第034話「バケツの中の恋愛脳」
金曜日、
本文:「嫌われたみたい、」
とうとう僕は、悩んだ末に「戸塚さん」にメールする、
ナンだか月曜に行き違いが有ってからずっと、僕は「平塚さん」に避けられ続けていた、
ナンだかよく分からない些細な事で、此の侭仲が悪くなってしまうのは、…厭だ、
差出人:「戸塚マドカ」
Re:「一週間か、結構重症だな、しょうがないな、私がリョウコと話してみようか?」
Re Re:「お願い出来る?」
Re Re Re:「して、何か見返りは有るのカナ、」
Re Re Re Re:「今度ケーキか何か奢るよ、」
Re Re Re Re Re:「We got a Deal!
じゃ、明日の土曜日デートな、時間と場所は後で連絡する、その時までにリョウコに話聞いといたげる、」
土曜日
鎌倉、雪ノ下、鶴岡八幡から遠く無いお洒落なケーキ屋さん、
「戸塚さん」はイト幸せそうにサヴァランを頬張りながら、…
マドカ:「要するに恥ずかしいんだって、」
シオン:「なんで?」
マドカ:「あんたが最近「肉欲丸出しの視線」でリョウコを追っかけ回してるから、」
シオン:「してないよ! 大体、肉欲って何だよ、」
マドカ:「草食系人畜無害属性だけが唯一あんたの取り柄だったのに、…なんか有ったの? 一つ屋根の下で同棲して急に女として意識しちゃったとか?」
シオン:「そうじゃないけど、…」
人工知能開発の事は口外できない訳で、…
マドカ:「ふーん、…シオンってさ、好きな子いるの、あ、藤沢さんと私は除いて、」
シオン:「戸塚さんも平塚さんも、友達としては好きだけど、恋人の好きとは、ちょっと違うかな、」
マドカ:「そんな事は聞いてない、」
シオン:「二人以外にプライベートな事を話したりする女の友達は居ないよ、」
あ、「アリア」が居たか、…
マドカ:「嘘だね、アンタ最近、部長秘書達と仲良くしてるだろ、知ってんぞ、」
シオン:「あれは、向こうから勝手に、…」
マドカ:「ほら出た、僕には責任有りません発言、結婚したら苦労しそう、…」
何で、こんなに責められる訳? 全部僕が悪いの??
マドカ:「じゃあさ、これ迄に誰かを好きになった事有る?」
シオン:「何でそんなこと聞くの?」
マドカ:「良いから言って味噌、」
シオン:「別に無いよ、」
マドカ:「告白された事とか?誘われた事とか?シオンならあるでしょう?」
最近も「痴女」に誕生会に来いと誘われて、…アレ以来僕はLINEを見ていない、
シオン:「あるけど、」
マドカ:「それで誰とも付き合わなかったの?」
僕は、人と付き合うのが苦手だ、と言うか、僕と関わる事で誰かが不幸になる事が怖くて、ずっと人と関わり合いになる事を避けてきた、
シオン:「…無いよ、」
マドカ:「…本当は男の方が好きとか?」
行成り、「戸塚さん」の眼差しが優しくなる、…
シオン:「それは無いよ、絶対、馬鹿じゃないの?」
マドカ:「あんたナギトと異常に仲良いじゃん、…お姉さんには隠さなくっても良いのよ、理解者だし、」
シオン:「僕の方が戸塚さんより年上だし、」
マドカ:「見た目も中身もお子ちゃまだけどねー、…」
マドカ:「要するにシオンは、恋する乙女心が理解できてないって事だよ、」
シオン:「どういう事さ?」
それで、「戸塚さん」、深い溜息一つ、…
マドカ:「分ったわ、もう一個言う事聞いてくれたら、私が何とかして上げる、」
シオン:「ナントカって?」
マドカ:「女同士の方が話し易い事もあるのよ、」
シオン:「そう、かな、…助かるかも、」
シオン:「それで、もう一個言う事聞くって、…ナニすれば良いの?」
それで「戸塚さん」、すっと席を立って、何故だか僕の隣に、…座り直す、
それで、ピッタリと身体を寄せて来て、…耳元で、
マドカ:「私と付き合って、」
シオン:「ええっっ?」
ミントの吐息が、僕の頬を、…撫でる、
マドカ:「リョウコの事、恋愛対象としては考えてないんでしょう?」
マドカ:「今、シオンは、好きな人居ないのよね、」
そうかな、そうだったっけ、…
シオン:「そうだけど、…でも、どうして?」
マドカ:「本当は気付いてたでしょ、私がシオンの事、…好きな事、」
シオン:「嘘だぁ、だって、戸塚さん「部長以上でないと駄目」とか言ってたじゃない、」
マドカ:「結婚と恋愛は、別よ、」
マドカ:「私だって、時々は切なくなったり、慰めて欲しくなる時あるもん、」
「戸塚さん」の華奢な掌が、僕の胸に、触れる、、…
シオン:「そうなの、そうなんだ、…」
「戸塚さん」のボリューミーな胸の膨らみが、容赦なく僕に、…当たってる、
マドカ:「あのね、私の家、此のすぐ近くなの、…今日は親も出掛けていて居ないわ、」
シオン:「へえ、…大変だねぇ、」
マドカ:「二人きりで、…もっと、お互いの事を、知り合いたい、」
それって、…?
マドカ:「シオンの事全部、教えて、…欲しいの、」
シオン:「僕、(経験ないし)、…そんな事急に言われても、…」
で、「戸塚さん」すっと元の席へもどる、
マドカ:「分った?」
マドカ:「リョウコが「お花畑」の中でどんな妄想してるか知らないけど、大体そんな感じよ、」
僕は、真っ赤になった侭、…動悸が納まらない、
シオン:「嘘つき、」
マドカ:「何が?」
シオン:「平塚さんは戸塚さんみたいなエロじゃないし、」
マドカ:「女なんて中身は大体一緒に決まってるじゃない、」
シオン:「絶対戸塚さんが変なんだよ、」
マドカ:「やあね、折角分り易く教えて上げたのに、」
まだ、動悸が納まらない、…
マドカ:「リョウコはアンタの事が好きなのよ、意識してんの、それなのに肉欲丸出しで追っかけまわすから、恥ずかしがってんのよ、」
シオン:「肉欲って何だよ、…」
マドカ:「それで、どうすんの?」
シオン:「どうするって?」
マドカ:「リョウコと付き合うかどうかって聞いてんのよ、」
「戸塚さん」、自分で言ってて、顔が赤くなってる、
シオン:「無理だよ、この僕に出来ると思う?」
マドカ:「まあ、無理だよね、…」
その溜息は、一体何の溜息??
マドカ:「それなら、何であんな風に追っかけまわしてんの?」
シオン:「そんなつもりは無いんだけどなぁ、」
特命プロジェクトの件で、ついつい舞い上がっていたのは、…否めない、
マドカ:「いい? 女は追っかけてくるモノからは逃げる様に出来てんのよ、…ちょっと暫く距離取ってミ、そしたら落ち着くから、」
シオン:「戸塚さんは追っかけられんの好きじゃん、」
マドカ:「全然!…ちやほやされんのは好きだけど近づき過ぎてくんのは嫌よ、鬱陶しい!」
僕は「戸塚さん」を睨みつけて、…
シオン:「何時か、絶対やり返すから、」
マドカ:「良いわよ、返り討ちにして上げる、」
「 戸塚さん」は、長い睫毛の綺麗な目を細めながら、楽しそうに僕を見詰める、
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