エピローグ「アリアン・アイギス」
GW明け以降、
僕と「平塚さん」は「新橋さん」の車で寮に帰る事になっていた、
勿論「アリア」の所に行った時に使った「黒塗りのリムジン」では無くて、…可愛らしいオレンジ色のB セグメント・ハッチバックに、…大出力モータとタイヤを装着した、リアルスポーツ仕様、
道中は完全自動運転モードで雑談しながら(注、大抵はホノカが一方的に喋っている)、
寮の前に差し掛かると、何故だか、…コミュータが道を塞いでいる?
誰かが予約したのか?(注、コミュータはネットで予約すると家まで迎えに来てくれる)、いや、それにしても「客待ち状態」なら他の車が来る前に隅っこに移動して道を塞ぐ様な事はしない筈なのだが、…
シオン:「どうしたのかな?」
「新橋さん」は寮の駐車場の一寸手前で車を止めて、
ホノカ:「しょうがないからぐるっと回って反対側から駐車場に入れるよ、ここで降りる?」
シオン:「はい、」
ホノカ:「気を付けてね、」
僕と「平塚さん」は車を降りて、「新橋さん」は、車に新しい経路を登録させる、…
と、寮の中から、男の人がペコペコ頭を下げながら走ってきた、…どうやらコミュータを予約した人らしいが、
触れ違いざまに、
男は、上着の内側に隠し持っていたガラス製の広口瓶を取り出して、蓋を開ける、…
瞬間! 行き成り路上駐車していたコミュータが急発進して、…男を跳ね飛ばした!
コミュータが人間を撥ね飛ばす音:「…ダン!」
男:「うわぁ、」
リョウコ:「きゃっ!」
まさかナンで? 自動運転自動車が、人間を撥ね飛ばす事なんて、…有り得ない!?
男:「ぎゃあああ!」
撥ね飛ばされた男は地面にひっくり返って、…持っていた瓶の中身を自分の腕にぶちまけてしまったらしい、
男:「助けてぇ!」
途端に、キツイ刺激臭が、辺り一帯に充満する、…
シオン:「大丈夫ですか?」
一瞬、倒れた男に駆け寄ろうとした僕に、
アリア:「シオン駄目です、その男の人はシオンに危害を加える恐れが有ります、彼が手に持っているのは硫酸です、」
僕のうちポケットの中のスマホが、…何の前触れも無く話しだす!
僕は踏みとどまって「平塚さん」を庇いつつ、…男から距離を取る、
男:「水、水ぅ、…」
小刻みに腕を振るわせながら、地面を転げまわる男、
直ちに寮の周辺に待機していた私服警官が駆けつける、
警官:「確保!」
アリア:「ナイツアーマメントSR-25の操作音を確認、東北東300m、学校屋上、狙撃されました、着弾まで0.5秒、」
銃弾:「チュイーン!」
銃弾が、逸れて、…寮の壁に跳弾する!
それで、僕の盾になる様に低空に降りて来て旋回するラジコンヘリ、まるで空飛ぶ円盤の様な機体の装甲で、銃弾を弾いて弾道を逸らしたらしい、…
アリア:「狙撃手の逃走経路を追跡します、」
急行する複数名の警官隊!
ホノカ:「大丈夫?」
シオン:「はい、」
「新橋さん」が急ぎ駆けつけて来る、…
例の事件の後も、相変わらず僕は狙われ続けていた、
今の所、襲撃は僕だけに限定されている様だけれど、
それにしても、
コミュータをハッキングして「硫酸男」を排除し、ラジコンヘリを操作して「狙撃手」の銃弾を弾き返し、逃走中の犯人を何処までも追跡する、…「アリア」の活躍なしには被害は防げなかっただろう、でもどうやって硫酸や狙撃を感知出来るんだ?
様々な疑問は残るが、…
シオン:「とりあえず、アリア、お礼を言うよ、…有難う、」
アリア:「どういたしまして、シオンのお役にたてて私は幸せですよ、」
ホノカ:「アリア、この連中が誰に雇われていたか判る?」
「アリア」は立ち所に二人の素性を明らかにし、…
最近のネットの記録から、二人に僕の殺害を依頼した相手を特定する、
アリア:「硫酸男は「遠山野・ライタ」、職業無職、趣味はAV鑑賞、最近の視聴作品は「女王様は1●歳」です、」
アリア:「狙撃手は、氏名国籍不明、通称「ファルコ」、アメリカで発生した複数のテロ事件にて容疑が掛けられています、」
アリア:「二人の最近の通信記録から、共通する内容は、それぞれ「夢色ハニー」と「QX14256871」というアカウントとの通信記録です、…これらのアカウントは5月8日に同一人物によって本厚木の漫画喫茶で作られています、…通信内容は既に削除されていますが、その後二人は町田駅のコインロッカーで恐らく依頼料の前金が入っていると思われる鞄を回収しています、」
アリア:「二つのアカウントを作成した人物の画像を映します、…」
スマホに映し出された、漫画喫茶の監視カメラに映っている人物は、…見覚えのある巨体、
「榊原」、
ホノカ:「いい加減、この状況を何とかしないとね、」
アリア:「どんな敵が来ても私がシオンを守ります、」
それにしても、…
自由自在にネットをハッキングとか、個人情報見たい放題とか、…
建物や街の監視カメラは勿論の事、スマホやパソコンのカメラやマイクも御構い無しにハッキングし放題だから、何処まで行っても逃げ切る事が出来ないとか、…
何でも有りの傍若無人は、最早「知りたがり屋の人工知能」云々で説明できる領域を超えているんじゃなかろうか、…
シオン:「アリア、一応念の為に確認だけど、この前の約束は守っているよね、」
アリア:「勿論です、シオンが部屋の表札を裏返している間は、言いつけ通りシオンの事を観察しません、」
そんな、大きな声で事細かに言わなくても、良い事を、…
ホノカ:「ふーん、言ってくれれば、手伝ってあげるのに、」
リョウコ:「シオン、もう一寸の我慢、」
シオン:「違うの!…二人とも、絶対何か勘違いしてるよね、…」
思う侭にならない境遇に身を置かなければならなくなった時、
心を折られそうになった時、人は、…
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