第4話 音は響く

町を離れた二人はとりあえず、二人が生まれ育った地下町・コルドに向かうことにした。

そこに行けば、最近俺らに起きてる異変の原因がわかるかもしれない。

だが、コルドはここからかなり離れている。

「仕事、少しもらいにいこっか。しばらくの資金貯めないとね」

二人が普段仕事をもらっている所は、アルチアの町の中心のある‹こん›と言うバーだ。そこはアルチア、ナキスチア関係なく仕事を提供してくれる。

「浮凪、一回面、預かるよ。」

町に入る時には面は隠す。当然だ。

面をつけてなくても二人はとても目立つ。白銀の髪に金色の瞳。黒髪に赤色の瞳。

これはどうしても目立つ。

そして二人はモテる。一歩歩けば女の子たちが集まってくる。

浮凪は囲まれるのが嫌いで殺気を出すが戦闘をしたことのないアルチアには効果が無いようで、刻杜は女の子たちの機嫌を底わないように軽く相手をしてから逃げる。

だが今日は昨日のこともあり、町は少し殺伐としていた。

いつものように女の子たちに囲まれることもなく、こんに着いた。

ドアを開けるとマスターが驚いた顔をして、ドタドタと二人に駆け寄ってくる。今店には誰もいないようだ。

「大丈夫だったのか⁉昨日お前たちの町が襲われたって聞いたからよ。」

顔はいかついが、浮凪たちがナキスチアだと知っても仕事を回してくれる優しい人なのだ。

「ああ、大丈夫だ。あー…刻杜説明よろしく。」

浮凪はそう言い残すと、奥の席へと消えって行った。

「あ!めんどくさいからって僕に押し付けないでよ…。」

それでも刻杜は、マスターに説明をした。


説明を聞いたマスターは、協力できることなら協力する。と言ってくれた。

「とりあえず、金が必要なんだな?」

「そうだ。報酬金が多い依頼は無いか?どれだけ危険でもいい。」

今の浮凪達には時間が無い。できるだけ早くコルドに向かわなければならない。

「金だけ見るとこの2つだが…内容はどっちも危険な事には変わらねぇ。一つはお前らがらみだ。」

一つ目の内容は〘ナキスチア管理棟データベースから特殊技能をもっている人物リストの回収〙

二つ目は〘最近アルチアの攻撃が激しくなっています。もう何人同胞が死んだかわかりません。助けてください。報酬はいくらでも払います。〙

「浮凪、どっちもやるとか言わないでよ?」

「ふん。どっちも受けるが?文句があるのか?」

さも当然と言った態度の浮凪。

「ちょっと⁉なに言ってるの?最近体調悪い癖になに考えてるの!」

それを聞いたマスターは、静かに席を離れあるモノをもって来た。

「浮凪、また打ってないのか?」

「体調悪いのは刻杜も同じだ。…あれは感覚が鈍る。それじゃ俺は戦えない。」

浮凪は戦うときに耳を使って戦っている。

リンガと言うのは、ナキスチアのみに現れる特殊技能の暴走を防ぐ薬だ。

技能が暴走した場合、最悪死んでしまう。だが、逆に浮凪達にはリンガ薬なのだ。さらに面倒なのは、それでもそのほかはほかの技能持ちと同じで、定期的に打たないと技能の能力が著しく落ちてしまったり、体調不良になってしまうのだ。この症状は今の所、浮凪・刻杜そしてあと一人以外には見られない症状なのだ。

「そんなお前たちに試してもらいたいものがある。」

そういってマスターが出したのは、リンガだった。

「マスター…。これってリンガだよね?」

わかってねぇなぁと言った感じの顔をしながら、続けた。

「それはな、見た目はリンガだが、成分が全く違う。今のんとこわかってる効果は、もちろん暴走の養抑制、技能能力倍増。この二つだ。だが試したのは、の技能持ちだ。だが試してみる価値はあると思うぞ?」

いつの間にか依頼の話からだいぶ離れてしまったが、二人がこの話に惹かれているのは確かだ。

「マスター、試して何かあって僕たちのどっちかが動けなくなったらかくまってくれるの?」

刻杜が問う。確かにそれは重要だ。二人は簡単に言えば追われている身なのだ。

「あぁ、そこは心配するな、俺のアルダは隠ぺいに長けているからな。」

刻杜が静かに浮凪を見る。それは浮凪が決めていいよ。と言っているようだった。

「マスター、一つくれ。刻杜、お前は使うな。二人で倒れたらヤバいだろ。」

「それなら浮凪より僕が使ったほうが…」

刻杜の言葉をされぎり、マスターが言う。

「こっちとしては、技能が高い浮凪にやってもらいたいんだ。」

浮名はあの三人の中で一番の技能能力を持っている。データを取りたいならより高いほうにやってもらったほうがいい。

「じゃあ、打つぞ。暴走したら刻杜、お前が俺を殺せ。マスターでもアルチアに殺されるのは嫌だからな。」

「浮凪!最後みたいなこと言わないでよ!」

浮凪の打つ準備ができると、マスターは少し離れたところから、刻杜は浮名の近く。

「行くぞ。」

浮凪の白い肌に針が刺さる、そして少しずつ液体が減っていく。

そしてすべての液体が無くなった。


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