第8話 音は響く5

ルコは立ち上がり、手を前に出す。

そして、何もない空間からポンと言った音と共に真っ白いパーカーが出てきた。

ルコのアルダは何もない空間から物を作り出すことができる。まだ幼いのでできるは服のみだ。

「色ついてたほうが良かった?」

おずおずとルコが刻杜にパーカーを差し出す。

「いや、今回ダメにしたやつ白だったからちょうどよかったよ。いつもありがと、ルコ嬢。」

頭をなでなですると、恥ずかしそうに笑うルコ。なんだこのかわいい生き物は。未咲なんて椅子にうずくまり悶えている。

「あ、未咲さん。自己紹介したっけ?」

そういえば未咲はルコに自己紹介していない。

「そうだった。私は未咲。時々マスターから仕事をもらってるの。よろしくね!」

「ルコです。よろしくです。」

二人は握手をする。

「未咲はそろそろ帰らなくていいのか?こんな時間だぞ?」

奥の厨房から声が聞こえる。

時計は午前12時30分を指している。

「もうこんな時間なの!?どうしよう…。今から帰っても寝る時間ないし。よし!今日はここに泊まる!」


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