第014話「衝撃の宅飲みパーティ」

横浜駅西口から新杉田の寮迄、約15分、

完全中央統合制御による渋滞緩和の賜物、と言うよりは深夜0時を過ぎていれば元々渋滞も何も無いか、…


僕と「戸塚さん」は寮監さんに事情を(適当に)説明して、「平塚さん」の部屋を教えてもらい、僕がおんぶした侭で、彼女の部屋の前へ、


「平塚さん」の指紋認証でドアロックを解除、



マドカ:「わー、」


果たして部屋の中は、…何にも無いがらんどうだった、

家具も、布団も、着替えになる様な衣類も、…何も無い、真っ新な部屋、



マドカ:「どうする? 床に転がしておく?」


流石にそう言う訳には、…



シオン:「寮監さんにお願いして、それか、僕の部屋から布団を運んで来て、」

マドカ:「しょうが無いから、今晩は二宮クンの部屋に寝かしちゃえば、」


シオン:「だって、そんなの有り得ないよ、女の子が男の部屋に泊まるなんて、バレたら寮から追い出されちゃうよ、」


マドカ:「じゃあさ、私も一緒に泊まってあげようか?…それなら、二人きりじゃ無くて、一種の同期宅飲み、ってことで言い訳出来るじゃん、」


「戸塚さん」が僕の部屋に泊まる?



シオン:「でも、」

マドカ:「勿論、変な事はしないよね、したら二宮クンの大好きな藤沢さんに言いつけるけど、」


シオン:「そんな事はしないに決まってるじゃない、」

マドカ:「じゃあ、問題ないわね、何かお酒有る?」


シオン:「まだ飲むつもり?」

マドカ:「何でも言う事聞くって言ったでしょ?」


と言う訳で、「戸塚さん」が「平塚さん」を有り合わせの僕のトレーナーに着替えさせて僕のベッドに寝かせている間、…


僕は近くのコンビニで言いつけ通り、缶入りカクテルと梅酒ソーダを数本、コンビニの期間限定ショートケーキとシュークリーム、その他諸々スナック菓子を買って来る、





部屋に戻ると、…何故だか「戸塚さん」が、シャワーを浴びていた、

僕の部屋で、同期のアイドルが、何でシャワーを浴びている?


幾らなんでも自由すぎるだろう???


僕は、猥雑な情動が湧き上がってくるのをどうしたって抑えられない訳で、…



果たして「戸塚さん」は、僕の洗濯済みの寝間着に着替えてバスルームから登場した、



マドカ:「はー、さっぱりした、」

マドカ:「あ、寝間着借りたよ、」


もはや、開いた口が塞がらないとは、此の事か、

それにしても、スッピンの筈の「戸塚さん」は、コレはコレで可愛らしかった、



シオン:「男の寝間着なんか着て、気持ち悪く無いの?」

マドカ:「だって洗濯してあるんでしょ、戦闘服のままだとリラックス出来ないもの、」


そこへ、行成り呼び鈴も無しに玄関のドアが開く、

しまった、余りの状況に鍵かけ忘れた!



ナギト:「シオン、帰ったのか?」


って、ナギト?


で、化粧を落として寝間着に着替えた「戸塚マドカ」が、僕の部屋でアヒル座りして「ナギト」に向って和やかにひらひらと手を振る、



ナギト:「あ、なんか、ごめん、…邪魔した、」

シオン:「ナギト! 帰らないで!」


目を伏せて出て行こうとする「ナギト」を、僕は必死に、掴まえる、





で、10分後、「ナギト」は簡易キッチンに立って、有り合わせのおつまみを料理していた、…アスパラベーコンと、ナポリタン、



ナギト:「ったく、お前らいつの間にそう言う関係になってたんだ? まだ配属されて一週間だぞ、」


シオン:「だから誤解だって、」

マドカ:「前から気になってたんだけどさ、二人って仲いいよね、」


「戸塚さん」はショートケーキをアテに缶入りカクテルを一口グビリながら、まるで当たり前の事の様に僕の部屋で料理している「ナギト」の事を観察する、



ナギト:「まあ、確かによくつるんでるよな、」


僕は何方どちらかと言えば人付き合いが苦手だ、と言うか僕にはトラウマが有る、

これまで僕と親しくした人達が、何度か酷い事故や事件に遭った事が原因で、ソレ以来自分から人と付き合う事を避ける様になっていたのだ、


それなのに「ナギト」はおかまい無しに僕の傍に来て、おかまい無しに僕の世話を焼く、



ナギト:「あのさ、もう一度聞くけど、戸塚って、シオンのこと好きなの?」


マドカ:「嫌いじゃないけど、恋愛関係とは違うかな、」


ナギト:「じゃあ、なんでそんな無防備な格好でシオンの部屋に居るんだ? コイツだって一応男だぜ、」


一応は余計だよ、…



マドカ:「別に、二宮クンがそう言う事をしたいって言うのなら構わないわよ、…貴方はちょっと御免なさい、私だって一応ちゃんと相手を選んでますから、」


って、今サラッと、何言ったの「戸塚さん」、それってどう言う意味?



ナギト:「あんまり、シオンを惑わして振り回す様な事はするなよ、」

マドカ:「あら、もしかして嫉妬?」


呆れ顔で、「ナギト」が溜息を吐き零す、



ナギト:「なあ、戸塚ってこう言うキャラだったの?」

シオン:「今日は色々遭って酔ってるんだよ、…気にしないであげて、」


マドカ:「貴方こそ、同期の友人って言うだけで、どうしてこんな深夜に二宮クンの部屋にノックもせずに入って来たり、勝手に料理作ったり、一体どう言う関係なのかしら?」


で、何故だか今日に限って好戦的な「戸塚さん」?



ナギト:「別に、コイツは勉強以外、自分で何にも出来ないから仕方なく世話焼いてやってるだけだよ、」


マドカ:「ふーん、麗しき男の友情って奴?」



お願い、…もう止めて!!



リョウコ:「おしっこ、」


最悪絶妙のタイミングで「平塚リョウコ」が目を擦りながら起き出してきて、


第4者?の介入によって事態は更に混迷の途を辿り、…

有耶無耶の内に緊張のファースト・インパクトは幕を閉じて、僕らは何だか変梃りんな「同期宅飲み」に突入する、





結局僕達は、朝方近く迄くだらない話でダラダラ飲んで、

何だか何時の間にか「ナギト」と「裏・戸塚さん」も打ち解け合ったミタイで、


それから僕は「戸塚さん」と「平塚さん」を僕の部屋に残して、…「ナギト」の部屋へ行って、リビングのソファで横になる、


「ナギト」のいびきが結構五月蝿くて、いや、色々ごちゃごちゃ有り過ぎて、眠れやしない、


でも、こういうのも、…何だか楽しいかも知れない、



友達なんて、一体、何年ぶりだろう、

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