五十話 連携の楽しさ
「またかっ! 皆、やるぞ!」
「「了解!」」
紅虎の面々は、サラの声に元気よく声を揃えていた。
皆でドレイクに攻撃を加えていく。
言葉がなくとも自然と連携できていた。
さすがはBランククラン【紅虎の嵐】。
俺と
邪魔にならないようにドレイクたちへ攻撃を加えていく。
数時間かけてドレイクたちを倒しきった時には、もう日が傾いていた。
さすがに紅虎の面々にも疲労の色が見え始めている。
だが、またそこに魔素の反応があった。
しかも複数。
「またなの?」
サラは眉間に皺を寄せて嫌そうな顔を浮かべる。
「そのようです」
ルシェルさんが顔を向ける先には
更に、首が長い頭が二つある小型竜たちも遅れて出現。
「蟻に竜か。しょうがない、気張るか」
「ブッチ、疲れたなら丸薬を飲んでいいぞ」
「大丈夫です。団長こそ、疲れたらポーションを飲んで体力を回復してくださいよ?」
「はは、言うようになったな? わたしは大丈夫だぞ」
長らく戦っていた彼女たちは強気な態度を崩さない。
まだまだ平気らしい。
俺は感心しながらも、肝心のモンスターへ目を向けた。
蟻は見たことがある
竜は小型タイプで、初めてみる。
細長い首から伸びる二つの竜頭。鱗は青白い。
観察していると、小型竜と蟻の群れが戦い始めた。
犬猿の仲なのだろうか、モンスター同士の争いは不思議だ。
蟻と竜の争いは暫く……続いていた。
その戦いから漏れた蟻と竜が俺たちを標的にしたのか近付いてくる。
数は蟻が五匹に小竜が二匹。
「きたきた。
サラが
頭が二つある小型竜の名前はソニックバーンか。
「それじゃ、わたしから――」
べリーズさんが弓を構え、矢を番えて射出。
ヒュッと風を裂く矢が、次から次へと急所と見られる蟻の眼球、竜の細い首にピンポイントでヒットしていた。
すげぇ……おっぱいだけじゃねぇな。
エルフであるべリーズ・マフォンの弓術は相当なレベルだと判断できた。
でも、弓矢を放つ時、巨乳のメロンさんが邪魔そう。
赤革の鎧がおっぱいを押さえているようだけど……。
「まだ距離があるし、わたしたちの出番ね」
と気軽に話すルシェルさん。
余裕の表れなのか、矢を射ているベリーズさんへウィンクしていた。
彼女は魔法使いらしく手に持った大杖を胸の前でくるりと回す。
大杖を持つ片手を天へ翳して片目を瞑る。
反対の手はその大杖を支えるように優しく添えられていた。
魔察眼で確認。
ルシェルさんは魔力操作を行っている。
彼女の両腕から大杖へ魔力が伝わるのが分かった。
詠唱はしないようだ。
大杖の先端に嵌まっている青い宝石が光を帯び始めると、青い宝石を掴むようにデザインされていた細かい爪のような木片たちが生きているように蠢き縮んでいく。突出した青い宝石からは無数の青い粒子が発生し、粒子が真上へ集まって太い氷刃が形成された。
「氷で潰しますっ」
次から次へ氷刃が生成され蟻たちへ飛翔していく。
一つ一つが五センチ大はある平べったい氷刃が群れを成した蝙蝠のように蟻の腹部へ刺さっていた。
氷刃が腹に刺さった蟻は動きを止める。
そのまま氷魔法を食らい続けた蟻はあっという間に真っ白い氷の蟻彫像と化していた。
残った二匹の蟻たちにも氷刃が直撃し、動きが鈍くなっている。
その鈍くなった
やるなぁ、魔法と弓か。
ルシェルさんの魔法とべリーズさんの弓だけでこちらに来た
しかし、まだ
「あの竜は耐性があるようです」
ルシェルさんの言葉通りに、
あの青白い鱗、氷系は効かないということか。
その代わり、矢は幾つも刺さっていた。
「竜は各個撃破だ」
サラが言葉少なに指示を出す。
「了解ッ!」
【紅虎の嵐】のメンバーは一糸乱れずサラの言葉に従った。
ブッチさんは突撃したサラをフォローするように、斧の一撃を
ルシェルさんも同様に大杖から氷刃を次々と放出させてゆく。
時折、ブッチさんの斧攻撃をフォローするように氷刃を集中させていた。
だが、氷刃攻撃は効いていない。
ルシェルさんは氷刃攻撃を中断。
俺も負けじと参加。狙いは小さい脚。
サラとブッチさんの連携終わりのタイミング、剣と斧のダメージで怯んだ
片脚が潰れると、
貫かれた小さい竜頭の一つは項垂れピクリとも動かなくなる。
しかし、もう一つあった竜頭は悲鳴に似た咆哮をあげた。
竜のくせにヤケに甲高い。
咆哮が轟くと、
だが、バランスを崩したように見えた
内腹を見せるように転倒していた。
「ロロ!」
俺は自然と叫ぶが、大丈夫だった。
「わたしに背後を見せるなんてね、サヨナラ――」
サラの別れの言葉が響いた瞬間、
腕に魔力が集中――
毛もふさふさ状態。
その両腕から、スキルと見られる四連撃が繰り出された。
小さい竜の頭蓋を一瞬で吹き飛ばす。
何度見てもすげぇ。
間近でみたけど、やはり腕と握られているカトラスが一瞬だけど巨大化していた。
剣も特殊か。もう元のサイズに戻っているけど。
巨大化した両腕は紅い毛に覆われて、素早さも跳ね上がっているようだった。
腕がぶれるように動いていたし。
カトラスによる四つの剣閃。
一瞬で四回斬りつけているんだから、凄まじいの一言。
前にドレイクの頭を陥没させた斬撃も、同じような系統の技の一つなんだろう。
一方、ブッチさんは最後に残っている
二つの頭から交互に来る噛み付き攻撃を大斧で弾き、口から放たれる衝撃波も、大斧を盾代わりに使い防ぎきっている。
それをフォローするかのように、べリーズさんの放った矢がピンポイントで
合計四つの眼をそれぞれミスもなく射抜いていた。
凄まじい腕。矢を眼に喰らった
そこに、氷刃ではない、雷魔法と見られる魔法が炸裂。
細く黄色い閃光が二つ、三つと
だが、動きは確実に鈍くなっている。
そんな
ヒット&アウェイを完璧にこなしていた。
あの大斧による攻撃は、どことなくラグレンを思い出す。
あと、詠唱が聞こえなかったけど、ルシェルさんの雷魔法はどこから出したんだろう。杖で出せるのは氷魔法っぽいし。
そんな疑問を持ったところで、サラによる三連の斬撃が決まった。
続いてブッチさんの攻撃が始まる。
ブッチさんは跳躍し――上空から大斧を叩きつけた。
兜割りのような技。
斧の激烈な斬撃というか打撃により細い翼は完全に折れ曲がり、千切れそうだ。
ブッチさんの攻撃をフォローするように、間髪容れずにルシェルさんの雷魔法が続く――雷魔法で鱗が削られ、肉が焦げた匂いが漂った。
なるほど、あの雷魔法はスクロールか。
ルシェルさんの懐、腰ベルトには吊り下げられた紙束がある。
それはぶ厚い黒く装丁された本のようで、紙束が大量に収められていた。
その本から剝がすように一枚の紙片を取り出すと、その紙片を投擲し、投げられた紙片が雷魔法へ変化している。
そこで、狙い澄ましたように、べリーズさんの強弓から放たれた矢が、青白い鱗がなくなって焦げた肉が見えている部分に二本、三本と連続で突き刺さっていく。
最後まで残っていた
哀れかな、集中攻撃を喰らう。
この
遅れて、
刺さった矢を真っ二つにするように矢の真上から骨剣が突き刺さり、小さい足を穿っていた。
俺も攻撃だ。足から腰、腰から腕へ力が伝わらせ、<刺突>を撃ち放つ。
捻られた黒槍が
更に皆の攻撃は続く。
一瞬にして、細切れの肉片となった。
完全なオーバーキル。
そして、別のところで戦っていた竜と蟻の戦いも終結していたようで、もう俺たちの周りには竜と蟻の気配はなくなっていた。
初めての団体戦。こりゃかなり楽だ。
周りを見る余裕も生まれるし、なにより連携が楽しい。
「よし、もう周りに敵は見えないわね。この辺りに湧いていた蟻と竜種は全部片付けたかしら……死骸の剥ぎ取り素材だけど、後で回収するとして、今は放っておきましょう」
「そうですね。隊長の言った通り、左側からはもう気配はありません。上空にはワイバーンらしき竜がまだ見えますが……」
ルシェルさんは索敵スキルか探索魔法を使えるようだ。
「さすがにあの距離だと、わたしの弓も届くか分からないわね……」
「斧が振るえれば俺はどこでも良いぞ、隊長の判断に任せる」
「そうねぇ……」
そこで、俺の意見を聞くようにサラは視線を向けてくる。
彼女の視線に合わせて、一度軽く頷いた。
確かに、魔素の気配は上空からしか感じない。
<
皆の顔を見ると疲労の色が見える。
だから少し休憩したほうが良いと思う。
提案してみよ。
「……皆の顔を見るに、休憩したらどうだ?」
「そうね、少し休憩しましょう。ルシェルは濃度の高い
皆、隊長サラの言葉に黙って頷くと、各自の背曩や腰ベルトから薬を取り出し、飲んでいく。
俺はポーションは飲まずに、腹が減ったので乾燥肉を食べる。
ロロにも食べさせてあげた。
「もうここら辺にはモンスターはいないし、軽い休憩はここまでにして転移陣近くまで戻りましょうか。日も陰ってるし、ワイバーンと
「「了解ッ」」
俺も返事しとこ。
「わかった」
「にゃっ」
「ふふっ、ロロちゃん可愛すぎ。わたしに返事したの?」
「ン、にゃぁ」
ロロは俺の肩へ跳躍して乗り、『早く戻るにゃっ』的な感じで鳴くと、ぽんっと俺の肩を叩いていた。
「まぁ、おどろき。カワイイのにちゃんと判断しているのねこの子、頭が良いわ」
「確かにそうですね……わたし、使い魔には詳しいですが、ロロちゃんみたいな優秀で可愛い使い魔は初めて見ました」
「そのロロちゃんも急かしてるみたいだし、行きましょ」
こうして、転移陣があるところまで皆で戻ることになった。
明るい転移陣が見えてくる。
魔法の光源があちこちに浮き、地面に刻まれている魔法陣をライトアップしているように見えた。
少し眩しい。
そんな眩しい光と共に、冒険者たちが
お、戦いは終わりそうだ。
だが、中央にあった簡易的な防護壁がなくなっている。
ワイバーンと
中央は隠れる場所もなく完全にがら空きだ。
そこに、
「【紅虎の嵐】だ。戻ったのか」
「ドレイクを倒しきったらしいな、さすがだ」
冒険者たちはそれぞれ感嘆の表情を浮かべて呟いている。
そこに、指示を飛ばしていた細眉のポニーテールの女性が大杖を背に戻しながら近寄ってきた。
「あのドレイクたちを倒したのですね? さすがは次期Aランクと称される【紅虎の嵐】さん……ん? 貴方はDランクの、なぜ一緒に……」
指揮を執っていた女性は、話している途中で【紅虎の嵐】と俺が一緒にいることに気づき、疑問に思ったのか、そんなことを聞いてきた。
「ん? シュウヤが助けてくれたからこそ、ドレイク、
サラは俺を庇うように話してくれた。
「そうよ? その疑問の顔は何かしら? シュウヤ君は凄腕なのに」
べリーズさんも目つきを鋭くして怒ってくれた。
「確かにな。獣人を超える身体能力は凄かった。なにより驚いたのが、俺たちと何も話していない状態で連携に加わり卒なくこなしたことだ。隊列や戦術確認もなしでな。中々できることじゃない」
ブッチさんは偉い勢いで褒めてフォローしてくれた。
冒険者として認めてもらえるのは嬉しいもんだ。
「ええ、そうです。ランクで判断するのはエリスの悪い癖ですよ。シュウヤさんは【紅虎の嵐】が先に唾をつけ、いえ、太鼓判を押せるほどの人材です。それに黒猫ちゃんも可愛いですし」
「ルシェルまで……そうですか。これは失礼致しました」
エリスと呼ばれた女性は紅虎の面々からの言葉に驚きの顔を浮かべながらも、素直に俺へ頭を下げていた。
「シュウヤさんと言うのですね。わたしはエリス・ファフナード。魔導使いでBランク。冒険者クラン【八乙女】を率いるリーダーです。父の伝で冒険者ギルドで参謀の一人をやらせてもらっています。先程は失礼いたしました。お詫びいたします」
勝ち気のポニーテールの女性はエリスさんか。
ルシェルさんと知り合いなのかな。視線を何度も合わせているし。
別に怒っていないし、丁寧に返して、ついでに自己紹介もしておこうかな。
「……はい、エリスさんですね。別に大丈夫ですよ。俺はシュウヤ・カガリ。今のようにシュウヤでもカガリでも、好きな風に呼んでくれて構わないです」
「……良かった。【紅虎の嵐】の皆さんが認めるということは、シュウヤさんは相当な槍使いなのですね」
エリスさんは俺が握っている黒槍を見ると、そう語る。
「えぇ、槍には自信があります」
「それなら、今後の戦いもよろしくお願いしますね。残りは中央部の――!?」
と、奥から蟻の足音が響いてきた。
魔素の反応も複数あり――。
エリスさんもその音に驚いたように右へ振り向いている。
皆遅れて気付きだした。
「また蟻かっ」
右辺の奥から、
「ソルジャーにオフィサーまでいるわ、皆、迎撃準備――」
「おうっ!」
「きばるかっ」
「おうよっ」
エリスさんが大声で冒険者たちへ指示を出す。
――さすがに指示が早い。
指示を受けた冒険者たちは前衛、中衛、後衛と、それぞれクランごとに隊列を組み、
動きが素早く、熟練を感じさせる。
この冒険者たちもある程度の経験を持つクランのようだ。
「エリスさん、わたしたち紅虎は遊撃をさせてもらう」
「ええ、防護壁もないし、各個撃破でお願いするわ」
と、ルシェルさんがエリスさんに走りよった。
「エリス、頑張ってね」
「ルシェルもね」
ルシェルさんとエリスさんは、お互いの杖をコンッとぶつけて励まし合うと、離れた。
紅虎のメンバーはサラを先頭に蟻たちへ立ち向かっていく。
早速、近くにいる
さて、この状況――。
紅虎と一緒に行動してもあまり意味がなさそう。
一番殲滅速度が低いところ……。
それか、一番脆いところはどこだろう。
と考えながら戦場を見渡す――。
あそこに加勢するか。
大柄の甲羅を生かすようにブルドーザー的な突撃を繰り返して冒険者たちを吹き飛ばしていた。
視線で
頷き合うと走り出す。
二匹の
狙いの
こないだの要領で弱点を狙う。
脚と脚の境目にある筋肉の筋へ黒槍を突き出して穴を開け、横へ薙ぎ払って長い脚を数本飛ばす。
その瞬間を狙っていたかのように、
何回も突き刺された首は千切れそうになった。
そして、異音と共に千切れそうな部分から赤黒い液体が吹き出すと、
ぶつかった衝撃に気付いた
俺たちを睨み付けてから、死骸となった
俺は<
――速度を上げ
その際に脚の節々、さっきと同じく柔い部分に狙いを定めて黒槍を突き出して薙ぎ払い、数本脚を飛ばす。
続けて<脳脊魔速>が切れるまで、
チャンスと判断した冒険者たちから集中攻撃を受けていく。
あのひっくり返った
少し可愛く感じてしまったが、放っておいて、あの人たちに任せよう。
再び視線を戦場全体へ向けた。
紅虎の一団は違う
例の足止め魔法で動きを止め、確実に一匹ずつ仕留めているようだ。
――あそこは大丈夫。
次にエリスさんを中心とした冒険者集団へ視線を向ける。
そこでは
エリスさんのクランメンバーは、他の
あのままだとエリスさんが危険かもしれない。
追いかけている
美人だし、助ける。
エリスさんは
脚の赤毛は燃えていたが、
カサカサと脚を動かして重そうな胴体を回転させていた。
チャンス、方向転換中の
例の如く、
首の根本に黒槍が深く突き刺さる。
その瞬間、さっきと同様に血の圧力に負けた頭部がピンポン玉のように飛んでいく。
飛んだ頭部は近くで冒険者たちと戦っていた
ほっ、あの頭が冒険者に当たらないで良かった。
勢いに乗った冒険者たちは残りの
そうして
新たに湧いた蟻の群れは早々に全滅。
「おぉぉ」
「おおおおぉぉ」
「やったなぁ」
蟻を一掃した冒険者たち。それぞれ声をあげていく。
「えらい早く倒せたな。ともかく、勝ったぞぉぉ、蟻めがぁ」
「――えいっえいっ」
「「――おおおぉぉ」」
各地で勝ちどきをあげる冒険者たち。
「――皆さんっ、喜ぶのはまだ早いです! 犠牲者の遺品を集めておくように。それから、怪我人はポーションがありますか? ポーションがなくなった人は各自リーダーに報告。そして、回復魔法を使える水属性の魔法使い、光属性の助祭や司祭の方は、ポーションが飲めない方に回復魔法をお願いします。わたしも軽めの回復魔法なら使えますから回復します。喜ぶのはその後ですよ?」
エリスさんはさすがに指揮官らしかった。
さっきの戦いで重傷を負った人たちへオーロラのような回復魔法が掛けられ癒されていく。
ここにいる冒険者たちは優秀なようで、犠牲者はたったの二人だけだった。後はポーションを飲んだりかけたりして怪我を癒す人が多数いるだけで、重傷者も三人のみ、あっさりと治療が終わる。
治療を終えると、エリスさんが話しかけてきた。
「シュウヤさん、さっきはありがとう。わたしに向かってきていたオフィサーを倒してくれて」
激しく動いていたせいかポニーテールがズレて変な髪形になっていたが、失礼かもしれないので言わなかった。
「いえいえ、エリスさんがあの
「そうですか? あまり自己アピールをしない方なのですね。ふふ、あ――」
そこで、エリスさんは髪型がズレているのに気付いたらしい。
両手を使って直している。
エリスさんの恥ずかしそうにしてる顔も良いけど、今一瞬見せた笑顔も良いね。インテリ風の勝ち気そうな表情とギャップがある。
「よっ、シュウヤもオフィサーを数匹殺ったみたいだな」
そこにブッチさんの声が響く。
紅虎の一団も近付いてきた。
「あぁ、あの突撃してくるのは厄介だからな」
俺がそう答えると、ベリーズさんが、
「シュウヤ君って、見た目は若いのに意外と冷静ね。わたしたちと一緒にソルジャーやオフィサーを倒すかと思ったけど……」
「ベリーズの言う通りだ。あの乱戦を見極め、脆いところを一人でフォローするような動きをしていた」
サラもそんなことを言う。
褒められると、どうもむず痒い。
「……たまたまだよ。あのオフィサーを潰せば楽になるのは明白だったし」
「……シュウヤさんは謙遜さんですね」
ルシェルさんも大きい瞳をキラキラと輝かせてそんなことを言っていた。
「はは、褒め殺しはその辺にしといてくれ。それに、まだやることがあるだろう?」
と言って中央部を見る。
「その通りです。あのワイバーンと
「了解」
「わかったわ」
エリスさんは皆を集めるため、散らばっている冒険者たちのところへ走っていった。
サラは皆に呼びかけているエリスさんの姿を見ながら、
「作戦か、もう夜になりそうだし、動くのは朝になってからかな」
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