第12話 最強!天然女神が降臨

【前回のあらすじ】

 圭介の様子を見ようと愛田家にお邪魔した鏡太。圭介の無事を確認し帰ろうとした鏡太を引き止める岬。そして岬に騙され人智を越えた手料理を食べることになる鏡太。それだけでなく岬は陽子に許可を取り泊る事も鏡太に隠していた。仕方なく泊まる事になった鏡太はシャワーを浴びる。だが岬の手料理で腹痛を起こした鏡太はシャワーの途中でトイレに行き衝撃の光景を目にしてしまう。岬のトイレ姿を目撃した鏡太は岬の手により葬られた。裸で悲惨な目に合った鏡太はオムツを履かせられ一夜が明ける。鏡太が翌朝、目にした光景はウンコをもらした自分の姿。自分の身に何が起きたのか覚えていない。

 こうして一部の記憶を無くした鏡太の一日が始まる。


【登校中の鏡太】昨日の出来事を振り返る。

 岬さんが起きてない隙に圭介にオムツを履かせてシャワー浴びたけど、オムツ履かせたの岬さんだしバレてるんだろうな。

 僕見てクスクス笑ってたし。それにトイレで気絶してたらしいけど何を見たのだろう?

 お漏らしと素っ裸を見られた事を気にしている鏡太。

「圭介には悪いことしたかな」

 

【黄泉川学園・正門前】

「黒井君おはよう。愛田君だけど大丈夫?」

「サクラ先生おはよう。圭介なら祖父母と旅行に出ていますよ」

「あら、おかしいわね連絡では下痢げりと腹痛が凄いって聞いたわ」

(ギクッ!)

「あ、あれですよ!下痢と腹痛で旅行ですよ」

(オムツつけてるから万全!)

「愛田君は祖父母、思いなのね~根性あるわ~」(漏らしてないかしら)

「根性が取り柄ですからね~しばらく家で寝てれば大丈夫ですよ(あっ!)」

「家で寝てる?旅行よね?」

 サクラはあれ?あれ?と不思議そうに考えている。

「間違えました。旅館で祖父母と川の字で寝てるてことです」

三途さんずの川だけどw)

「心配でお爺さんとお婆さん、愛田君をはさんで寝てるのね」

(感激だわ~)

「そ、そうですね」

 鏡太は想像するのが怖くなった。


【下校途中の鏡太】

 短縮授業で昼に終わった鏡太は正門を出て行く。

「終わった。終わった。圭介いないとバラ色生活だ。けどあいつがいないのも暇なんだよね。それに先生からはちょくちょく聞かれるし」

 鏡太はサクラに合うたびに話がややこしくなる事に、バレないかと不安になっていた。

「このまま帰っても暇だしな~。寄り道していくか」

 そう言うと商店街方面へと歩いて行く。

 

【商店街】 

 ぶらぶら歩いていると見覚えある姿が鏡太の視界にはいる。

「ゲームでもしていこうかな。ん?あれはアリサ?」

 雑貨店の前でボーと立っているアリサ。歩み寄り話しかける。

「アリサ何してるの?こんなとこ来るなんて珍しいね」

「あら、黒井君どうなさったの?」「それはこっちが聞いてるんですけど」

「わ、私はなんでもないですわ」(あれ欲しいですわ)

 アリサはチラチラと山積みになっているヌイグルミを見ている。

「なるほど、ヌイグルミ欲しいんだ」「違いますわ!」(そうですわよ!)

「どれ?この可愛いウサちゃん?それとも猫?」「猫ですわ(違いますわ!)」

「猫好きなんだね。僕もたまには恵にプレゼントするかな」

「妹さん?兄妹愛ですわね」(早く買って消ろですわ)

「ただのご機嫌とりだよハハハ。ところで買わないの?どれにするかな~」

「買いますわよ」(この店カード使えませんのよ)

 鏡太は1つのヌイグルミを手に取ると叫んだ。

「こ、これは、なんてブサイクなんだ!恵には無理かな」

「それはだめ!(買ったらぶっ殺しますわ)」「ダメてこれ買うの?」

「ダメダメってことですわ(それよ!それですわ!)」

 1つしかないヌイグルミを元に戻す鏡太。

「うん。狐にしとこ、すみませんこれください」

 鏡太はカウンターに持って行き代金を支払う。そしてアリサの元へ帰ると聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「あれあれ、鏡太なのよ。何してるのよ。お買い物なのよ?」

「ノヴァさん奇遇きぐうですね。て店近くでしたね。ハハハ」

「僕は妹にプレゼントしようとヌイグルミを買っていました」

「私も買うのよ」

 店頭にある山積みのヌイグルミを見ていくノヴァ。するとブサイクなヌイグルミをつかみ取る。それは見たアリサは大声をあげた。

「そ、それダメよダメダメ(やめてー)」

「ホント、ダメダメだよね。ノヴァさんもやめたほうがいいですよ」

「これ魔除けになるのよ。お店に置くのよ。くださいなのよ」

 そう言うと商品カウンターに持っていった。

「有難う御座いました」

 ノヴァはブサイクなヌイグルミを購入し店内から出て来る。

(わ、私のネカマちゃんが!悔しいですわ。許しませんわ!)

 アリサは青筋たてて怒っている。


 鏡太は見覚えがあるヌイグルミが気になりノヴァに聞いた。

「それ名前なんて言うのかな」

「猫耳オカマでネカマなのよ。店員さん教えてくれたのよ」

「どうりで見た気がするわけだ」(露店の悪魔にクリソツ!)

「数体しか製造されないレアらしいのよ。一部の人に人気らしいのよ」

「ノヴァさん以外でも買う人いるんだね」

(ここにもいますわ!)鏡太をニラミつけるアリサ。一部の人だった。

「そのうち女子高生の間で流行るかもしれないのよ」

「猫耳オカマ(ネカマ)がね~」(ネーミングは面白いけど)

「私は用事済ませて店に戻るのよ。鏡太もあとで寄るのよ」

「時間あれば立ち寄ります」

 ノヴァはテクテクどこかへ行った。

「アリサ、僕も行くね」

「またですわ!」(アナタさえいなければですわ!)

 アリサの怒りに気づかない鏡太は再び商店街を歩き出す。


「ゲーセン行きそびれたな~。今から行くのもね~。また人狼がいるかもしれないしな~。う~ん」

 鏡太はこれからの予定で悩んでいる。

「今日はパスしとくか。あれ、これなんだろ?」

 道端に落ちている財布を拾う。

「だれのだろう。落とし主がわからないな。中見てみるか」


身元証明書らしき物に名前が書いてある『セラ・スカイ』人種:有翼。


「セラさんで有翼ね。有翼て言えば知ってる人は女神様だよな~。聞けば何かわかるかも。居そうな場所見ておくかな」

※この世界では軍隊が警察の役割をしています。良い子は交番に届けましょうね。


【森林公園】

 公園にやってきた鏡太。フリマ方面の道を歩きながら有翼女性を探す。

「そういえば有翼人種て空飛べるんだよね。空も注意して見ないといけないな」

(バサバサバサ)「はっ!女神様!」上空をみる鏡太。「アホーアホー」

「アホって言うなー!ホント失礼だ。テストで20点以上取れないだけなのに」

 アホでなく馬鹿であった。


「フリマ・エリアに来たけど女神様は見当たらないな。数人は有翼の人いるから聞いてみるか」

 鏡太は聞いて回った。どうやら有翼女性は公園の裏口から出たらしい。

 裏口から出ようと考えていた時、鏡太に話しかける声。

「鏡太何してるの?」

 振り向く鏡太。

「あっ!クビーさん」

「アンタわざとでしょ!その首落とすわよ」

 大鎌を振り上げるルビー。冗談で言った鏡太はマズイと思った。

「ヒッ!ごめんなさい!」「冗談は顔だけにしなさいよね」

 ルビーと出会った鏡太はついでにと質問する。

「ルビーさんと話したい事もあるんですけど、今、人探してるんです。有翼人種の女性なんですけどね。ルビーさんは何しにここへ?」

「散歩よ。そういえば遊園地の事で話があるのよ。私の大鎌では飛んで行けないのでそのつもりで」

「えー期待してたのに~。交通費浮くし」

「やっぱりそうだと思ったわ。あの禁止区域てところは得体の知れないシールドが近辺にあって跳躍ができないの。仮に飛べても遠いから疲れるし」

「そうなんですか!」(疲れさせて血を吸われるのもなんだしね)

「まあそういうことよ。待ち合わせは公園よね?楽しみにしてるわ」

 ルビーはどこかへ歩いていった。


 物影に隠れている一人の少女。(あの子は誰ですの?)


 ルビーと別れ公園の裏口からでた鏡太。

「どっち行ったんだろう。お腹減ってファミレスでも行ったのかな。ノドも乾いた事だし、ついでに確認するかな」


【ファミレス】

 鏡太はファミレスのドアを開け店内へ。辺りを見回す。

「いた!」

 窓際の席へ座っている女神様発見!駆け寄って同席する鏡太。

「探しましたよ」

「あらら、あなたは羽を買ってくれた・・・えーと」

「鏡太です」

「そうそう鏡太さん。また羽が欲しいのです~?はいどうぞ(バサッ)痛くしないでくださいね~」

「いらんわー!もう羽はきませんよ~。あなたに訪ねたいことがあって」


「あらあら困りましたわ。えーと上が100で、次が80で、やだ恥ずかしいです~」

「誰もスリーサイズ聞いてません!それに寸胴ずんどうじゃないか!」

「あれれ?血圧ですよ~」

 ズッこける鏡太。

「スリーサイズがお聞きになりたいのですね~」

「聞きません!」

(ぜひ聞きたい!)スタイルが良い有翼女性。だけど本心は言えない鏡太。


 鏡太は拾った財布をテーブルに置く。有翼女性は財布をながめている。

「聞きたいのは、この財布のことです。見覚えは?」

「あれれ~。見たことあるような~。私のによく似てます~」

「落とし主がわからなくて名前がセラ・スカイて方です。心当たりは?」

「わたしです~どうもどうもドロボウさん届けてくださって~ありがとう」

「泥棒じゃありません!拾ったんです!」

「あらあら大変」「どうしました?何か無い物ありますか?」

「お財布がありません(しくしく)」

「テーブルにあるのが貴方の財布!」

「あらら。ごめんなさいね~。それで貴方は何しに?」

「もうやだーーー!」


「あらあら、お泣きになって~羽がそんなに欲しいなんて~そういえばお礼がまだでした~。1本だけならいいですよ~。ハゲた責任はとって下さいね~」

(ヤダヤダ!このペースはヤバイ!でもこの際、1本お礼にもらうか)


「ではお言葉に甘えて1本だけもらいます」

 手を伸ばし羽に触れた鏡太。

「アンっ♡優しくお願いします~。そこは敏感なので感じます~」


 隣のカップル客が騒ぎ出した。

「お、おい。あいつら何してんだ」「やだ~エッチ~」「なんかエロいな」


「アハアハ・・・やめておきます(しくしく)」「あれれ~そうですか~」

「ついでなので僕、飲み物とってきます」

(この際、落ち着いて色々聞いてみよう)


 ドリンクバーで炭酸飲料を適当にブレンドして戻る鏡太。

「えーと女神様じゃなくてセラさんでしたね。今日はお店休みですか?」

「売るものなくて~。でも1本は売れたのでハゲずに済みました~」

 鏡太はそう言えば羽しか無いんだよねと思い苦笑いする。

「ハハハ。で、いくらで売れたんです?」「10万です~」

「じゅ、10万ですか!」(買う人いるんだな。でもあの効果なら)

 人助けが出来る羽なら高くは無いと思う鏡太。


「でも~たこ焼きさん行ったら~お金が2万しかないのです~」

「まさか!」

「それでコレが(角ケース)」「ブー!そ、それは(ヒクヒク)」

「どうやって使うのでしょう?あれれ」

 セラは股間に角ケースを装着しようとしている。

「つけるなーーー!あなたが付けると羽が付いたトーテンポールだ!」

「あらあら、では~あなたがお付けに~」「絶対イヤー」


「セラさん猫耳のオカマ(ネカマ)の前行きませんでした?」

「行きました~」

「あのネカマなんて罰当たりな!それも8万とは許せん!」

「まあまあ、元がかかりませんので大丈夫ですよ~」

「そんな問題では・・・」

(セラさん可愛そうだけどチャームは証拠が残らないんだよね)


「そういえば羽のお礼が!あれのおかげで助かりました」

「いえいえ~。私こそお財布のお礼がまだでした。これ」

 と鏡太へ向けて羽を差し出すセラ。

「むしったの?」「売れ残りです~」

(僕むしらなくて良かったんじゃ。泣)

「では頂いておきます」

(喉カラカラだよ~ゴクゴクゴク)


 店員「お待たせしました~カップル・パフェですね。ごゆっくり~」

『ブーーープシュプシュ』炭酸を吹きこぼす鏡太。

 セラは何事もないように自分の顔をハンカチでふいている。

「どうしてそれを?」「一人で食べてみたくて~だめですか~?」

「い、いえ別に構いませんです」

 朱音とのパフェ事件を思い出す鏡太。

 セラは1人でパフェを食べ始めた。

「アーン」(ギクッ!ま、まさか)「(パクっ)美味しいです~」

「アーン」(ギクッ)「(パクッ)美味しいです~」

「食べるたびにアーンて言うのやめて!心臓に悪いハアハア・・・」

 鏡太は冷や汗が噴き出している。

「だって~彼氏と食べる雰囲気出るじゃないですか~やだ恥ずかし~」

「恥ずかしいならやめて!お願い」「わかりました~アーンどうぞ」

「しくしくしくしく。いじめないで~」

 テーブルにかぶさり号泣する鏡太。


「あらら。よしよし今ミルクあげるからね~あら、お乳でたかしら?」

「結構です!」(もう泥沼、いや底なし沼だよ~話題を変えよう)


【鏡太・セラへの質問タイム】

「有翼人種の方はどこに住んでるの?」

「パルテノンです~」

「へ~どこにあるの?」

「お空の上ですよ~」

「それなら旅費をかせがなくても飛んで行けるじゃないですか」

「それがですね~。飛んでいけない高さなので無理なのです~」

「そんなに上空なんだ。じゃ、どうやって帰るの?」

「天空ゲートからです~。通行費がすごく高いのです~」

「いくらですか?」

「100万キルです~。降りる時は1000キルで昇る時が高いのです~」

「高すぎーてよりデタラメな通行費だね」

「制約があるのですよ~」

「制約ね~」

(降りるのには干渉かんしょうしないってことだろうね)


「申し遅れました『セラ・スカイ』です~。年齢は二十歳ハタチです~」

(自称二十歳と違って若い!母さんこれがハタチだよ~)

「僕は黒井鏡太16才。セラさんよろしくね」

「年下さんでしたか、よろしくです~。それでココへは何しに?」

「もうイヤーーー!」

























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