day6:日々のぬくもりだけで

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彼女と別れるまで後52日


六日目


猫を飼っている。

名前は太郎と言う。


彼女の前に付き合っていた人の猫だった。

その時の名前は“にゃん太”。


生まれた瞬間に立ち会い、彼が生まれてからずっと一緒だった。


彼は、二人をずっと見てきた。


雨の日も風の日も、雪の日も。



二人の始まりは、お互い事故のような出来事から始まった。



3年半前の春。

二人は出逢った。


彼女は大学の後輩だった。


ただ、後輩と言っても年の差は9つ。

学年は11年も離れていた。


二人を繋いだのはとある田舎。


大学の比較的近くにある限界集落のまちおこしに、仕事で関わり、プロジェクトを立ち上げ、2年目の時だった。


そんな時に、二人は出逢った。



小さくて、可愛い子。


ただ、惹かれる要素は無かった。


でも、気付けば好きになっていた。


それから夏まで、二人の関係は顔見知りのまま、ストーリーは進む。


そして、ゆっくりコッソリ、お互い人生の歯車が狂っていき、二人は近づく。


生まれてくる前からずっと待ち合わせでもしてたような

偶然だったけど目的地が同じだから

同じ時に

同じ道で

出会った気がするよ



事件が起こったのは、まずは私から。


それは、初夏の出来事だった。

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