第三章「失恋王 vs エロティカ姉貴」

エピ027「プロローグ」

うちの学校は2学期制なので12月頭に後期の中間試験が終わると、後は冬休み迄大きな行事はもう残っていない。


特に一年生は、高校受験が終わって初めての「ちょいリラックス」した年末年始を迎える事が出来る訳だ



時任:「宗次朗は冬休みに何か予定あるの?」


100点の答案用紙を見せびらかしに「時任マサト」が近づいて来た。…て言うか満点なんてどうやったら獲れるんだ!


処で俺は、いつの間にか「学園のアイドル(男)」と唯一仲の良い男子と言う、やや的外れなレッテルを貼られていた。



宗次朗:「別に、今年は家でビデオ観賞会だな、でも何で?」

時任:「僕の家はクリスマスは何時も家族で過ごす習わしでね、冬休み中はずっとイギリスなんだ。」


宗次朗:「ブルジョアめ、」

時任:「宗次朗も一緒に来ないか?」


宗次朗:「何で?お前と一緒にイギリス行って、俺に何のメリットが有るって言うんだ?」

時任:「実は、父から「一度きちんと紹介するよう」に言われているんだよ。」


宗次朗:「紹介って、何を?」

時任:「何をじゃなくて、君をだよ。」


宗次朗:「何で?」


「時任」は、他の女子達には聞こえない様に、俺の耳元に口を近づけて、…



時任:「決まってるじゃないか、僕に纏わりついている男って、今の所君しかいないからね、」


こっそりと、囁いた、



宗次朗:「いや!纏わりついてんのってお前の方からだし、て言うか今すぐ纏わりつくのやめて下さい、兎に角そんな恐ろしい所には絶対に行けませんから、…」


俺は、何処かから狙撃手に狙われていないか、極度警戒する。







校庭で、何か揉めているらしい?…何だか異様な人集りが出来ている。



男A:「あれ、もしかしてまどか先輩じゃね?」

男B:「ほんとだ、何しに来たのかな?」


「円先輩」とは、昨年度の卒業生である。 去年の入試説明会で「軽音×演劇仕立ての学校生活紹介」をやって、そのハリウッド女優並みのルックスと演技で新入生はおろか、その父兄までをも魅了してしまった美少女の事である。 実際にその頃は芸能界入りの噂が有ったらしく。 新入生の中には「円先輩」に憧れてうちの学校に入学して来た奴も少なくない。



有人:「マジ天使だナ、」


同中の知り合い「鎌塚有人」が、スマホに望遠アタッチメントを装着して、校庭で揉みくちゃにされている「円先輩」のお宝映像を盗撮する。



女子A:「アンタ知らないの? 円先輩って、芸能プロダクションのプロデューサーとの枕営業がスクープされて、デビュー取り消しになっちゃったんだよ。」


女子B:「その時はまだデビュー前の未成年だったから、表向きには公表されなかったんだけど、サイトにはバリ顔写真付きで晒されてたんだから。」


女子C:「知ってるー。それで進学も間に合わなくて、結局人生棒に振ったんだってさー、悲惨、」


女子D:「でも身体売ってまで芸能界入りとか、一寸引くよねー。」


当然、裏サイトの闇に怯える「仔山羊の様なメンタル」の俺は、そんな情報知らない訳でまるっきりの初耳だったのだが、それにしても、…



女子って、怖えぇ、…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る