第035話「GWの予定」
GWを週末に控えた月曜日、
暫く距離を取った方が良いと「戸塚さん」に言われて、僕は自分から「平塚さん」に話し掛けるのは控える様にした、…その代わり昨日の内に「戸塚さん」が「平塚さん」と話をして、誤解を解いておいてくれる事になっている、
そして昼休み一寸前、とうとう「平塚さん」の方から、僕に話し掛けて来てくれた、
僕達は執務室を出て少し行った給湯室兼自販機置き場で、辺りに人がいない事を確認しつつ、…
ナンだか「平塚さん」、上目遣いで、頬が赤い、
本当に、僕なんかの事を好いてくれているのだとしたら、…僕はどうしたら良いのだろう?
そんなの余りにも急過ぎて、どう対処すれば良いのか想像すら出来ない、
先ずは、変な誤解で気を遣わせてしまった事を謝って、…
それから「特命プロジェクト」について相談したかった事を説明すれば、きっと上手く行くに違いない、
リョウコ:「もう一寸だけ待って、」
処が、口火を切ったのは「平塚さん」の方だった、…
リョウコ:「子供を育てるにはお金が必要、」
シオン:「えと、なんの事かな、…?」
って「戸塚さん」、、一体どんな説明したんだ?
リョウコ:「大体100億くらい必要かも、」
シオン:「凄いね、でも何でそんな大金が必要なの?」
リョウコ:「シオンにいっぱいこづくりしてもらう、…」
シオン:「???」
で「平塚さん」、耳迄真っ赤になって、…目が蕩けてる??
リョウコ:「安心してぜんぶなかに……」
シオン:「わーーー!!!」
僕は思わず飛びかかって「平塚さん」の口を抑える!
シオン:「しないって、そんな事しないから!」
給湯室の中で、僕は一体何やってるんだ??
もしかしてこの体勢は、同僚の女の子を押し倒そうとしている??様にも見える?
リョウコ:「しない?」
ソレで「平塚さん」、何で泣きそうになってる?
シオン:「しない、と言うか、…将来の事は分らないけど、」
兎に角、友達を傷つける様な事は、言いたく無い、
シオン:「兎に角、そう言う事を女の子が言っちゃ駄目だって、」
リョウコ:「分った、言わない、」
シオン:「それにしても100億は凄いね、」
リョウコ:「大丈夫、後10億だから、…もう一寸、」
シオン:「え?」
リョウコ:「それ迄の我慢、」
で、
当然昼休み、僕は速攻で「戸塚さん」を問い詰める、…執務室の隅の会議室、
マドカ:「こんな処に連れ込んで、一体どう言うつもり?」
マドカ:「もしかしてコレがこないだの仕返しなの?」
「戸塚さん」、チャンチャラ顔で、薄ら笑い、…
シオン:「そうじゃなくて、平塚さんに何て言ったの? …なんか、余計にこんがらがっちゃってるよ!」
マドカ:「でも、ちゃんと話は出来る様になったでしょう?」
シオン:「それはそうだけど、」
マドカ:「「最初から貴方は失恋してました」、なんて言って見なさい、リョウコ明日から会社来なくなっちゃうわよ、」
シオン:「でも、ナンだか僕と結婚する気になっちゃってるよ、」
マドカ:「大丈夫だって、その内もっと良い男が現れて、何時迄経っても手を出してこないアンタの事なんか直ぐに忘れちゃうから、」
シオン:「うう、…」
ナンだか、怒っていいのか素直に納得していいのか、微妙な気分、
シオン:「疲れた、」
マドカ:「そんな事よりさ、シオン、GWは何してんの?」
シオン:「何って?」
マドカ:「どうせナギトとツルんでドッカ旅行とか行くんでしょ? 私も混ぜてよ、」
シオン:「行かないよ、僕は実家に帰省するんだ、…でも、確か戸塚さんって、親戚と旅行行くとか行ってなかった?」
マドカ:「ああ、シオンって流石に私の事何でも知ってるのね、…でもあれは泊まりがけの同期会とか面倒くさそうなのを断る為の作り話よ、」
「戸塚さん」、何の悪びれた様子も無くサラッと、ゲロる、
僕は、成る程ね、…と軽く溜息、
だんだん、この人の事が理解出来て来た自分が、怖い、
マドカ:「今年は何にも予定が無くって暇なの、遊んで、」
シオン:「だから僕は実家に帰るってば、」
マドカ:「実家って何処?」
シオン:「大阪、」
マドカ:「OK、じゃあ私も大阪遊びに行く、色々案内してよね、」
シオン:「一応、僕、用事があって帰るんですけど、」
マドカ:「其れ位予定合わせるわよ、って言うか、まずは彼女に予定合わせるべきじゃないの?」
シオン:「偽の彼女じゃん、」
マドカ:「藤沢さんに言いつけるわよ、」
で、
ナギト:「駄目に決まってるだろう、」
シオン:「そうだよね、男女二人で旅行とか、やっぱり不味いよね、」
ナギト:「間違いが起こってからじゃ取り返しがつかないからな、」
シオン:「一応、僕は大丈夫だと思ってるけど、」
ナギト:「お前が大丈夫なのは知ってる、危ないのはあの「ツンデレビッチ」の方だ、」
「ツンデレビッチ」、頂きました、…
ナギト:「戸塚が勢いに任せて襲いかかって来たら、お前、ちゃんと拒否出来るのか?」
僕は、先週末のケーキ屋での顛末を、…思い出す、
シオン:「どうしよう、」
ナギト:「分った、俺も一緒に行ってやる、」
シオン:「ナギトってバーベキュー行くんじゃなかったの?」
ナギト:「ああ、止めた、…お前もキャンセルしたしな、それに浜岡が仕切ってる同期会なんか行っても、何か詰まんねえしな、」
で、
それなら仲間外れにならない様にと「平塚さん」にも声をかけるが、
リョウコ:「明日から出張なの、2週間、」
シオン:「何処行くの?」
リョウコ:「リスボン、国府津さんと一緒、」
ポルトガルに何の仕事? それともプライベート旅行? 何で僕、こんなにモヤっとしてるんだろう?
リョウコ:「大丈夫、ちゃんと稼いで来るから、」
で「平塚さん」、真っ赤に照れながら、びしっとサムアップ?
ナンだか妙に前向きに張り切ってるのは、もしかして、……アレの為?なのか??
そう言えば、僕は「平塚さん」が会社で一体何をしているのか、全く知らない、
人工知能のエキスパートだとは聞いたけれど、今回もソレがらみの仕事なのだろうか、…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます