誰よりも優しく「人の生と死」を描く物語

本作は一言で言ってしまえば異世界に竜として転生した主人公が、未開の地を発展させていく、というストーリーだ。
これだけでは、ちょっと珍しいタイプの異世界物、程度なのだが、本作が最も魅力的なのは、無限の寿命を持つ主人公の周りで生き、その命を輝かせて、そして死んでいく登場人物達の美しさだ。
決して濃い描写がなされるのでもなく、当たり前のように次々年老いて行く人々の、当たり前ながらも全力な生き様と、彼らの命と向き合う主人公の姿は、胸を打たれるものがある。
徐々に魔法が発達して行ったり、村が発展していったり、時々外敵と戦ったりしつつも、そんなありきたりな物には頼らない魅力を持った物語だ。