12話 波の夜 後編

 前回のあらすじ。旅をしていたアイとアリスは、野営地にて救難信号を聞きつけて現地に向かう。だがその場所はすでに滅びており、信号だけがむなしくこだましていた。二人は自前の放送機器を持ち出して、存在しない放送主にコンタクトを求めた。



「じゃあ、あなたがヘイダーさんなんですね?」

 夜だった。

 滅びた町の、滅びた廃屋で、アイがマイクに向かって話しかけている。その言葉は電磁石を揺らして信号に変じ、電波となって空を駆けた。

 だが電波はひどく弱く、波は廃墟はいきよの街に響くばかりで、受け止めるラジオはどこにもなかった。

『はい、そうです! 私がリボンドーン町放送局を取り仕切るヘイダーです!』

 だが、届くはずのない言葉に答えるものがいた。聞き届けるための機械どころか体すら持たないその存在はヘイダーを名乗っている。

 よし! とアイは拳を握った。やはり、あのラジオ放送は残響ではなかったのだ。いったい彼になにがあったのかはさっぱり分からないが、とにかく、

放送のヘイダーは電波となってこの辺り一帯を覆っているのだ。

 だが、それはそれで問題点も多数あった。

「えっと、それで、そちらはどういう状況なんですか?」

 アイは言葉を選びながらゆっくりと、彼の世界に踏み込んでいった。

 今のところ危険の兆候はないし、ちゃんと会話できているとは思う。だが油断はできなかった。経験上、この手の異能者はかならずどこかが破綻していると知っていたからだ。

『どうもこうもありません! 放送は聞いてもらえましたか? 病がはびこっているのです! どうかお医者を呼んでください!』

「わかりました。ですがそのまえに、そちらの情報を詳しく教えてください。それと、あなたのほかに話せる人はいますか?」

『……それが、すみません。もうよくわからないのです』

「わからない?」

 マイクを押さえて、アイは背後のアリスと目配せした。

『これも例の病のせいです。くだんの病気は人にうつるため、町の人間はなるべくはなれて閉じこもっているのです。……町の通りを歩いているのはもはや“屍者ししや”だけですよ……』

 そういえば廃墟のほとんどは目張りがしてあった。

『正直なところ、私はこのラジオで救助が来ることをほとんどあきらめていました。ですがそれでもやめなかったのは、同じように孤独と恐怖に耐えている同胞を思ってのことです。それがまさか、本当につながるなんて。……アイさん、どうか他の人にこの町のことを知らせてくれませんか? それと、あなたの周りに大人はいませんか? できればそちらの方と話をしたいのですが……』

「……わかりました。ちょっと待ってください」

 アイはマイクの回路を切って、肩越しに視線をやった。

「あやういな」

 目線だけで意を介して、アリスが渋い顔でうなずいた。アイもまったく同

意だった。

「こいつはマダムなんかと同じ、自己認識が変化しているタイプの死者だ

――と思うんだが、なにぶん前例がないしなぁ」

 死者とは、生前の肉体を己と認識し、超常の力で操る存在である。

 だがこの『認識』がときに、著しく変化してしまう者たちがいた。たとえば生前、義手や義眼を使っていた人間が死後になってそれらの機器を『自己』と認識し、腐った肉と同等に動かせるようになった例も多い。(くだんのマダムはこの例の極致である)

 同じように、火刑の末に自らを炎と認識するようになった婦人や、はえわれて彼らのくそになってまで自己を保った少女などもいる。

 ヘイダーもまた、彼らと同じく生前の肉体以外のものを自己として認識している死者だった。……ただし、それは“電波”という、物質どころか現象に近い事象だったが。

「あとこいつ、自分が死んだことに気づいてないな」

「ええ……」

 アイは深くうなずいた。

「さっきの話で少しわかりましたが、……亡くなったときの状況がよくないですね。たった一人で、孤独で、救難信号だけ流し続けるなんて、異能者になっていたっておかしくなかったですよ」

「もしくはそっち系との複合かもしれない」

「……問題はヘイダーさんの認識ですよ」

 親指の爪をカリカリとんでれる。

「ヘイダーさんは自分の状態をどう認識しているのでしょう? さっきは普通に話せましたけど、最低でも時間感覚と記憶の一部はおかしくなっているはずですし、他にも欠落しているはずです。それはまだいいのですが、その欠落を指摘したときに受け入れてくれるかどうか……うーん、うーむむむぅ……」

「……なあ」

「はい?」

 ああでもない、こうでもない、とアイが悩んでいると、アリスが渋面で語りかけた。

「本当にいまさらだけど、もうやめておかないか?」

「……アリスさん」

「おまえヘイダーに全部ばらすつもりだろ? あんたのやってきたことは全部無駄で、町はもうとっくの昔に滅んでて、本人もすでに死んでいるって」

 疲れ切った老人の目がアイを見る。それは望郷と諦念でできている。

「いいじゃないか。放っておけば、本人だっていまさらそんなこと知りたくないだろうよ。最悪、教えたおまえを逆恨みするかもしれない。いまさら墓穴を掘り返すような事は、しないほうがいいんじゃないのか?」

 それはいったい誰の事をいっているのか。アリスの目には共感より、同情よりも強い悲しみに満ちていた。

「おまえが助けたくてすることは、実のところヘイダーを殺すかもしれないぞ。家族や仲間をすべてなくしたあいつがなにを望むかなんて、俺は知りたくもないよ……」

「……アリスさん」

 アイはマイクを置いて、彼の手をそっと取った。握った右手は鉄のように硬く、皮膚は氷のように冷たかった。

「すみません。それでも私やっぱり、言うべきだと思うんです」

「それでみんな不幸になってもか?」

「まさか、そんなわけないじゃないですか」

 アイは迷わずに答えた。

「だって私は別にんですもの。妥協もしますし嘘もつきます。アリスさんが言う通り、放っておいたほうがいいものを無理に掘り起こす気もありません。それも含めて、どこまで話すか、どうやって話すかは、ヘイダーさんと話し合って決めようと思います」

「……それでいいのか?」

「はい、だって、できないことは、できないんですもの」

 誇らしくて、少し悲しい気分だった。できないことでもできると叫んだ小さなアイが、心の中で泣いていた。

 アリスがボリボリと頭をかく。 

「……なんかおまえ、タフになったな」

「そうですか?」

「そうだよ」

 機材の調子を見ながらアリスが言う。

 そんな彼を置き去りにして、アイはマイクをオンにした。

「お待たせしましたヘイダーさん。お話ししましょう」



 精神科医めいた慎重さで、アイはヘイダーの世界に触れていった。過去と記録を掘り返し、絡まった糸をほどいていった。

 そこはどこだ、とアイは聞いた。

 おまえはだれだ、とアイは聞いた。

 それは健康な人間なら誰だって答えられるような質問ばかりで、事実ヘイダーも最初はスラスラと答えて『馬鹿にするな!』と怒ったりもした。だが質問がさらに細かくなると、彼は次第に口ごもった。

“あなたはもう死んでいる”などと、直接的に指摘することは一切なかった。そんなことをしても、狂気がより強固なものになるだけだと分かっていたからだ。だから、アイはむしろ相手を助け、自分から疑問に思うように“ささやいた”。

 それは治療であり、破壊だった。アイは言葉だけで相手の世界に深く入り込み、彼を取り囲む優しいおりを砕いていった。

 そして、

『……じゃあ、私は、町は……』

 上唇をぎゅうと噛んだ。胸を鋭い痛みが突き刺していた。アイは檻を壊す解放者であり、楽園を崩す破壊者だった。

『もう、死んで――』

 その先は言葉にならなかった。

 とつぜん、ラジオから大音量の叫び声が響き、そのままふっつりと沈黙した。まるで近くに雷が落ちたときのように、規格外の電流を流された回路が焼き切れたのだ。

 電波の涙が世界に落ちた。

 不可視の感情が波となってあたりを覆った。保存されていた豆電球がぽんぽんとはじけ、地面の砂が磁界にあわせて螺旋らせんを描いた。窓の向こうで奇跡的に残っていた風見鶏にプラズマがまとわりつき、立ち枯れた木々にセントエルモの火が怪しく灯った。

 ヘイダーはいた。電波で泣いた。

 空にはオーロラがあった。

 それは彼の涙であり、慟哭どうこくであり、……そしてアイの罪だった。

「…………」

 謝ることも、ごまかすこともなく、アイはたったひとりで立ち尽くし、己を抱いてオーロラを見ていた。

 なんてきれいな涙だろうと思った。世界がひとつ滅びる涙は、たしかに清く輝いていた。

「……おちついたら、また話そうぜ」

 さっそくラジオの修理にかかっているアリスが、慰めるようにそういった。

「きっと、分かってくれるさ」

 さっきとは正反対に優しい彼に、アイは少しだけ癒されて、そのとなりにチョンと座った。

 オーロラは朝まで消えなかった。



 この世界では、ときに人は異形となる。

 かなわぬ夢のために、逃れられない運命のために、そもそもがために、その心か、体か、あるいはその両方を変化させて人ならざる存在へと変貌する。

 だがやがて、原初の願いは消滅してしまう。

 失敗や矛盾はもとより、その成就によってすら、願いは消え去り、彼らの元から去ってしまう。

 そうなったとき、残るのは異形のその身と、空っぽになった心だけだ。

 そんな人々が多く選ぶ選択のひとつを、アイはよく知っていた。

「生き残った人たちを探したいんです」

 だから、ヘイダーがそういったときは、心のそこからほっとした。

「アイさんが教えてくれた墓碑名は明らかに少ないです。ということは生き延びた人もいるのでしょう」

 翌日。オーロラが収まってからつないだラジオからは、疲れ切って、だが絶望はしていない、前向きな声が聞こえていた。

「そうですか! それはいいことですね!」

 アイはニコニコ笑いながらヘイダーの選択を祝福した。アリスには、どんな結果も受け入れると言っていたが、誰もが微笑わらえる結果になるのなら、これ以上の喜びはなかった。

「ついてはアイさん。アリスさん。できればもう少しだけお知恵を借してもらえませんか? なにぶんこんな体ではどうしていいか分からないのです……」

 スピーカーの向こうから恐縮しきったような声が流れる。なるほど、確かに彼の選択は快なるものだったが、同時に困難も大きかった。そもそも、通常の電波である彼をどのようにしてこちらに干渉させればいいかも分からな

いし、ある意味では不死ですらある肉体の終末など想像もつかない。

「まかせてください!」

 だがアイは自信満々で安請け合いをした。

「私はある意味この手の専門家ですからね! 是非、お手伝いさせてください!」

「おお、それは頼もしい」

「ええ! 大船に乗ったつもりでいてください!」

 わっはっはと高笑いするアイの横で、アリスが疲れた顔でうつむいていた。アイの言う『大船』の名前がアリス号とかカラー丸だとか言うのだと、彼はなんとなく気づいていたのだった。



「とりあえず、いまのあんたに必要なのは体だな」

 と、アリスは言った。

「世界でなにが起きているのか知る感覚器と、世界に干渉する手足。これがないとなんにもできないからな」

 そして、アリスは廃墟のひとつを工房にして、ヘイダーの『体作り』に取りかかった。

「まずは耳と口、それに動く手足をつくろう」

『え? そ、そんなことができるんですか?』

「ああ、そこまでは簡単だよ。目とか舌ってなると途端に厳しいが……」

「ちょ、ちょっとアリスさん。私がいうのもなんですが、あまり安請け合いはしないほうがいいですよ」

「ご心配どーも。けど、別に安請け合いはしてないぞ。まあ見てなって」

 言うと、アリスはまず、廃材を使って簡単な顔をつくり、耳の位置にマイクを仕込み、口の位置にスピーカーをはめ込んだ。

「ほら、ざっとこんなもんだ」

 できあがったのは奇妙な格好をしたラジオだった。

「まだ目がないから分からないかもしれないけど、いま、あんたの耳と口を作った。いわば盲目で体が動かない状況だと思ってくれ」

『! なるほど!』

「んで、これからモーターとワイヤーを使って体を作るんだが、……どうしようかね。ラジオ信号から配線とってモーター駆動とかやると電源の問題があるんだよなぁ。おいあんた、昨日みたいな大電力をピンポイントで流せたりしないか?」

『え? いや、どうでしょう。でもやってみます!』

「あ! 私これ小説で読んだことあります! ロボです! これロボです!」

 それから、三人は廃墟に集って工作を始めた。アリスはありものの資材を利用して張りぼてのような体をつくり、関節部分にモーターとワイヤーを張り巡らせて世界で一つだけの機械人形を作り出した。ヘイダーは生まれて(死んで)初めて己の特性を意識的に使い、漠然と散らばるだけだった電波を使って特異な磁界を作り出し、コイルや磁石を意識的に動かすよう訓練した。アイもご飯とか作った。

 簡単な作業ではなかった。アリスは光感応素子やらコートされた銅線が足りないやらで百キロも買い出しに走った。ヘイダーの電操術は生まれたての生き物のようにうまくはいかず、いずり、転び、暴走の果てに火花を散らして家屋を燃やしたりした。アイも味付けとか失敗した。

 それでも、一ヶ月ほどがすぎると、最低限の形は出来た。

「ついに、できたぞ……」

 生来の凝り性が爆発してしまったのか、最後には一番熱心に仕事をしていたアリスが、憔悴しようすいしきった目を輝かせた。「おおー!」とアイは拍手をした。

『……ど、どうでしょうか?』

 二人の目の前には、マイクの耳とスピーカーの口を持ち、モーターとワイヤーで駆動する奇妙な機械人形があった。駆動機構だけで配線も電源もないその人形はしかし、ぎこちなくだがひとりでに動いていた。

「上出来だ。でもな、注意しろよヘイ。これは確かにお前の体だが、同時にただの道具なんだ。本体はあくまで電波だから、そっちの精度をできるだけ上げてくれ。とくに物体把握に関しては感圧素子やらレーダーに置き換わってたりでかなり変わってるから、そっちで合ったソフトウェアを組んでくれ。“自分で自分を作る”んだ」

『はい、任せてください。……本当にお世話になりました』

「これって移動は出来るんですか? 本体じゃないんですよね?」

「いや、出来るよ。実験して分かったけど、電気回路に入ったヘイもまた、ヘイなんだ。そっからフィードバックで送信もしてるから自己同一性は保ててる。人形が動けば電界も動くからな」

『本当に、なんとお礼を言っていいか……』

「やめろって、俺とお前の仲じゃないか」

 へっ、とアリスが照れたように鼻をいた。同じように、機械人形も頬を掻く。なんだか知らないがこの男子二名は激闘の一ヶ月を過ごすうちにすこぶる仲良くなったようで、アイはなんだか疎外感を感じていた。くそぅ、男の子どもめ。

『いつか、このお礼は必ずしますよ……さて、ではそろそろ、私は行こうかと思います』

 だが、そんな日々も終わりが近づいていた。

「……できれば、もうちょっと調整とかしたいんだがな」

 アリスが名残惜しそうにいった。だが張りぼての頭はゆっくりと振れて申し出を断る。

『十分です。いえ、十分以上です。なんの縁もゆかりもない私を、あなたたちは助けてくれました。……そちらにも目的があるというのに……』

「…………」

『これ以上は望めませんよ』

 そういって、ヘイダーはまさしく、機械仕掛けのからくり人形が閉幕を告げるように、胸に手を当てて頭を垂れた。

 別れの時だった。



「ううう、ヘイダーさん。体に気をつけてくださいね。生水とか飲んじゃだめですよ? あぶなくなったらすぐ連絡してください」

 せめても、ということで、行き着いた街の、とある街道でのことだった。アイはペンキのにおいのする胴体をギュっとハグして、別れを惜しんだ。

「これ、持ってけよ」

 ドッドッドッと息づくバイクにまたがったまま、アリスが袋を渡した。

「マダムの分け火と、電設道具や、なんやかやだ。それと『破り便箋』も入れといたから、本当にやばくなったら連絡してくれ。あと水分と塩気にはホント気をつけろよな。びるから」

『……なにからなにまで、本当に、本当に……』

「ああもう、だから水分と塩気はやめろっていったろ」

 すんっと、湿っぽく鼻を鳴らして、アリスはゴーグルを深くかぶった。

「行くぞ! アイ!」

「あ、ちょっとまってください! ……ヘイダーさん」

『はい?』

 ハグを解いて、アイは彼の目をしっかりと見つめた。

「あなたはきっといつか、再びここに戻ってくると思います」

『? こことは、この街道のことですか?』

「いいえ、オーロラの夜です」

 アイは呪いの言葉を吐いた。

「絶対になくしたくないものは何度も奪われ、二度と味わいたくないと思った思い出はより鮮やかになって降り立ちます。あなた自身も泥にまみれ、誰かにとっての災厄になるでしょう。そしてそれすら失われ、あなたは再び漂うのです」

『……アイさん、なにを』

「今は分からなくてもかまいません。……ですがそうなったときはどうか、アリスさんのことを思い出してください。それと、たぶんこれから出会うナインさんやギーギーさん、それに魔女さんたちのことを思い出してください。みんなあなたのお友達です」

『……なんのことかはよく分かりませんが、……了解しました』

「よかった!」

 そう言って、アイは短い距離を走ってバイクのくらに収まった。

「さようならヘイダーさん。あなたの行く道に、どうかカラカラに乾いた空気と、錆も生えない険しい大地が広がっていますように」

『さようなら、アイ、アリス。私も、二人がいつまでも共にいられるように、おおいなるものにお祈りしますよ』

「あは、ですって。アリスさん」

 アリスが返答代わりにエンジンを吹かした。

「じゃあ……」とアイが手を振った。ヘイダーはモーターとワイヤーを動かして、同じようにした。

 エンジンが回る。砂埃すなぼこりが起きる。体の芯を押すような加速が空気のなかに顔を押しつけて、すり抜けた風がうなじをなでた。

 アイは、心が命ずるままに手を振った。遠くでぼろをかぶった人形がゆっくりと応えている。その姿は壊れかけの玩具に似て弱々しく、いますぐ助けてやりたくなるような哀れさがあった。

 だがそうすることはできなかった。

 彼も、そしてアイも、別々の望みを抱いたが故に。

「……また会えるさ」

 自分に言い聞かせるように、アリスが言った。

「…………」

 アイは返事の代わりにラジオをつけた。

 だが、いつもの放送はノイズにまみれて、もう聞くことはできなかった。

 それからのヘイダーを、アイは知らない。その長く続く生涯のなかで、噂に聞くことは多くあったが、直接出会うことはついぞなかった。『破れ便箋』は二度と戻らず、はたして彼が同胞に出会えたのかは、分からなかった。

 ただ、

 ひとつだけ。

 このところ、世界では思いも寄らぬところでオーロラが見えるようになったという。

 そんなときはラジオをつけて、アイはひっそりと耳を澄ませるのだった。

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