第11話 この町での最後の仕事

浮凪が目覚めたのは一週間後のことだった。

「刻杜、俺はあのあとどうなったんだ?」

「打った後突然倒れたからびっくりしたよ。一週間眠ってたんだよ。」

浮凪には真実を伝えない。まだ伝えれない。

「浮凪が眠っている間に未咲さんとコンビを組んで何個かの依頼やっといたんだ。」

「未咲サンがいたのか、未咲サンに聞きたいことがあったんだがな。」

「今日も来るって言ってたよ。その時に聞けばいいよ。」

コンコン

ドアを叩く音がした。刻杜がはいと返事をするとゆっくりドアが開いた。

「刻杜、ちょっと話があんだが…。」

頭をポリポリと掻きながらマスターが入ってきた。

浮凪が起き上がっている姿を見てゆっくりドアから出て行った。

そのあと、ドアを開けたり閉めたり覗いたりしている。

「マスター…?何やってるの?」

見かねた刻杜が言い放つ。

「いや、だってよ。浮凪が起きてるとは思ってなくてよ…。」

「起きてたら悪いか。」

「まぁまぁ、マスター話あるんじゃないの?」

そうだったと手に持っている書類を渡してきた。

「これは?」

渡されたのは、ここ一年で技能持ちになったナキスチアの統計とアルダを人的にナキスチアに埋め込む実験結果と書かれた少し厚い書類だった。

「これって、この間僕と未咲さんで受けた依頼のやつだよね?どうしてマスターが持ってるの?」

「これはコピーだ。」

ペラペラと読んでいく。ある所で浮凪の手が止まった。

「ははは、何年前のデータまで残してるんだよ。」

そこには、浮凪と刻杜の実験データが書かれていた。

だがそこには記憶にない名前が書かれていた。

【実験成功個体:№3琥珀こはく

「琥珀?誰だこりゃぁ…。実験成功個体って。」

お前らは知ってるか?と言う目線でマスターが見てくる。

「僕はあんまり名前とか覚えてないんだよね。浮凪はどう?」

「俺も知らないな。だが、俺たちと関わりはあるみたいだな。」

「大体は僕たちと同じ実験されてたみたいだね。」

「なかなかにエグイ事されてたんだな」



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ナキスチア革命記 kurn @kurozatou

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