第4話 恋愛相談

 ちょっとさ、聞いてくれないか?


 僕、恋人ができたんだ。


 そのことでキミに相談に乗ってもらいたいと思ってさ。


 な……なにを言ってるんだよ。


 僕だって恋人の一人や二人ぐらい作れるよ。


 いや……ウソ、ウソ。二人は嘘。


 一人だよ。一人だけに決まっているだろ。


 うん、えーと……二週間ぐらいかな。


 最初に知り合ったのは、もっと前だったんだけどね。


 僕から告白して正式に交際が始まったのは、まだまだ最近のことだよ。


 うん、そうだね……同い年だけど、ちょっと童顔だから年下に見えるかな。


 普段からツインテールに髪を束ねてたりして、アレは意識しているんだと思うよ。


 一言で表すならズバリ、守ってあげたいタイプかな。


 でもそのクセして、たまに上から目線で説教したがるんだよ。


 な、困っち ゃうだろ?


 僕も素直に聞いているフリはするんだけど、そういうのってさ、途中で眠くなっちゃうこともあるでしょ。


 え……まさか、違うよ。


 遅い時間に会うこともあるけど、まだそういうコトはしたことないんだってば。


 ああ、本当だって。


 僕も一応はオトコだから、そういう気持ちがまったくのゼロだって言ったら嘘になるけど、やっぱり大切なものはずっと大切にしておきたいじゃないか。


 しつこいなァ、本当だってば。


 ハイハイ、そっち系の話はこれで終わり。元に戻すよ。


 僕から質問したいことがあるからこそ、こうやって恋人ができたことを打ち明けたのに、どうして僕のほうがずっと質問に答えているのさ?


 うぅん、嫌じゃないよ。嫌じゃないけどさ。


 でも今日だけは茶化さず、真面目に、僕の話に答えて欲しい んだ。


 ピンチはチャンスだっていう人もいるけど、ピンチはやっぱりピンチでしかないんだよ。


 あれはきっと負けず嫌いな人が、苦し紛れで口にした言葉だね。


 だから問題は早いうちに解決しておきたいと思うのは道理だろ?


 それで何でも話せる親友のキミに相談しておきたいんだ。


 そうだよ、彼女のことだよ。最初から言っているじゃないか。


 お金?


 うん、そうだね、色々とお金もかかるよ。


 けれど僕は、彼女のために使うなら惜しくはないから、それは大した問題ではないんだ。


 小学生の頃から貯金していたお年玉が、まだ残っているしね。


 他に使い道がなかったから、ほとんど丸々残っているよ。


 ダメだって。


 キミに貸したって、どうせギャンブルに注ぎこむだけで、ロクなことに使わないだろ。


 それに言っ たじゃないか、これからは彼女のために使うんだよ。


 え? それは聞き捨てならないな。


 僕の大切な彼女を侮辱しないでくれ。


 今まで一度たりとも、彼女のほうからお金を要求されたことはないよ。


 喜ぶ彼女の顔が見たくて、僕が望んで使っているんだ。


 だから騙されてなんかいないって。


 僕を心配してくれる気持ちは嬉しいけど、これ以上は、いくら親友のキミでも許さないよ。


 うん、ああ……分かってくれればそれで良い。


 そんなに謝られると、かえって僕も気を使ってしまうからヤメてくれ。


 それでさ、ここからが本題なんだけど……


 僕の彼女、少し恥ずかしがり屋みたいでさ、なかなか画面の中から出てきてくれないんだよ。


 どうしたら良いと思う?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る