第九楽章
暮斗は、目覚めた。然し、その気持ちはあまりにも憂鬱としていた。
「白崎暮斗くん、随分と顔つきが変わりましたねぇ。どうしましたかぁ?。」
ワザとおどけた様に聞いてみる。
なぁ、赤羽俺、わかっちまったよ。けど、それでも、俺は【世界】が許せない。
「!!!」
赤羽はおどけた様子をやめ、心底驚いた表情をした。
「それは、何故?」
俺は、【世界】と同じ様に俺も”存在”を冒涜してるって気付いた。でも、傲慢になるのは、一人で十分だ。
「ハハハハハッ、素晴らしい!それがあなたの答えですね?」
赤羽は有頂天と言った表情を浮かべている。
「では、次の修行に移りましょうかねぇ。」
あぁ。行こう。
「次の修行ではあなたの真のチカラを高める事を目的としましょうぅ。」
チカラを高める?どうすればいい?
「やはり、変わってきていますねぇ。いい事ですぅ。」
いい事?
「話を戻しましょうぅ。チカラというものはぁ、意識して使う事で威力などにかなり影響をきたすものですぅ。しかもぉ、念いと一括りに言ってもぉ様々な種類があるのですぅ。例えばぁ、憎悪や歓喜といった性質的な違いやぁ、願いや望みと言った根本的な違いがぁ、あげられますねぇ。」
それを意識しろと?
「飲み込みが早くて助かりますねぇ。つまりぃ、そういう事ですぅ。」
分かった。やってみよう。
そう言い暮斗は意識を集中させた。
俺のチカラは[自らの心に取り込む]。俺の念いは[空虚な心を何としてでも埋めたい]。俺の念いは限りなく傲慢だ。自らが第一だと思っている。だが、それでも俺は前に進みたい!何だ?この感じは、まるで自分の中から何かが出てくるみたいな。制御出来るか?いや、するしか無い!
「第一の術〈
発動した?これは確か日塚の?何故俺が使えるんだ?
「まさかぁ。もう転生者を取り込んでいるとはぁ、思いませんでしたぁ。」
何?どういう事だ?
「君のチカラの一つの応用の形ですよぉ。君のチカラは[自らの心に取り込む]ですよねぇ。ならぁ、逆にぃ?何故ぇ、心から取り出せないと思ったんですかぁ?」
確かにそうだ。何故取り出せないと思っていたんだ?何も不思議な事無いじゃ無いか。ただ、心から取り出しただけじゃ無いか。
「チカラの応用までわかったところでぇ。そろそろつ‥‥‥‥‥。」
暮斗は赤羽の言葉を途中で遮った。
そういえば、何故、赤羽は俺の念いやチカラがわかったんだ?俺は、赤羽に気付いた後も前も自分のチカラや念いは喋って無いぞ?
それは単純な問いであった。確かに変である。チカラの使い方以外の一切を話していないにも関わらずまるでこうなる事がわかっていた様な特訓方法を指示したり、的確なアドバイスをしたり。まるで自分が昔、こうであったかの様に。
歯車は狂いながらもなお回る。
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