第013話「秘密の関係」
その後0時頃迄、まるでお見合いの様な七五三の様な緊張の時間を過ごし、…
そろそろ耐えきれなくなった僕と「戸塚さん」は一足先に引き上げる事にした、
処で此処の支払いは「国府津さん」が全部引き受けてくれる事になった、一体、幾ら位掛かったのだろう?
国府津:「その代わりって訳じゃないんだけどさ、二宮クン、会社の寮だっけ、悪いんだけど、この子、同じ寮迄運んでやってくんないかな? 」
僕は熟睡してズッシリと重くなった「平塚さん」を、出来るだけ起こさない様に背中におんぶして、何故だか「国府津さん」とキャストの皆さんに万歳讃称されながら店を後にした、
マドカ:「あの二人、絶対何かあるよね、」
シオン:「無いよ、国府津さん結婚してるって言ってたじゃん、」
マドカ:「ああ、これから
シオン:「無いよ! 社内恋愛駄目って言ってたじゃん!」
店を出た処で、「花帆さん」に手配してもらったコミュータが一台待っていた、
マドカ:「気付かなかったの? 藤沢さん今日の午後からソワソワしててさ、さっきも丸っ切り乙女モードだったじゃん、あの経理グループの「氷の女王」がよ、」
僕は、無表情に僕の顔を見る「ガタイのデカい黒服の外国人」に愛想笑いをして、
シオン:「それより何で「付き合ってる」なんて言っちゃったんだよ、」
マドカ:「だって、その方が話が合わせ易いでしょ、藤沢さんの跡を付けてきました、なんて言える訳ないじゃない、」
それから「平塚さん」をおんぶした侭の格好で、ズボンのポケットからヤットコサットコ財布を取り出して、…
シオン:「それは戸塚さんでしょ、僕は藤沢さんがあの店に居るなんて知らなかった、」
マドカ:「あー、二宮クンて女の子に責任押し付けるタイプなんだ、イメージ変わっちゃうな、」
それから、デビッドカードを認証して、コミュータのドアを開ける、(注、支払い能力の確認用にクレジットカード、デビッドカードはIDとして使用されている)
シオン:「それはコッチの台詞だよ、戸塚さんは真面目な良い人だと思ってたのにさ、」
マドカ:「まあ、お互いに秘密を共有する者同士、これからもヨロシク頼むぞ!」
それで、「戸塚さん」は僕の肩をポンポン叩く、
店の前迄見送りに来てくれた「ひろみさん」と「えりかさん」に挨拶して、
僕達は、コミュータに乗り込み、…
僕の背中で寝息を立てる「平塚さん」をコミュータの後部シートに降ろそうとするが、容易に剥がれない、…
マドカ:「役得でそのまま抱っこしてっちゃえば? 寮についてから降ろせば良いんじゃない、」
シオン:「それよりさ、僕一人で連れて行って良いのかな、寮監さんになんて説明すれば良い?」
マドカ:「許嫁とか言っちゃえば、」
シオン:「言える訳無いじゃん、」
不本意ながらも、僕は「戸塚さん」に救いを求める眼差しを向ける、…
マドカ:「私に着いて来いと?」
シオン:「……、」
マドカ:「して、何か見返りは有るのカナ、」
悪戯な顔でニヤニヤ笑う「戸塚さん」の美貌を、今日程忌々しく思った事は無い、…
シオン:「分りました、何でも一つ言う事聞きますから、」
マドカ:「良かろう、」
僕達はかつてバックミラーが付いていた辺りの車内監視センサーに顔を向けて生体認証を登録し、すっかり眠りこけている平塚さんは、タッチパネルに人差し指を押し当てて、指紋認証で、登場者確認を完了する、
画面には「戸塚マドカ」「二宮シオン」「平塚リョウコ」の三人の名前が映し出される、
警告音と共にドアが自動で閉まり、画面が切り替わって、…シートベルト着用の警告、
そうは言っても「平塚さん」を抱っこしたままの格好では3人分のシートベルトは閉められない訳で、
シートには質量センサーが付いているから、ベルトだけ締めてもAI(人工知能)にはズルしている事が直ぐにバレてしまう、
シオン:「しょうがないな、「平塚さん」起きてくれる?」
リョウコ:「ぃやぁ、」
無理矢理引き剥がそうとした途端、何故だか急に、シートベルトの警告が消えて、行き先入力画面に切り替わった、
シオン:「どうしてだろ、」
マドカ:「さあ、バグか何かかな?」
シオン:「だとしたら、大問題だよ、報告しなきゃ、」
マドカ:「取り敢えず、それは月曜日にしない?」
それから「戸塚さん」が僕の寮の郵便眼号を入力、
デビッドカードから引き落とされる金額を確認して承認ボタンを押すと、
漸くコミュータは、ゆるゆると走り出す、
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