第2話

そうして肉体労働に私が疲れそれでも背がぐんぐん伸びたくましくなった頃一匹の上品なライオンが高値で虎から私たちを買いました。虎は食事日も馬鹿にならないんだぞとずっと言っておりましたから喜んで取引に応じました。ライオンはそれから毛づくろいの仕事を私たちに言いつけました。それも10年ほどやりました。そろそろ疲れてライオンの毛もよっぽど綺麗になりましたので逃げようとすると全速力で追いかけてきていきり立って今日今すぐに食ってやるとこう言いましてまず猫に飛びかかったのですが猫はひらりと避けました。ライオンはもうカンカンになって無茶苦茶に私に飛んできました。そこで私は右足を前に出しますとライオンはそこへしたたかに頭をぶつけましてぐうぐう唸ってそれからバタンと倒れました。そんなことがあって私と猫は出発しました。少し行くとキノコがいっぱい生えておりましてそれをナメクジが叩いて太鼓にしておりました。私たちはすっかり面白くなって聴き惚れました。とそこへ虎が通りかかってまた捕まりました。ライオンから聞いたぞ、もう我慢ならん、お前らは、こうだ!といって私たちは谷へ突き落とされました。谷は深く荒々しかったのですがうまく水に落ちましたのでかすり傷一つ負いませんでした。しかしそこはめっぽう流れが早く押し流されてしまいました。激流の中私と猫は手を握りしめ合いました。そうして一緒にずいぶん流されました。すると鯨のお化けが待ち構えて私たちを飲み込みました。私は背負っていたランドセルの中から国語の教科書を取り出して音読しました。「シイハクナンジオノレノイヤガルコトハスルナト」鯨はすっかり感動して出してくれました。そのあとあんまり良かったのか鯨は大きなくしゃみをしたので吹き飛ばされて火山の上に落ちました。マグマに触れる直前猫は私の手を持ったまま盛んにもがきましたのでどうにか地面に落ちました。暖かいようでしたので少し寝てから出発しました。麓には火の玉小僧がいました。火の玉小僧は一所懸命に汗を拭き拭き鉄仕事をしていました。あんまりかわいそうでしたのでそこで一年手伝うと最高の刀をくれました。私が試しに太い木を切って見ますと見事にスパッと音がして猫はぎゃっと言いました。

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