day7:落堕
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彼女と別れるまで後51日
七日目
自然と彼女を想う時がある。
彼女が好きなもの、喜びそうなものを見たり、喜びそうなシチュエーションの話をしている時、自然と顔が浮かぶ。
だから今、彼女が好きなもの全てが悲しい。
もしかしたら、一生ディズニーに行けないかもしれない。
昨日の話の続き。
あの秋まで、私には付き合っている人がいた。
歳は5つ上。
不思議な人だった。
心が弱い人だった。
嫌いなところがたくさんある人だった。
付き合って5年目のある日、その人は、私の目の前で死のうとした。
その数カ月前、その人のお腹の中には、命が宿っていたらしい。
その小さな命は、私の知らない間に天に帰っていっていた。
・・・らしい。
望んだというよりも、諦めの境地から取った軽率な行動だった。
心を病んでいたその人は、心も体も体調を崩しており、子を宿すための健全な状態ではとてもなかった。
私は、その不健全な人が嫌でしょうがなかった。
だから、その人が変わるキッカケがどこかないか、追い込まれた末に取った行動だった。
その人は深く傷つき、日に日に塞ぎ込んでいった。
そして、私も、日に日にその人が煩わしくなっていた。
ある夜、口論から、その人は薬を大量に服薬し、意識が混濁した状態で倒れた。
不思議と悲しくなかった。
心で思ったのはただひとつ。
「もう要らない、これ」
人間嫌いの振りして
本当に嫌いだったりして
今考えても、恐ろしい思考である。
でも覚えている。
そう思った。
このまま目の前でその人が死んでも、別にどうでもいいや、と真剣に思った。
心が壊れちゃったのか
それともそんな人間なのか、そもそも
その人は一命を取り止めた。
周りは必要以上に心配した。
でも、私にはもう関係なかった。
「どのタイミングで、捨てようかな」
それだけを考えていた時に、彼女は初めて男性と付き合う。
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