day10:大切にするからね

2/12

彼女と別れるまで後48日


十日目



十日目経った。

ここに来るまで長かった。

でも、思い返すと一瞬だった気がする。


別れを告げられたのが、つい昨日のようだ。



そして、明日、彼女と話をする。


予定だ。



だから、言うことを決めておこうと思う。



あの日、約束したけれど、やっぱり約束、破りたいんだ。


破りたい約束は2個。


1つは私、あなたとまだ結婚したくない。


2つ目は、だからまだ、まだ別れたくない。


ごめん、約束したけど、考え直したくなった。


今じゃなくて、これからまだ続く人生で、愛されたいから、愛されて、そしてあなたに寄り添いたいから、考え直してみた。


そっから先は、なんて言おう・・・



でも、ひょっとしたら明日で終わっちゃったりしてね。

このお話。

最終回。


できれば、諦めたくないよ。


一生、一緒に居たいと、本気で思ったんだ。



彼女と付き合う前、まだ好きになる前に芽生えた気持だった。


彼女は獣医になりたかった。

しかし、大学で進学した先の学科は、獣医ではなかった。

それは、夢である獣医へ一歩でも近づくために、妥協の進学だった。


出逢ってすぐ、私はその話を彼女から聞いた。

そして、彼女の夢を応援したいと思った。


店を開こうと思っていた。

カフェか食堂か。


ビルを建てて、自分のオフィスを構え、カフェを開き、知り合いを他の階にテナントで入ってもらう。


彼女と話をしていて、すぐにそう思った。

テナントのひとつは彼女かな。


じゃあ獣医さんになってカフェの隣か、他の階で動物病院を開いてもらおう。

そしたらうちの猫や犬たちも安心だ。


今の人との間に、子どもとかできて、それで何かあったら・・・そんな不謹慎なことまで考えたり。



そんな風に、この子とは一生付き合っていきたいな、と。



だから、ホントは好きになんかなりたくなかった。


だって。


だって。


だって、始まりには終わりがあるから。

今この瞬間のように、いつか失わなきゃいけなくなっちゃうから。



僕はもう、その小さな手を二度と離さずに

めぐる季節が終わりを告げるまでずっと

君を大切にするからね

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る