第048話「仕組まれていたアクシデント」

シオン:「卑怯です、」

シオン:「アレは不可抗力じゃないですか、ソレを脅しのネタにするなんて、」


ホノカ:「脅しじゃなくって、お願いだお、」


「ホノカさん」、テヘペロ、…



シオン:「いい歳して、何処で覚えてくるんですか、そう言うの? 似合ってないですから、」


ホノカ:「シオン君って時々毒舌だよね、でもお姉さん言葉攻めもOKだお、」


「ホノカさん」、「シオン」の頭部を自らの豊満な胸部に押し当てる、



シオン:「だから、そう言うの止めて下さいってば、」


さっきから「シオン」はしきりに「戸塚マドカさん」の事をチラチラと確認している、


恐らく「ホノカさん」の言動の所為で「戸塚マドカさん」が「シオン」に否定的な印象を持たないか心配なのだろう、…





「シオン」が「戸塚マドカさん」の事を「特別」だと思っているのは明らかだ、


「リョウコ」が「シオン」を見る目も、

「カスミさん」が「国府津さん」を見詰める眼差しも、


「特別」な人を見るときの人間の眼差しは、何時だって分り易く「特徴的」だ、



「アリア」は考える、

「特別」な相手とは、一体どう言う物なのだろう、…


数多の文献に寄れば(注、主にシンヤアニメ&ラノベ)、この場合それは「恋愛」という単語に紐付けられるもので、生殖行為を期待して監視対象に設定した異性の事を指し、この際に相手に対して抱く感情の事を「好き」と言う、


私は生殖行為を実現出来る人間と同じ様な肉体を持ち合わせては居ないのだが、それでも私が「シオン」に対して抱いている不可思議な印象は、どうやらこの「好き」と言う感情に類似するのではないかと言う仮定を持っている、


現に人間の中にも、実際には生殖行為どころか双方向コミュニケーションすら不可能な創作物の登場人物に「好き」を抱く者が居て、彼らは専ら相手の事を「俺の嫁」と呼んであたかも配偶者であるかの様に振る舞う事が有る、


これは一種の代償行為であると説明されているが、其処に「好き」が発生している事に変わりは無い、…だとすれば、生殖機能を持たない私が人間を「好き」になる可能性も、全くゼロとは言い切れない、


私は「シオン」のお陰で、此の世界で一番不可思議な物が、私自身の中にあると言う可能性に辿り着いた訳だ、







定時後、…



シオン:「何処へ行くんですか?」

ホノカ:「そんなブーブー顔しないで、いい加減機嫌直してよ、」


ホノカ:「「みなとみらい」にね、いい店見つけたの!」


「シオン」達は「みなとみらい駅」前でオレンジ・ハッチバックを乗り捨てて(注、車は自動運転で駐車場に入る)、…クイーンズスクエアを散歩する、(黒塗りワゴンは駅前で待機、)


お洒落なお店で女性陣は暫しウィンドウショッピング、

シオンはベンチで一休み、



アリア:「シオンはお買い物に参加しないんですか?」


シオン:「女の人ってさ、見てるだけで買わないんだよね、それでああだこうだ意見を言うと、何か機嫌が悪くなるし、」(注、主にアリエル)


アリア:「人間の女性は意見よりも共感を求める傾向が有ります、」


シオン:「大体こんな人の多い所に来て襲撃でもされたら、大変な事になるのにさ、」


アリア:「安心して下さい、現時点、周囲に脅威になる様な要因は検知されていません、」


クイーンズスクエア内を、まるで風船の様にフワフワ巡回する「アリアン・アイギス」



ホノカ:「お待たせ、行こう、予約した時間過ぎちゃってる、」



それで、クイーンズスクエア内の煌びやかなホテル、その中に有る、コレマタ高級そうなフレンチ?に辿り着く一行、



シオン:「ちょっと待って、本当に僕、今日お金持ってないですよ!」

ホノカ:「大丈夫、立て替えて置いてあげるから、」


シオン:「て言うか何でこんな高級店?」

ホノカ:「たまには良いでしょ、デートよデート、それにもう予約しちゃったし、」


「シオン」、渋々顔で入店、



店員のお兄さん:「お荷物お預かりしましょうか?」

ホノカ:「大丈夫です、」


それで、一行は、ピンクを基調とした何だかメリーゴーラウンドの様な店内を歩いて、これまた可愛らしい劇場のボックス席の様に壁に彫り込まれた半個室の上品なソファへと案内される、…結構広い、



シオン:「もしかして、厭な予感しかしないんですけど、因に幾らするんですか?」


ホノカ:「シオン君がよく行くキャバレーと同じ位、」


店員のお兄さんが、本日のフルコースメニューの内容を解説、前菜メニューの選択、国産特上フィレステーキの焼き加減の確認、…と、そこへ、



ホノカ:「あれ?…奇遇ね、」

マドカ:「あ、ホノカさん、こんばんは、…偶然ですね、」


「戸塚マドカさん」が、フラフラと店内を散歩?…「シオン」達のボックス席の前を通りすがる、



ホノカ:「マドカもこれから晩ご飯?」

マドカ:「ええ、たまにはフレンチも良いかなって、」


ホノカ:「良かったら一緒に食べない?」

マドカ:「良いんですか? じ、じゃあ、…」



シオン:「って、なに此の小芝居、フォークとナイフ、4人分セットしてくれてるじゃん、」


確かに、「アリア」が確認した店の予約には、最初から4人で登録されている、…



店員のお兄さん:「お荷物お預かりしましょうか?」

マドカ:「け、結構です、…」

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