四話 鎖で遊ぶ、俺

「スキルステータス」


 スキルが羅列表示される。

 その中からエクストラスキルの<鎖の因子>を試しにタッチしてみた。


 ※鎖の因子※

 →???


 更に<鎖の因子>をタッチして詳細を見るか。


 ※鎖の因子※

 ※成長や他のスキルと連動して<鎖の因子>の作用も進化※

 ※その成長により<鎖>の性質、形質の変化が起きる可能性がある※


 性質、形質の変化とは何ぞ? 

 と疑問に思い、文字に指の腹でタッチを重ねたが、説明は出なかった。


 まぁ、自分なりに少しずつ理解していくしかない。

 ???とか出ているし、何か覚えるのかな?


 ゲームだと熟練度システムに近いのか?

 謎だらけだが、やるだけやってみよう。


 左手首の<鎖の因子>のマークを見ながら頷いた。


「試してみるか」


 と、ステータス画面を消す。


 左手を前に出し――<鎖>!

 念じた瞬間――<鎖>が飛び出る――。


 射出音も聞こえた。


 本当に俺の左手首から……。

 鎖状のマークから<鎖>が飛び出ている。

 伸びた<鎖>は二メートルくらい先の地面に突き刺さっていた。

 この〝鎖〟は頑丈そうだ。

 皮膚に造形された<鎖の因子>のマークから<鎖>が出ている。


 ――不思議だ。


 まるで、ス○イダーマンの糸を鉄ワイヤーのように何重にも絡めたのを鋼にした感じだ。


 左手から伸びた<鎖>の先端が地面の奥にまで刺さっているのか、<鎖>は戻ってこない。


「おーい、あっ」


 思い付いて、『<鎖>よ消えろ』と念じると、<鎖>はスッと消える。


「ふぅ」


 消えて良かった。

 あのまま地面に刺さって抜けないとか……。


 シャレにならなかった。

 それにしても、この<鎖>は使える。


 イメージ通りに飛ばせるかな?

 少し遠くまでのイメージで……<鎖>を飛ばす。


 距離は目測で十メートルぐらい?

 で止まってしまった。


「最初はこんなもんか」


 もっと遠くまで飛んでいくと思ったが……。

 意外に短いなぁと少し肩を落とす。

 だが、<鎖>の出し入れを繰り返すうちに俺は自然と笑顔を浮かべていた。


 ――<鎖>の飛び出す初速がめちゃくちゃ速い。こりゃいい。


 左手をあちこちへ向けながら<鎖>を出し続けていく。


 少しずつだが射程も延びているようだ。

 だが、真っ直ぐしか飛ばないのは仕様らしい。


 ん? <鎖の因子>のマークが少し変わった? 

 気のせいかな……。


「まぁ、射程は延びているし、速度も上がっている。使えば使うほど成長するという事かな?」


 この<鎖>と身体能力で先ほどのような化け物にも対抗できるだろう。

 新たな武器の効果を確認したら、少し活力が湧いてきた。


 岩壁から松明を取り、一歩ずつ、また暗闇へ向けて歩き出す。


 松明があっても不気味に広がる洞窟なのは変わらない。

 相変わらず洞窟の天井には僅かに光る苔や茸が見えていた。


 おっ?


 歩きながら天井を確認すると……天井が低くなった。

 光が近い。先ほどと同じ洞窟のような雰囲気になってきたのか?

 風はないが暗く湿った空気が漂っている。


 その湿った空気が肺を満たしていく。

 なんかどんよりとした気持ちになってきた。

 暗い湿った洞窟は斜め下へ続く。

 先には暗黒の世界が広がり、深淵の口がぽっかりと開いているようにも見えた。


 まるで冥界の入り口。

 俺を誘っているようにも感じてきた。


「先に進むしか無い……」


 小さく呟く。

 そんな心の不安を払拭するように<鎖>を使い続けた。


 その度に<鎖>は横壁や天井に突き刺さる。


 <鎖>、<鎖>、<鎖>、<鎖>、<鎖>、<鎖>、<鎖>、<鎖>――<鎖>。


 歩く度に<鎖>を繰り出した。無駄にポーズを作りつつ遊ぶ。


「ハハッ」


 異世界初の笑い声を出していた。

 何しろ楽しいんだよな! この<鎖>――。


 決して不安になり頭がおかしくなったわけではないと思う。

 初めての異能力の<鎖>の力に楽しくなってきたんだ。


 フハハハッ、<鎖>君。使えるではないか!


「これ凄いな、ハハ」


 この状況下でこの心境は、やはりどこかオカシイんだろうか?


 が、これで気分も紛れるし――<鎖>。


 洞窟の天井に<鎖>を突き刺してから、その<鎖>を引っ張ったり、ぶら下がったり、ブランコのように<鎖>を使い遊ぶ。


 童心に帰って楽しんでいた。

 ひたすらそんなことをしながら、岩石が転がる洞窟を進む。

 天井目指して<鎖>を伸ばす。


 ……あれっ。


 <鎖>が突き刺さる感覚がない。空間を突き進むだけで、天井がない?


 どうやら天井が高い広い空間に出たようだ。

 光る茸はいつの間にか辺りから消えている。


 足が重くなった気がして動きを止めてしまった。


 ただ一点の松明の光が周りを照らしていた。

 また一気に不安が襲ってくる。

 <鎖>で遊べなくなったのも大きいと思うが……。


 こういった状況では、ほんの些細な物でも気を紛らわすのがいいはずだからな。


 足元の明かりの輪の外……。

 闇の空間が上下左右へと無限に延びている気がする。

 重い足取りのまま歩く。


 目の前は暗い空洞が続くのみ……不気味な静寂と茫乎とした闇が巣くう。

 心臓の鼓動と松明の燃える音が僅かに響く。


 はぁ、なんでこんなとこに……。

 いきなり難易度高すぎだろう。


 不気味な空洞を見つめて、若干後悔。


 否、俺には新種族の力があるんだ。


 勇気を出し、重い足を進めていく。

 だが、付け焼き刃の勇気などすぐに萎んでしまう。


 この真っ暗闇、不気味な静寂が支配するこの広大な空間の闇。

 それら茫乎とした闇が俺に襲いかかり、全てを凍らせ、全てを覆い尽くす。


 巨大な闇に、体ごと飲み込まれるのではないか?


 そんな馬鹿げた錯覚に陥ってしまう。

 只の暗闇に、強大な怪物に思えるほどの威圧感を覚えていた。


 先ほどの面白さは完全にどっかへ吹き飛ぶ。

 ふぅ……正直、怖い。何もないといいんだが。


 時計の明かりも足して、もっと明るくしてしまうか……。

 いや、太陽を拝めない以上、充電はできない。

 いつこの洞窟から出られるか分からないし、時計の明かりはできるだけ使わないようにしよう。松明で我慢だ。


 今、怯えた情けない表情を浮かべているだろうな。


 こんな暗闇で独りぼっち。

 しかも周りは異形の者ばかりな異世界。

 こえぇもんは、こえぇよ。

 モンスターがどこからくるか分からないし、こえぇんだよ!


 孤独を味わいながら、心の中で、助けを呼ぶように叫んでいた。


 SAN値が削られるとは、こういう感じなのだろうか。


 松明の光がゆらゆら揺れるのも不安を助長させて、孤独のせいか、感情の起伏が激しくなっている。


 が、歩くスピードだけは緩めない。ひたすら歩く。

 広い空間はだんだんと狭くなってきたようで両側に岩肌が見えてきた。


 そこをまっすぐに進む。

 岩肌がなくなり幾つかの横穴が現れた。


「適当に行くか……」


 右や左に大きい横穴があったが、そこには入らずにまっすぐ洞穴を歩くことに決めた。


 俺は広い横幅がある空間を進む。

 その時――通り過ぎた背後から、変な音が聞こえてきた。

 カサカサ、ジュロロと。


 嫌な予感――。


 後ろに振り返ると、奇っ怪なモンスターの姿が見えた。

 モンスターが左右の穴から涌き出てくる。


 ――思わず背筋が凍りつく。


「うはぁ、なんだこりゃ」


 松明を翳してよく見ると、Vの字型の長細い管が二つ。


「ん? 管じゃないぞ?」


 管に見えたのは眼球の集まりだった。

 それはハエやトンボのような眼球の集合体で複眼。


 うげぇ、きもおおおお。


 V字形を成す縦に伸びる管のような物の中に眼球がぎっしりと詰まっていて、それがギョロギョロと四方八方へ動いていたのだ。


 それらの沢山ある眼球が一斉に揃って動く。

 不気味な目玉の集合体が俺のことを見つめているじゃないですか……。


 V字の眼球管の下にはにゅるっとしたナメクジや毛虫のような毛が目立つ気色悪い胴体。

 胴体の下にはムカデのような多脚が繋がっていた。


 どうやらあれが脚であり胴体でもあるらしい。


 ナメクジとムカデが合体した感じ。


 そのナメムカデがカサカサジュロロ……。

 不気味な音を発しながらぞろぞろと穴から湧き出てくる。


 俺のことを餌と認識したのか近寄ってきた。


 うへぇ、嫌だ。

 だが動きは遅いのか。

 見た目は不気味だがこのナメムカデは移動速度が遅い。


 ほっと一安心。これなら倒せそうだ。


 とりあえず松明を下に置く。

 ポケットに入れておいた石を取りだし、狙いをつけて、投げつける――。

 石はナメムカデの目玉に当たった。


 ブシュッと眼球が潰れる異音が響く。


 良し、いい感じだ。続けて投げ続ける。

 投石でナメムカデの眼球を幾つも潰すと、眼球集合体のV字管の片方が倒れて動かなくなった。


 一匹殺ったのか?


 だが、そんなナメムカデたちは次から次へと現れる。

 カサカサ、ジュロロロと不気味な音を立てて増え続けていた。


 全部ぶっ殺す。

 幸い、ここの地面には石や崩れた岩石が大量にあるからな。


「ヒャッハー!」


 テンションがどうかしているが構わない。

 足元に転がる石を拾い、投げつける。

 拾っては投げ、拾っては投げ――。

 もう何でもいいから、妙なテンションを維持して投げ続ける。


 ブシュッ、ブシュッ、ブシュッ、ブシュッ、潰れる異音が辺りに響いた。

 途中で<鎖>も使えることを思い出す。

 <鎖>を突き出させては、ナメムカデを<鎖>で貫き殺す。

 ナメムカデが出現した穴の周囲には倒したナメムカデの死骸と白い体液がぐちゃぐちゃと重なって白いうんこ的な塊となっていた。


 左右の穴からはもう出てこなくなったか?


 そこで、少し安心した時。


 ピコーン※<投擲>※スキル獲得※


 脳から音?


 高音で脳内に響く音と共に、視覚にも赤い文字で※<投擲>※スキル獲得※と表示された。不思議と心地いい音。

 脳に響く……スキル獲得音。


 まるでゲームみたいだが、現実だ。

 前の世界だったら、確実に幻聴と幻覚だ。


 だが、ここでは違う。

 さきほど自分が行動した感覚が湧き上がって、研ぎ澄まされていく。


 何だ、この感覚は……。

 最初からスキルの<投擲>を知っていて、動きを覚えている感覚。

 と言えばいいだろうか……。


「不思議感覚だ」


 スキルを覚えたのは石を投げて、あの目玉ナメムカデをかなり殺したからか?

 そんな余韻めいた感想を抱いていたら、


「グルル」「ガルゥッガゥ」「シュゥゥ」


 今度は前方と背後から獣の声。


 ――獣?

 前方から獣の唸り声が響いてくる。

 ナメムカデの死骸に獣が集まり死肉を食っているらしい。


 後ろから聞こえる獣の声を発する獣は俺を狙いそうだ。

 石を余分に拾いポケットへ突っ込んでおく。


 そして、意を決して振り返った。


 暗闇に浮かぶ一つの眼、もう一つ遅れて見えた。

 一対の輝く眼だ。


「グルルゥ」「シュァァ」


 と、順繰りに獣の声と輝く眼が増えていく。


 ……松明の灯りが獣の姿を映し出す。


 狼か犬のような姿。大きさは小型犬。

 だが、口だけが異様に横へ広がっている。

 長い定規が入るぐらいに裂けた口には、剥き出しのノコギリ歯が無数に生えていた。


 鋭そうな歯牙からは涎も垂れている。

 ヤバイ、逃げたい……。

 だが、小型犬の大きさだから動きも速そうだし、逃げるにしても数は三匹。


 背後ではナメムカデの死骸を食べている音が聞こえているし。


 ここは石で先制するしかない。

 ――えいやっ、となげやりな感じで投げつけてやった。

 しかし、そんな気持ちで投げた石もスキル<投擲>があるおかげか、スナップを利かせた無駄の無い<投擲>になっていた。


 手に持つ石はスムーズに手から離れて飛んでいく。

 最初に投げた石は口裂け犬の頭に直撃。


 一つ、二つと。


 最初のナメムカデを倒した時とは違い、ダーツのプロ選手やプロ野球選手にでもなったように感じる。

 勿論、選手ではないから適当な感覚だが、まぁようするに、柔軟な手首のスナップに絶妙なコントロールだった。


 続けて隣にいた犬の胴体にヒット。


 どうなってんだ?

 と突っ込みを入れたくなるぐらいの出来だった。


 動きは意識せずに自然体のフォーム。

 スキル<投擲>のお陰だ。

 石が頭に当たった口裂け犬はすぐに地面に倒れる。

 胴体に当たった口裂け犬は悶え苦しむように身体を震わせて倒れていた。


 二匹のモンスターを倒すことに成功。

 残り一匹だ。と、喜んだのも束の間。


 口裂け犬がすぐ真横に来ていた。


 俺に噛みつこうと、裂けた口を大きく広げて口蓋から口先まで重なるようなノコギリ刃を見せつけてくる。


 やばッ!


 ――とっさに腕を払う。


 ノコギリ刃を防ごうと、口裂け犬を振り払うように右腕を動かした。

 振り払った右腕に凹凸の激しいノコギリ歯が直撃。右腕の手首から肘にかけて大きく切り裂かれてしまった。


 血飛沫が舞う――。


 いてぇぇぇぇぇぇ。


 しかし、俺の振り払った腕に当たった口裂け犬は横へ吹っ飛び、横壁に激突。壁を引き摺るように地面へ落下していた。

 小さい胴体を痙攣させている。

 口裂け犬は死んだように動かなくなっていた。


「クソ! 痛すぎる」


 切られた腕がズキズキする。

 痛みの声を発しながら松明を拾うと奥へ逃げる。

 口裂け犬を倒したことなど、関係ない。


「痛いぃぃぃ」


 いてぇぇぇ、走りながら奇声をあげていた。

 痛みを誤魔化すように歯を食い縛る。


 何がヴァンパイアだ……怖いし、痛いし、甘かった。

 ある程度は覚悟していたが、痛いのは痛い。

 あ、あれ、痛かったが……痛くない?


 痛かった腕を見るともう傷が消えていた。

 腕を振り回し――。


「痛くない……」


 血は残っているが、


「わぉ……」


 前言撤回だ。この<不死能力>は凄い。


 先ほども、よくよく考えれば、防ごうとして……腕を横に払っただけで、犬はふっ飛んでいったからな。


 こうして全力で走っていても全く息切れしないスタミナ。

 ヴァンパイア系は凄すぎる。


 ――ヒャッホー。


 が、少しの傷を負ったぐらいであんなにメンタルに来るとは……。

 まぁ、当然か。子供の頃に大きな傷を負ったからな……。


 念の為、石をもっと持っていよう。


「……げ……」


 そんな風に考えをまとめていたら、先ほどと同種と見られる口裂け犬二匹が目の前に立ち塞がっていた。


「ガルルゥ」「グゥゥガゥ」


 急遽走るのを止め、とっさに持っていた松明を口裂け犬に放る――が、同時に口裂け犬が飛びかかってきた。


「ヤバッ」


 走って後ろに逃げようとした瞬間――。


 ピコーン※エクストラスキル<脳魔脊髄革命>の派生スキル条件が満たされました※

 ※<脳脊魔速>※スキル獲得※


 その言葉が脳に響いた時――。

 視覚の左上に<脳脊魔速>と赤く表示される。


 俺は瞬時に後ろへと跳躍。

 ――同時に頭にズキンと痛みが走り、スキルを理解する。


 一方、襲い掛かってきた口裂けた犬は地面に頭をぶつけており、歯が折れたのかピクピク頭を動かしふらついていた。


「頭が痛いッ――だが、避けられた。スキルによって異常な速度を出したという事か?」


 スキルは理解しているが、まだ慣れない。

 ふらついた犬は僅かに動いている。


 頭痛を感じている暇なんてない。今がチャンスだ。

 このスキルによって得られた速度は時間制限ありと瞬時に分かったので急ぐ。


 左手を口裂け犬へ向け掌をスコープに見立て、狙いを定めるように翳す。


「いけぇぇぇぇっ」


 そう叫ぶと同時に左手首の鎖の印から<鎖>が射出された。

 口裂け犬は小刻みに身体を震わせながらも、折れた牙を剥き出しにして口を大きく開く。


 その口に<鎖>が吸い込まれた。

 <鎖>は犬の口蓋を貫通。

 脳を突き抜け直進し、犬は貫かれた衝撃により胴体が錐揉み回転。


 脳髄を周りに撒き散らしながら犬の首が宙で千切れて何処かに飛んでいくのが視界に映る。


 ――まだだ。走る。


 その血塗れた<鎖>を真っ直ぐ伸ばした状態で、もう片方の口裂け犬に向かって走り出す。

 スキルの効果は理解できていたが改めて実感する。

 新たに取得したこの<脳脊魔速>は俺の速度を異常に引き上げるという事だ。


 もう一匹の口裂け犬に一瞬で近付いた俺は走った勢いを利用し、口裂け犬の腹をサッカーボールでも蹴るようにインステップで蹴り上げた。


 口裂け犬の胴体は蹴りの衝撃でくの字に凹む。


 小さい悲鳴に似た声を発しながら胴体が宙に少し浮いていた。

 同時に石を握っていた右手を、上から下へと力一杯! 垂直に振り下ろす――。


 口裂け犬の頭に拳大の石がめり込む。

 完全に犬の頭部が陥没していた。

 そこで<脳脊魔速>が自動解除される。


「このスキル、すげぇ……」


 まだ効果が残っているのか、不思議と脳の思考は明瞭になっている……。


 明瞭な思考で頭の内部からくる熱を感じ取った。

 その熱は徐々に熱くなり、熱が首筋や体に伝搬していくのが分かる。

 感覚はどんどん強まり、頭から背骨にかけて広がりながら、骨が熱を帯びているようにも感じられる。


 いや……骨と言うか……。


「もっと奥……中まで熱い……」


 不思議な感覚だ……。

 脳と背骨に連なる神経と血管の先々まで、熱く、血がたぎる。

 体を巡る血流が躍動していると分かった。神秘的な血流が体を巡る映像が脳内に浮かぶような感覚で分かった。


 酷い頭痛も変化する。体が痛むとかではない。

 新たに、体が作り替えられていく……。


 そんな不思議な感覚を味わいながら……。

 俺自身の体に起きた変化を噛み締めるように両手を見据えていた。

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