第037話「看過出来ない非日常系体験」
GW二日目の日曜日、
何故だか昼過ぎ迄ダラダラと僕の実家で過ごした「僕達一行?」は、お昼に二宮母特製お好み焼き&焼うどんでお腹を膨らませた後、ちょこっと午後の時間を潰して観光出来る所へ、…
と言う訳で、大阪港にある超巨大テーマパークを訪れていた、
処で最近のアトラクションは巨大建造物から全天候型個室型へと変わりつつあった、ゲストは飛行機のシミュレータの様な運転席だけのカプセルに入り、全方位スクリーンに映し出される「まるで本物と見分けのつかないCG」に包まれながら、さながら映画のワンシーンを体験できる、と言うモノらしい、…
スリリングなカーチェイスもバーチカルなフリークライミングも恐竜時代も海底探検も地底探検も宇宙旅行だって何でも思いの侭、と言う事らしい、…
まあ、基本は自動運転自動車専用道路「チューブ」のヴァーチャル車窓と同じ原理だが、本場ハリウッドの気合の入ったSFXクオリティはリアル以上の臨場感だし、何と言ってもかつてのジェットコースターの様に一番前のシートの奪い合いミタイナ不公平感も無く、何よりも友達だけで好きなだけキャーキャー騒げるのが良いらしい、…
運営会社としても、深刻な事故は心配しなくても良いし、大規模な設備の保全も不要、しかもソフトの入れ替えだけで様々なアトラクションが同じマシンで実現できる、と言うお手軽感があって良いらしい、…
でも、
シオン:「怖いものは怖い!」
マドカ:「平気だってば、実際には同じ場所で椅子がぐるぐる回ってるだけなんだから、」
超音速戦闘機で高層ビル群を疾走しながらエイリアンのUFOやら超巨大怪獣とドッグファイトするとか、…有り得ない、
雑誌の特集記事でも「嘔吐・失禁者続出!」とか書いてんじゃん!
シオン:「高い所は苦手なの! 僕は外で待ってるってば!」
マドカ:「何しに来たのか分かんないじゃん、見てみなよ、実際は1m一寸の高さしか無いんだよ、…ほらナギトも手伝って、引き摺ってでも乗せるんだからぁ、…」
ナギト:「いや、こんなに嫌がってるし、無理矢理は、…じゃあさ、アレにしようぜ、」
「ナギト」が指差した「アレ」は、所謂お化け屋敷、…と言うより「ゾンビと戦う系」のアトラクション、
ウエアラブル拡張現実インターフェース(注、現実の景色にCGが追加投影される眼鏡、ヘッドフォン、ジャケット、グローブ、銃、etc)に身を包み、実際に迷路の中を歩きながら、何処からともなく現れるゾンビやらクリーチャーやらを銃でぶちのめしながら出口を探す、と言うものらしい、…
迷路は時間が経つと経路が切り替わったり、眼鏡に映し出される景色もしょっちゅう変化するので、一度記憶したから大丈夫と言う様な簡単なモノでは無いらしい、…
それで倒したゾンビの数と出口に辿り着くまでの時間を競う、と言うゲームらしい、…
でも、
シオン:「急に大きい音がするのが嫌いなの、別に怖くは無いって言ってるじゃん!」
マドカ:「お前は乙女か!…ほら、お姉ちゃんが手を繋いで一緒に行ってあげるから!」
雑誌の特集記事でも、迷子になって2時間出られなかった人がいるとか、…実際に「何か」に取り憑かれて気が狂っちゃった人がいるとか、…
シオン:「絶対途中で僕だけ置き去りにして先に行くに決まってる!」
マドカ:「やー、何かもう此処までビビりだと、流石にヒクと言うか、苛め甲斐も無くなるわね、…」
そこで「ナギト」が「やれやれ」と、…僕の腕を掴む?
ナギト:「シオン、大丈夫だ、…俺が一緒について行ってやる、男を見せろ!」
で、僕は二人に腕を抱えられて、連行される、…
シオン:「ナギトの裏切り者―!」
ナギト:「こんな女に馬鹿にされた侭で良いのか? 覚悟を決めろ、」
マドカ:「ほら、何とも無かったでしょ?」
シオン:「悪趣味だよ、血反吐どばーとか、行成り指が切り落とされるとか、…」
マドカ:「実際には霧の風が吹いてるだけなんですよ、…ほら、お洋服も汚れてないでしょう? 見て、指だってちゃんとついてますよ、…」
「戸塚さん」は、まるで小さい子にするみたいに僕の手を取って、優しく微笑みながら顔を、…覗きこむ、
シオン:「そうだけど、本当の人間が演ってるお化けも居たじゃん! アレめっちゃ厭!」
マドカ:「嘘、そんなの居たっけ?」
シオン:「居たよ、ナギトも見たよね、…」
ナギト:「ま、お前は頑張ったよ、」
それで、要所要所で隠しカメラがとらえた写真を、ウェブサイトから選んで購入できる様になっている、
入場チケットの番号と身に着けていたジャケットの番号を入力すると該当する写真が見れる様になっていて、…購入ボタンを押すと、自分のスマホにダウンロードできる様になる、恥ずかしい画像を不特定多数の人間に見られる心配も無いという親切設計だ、
マドカ:「お、これ良いじゃん、リョウコに送ってやろ、」
どうせ、僕がミットモナイ格好している画像に違いない、…
マドカ:「よし、次行くぞ!」
シオン:「今度はもっと落ち着いた、夢のある奴にしようよ、…スリルとアクションはもう良いよ、」
ナギト:「シオン、此処に着た時点で諦めろ、…骨は拾ってやる、」
夕刻、…
超混みのフードコートで、ナギトは人数分の飲み物を買いに、戸塚さんはトイレ、僕は席取りで、偶然空いた窓際のテーブルを確保する、
シオン:「疲れた、…」
そこへ、「アリア」からのメールが届く、…
「アリア」が「国府津さん」の知り合いだと解ってからは、以前ほど警戒する事は無くなっていたのだが、…
件名:「お疲れ様です」
本文:「私は遊園地に行った事が無いのでよく分からないのですが、何だか大変そうですね、私に何か力になれる事は有りませんか?」
シオン:「何だ、コレ?」
まるで、僕が「遊園地」に居るを知っているみたいな文面、…
もしかして何処かから、監視しているのか??
僕は急いで辺りを見回してみる、…とは言っても「アリア」がどんな人物なのか分らないから、探しようがないのだが、
マドカ:「お待たせ、どうしたの?」
シオン:「あ、別に、…」
「アリア」の事は、一切他言無用、になっていた、
僕は気になりながらも、スマホをポケットにしまう、
マドカ:「結構遊んだね、時間大丈夫?」
時計の針は16時過ぎを指している、
大学の同窓会は、17時からの予定だった、
シオン:「別に遅れて行っても大丈夫だよ、先生に挨拶出来ればそれで良いし、」
マドカ:「ふーん、それでどっかオススメのレストラン無いの?」
これからは別行動で、「ナギト」と「戸塚さん」は二人で夕食を食べに行く事になっている、…見た目には美男美女の超お似合いカップルっぽいのだが、…イマイチ不安、
シオン:「ごめん、僕も余り外食とかしないから、よく分からないや、」
ナギト:「晩飯か? 調べて来たぜ、大阪に来たらやっぱり「うどん」と「串揚げ」だろう、関東とは出汁が違うからな、…」
マドカ:「オッケ、任せる、…」
「ナギト」が、トレイに乗せて運んで来たソフトドリンクを皆に配る、
ナギト:「明日は9時出発で良いんだよな、」
シオン:「うん、」
明日は、京都、奈良を散策する予定、一日で回りきれるかは、微妙、…
ナギト:「7時にホテルの朝食バイキング集合で良いか?」
マドカ:「早く無い?…て言うか、アンタ仕切るねぇ、」
そんな二人のやり取りを上の空で聞き流しつつ、…
僕は指でスマホを弄りながら、「アリア」からのメールを持て余す、
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