第4話 武也、出撃す
「なあ報告書適当でいいだろ?」
「何度も言ってるでしょ。報告書の提出は創部する時の学校側からの条件なんだよ。いろいろ危険も伴うからね。その上今回は鎮圧対象殺しちゃったんだからしっかり書かないとヘタしたら活動停止だよ。」
部室に戻った流星は武也と話していた。実のところのような会話は何度か行っていた。なぜならば、流星は出動するたびにこのような問題を起こしている。暴走したのが植物ならば完全駆除が目的なのでかまわないが、動物だとそうもいかない。近隣住民に大きな被害を与える害獣であるから駆除するに越したことはない。しかしながらこの状況においても動物愛護団体がでしゃばってくる。愛護団体の多くはアンゴルモアの被害を受けなかった本土に存在している。メガフロートは人工島であるからいる動物といえばネズミや、ハトやカラスなどの鳥類、ほかには飼育されている犬や猫がほとんどである。その実態を知ってか知らずか団体は「生態系を破壊している」「動物の権利を侵害している」と主張してくる。生態系なんて最初から存在していないのだが……。
「とりあえず電磁網で捕獲しようとしたら予想以上に近くにきてて電磁網を撃つことも避けることもできなかったんでしょ?じゃあそうやって書けば済むじゃないか。簡単でしょ?さっさと書いてよ提出してこなきゃいけないから。」
「さっすが武也、頭いいなぁ、じゃあそうやって書くわ。」
ようやく流星は報告書を書き始めた。
「栞さんも、流星のお世話お疲れさまね。大変だったでしょ。」
「別に、流星のあんなのはいつものことだからかまわないよ。」
戻ってきた栞に武也がねぎらいの言葉をかける。そうしてると部室にある通信ターミナルに連絡がきた。
『東武高校で発達したツタ植物が暴走して高校の敷地に浸食を始めた。当方は別の事件にて出払ってしまっているため地域防衛部に支援を求める』
消防からの連絡だった。
「よっしゃあ俺が行く!」
流星が声を上げたが武也は
「お前は報告書を書いてて。植物くらいだったら僕一人でもどうにかなるからとりあえず僕が行ってくるよ。栞さんも休んでていいから。その代わり誰か能力者に出動するように連絡をとって貰いたいのと、流星が報告書書いているか見張っておいてくれないかな?」
「あんたニブイんだろ?本当に大丈夫かよ?」
栞がさすがに心配するように声をかける。
「強化除草剤もあるし、だいじょうぶだよ。たまには、活動の役にも立たないとね。」
武也はそういうと、火炎放射器のような形状をした散布機を背負い、部室から出て行った。
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