エピ010「人の噂」

GW明けの涙の早退事件以来、俺と「相田」が付き合っているのではないかと言ううわさが流れているらしい。



有人:「と言うか、一方的に宗次朗が付きまとってストーカーしてんじゃないかって噂の方が多いけどな、」

宗次朗:「相変わらずイチイチ面倒臭いな、恋愛至上主義者っていうのは、」


瞬間、ぞわっと、怖気が俺を襲う。


~~~

敦子:「お願い、もう、付きまとわないで、…怖いよ。」


俺の耳から西野敦子の泣き声が、離れない。

それはトラウマであると同時に、それは確実に俺が西野敦子に承認されていた証でもある。

嫌われても良い、それでもいいから、俺は彼女と会えなくなってしまう前に、特別な絆の証が欲しかった。


其処には、彼女の都合とか、不安とか、気持ちとかは、一切考慮されてはいなかった

恋愛とはつまり、大抵は、自分の欲しいモノだけを相手に求め、本当の「貴方」には大して興味も無いものなのだ


(以上回想)

~~~



有人:「相田みたいな美人と知り合いになれただけでもめっけもんなのに、お前ら結構仲よく喋ってる事あんじゃん、どう上手い事やったのか知らないけど、結構男子の中ではお前の事やっかんでる奴多いんだぜ、気を付けなよ。」


何故、息吸ってるだけで恨まれるって、変じゃね?



有人:「で、本当の所、相田の事どう思ってるんだ?」

宗次朗:「友達だ、それ以上でもそれ以下でもない。」


有人:「勿体無いお化けが出んぞ、仕舞いに。」


何故、そこまで恋愛に必死になろうとするんだ? 

まあ、かくいう俺自身が中学の頃はそうだったんだろうが、誰もが何時かは気づく筈なのだ。


所詮、恋など時間の浪費に他ならない事は、冷静に考えれば誰の目にも明らかだ。

愛が世界を救い、恋が人生を豊かにするなら、

愛や恋が巷の面倒事を何とかしてくれるのなら、義務教育の科目に恋愛が有ってもよさそうなものだが、そんな事は有り得ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る