第032話「就業時間内の私用メールについて」
火曜日朝、
先週迄は何時も一緒に出勤していた「平塚さん」が、…
僕が朝起こしに来て、「ナギト」が朝ご飯を食べさせなければ丸っ切り引き籠もり状態だったあの「平塚さん」が、…一足先に出勤していた。
何か急な仕事? いや多分、昨日の様子からして、何か誤解して僕の事を避けているに違いない、(戸塚さん曰く、僕がエッチな事しようとしていると勘違いしている)
一刻も早く誤解を解きたくて、僕は出社して直ぐに「平塚さん」の机に向う、
シオン:「お早う、平塚さん、」
リョウコ:「あ、おはよう、シオン、…」
良かった、何だか普通に戻ったみたい、
シオン:「ちょっと、説明したい事が有るんだけど、コーヒー飲みに行かない?」
リョウコ:「うん、わかった、」
それで、俯いて、…何故だか真っ赤になってしまう「平塚さん」
シオン:「あのね、全然変な事じゃないから、本当、真面目な話だから、」
リョウコ:「うん、分ってるヨ、」
ソレで、何でもっとしおしおになってるの?
それで「平塚さん」はまた行成り立ち上がる!
リョウコ:「ごめん、ちょっと、…急な用事だから、…」
それで、また、トコトコと何処かへ駈け去って行く「平塚さん」、…
用事だからって、…さっき、分ったって言ったじゃん、
マドカ:「アンタ達、又やってるの?」
シオン:「嫌われる様な事した覚え、無いんだけどな、」
それで、「平塚さん」から避けられる様になったのと時期を同じくして?
不審なE-mailの送られてくる頻度がだんだん上昇し始める、
差出人:「アリア」
件名:「今日はお元気そうで良かったです、」
本文:「最近落ち込んでいたみたいだから心配していました、何か良い事が有ったんですか?」
僕の何を見て、この人は元気そうだとか言ってるんだろう???
Re:「何処から見てるんですか? アリアさんを社内アドレス帳で調べましたが該当する人はフランス・ブランチにしか見つかりませんでした、一体貴方は誰なんですか?」
Re Re:「私に興味を持ってくれてとても嬉しいです、残念ですが私はNAVEには在籍していません、シオンにメールを送る為にメールアドレスを使わせてもらっているだけです、」
Re Re Re:「だとしたら、どうやってNAVEの残業時間のデータを調べる事が出来たんですか?」
まさか、産業スパイ?…
でもだとしたら、僕にメールを送って来るなんて間抜けな事はしないだろう、
Re Re Re Re:「NAVEに友人がいるんです、実はシオンの事もその人のお蔭で知る事が出来たのです、」
Re Re Re Re Re:「誰ですか?」
ソイツを取っ捕まえれば、この怪しい「アリア」の正体も分る筈、
Re Re Re Re Re Re:「ごめんなさい、絶対に内緒にしてと言われているので教えられません、」
でも、そうなると俄然「容疑者」は限られてくる、…この総務の誰かと考えて、間違いないだろう、
もしかすれば「アリア」はその人物の「成り済まし」かも知れない、
でも、辺りを見渡しても、今リアルタイムで僕とメールをやり取りしている様な人は見受けられない、
「平塚さん」は「国府津さん」と打ち合わせ中、
「戸塚さん」は「長谷部さん」と雑談中、
「藤沢さん」は経理グループの人達と連絡会中、
まさかの「森さん」はパソコン画面に向かってグラフを描いている、
まさかまさかの「桑名さん」(=頑固じいさん)は、「白石さん」と何だか難しい顔して討論中?
後数名、姿の見当たらない人達が居るけれど、…
そこへ、突然、LINEが届く、…
メールじゃない、見覚えのない名前「AKON-OH」、…分子記号??
白トーク:「教えてもらったIDを友達登録しました、」
白トーク:「これって、二宮シオンさんのIDで合ってますよね、」
緑トーク:「すみません、どなたですか?」
白トーク:「ホノカです、」
白トーク:可愛らしいスタンプ、
ホノカ? 女の人?
白トーク:「シオン君で合ってますか? お姉さんの事、覚えてる?」
お姉さん?
白トーク:自撮り画像、
何故だか、胸元の緩いテヘペロ画像、…確かに凄くスタイル抜群の美人だけれど、
…痴女、
確か、国家プロジェクトの「山根さん」のボディガードとか言ってた人だ、
緑トーク:「スミマセン、仕事中なので、又今度、」
僕は「既読マーク」が付かない様に、早速LINEから撤退する、…
白トーク:「ねえねえ、シオン君の誕生日って何時かな、」
白トーク:「因にお姉さんの誕生日は今月末なんだけど、」
白トーク:「今週末ちょっと早目の誕生パーティやるんだけど参加しませんか?」
白トーク:「あ、心配しなくても参加者はシオン君とお姉さんだけだから…」
スマホのロック画面上に次々と浮かび上がるLINEの「通知」、…
当然、放置、…
水曜日
リョウコ:「今日は忙しい、から、今度ね、…」
相変わらず「平塚さん」は僕を避けている、流石に何だか僕も悄気て来る、
それで「平塚さん」と入れ替わりで届く「アリア」からのメール、
件名:「今日はとても良いお天気ですね、」
本文:「シオンは晴れた日と雨の日と曇りの日と、どんな天気が一番好きですか? 因みに私は低気圧が接近して波が高い日が好きです、」
サーファー?
「国府津さん」からは「アリア」の事は一切口外無用と言われたが、もしも部内の誰かの知り合い、もしくは本人なのだとしたら、一刻も早くこの間抜けな状態を抜け出したい訳で、
と言うか僕は、やっぱり「平塚さん」が怪しいとか思い始めている、
僕はそれとなく、この件を唯一相談できる「藤沢さん」に話してみる、
カスミ:「国府津さんは「拘るな」と言ってたけれど、向こうからこうも頻繁にメールが送られてくるのでは、何時までも放置して置けないわね、」
肝心の「国府津さん」は、さっき「平塚さん」と一緒に外出してしまった、…人工知能関連だろうか? そっちの件は藤沢さんにも話せないので、益々やりにくい、
シオン:「大体、この人男なのか女なのか判らなくて、気味が悪いんですよね、」
カスミ:「確かに、ジェンダー詐称のネカマだとしたら、不快指数が一気に上昇するわね、」
シオン:「その時点で変質者決定ですよね、」
シオン:「だいたい、何で僕なんだろう?」
カスミ:「まあ、それは、多分、…二宮クンが可愛いからじゃない?」
僕は、電熱ケトル顔負けに瞬間沸騰、…真っ赤になる、
シオン:「ああー、藤沢さんまでそれ言いますか?!」
カスミ:「ごめん、気にしてた? 褒め言葉のつもりだったんだけどな、」
シオン:「可愛いって言われて喜ぶ男なんて居ませんよ!」
カスミ:「あ、そうだ、男か女か見極める方法があるよ、」
珍しく「藤沢さん」がタジタジになってる?
シオン:「どうするんですか?」
カスミ:「何か厭らしい事を言って、反応を見てみると言うのはどうかな?」
シオン:「絶対嫌です!」
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