第021話「肩透かしの決着」

結局水曜の夕方までかけて僕達はプロジェクト別の予実をチェック、…

そこで「藤沢さん」が「国府津さん」を捕まえた、



カスミ:「ビジプラ上のミスの修正で0.8億削減、2028年度の予実は0.2億のオーバーアチーブメント(使い残した)ですから、此れを会社台の削減タスクとして織り込んで合計1億円、以上が此処までの確認状況です、」


国府津:「最近のビジプラは結構綺麗に作ってあるんだな、…それで、残り14億はどうするの?」


何だろう、このイラッと来る感じ、…

この人は、自分がビジネスプランの責任者だって事を、忘れているんじゃなかろうか?



カスミ:「予備費が1.5億、アクルアルの圧縮で、多分3億行けます、…其処までで限界です、」


国府津:「なんだ藤沢さんらしくないな、ギブアップするの?」


「このオヤジ!」は、深刻さの欠片も無いニヤケ顏で「藤沢さん」顔を覗き込む、…

「藤沢さん」は、悔しそうに、…救いを求める眼差し?



国府津:「まあ、アクルアル・マジックの「最終奥義」は年度末まで取っときな、予備費迄は放出するか、…それで2億5000万円だな、」


国府津:「残りは12億5000万か、…まあ、二人とも良くやった、」



僕は、てっきり怒られる、…責任を追及される、…少なくとも無能と罵られる位には覚悟していたのに、…何だか肩透かしを食らって、軽く平衡感覚を喪失する、



シオン:「でも、足りない分はどうするんですか?」


国府津:「次年度に繰り越せる一般経費を凍結するか、研究先行開発の日程延期、…まあ、常套手段はそんなところだけど、」


それでまた「このオヤジ!!」は、深刻さの欠片も無いニヤケ顏で、僕の事を値踏みする、



国府津:「なあ二宮クン、会社って何だと思う?」


またぞろ禅問答なのか? いい加減にしろよ、

本当に今此のタイミングで、そんな「什麽生説破そもさんせっぱ」をやんなきゃならないのか?


と、思ってはいても、…口に出せる訳は無く、…



シオン:「個人では出来ない事を、皆で協力する事で実現する為のモノ、ですか?」

国府津:「やっぱり君は頭いいな、…じゃあ、そんな会社にとって大事なのは何だろう、」


シオン:「収益、ですか?」


「従業員が強くなる事」、流石に「藤沢さん」の目の前で、受売りの台詞は言えない、…



国府津:「そうだな、儲けが無ければ投資家も株買ってくれないし、従業員に給料も支払えないし、明日の為の投資も出来ないしな、」


国府津:「それは日々の生活を維持するという観点では正しい、…でも、ただ生きていければ、それで良いのか?」


シオン:「よく解りません、会社とどういう関係があるのか、…国府津さんは何が言いたいんですか?」


国府津:「じゃあ、これは君への宿題だ、」


「国府津さん」は相変わらずニヤケ顏で、僕の顔を覗き込む、



国府津:「別の聞き方をしよう、…

15万円の新しいカメラレンズを買う為に、毎日カップラーメンをすするのは楽しいか? デートの回数減らしたいか? 何かの為に何かを犠牲にする事は、本当にやりたい事かな?」


シオン:「出来ればやりたくないですけど、」

国府津:「じゃあ、君ならどうする?」


シオン:「アルバイトとか、ですか?」

国府津:「やっぱり君は頭いいな、」


そりゃあ、僕個人のサイズの出来事なら、幾らでも遣り様はある、でも、…



シオン:「でも、アルバイトで12億とか、どうすれば?」

国府津:「こっからはバトンタッチしよう、」


それで「国府津さん」はまるで悪戯小僧の様に、厭らしくニッコリと笑った、…



国府津:「取り敢えず、このタイミングで正確な数字を出してくれた事には感謝するよ、藤沢さんもサポートありがとう、」


カスミ:「いえ、此れ位の事、全然、大した事ないです、」

国府津:「12億足りないけどな、」


「藤沢さん」が、…赤くなっている?


僕は「藤沢さん」のそんな表情を見たく無くて、…思わず顔を叛ける、



国府津:「今日は二人とも早目にあがってね、…本当は飯でも連れて行ってやれると良いんだけど、ちょっと別件有って、また今度な、」


それで、何だか有耶無耶の内に僕達は解放されて、…こんなんで良かったのかな??



ああそう言えば、「最終奥義」って一体何の事なんだろうか、判らない侭にしないで直ぐに質問しなきゃ、…と思いつつ、


それはきっと、明日でも良いだろう、

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