収だ。もう<葉隠れ>は使ったから、オセべリアの大騎士とはいえ、我らの痕跡を追うことはできないだろう。このまま新しく得た西の帝国領へ戻るぞ」

「了解」



 ◇◆◇◆



 中庭で訓練途中、血文字メッセージがきたので訓練を止めて答えていた。


 『ご主人様、スリ集団と行方不明者は特に関係がないようです。毛皮市場から鯨油市場を経由した油の値段を調べながら行方不明者の聞き込みを行う途中で、何回か不自然な商会名の情報を得ました。そして、その商会が店を構えていた場所に向かうと……大騎士レムロナ率いるホワイトナインの小隊に遭遇し、逆に囲まれてしまい、彼らに怪しまれたのか、尋問を受けてしまいました』

 『レムロナだって? 何を聞かれた?』

 『なぜ、冒険者仲間のお前が行方不明者の件を調べているのだ? と、キツイ口調で尋問を……適当に濁して答えておきましたが』

 『……国絡みか。ならば、もう追わなくていい。戻ってこい』

 『はい』


 血文字のメッセージ交換はそこで終わらす。

 しかし、大騎士が動くか……もしかしたら、拉致られた中に貴族の娘とかいるのかもしれないな。


 訓練に使っていた雷式ラ・ドオラの短槍をアイテムボックスへ仕舞う。


 そこで中庭の一角で騒いでる声たちへ視線を向けた。


「アイヲ~カンジテェェ~トキメクゥゥ~、シカシィ~、オレノゥ~、アイハ~、ソレハァ~、チチィ~、ダケェ、ウワキィィチガウゥゥ~、チチィ~、ササゲルゥ、アイィィィィ~、ルブルルルゥ~、ルララァァァ~」

「大丈夫ですか? また植木職人に見てもらいますか?」


 ヘルメが心配そうに壊れた千年植物に語り掛けている。

 千年植物の枝からは躑躅つつじ花のような紅色の花を幾つも咲かせていた。


 愛の喜びだけに躑躅花か。あの千年植物、洒落てるつもりか?


「ルラァァァ~」


 また歌い出しているし。

 そこに、バルミントの姿が……。


「アァァァ~、オレノ、ミィ~。クイスギィ~、ルララァァァ、ブルルゥ」

「きゅゅ、きゅぃ~」


 音程がオカシクなっている千年植物の実をバルミントは食べていた。


「あぁー、バルミント! 青い実を食べ過ぎです。千年植物は植木職人さんに診てもらったばかりなのですから!」

「きゅ? きゅっきゅぃ」


 バルミントはヘルメに叱られると、聞き分けがよく千年植物から離れた。


 そのまま黒猫ロロのようにヘルメの足へ頭を擦りつけていく。

 可愛いが、徐々に高・古代竜らしく身体が成長しているかも、幼竜には変わらないけど姿が少し大きくなった。


「ンン、にゃ」


 俺の肩で休んでいる黒猫ロロが鳴くが、見ているだけ。

 昨日までバルミントとよく連れ添って遊んでいたが、母親モードは卒業したのかな。

 そんなことを考えながら、肩に黒猫ロロを乗せた状態でリビングに戻り、椅子に座る。

 肩にいた黒猫ロロは、目の前にある机の上に降り立ち、香箱スタイルで休み出す。


 しかし、レベッカが居ないと静かだなぁ。

 彼女はベティさんのところへ働きに出かけて居ない。

 エヴァはリグナディの店へ手伝いに帰っている。

 ミスティは講師の仕事、ユイとカルードは闇ギルドの定例会議に出席だ。


 ヴィーネはまだ帰ってこない。


 そこで、紅茶をさり気なく机の上に出してくれたクリチワの狐耳を見ながら、その彼女へ話しかけていた。


「クリチワ、君の出身とか家族は?」

「わたしは旅の途中で生まれたようです。一族の出は遠い東のレリックを越えた【フジク連邦】の北東辺りと聞いています。戦乱に巻き込まれて、西へ西へと旅をするうちに、このペルネーテに辿り着いたとか父は言っていました」


 彼女は、また狐耳がピクピクと動いている。

 レリックか……魔竜王戦で散ったアゾーラと白熊も確か、その辺り出身だったな。

 嫌な光景も思い出したので、綺麗なクリチワの顔を見ながら、彼女の趣味やら、美味しい店を知ってるか? 的な世間話へ移行し、おっぱいは好きか? と訳わからない和んだ会話を続けていると、


「ご主人様、ただいま戻りました」


 ヴィーネが帰ってきた。


「お帰り、レムロナは何を言っていた?」

「はい、別の殺人事件を追ってるところに、この事件を知り捜査を開始していたそうです。さすがは大騎士でした。わたしが調査で知り得た西方フロング商会の名を知っていました」

「その西方フロング商会とは?」

「西の帝国領で主に活動する行商会らしいですが、レムロナが言うには、内実は人身売買に特化した組織、帝国の特殊工作員が絡んだオセべリアの内部攪乱目的、陽動の可能性があると話していました」


 本当に攪乱かねぇ? 


「その工作員はもう国外へ?」

「はい、そのようですね。足取りが消えています。それからフロング商会の店の前には不自然な魔獣馬車たちが止まっていたようです」

「なるほど、それじゃもう行方不明者も国外かな……追跡能力があるレムロナを撒くほどの相手だ、無理だろう」

「レムロナはご主人様ならば……と何か期待を寄せている感じでした」


 こないだ覚えた<血鎖探訪>の出番か?


「期待は嬉しいが……。血の跡が残った衣類とかあるなら、追跡は可能と思う。だが、何もなきゃ不可能だな」

「血の跡……考えが及ばず申し訳ないです」

「いや、能力を教えてなかったからな、俺が悪い」


 その後は、ヴィーネへ自由に過ごせと指示を出してから、槍の技術の向上を目指し訓練と仙魔術の訓練を行う。

 続いて、メルたちへ会いに【月の残骸】の店へ向かい、アンズとドライセンについて調べろと指示を出してから……数日後。



 ◇◇◇◇



 家のリビングにイノセントアームズ、闇ギルド月の残骸の全幹部が集結していた。


「皆へ、この機会に紹介しておく、俺の周りにいるのが、常闇の水精霊と<筆頭従者長>及び<従者長>たちだ」


 側近らしくすぐ後ろに立つ精霊ヘルメとヴィーネ。


 エヴァ、レベッカ、ミスティ、ユイ、カルードは俺の近くに座っている。

 黒猫ロロも目の前にある机の上で、スフィンクスのように闇ギルドの面々を見据える香箱スタイルで休んでいた。

 可愛い黒猫ロロの頭から艶のある黒毛曲線の背中、尻尾まで優しく撫でていく。


 そして、闇ギルドの面々から集まる視線に対して、身構えるイメージで厳しい顔色を作り口を動かしていく。


「……ユイとカルードのことはもう知っていると思うが、彼女たちは大切な女たちであり、冒険者仲間、俺の血を分けた直属の眷属たちだ。そして、この中で俺に次いで強い存在ということになる」

「総長の血を分けた……」


 ヴェロニカが逸早く反応……。

 彼女はさっきから鼻をくんくんさせていたからな……。


「すると、総長が宗主となる新たなヴァンパイア一族の誕生ということでしょうか?」


 メルがそんなことを聞いてきた。


「そうなるな」

「……凄い……この人数を……」


 話していたメルが驚愕し、幹部全員の全員が鳩に豆鉄砲顔を浮かべている。


 ポルセンが目を見開いて精霊ヘルメを眺めてから、俺と血が繋がっている美人なる最高な<筆頭従者長彼女>たちを見ていく。

 アンジェは瞬きを繰り返し、口を少し開けて、驚愕な表情を浮かべていた。


「これほどの人数を従者化とは……高祖どころの話では、十二支族たちの始祖の直系オリジナルズ……を超えて……はっ――」


 ポルセンは突然に椅子から降りて、俺の座っている位置に近付いてから膝を曲げて地べたへ頭をつける。

 アンジェもポルセンと同様に頭を床につけていた。


 そこにヘルメが水飛沫を全身から発生させ身体を浮かせながら前進しては、俺の間近で鷹揚な態度を示す。


 綺麗な口を動かしていく。


「――閣下のしもべたちよ、閣下が至高なる唯一無二の偉大な方であることはもう解っていると思いますが、敢えて、この場で発言させてもらいます。閣下、宜しいですね?」

「あ、あぁ」


 いつにも増して、ヘルメの切れ長の蒼と黝色の瞳には迫力があった。


「閣下は眷属が増えた今、絶対的な存在といえます。ですから、しもべたちよ。幸せに思いなさい。閣下の僕であることが貴方たちにとって、どれほどの恵まれた幸運的立場であるかを……」

「精霊様だぁー、はじめてみたー。でも、閣下ってー、だれー?」

「ララ、総長様よっ」


 ルルは分かってるが、ララはまだ幼いから理解できないよな……。

 一応は彼女たちも【月の残骸】の幹部だからここにいるが。


「ヘルメ、もういい」


 俺は厳しい目付きでヘルメを見る。


「はいいぃっ」


 ヘルメは俺の言葉から意味を感じ取り、慌てて水飛沫を発生させながら、俺の背後の位置に戻ってきた。


 精霊のヘルメが退いてから、ポルセンは頭を上げ、


「……恐縮ですが、精霊様が仰られている言葉の意味が分かりました……総長様は血法院の女帝を超えられた偉大なる宗主様なのですね」


 王に謁見しているか如く、恐縮しまくりなポルセン。


「その血法院の女帝は前に聞いたことあるが、実は、あまり知らない」

「ポルセン、総長のシュウヤは精霊様が話す通り、偉大なる唯一無二の方だけど、本家ヴァルマスクとは関係ないし、わたしたちとは似てはいるけれど、本当は違う種なの。だから血法院も女帝も【大墳墓の血法院】のことは知らないことが多いはず」


 頭を下げているポルセンに対して、ヴァンパイアの先輩であるヴェロニカが説明してくれた。


「な、なんと……」

「彼女が言っていることは本当だ。ポルセン、頭をあげてくれ」


 ポルセンには後で、アンジェとノーラに関することを聞いておくか。


「はい、総長様」


 ポルセンは立ち上がり、席に戻っていく。

 側で頭を伏せていたアンジェも恐怖を感じたのか、青ざめた顔色で、俺を一瞥してからポルセンの後に続く。


 そこで、ヴェロニカへ視線を移す。


「ヴェロニカ、その【大墳墓の血法院】と戦っているんだろ? 何か動きはないのか?」

「うん、最近は“鴉”が遠くから【迷宮の宿り月】を監視していたことぐらいしか分からないわ」


 鴉か。何回かそれらしきモノは見た覚えがある。

 使い魔か、変身能力か不明だが、ヴァルマスク家の監視は続いていたようだ。


 それより女帝の名が気になる。


「……女帝の名前はなんていうんだ?」

「ファーミリア・ラヴァレ・ヴァルマスク・ルグナド」


 名前が長いがルグナドとは吸血神と同じ名だ。


「前、ヴェロニカが話をしていたルンス・ラヴァレ・ヴァルマスクの親玉だな?」

「うん、ルンスは女帝が持つ三人いる内の<筆頭従者>」


 直系は三人の<従者>が可能か。


「……ルンスはお父さんであるスロト・ラヴァレ・ヴァルマスクを殺した張本人でもあるけれど……本当に悪いのはわたしかもしれない」


 ヴェロニカは泣きそうな顔だ。

 根本的な悲痛な思いを胸に抱いているような顔を浮かべ視線を下げてしまう。


「悪い? マギットを盗んだことか?」

「ううん。違うの、スロトお父さんが血法院、ヴァルマスク家の規律を破り禁忌を犯して、当時、病気で死ぬ直前だった幼い子供に過ぎないわたしを、ヴァンパイアの<従者>にすることで、命を救ってくれたの」


 子供をヴァンパイアにしてはいけないルールがあったのか。


「君の主か、俺の血の匂いと似ていると話していた」

「そう……そして、永らく、ヴァルマスク家にはバレずに王都で、スロトお父さんと過ごしていたわ。でも、わたしを隠していたことがヴァルマスク家にバレてしまった……」


 喋るヴェロニカは目元が充血していく。


「……スロトお父さんは、他の高祖吸血鬼ヴァンパイアロードたちを含めた多数の従者たちに捕まり、裁判になり、女帝は殺すことには反対したのだけど、同じヴァンパイアロードのルンスが強硬に出て、残りの二人のヴァンパイアロードたち、アルナード、ホフマンを含めた従者たちも参加した大長老会議により、スロトお父さんの処刑が決まり、女帝も怪我を負うほどの光十字の極刑剣が使われて、スロトお父さんは身体が燃やされ灰になってしまった……」


 彼女には余程に辛い思い出のようだ……眉を中央に寄せながら赫怒の表情を浮かべ、血の涙が頬を伝う。


「わたしはスロトお父さんの従者だから、血の繋がりを失ったと直ぐに理解できた。荒々しい怒りを超えた思いで復讐に出たの。ヴァルマスクの大墳墓に忍び込み、多数の低従者たちの心臓を潰し、頭を潰して、全ての血を吸い取り滅してやった」


 ……全ての血を吸うか。

 ヴァンパイアらしい殺し方ともいえる。


「そして、宝物庫に閉じ込められていたマギットを盗んだの、そこから何百年とマギットと一緒にヴァルマスクからの追手を潰しながらマギットと一緒に逃避行を続けているうちに……サーマリアのオッペーハイマンにいたヴァルマスク家のポルセンに出会ってね、その場でヴァンパイアハンターに襲われていたポルセンを助けたのよ。襲っていた子が、今のアンジェなんだけど」

「それ、ポルセンに聞こうとしていたことだ」


 俺はアンジェに視線を向ける。


「そう。昔、パパを殺そうと何度も執拗に追いかけて戦っていたけれど、ヴェロニカに殺される寸前で、逆に、パパに命を助けられる形で従者にしてもらったの、そして、直ぐに謝った。パパは馬鹿な行動ヴァンパイアハンターをしていたわたしを……許してくれた。何回も何回もパパを殺そうとしたわたしのことを……だから、それ以来パパとずっと一緒なの、ね? パパ」


 アンジェは語尾のタイミングでポルセンへ顔を傾けてから、優しい表情で微笑む。

 あんな顔もできるんだな……。


「……はい、全くもって……その通りです」


 ポルセンはカールしている口髭を少し自慢気に伸ばしてから、恥ずかしそうに同意していた。


「そこから、また何年も放浪してペルネーテに辿り着き、他の分派のヴァンパイアたちと過ごしてから、メルとベネ姉に出会い色々とお世話をしてもらったの、それからずっと一緒」

「……あたいはよーく、覚えているさ、ヴェロっ子と初めて会った時、ヴェロっ子が敵の心臓を小さい生身の腕でくり貫いていたからね」


 ベネットが笑いながら怖いことを語る。


「そうそう、ヴェロニカが助けてくれた。そこから互いにフォローして教会崩れが相手の時はわたしたちが前に出て、そうじゃない時は任せるという関係から、いつの間にか、【月の残骸】の大幹部になっていたのよね」

「うんっ」


 メルとヴェロニカは互いに意思が疎通した笑顔を見せる。


「そういうことだったのか」


 そこからは、違う話題になり、メルから上納金の金貨袋が提出された。


「総長様、これが上納金です、分配はもう済ませてあるのでお納めください」

「こんなにあるのか……」

「はい、縄張りが広がりましたので、店の諸経費は引いてあります」


 金貨の大袋が複数に、白金貨の中袋も幾つか。


「金貨がザックザックね……」


 黙ってみていたレベッカがぼそっと話す。


「ん、今度、シュウヤに魔法書を買ってもらう?」

「うん、でも、蒼炎の一式のが使い勝手がいいのよねぇ、言語魔法は詠唱があるし、紋章は手間が掛かるから……それに、グーフォンの魔杖という素晴らしい性能を持つ長杖もある。いずれは買わないといけないと思うけど、今はベティさんにあげる新しい紅茶入れのが欲しいかも、後は、わたし用に防護服系、拳系の武器、普通の可愛い服と~アクセサリーもいいかな~」


 服は大量にあるだろうに……だが、拳系の武器か。

 蒼炎を纏う拳武器はいいかもしれない。


「ん、わたしは金属と店のリグナ・ディ用に新しい食材が欲しい」


 エヴァはブレないな。


「わたしも稽古用に新しい服と、腰巻、可愛い剣帯も探したいかも、レベッカがくれた新しい革鎧、一回の訓練で駄目になるし。後、魔刀系も中々売ってないから、色々と店を見たいわ」

「ユイ、今度、わたしたちとショッピングに行く?」

「うん、いくいく」

「ちょっと、皆さん、ご主人様がまだ許可を出していないですよ?」

「わたしは、研究費のお金が欲しいかも……」


 <筆頭従者長>たちはそれぞれに金の勘定を始めていた。

 俺はこの金貨袋たちをアイテムボックスには仕舞わず、


「……これはイザベルが管理しろ、俺の女たちが金が欲しいと言ったら自由に渡していい。それと、その金貨袋を俺の部屋にある箱へ運んでおけ」

「はい、畏まりました」


 イザベル、アンナ、クリチワの手により、金貨袋が運ばれていく。

 続いて、様々な情報がメルの口から上がる。


「この間、【月の残骸わたしたち】が独自に動き、【夕闇の目】と【梟の牙】の残党が集結していた屋敷を襲撃しこれを完全に潰しました。少数の教会崩れは野に散り、マカバイン系の残っていた船商会は各船長ごとに独立。海光都市へと逃げた船長がいるようですが、詳細は不明。そして、解放市場街にて行方不明者多数の噂がありますね。後は【黒の手袋】とは小規模な争いがありますが、無視してもよいでしょう。それよりも新しい【大鳥の鼻】を率いる“七色長太刀使いガイ”と“影使いヨミ”が倉庫街、歓楽街、貧民街に跨り縄張りの主張を始めていますので、対処が必要です」


 行方不明はもう知っているが、新しい闇ギルドのは知らなかった。


「……そいつらは何だ?」

「パクスと繋がりあった奴らよ、最近煩いの」


 ベネットが補足してくる。

 まさか、頭が蟲化している奴らじゃないだろうな……。


「わたしが数度戦いましたが、邪魔が入り、引き分けました」


 ポルセンが語る。

 そういえば、ポルセンが戦うところはまだ見てない。


「影を使う奴が現れなきゃ、パパの斧と剣なら勝てたのに」


 と、青髪のアンジェがポルセンを熱心に見つめながら語る。


「なら、かなりの強さなんだな」

「はい。それと、【鉄角都市ララーブイン】の主勢力である【髑髏鬼】の幹部“紅のアサシン”“吹雪のゴダイ”“血魔造のザブサ”“闇斬糸使いゼフ”の姿が【迷宮都市ペルネーテ】南の郊外街道にて確認されました。闇ギルドの幹部候補の出現は新たな縄張り作りの証といえるもの、【梟の牙】【夕闇の目】が消えたことで、“我々”ならば、潰しやすいと考えての行動の可能性もあります」


 また、違う敵かよ。

 めんどくさそうなので、それ以上は聞かずに聞き手に回った。


 続いてゼッタから【月の連金商会】の売り上げと、ヴェロニカと一緒に角付き骨傀儡兵を複数作り上げたことも報告に上がる。


「わたし、頑張った。こいつが角付き骨傀儡兵よ、今は各縄張りの門番になってもらってる」

「……」


 会議の始めっからヴェロニカの背後に立っていた大柄な奴が、ゆったりと動いた骨手でローブの頭巾を外して素顔を晒した。

 角が生えた骸骨剣士か。しゃべれないようだ。


 沸騎士より骨密度が低そうでスカスカだが、一応は戦えるのかな。


「ヴェロっ子よくやった」

「お手柄だわヴェロニカ。ホルカーバムの港から手に入れた骨を使ったのね?」

「うん、そうなの、あそこの汚れた地下街にある骨山は意外に使えるのよね」


 一応は成果が出ているのか、ベネットとメルがヴェロニカを褒めていた。

 ヴィーネが興味深そうに角付き骨傀儡兵を見ている。

 <筆頭従者長>の一人だから彼女も作れるんだよな。

 まぁ、沸騎士と違い、弱そうだし、手間もかかるから作るかは微妙だ。


 続いて、前もって調べさせていた事柄が話題に乗る。


「総長、メルから言われて調べていた事を報告するよ。あたいが調べた範囲では、そんな大した規模じゃなかった。その霊光の主であるアンズ・カロライナとドライセンは、どうやら海光都市出身の魚人海賊の一味らしい」


 斥候担当のベネットが報告していく。

 やはり彼女は優秀だ。


「やはり、魚人関係だったか。そいつらは、このペルネーテに縄張りを持っているのか?」

「ベネットの言葉通り正式な縄張りはありません。裏に大規模な魚人組織があるかもしれませんが、所詮はチンピラ風情でしょう。念の為第一の円卓通りには部下を複数置いて見張らせています」


 メルがそういうと、


「わたしとララで見張る?」

「お仕事、最近してない。ルル、頑張るよ」


 元惨殺姉妹の少女たちが発言していた。

 そこに香箱座りで待機していた黒猫ロロがララとルルが座っている席前まで机の上をトコトコと歩いていく。

 彼女たちの前に止まると、片足をポンッと机の上を叩いてから、


「にゃおん」


 『止めておけニャ』とかか? 分からないが話しかけていた。


「わぁ……猫ちゃん」

「黒猫様、わたしたちは何をすればいいの?」

「にゃ?」


 黒猫ロロは机の上で、ごろにゃんこしては、肉球を見せるように片足を伸ばす。


「ルル、ララ、あまり気にするな、お前たちはロバートの側や、ママさんたちのもとで、稽古でもしておけ」

「総長、いやよ、仕事が欲しいの」

「ルルと同じがいい」


 二人はそういうが……。


「総長、俺はどうする?」


 ロバートか、彼の実力は見たことがないが……。

 一応は指示を出しておくか。


「歓楽街が大丈夫なら、ルル、ララを連れてポルセンをフォローし【大鳥の鼻】に対処しろ」

「わかった」

「頑張る」

「承知した」


 ルルとララとロバートの三人は、【月の残骸】の先輩メンバーであるポルセンを見る。


「……分かりました」


 ポルセンは子守りを任された気分なのか、不満そうに溜息を漏らす、が、すぐに了承してきた。

 その途端、アンジェは俺を見つめてくる。

 もうさっきの怖がる視線ではなくなっていたが、分からん奴だ。


「……良案ですね、ポルセンとアンジェ、ロバート、ルル、ララと連携して【大鳥の鼻】に対処してください」


 メルが賛成してくれた。


「連携を確認しなければ、ロバート、ルル、ララ、宜しくお願い致します」


 ポルセンはロバート、ルル、ララへ紳士らしく、丁寧に頭を下げていた。


「パパが従うならわたしも頑張る、ロバート、ルル、ララ、宜しくね。でも、パパにあまり近付かないでよねっ」


 アンジェは、誰に対してもあんな感じだな。


「ルルです。御髭のおじさまと青髪の怖いお姉さん、よろしくです」

「よろしくーララだよー」

「王槍流・烈級、元絶剣流・王級の手練れを始末したことがある両手剣使いのロバートだ、近接なら任せてくれ」


 三人はアンジェに挨拶している。


「では、総長様、もう一つの闇ギルド【髑髏鬼】に対する対抗措置はどういたしますか?」


 メルは副総長らしく次の話題を振ってくる。

 俺の顔を見据えながら、さっきスルーした話題を掘り起こしてきた。


「総長、意見していいか?」


 その厳めしい声はカズンさん。

 豹の頭に獣人らしい大柄な体格のコックだ。


「どうぞ、カズンさん」

「“血魔造のザブサ”“闇斬糸使いゼフ”とは、ちょっとした因縁がある。そいつらがこの都市に来るなら、俺も戦いたい」

「カズンがこれほどのやる気を、珍しい……」


 フードを目深くかぶる蟲使いゼッタが、カズンの方に顔を向け、声に合わせて唇が動くのが見えていた。


「あたいも久々に声を聴いた気がする」

「カズン、コックの仕事に宿屋はどうするの?」


 メルがやる気を示すカズンさんに問いてた。


「……【迷宮の宿り月】のコックなら、俺の部下たちが成長しているので任せられる、宿の主も部下がやるだろう」

「わたしは納得したけど、総長様、どうですか?」


 副長メルが流し目で聞いてくる。


「構わんぞ、ただ、どんな状況だろうと、メル、ベネット、ヴェロニカ、三人でちゃんとカズンさんをフォローしろ、苦戦を感じたら、俺か、家にいる仲間、特に【月の残骸】の【筆頭顧問】となったカルード。後は、メイド、戦闘奴隷に必ず伝えろ。しかし、俺が居なかったら済まん」

「承知しました……と言いたいところですが、【筆頭顧問】とは何でしょうか……カルードが優秀な暗殺者だったのは既に本人から聞きましたので、巡回をお願いさせて頂いたのですが……」


 メルは困惑顔を浮かべながら、俺とカルードへ視線を巡らせる。


「役職名は適当だ。カルードは暗殺者でもあったことは聞いているようだが、戦場を知る武人でもある。ようするにその経験を買った。だから、俺が居ない場合の代理と考えろ。だが、あくまでも代理だ。序列は低いままでいい。カルードは【月の残骸】の副長メルを補佐する形で動け」


 カルードは胸に手を当て、


「――はっ、マイロードのご指示に従います」


 と、言いながら頭を下げていた。


「はぁ……分かりました」


 メルは渋々了承していたが、直ぐに切り替え視線を鋭くさせる。

 さすがは頭の回転が速い女だと、毎回思わせてくれる反応だ。


「では、副長らしく。わたしも頑張りますか、カズンに負けられないし、久しぶりに閃技、影蝋を使うかしら……」


 彼女は不敵な笑みを浮かべて語る。


「この間の残党潰しに続いてメルは前線か。あたいも嬉しい。しっかりと、陰から、この新しい弓でフォローする」

「うん、わたしも血魔力でメルとカズンを助けてあげる、敵を血塗れにしてやるわ」

「ありがとう、皆、総長様」


 カズンさんは、礼を言いながら、礼儀正しく豹の頭を下げてくる。

 その仕草がまたカッコイイと思いながら、全員を見据え、


「それじゃ、一旦解散とする各自、仕事に励め」

「「――はいっ」」


 闇ギルドの面々は、素早く退出していく。

 そこに、ヴェロニカと選ばれし眷属たちの彼女たちに、カルードが残った。


 鼻孔を動かして匂いを嗅ぎながら機嫌を悪くしているヴェロニカが口を開く。


「……いいなぁ、従者たち、総長、シュウヤと同じ匂いがする」

「そりゃそうだろう」

「あーぁ、わたしも、シュウヤの<従者>になりたかったな……」

「だが、ヴェロニカは俺のヴァンパイアとしての先輩だろう? それに生粋のヴァンパイアだ。俺の血が入った途端、蒸発してしまうぞ」

「……うん。だから、せめて、後輩君でもある総長の側にいたいなぁ~ってね」


 ヴェロニカはそういうと、軽やかに舞いながら机の上に立つ。

 タップダンスを踊りながら、椅子に座る俺の目の前にきた。


「ヴェロニカ、ご主人様は“わたしたち”と側にいるのが一番なので、却下します」


 抵抗心を燃やしたヴィーネが、素早い動作で俺の膝上に座りながら、ヴェロニカを待ち受ける。

 綺麗な光沢を帯びた銀髪と、ヴァニラ系のいい香りが漂う。

 そして、お尻のムチムチさがたまらない。


「もうっ、いじわるねぇ……」

「そうよ、シュウヤはわたしたちの宗主。でも、さっきのシュウヤは普段と違う顔だったわ、総長という奴? 素敵だった」


 レベッカがそんなことを言いながら、立ち上がり、俺の側にきては手を握ってくる。

 彼女の蒼い双眸は、少し潤んでいた。


「ん、確かにリーダー顔で、キリっとしていた」


 エヴァも褒めてきたが、彼女はあまり嬉しくないような顔つきで話す。

 まぁ、俺自身も呑気に弛緩させた顔を浮かべている方が本顔だからな。


「――閣下の取り合いはよくありませんね」


 とか言いつつ、常闇の水精霊ヘルメは、ヴィーネを無理やりに退かし、俺の膝上に強引に座り語る。

 ヴィーネも負けじと、ヘルメの腕を退かそうと、女の戦いが起きていた。


「もう、貴方たちいい加減にしなさいよ――シュウヤが立ち上がれないでしょっ」


 ユイが刀の鞘で、ヴィーネとヘルメの頭を軽く叩いてツッコミを入れていた。

 珍しい、というか、ヘルメが叩かれるのは初めてか。


「ユイ、確かにそうですね」

「精霊に対する行動とは思えませんが、その通りなので、許します」


 ヴィーネとヘルメはそんなことを話して、俺から離れていく。


「糞、糞、糞……」


 そこにミスティが悪い癖を出しながら呟く。


「ミスティ、どうした」

「皆、仲がいいから、環に入れない……のよ!」

「あら、彼女とは気が合いそう、わたしも同じ気持ちよ」

「ヴェロニカさん、初めまして、こないだ<筆頭従者長>になったミスティです」

「えぇ、初めまして。何か、壁みたいなのを感じたのよね?」

「そうそう」


 ヴェロニカとミスティは笑顔で語る。


「マイロード、わたしは常に感じております」


 渋い顔でいうなよ。そりゃ男だからな……。


「……カルード、お前は男だ。俺の気持ちは理解できていると思ったのだがな」

「はっ――失言でした。男として理解はしているつもりなのです」


 カルードが目を潤ませて語るが、ユイが父親のカルードのことを叱り、微笑ましい親子喧嘩が始まっていた。 


 そこからは壁を感じさせないように気を配りながら皆で談笑していく。


 暫くまったりタイムが続いた。


 そして、ミスティが机に置かれてある紅茶が入りの陶器カップを掴み、啜り飲み終わると、したり顔を浮かべながら、エヴァではなく俺に話しかけてきた。


「……マスター、こないだからエヴァと相談して研究と実験を少し繰り返していたのだけど、ついに完成したのをここで披露するわ」

「何? 初耳だ」

「ふふっ、だって、わたしの作業場にこなかったじゃない。知らなくて当然よ。さ、エヴァ、もう装着しているんでしょ? 見せてあげなさい。名付けて、エヴァ専用魔導初号機よっ!」


 ミスティは怜悧な天才顔を浮かべると、細い腕をエヴァへ伸ばす。

 彼女の身に着けている白服のコートを靡かせる雰囲気は、どこかのマッドサインティスト的な雰囲気を感じさせた。


 彼女に眼鏡をかけさせたら、似合うかもしれない。

 今度、どこかで売ってないか探すか。


「ん」


 エヴァは紫の瞳を輝かせて大きく頷く。

 全身から紫魔力を漂わせ乗っている車椅子ごと浮かせながら近寄ってきた。


 そして、ワンピースの裾をたくしあげて、いつもの金属足の見せた瞬間、骨の金属機構が動き、え? なんじゃこりゃぁぁ……凄すぎる。

 車椅子と足が合体だと!? 

 セグウェイモードを改良したように車輪部位が自動的に変形し、エヴァの金属足、踝の横に車輪がくっ付いていた。


 膝の横には魔力を帯びた薄い黒金属のラインが幾筋も走り、脹脛から踝にかけて黒と緑の金属が滑らかに構成され、車輪の金属部位と踝が繋がっている。


 完全にパワードスーツ的なプラグスーツとロボット足が合体した見た目になっていた。

 こりゃ、確かにエヴァ専用だ。


 まさに初号機、人類を破壊しそうなインパクトがある。

 机の隣に着地すると、重厚な音を立てると思ったが、無音で床を車輪と足を使い滑るように歩いてきた。

 車輪は外側だけどローラーブレードを思い出す。


「……凄い。滑るように歩いてる」

「驚いたでしょ」


 自慢気な顔を浮かべるミスティ、そりゃ驚いたさ。


「ん、シュウヤが目を見開いて驚いた、ふふっ」


 エヴァは嬉しそうにはしゃぐ。


「……金属好きが合わさると凄いことをしちゃうのね……」

「確かに、金属を操れるエヴァだからこそ……」


 ヴェロニカとユイは、エヴァの新品の魔導脚を見て呟く。

 確かに、エヴァとミスティのケミストリだ。


「閣下、彼女を部下にしてやはり正解でした。素晴らしい成果です」

「あぁ、凄い」

「エヴァ、魔力消費はどの程度なのですか?」


 ヴィーネが膝を屈めて、エヴァの膝から骨金属足の部分を触り調べていた。


「ん、大量には消費しない。けど、使い続ければ、それなりに消費する」

「問題はそこなのよね、まだ魔導車椅子の概要を掴めてないの、代替となる魔力コアを用意できれば、エヴァの魔力をそんなに消費しなくても済むのだけど、さすがに、そこまで組み込む作業は、エヴァ本人も長時間拘束したうえで、何百回と何千回という試行錯誤が必要となる。片手間でやるのは非常に難しい」


 ミスティはエヴァに続いて説明していく。

 しかし、あんさん、エヴァ専用機を片手間に改良したのかい。


「……まぁ、現時点でも十分凄い、エヴァ、良かったな。歩けるようになって」

「ん、ミスティのお陰。嬉しいっ――」


 彼女はルシヴァルとしての血筋を生かした身体能力で凄まじい回転をしていた。

 あ、そこで金属と木材でできた車輪が外れてしまい、エヴァはコケてしまう。


「痛いっ」

「ちょっとエヴァ、無理に変な軌道で動いたら駄目だっていったじゃない」


 急遽、ミスティが壊れた金属部位へ手を翳す。

 彼女の手には、いつぞやの日にも見せた蜘蛛の巣のような黒亀裂を手の表面を発生させ腕を侵食させてゆく。


「ん、済まない」


 エヴァは転びながら、肩を落としていた。


 その間にも、ミスティは指爪以外を真っ黒にさせた手を金属へ伸ばし、爪だけが煌く指先を、壊れた金属へ触れされている。その一瞬で、壊れた個所に小さい魔法陣が染み込み、金属同士が粘菌のように引かれ合いくっ付いていく。


 直ぐに車輪は元の形へ戻っていた。


「ん、ありがとう――次からはあまり変なことはしない」


 エヴァは少し恥ずかしそうに顔を俯かせながら語り、元の魔導車椅子の形へ戻す。


「うん、気を付けてね」

「しかし、まだまだ色々と進化ができそうな気配だな、エヴァ初号機は」


 俺の言葉を聞いたミスティは、ばつが悪そうに少し頭をかいてから、


「……期待させてしまったのなら、ごめんなさい。実は、これ以上は難しいの。この魔導車椅子を作ったドワーフ一家は相当な一族。魔導人形ウォーガノフの技術も使われているし、エヴァの血肉まで使用されている、わたしの知らない未知の魔法技術、細工技術が詰まっているから……」

「そっか、まぁエヴァとよく話をしながら決めてくれ」

「ん、わたしはこれでいい、ミスティは魔導人形作りもある、後、何か他にも色々と研究している」


 エヴァは天使の微笑を浮かべながらミスティの顔を見て、話していた。


「あ、うん、はは、こないだ部屋を見てたわね」


 ミスティは恥ずかしいそうに、苦笑いをする。

 今度、忘れてなきゃ彼女の新しい工房を見てみるか。


「ん、勿論」

「こないだエヴァと一緒に見た時から、部屋が凄い散らかってたからねぇ、今はもっと凄いことになってそう」


 エヴァとレベッカが頷き合いながら話していた。


 ……さて。

 今日は、訓練をせずに、鏡の回収に目途が立ったことを話しておかないと。

 そして、実際に埋まっているだろう鏡の回収を行うとするか。

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