第11話 地雷ふんじゃった!

【前回のあらすじ】

 図書室で調べ物をする鏡太は紫音と楽しい一時を過ごした。帰宅途中に岬と出会った鏡太は圭介の話題で盛り上がる。眠り続ける圭介の事が心配になり様子を見ようと決める鏡太は愛田家の訪問をつげる。それをきいた岬は喜んでいるが何やら様子がおかしい。果たして鏡太は無事に愛田家より生還できるのか?


 自宅へと帰り着いた鏡太。

「母さんただいま~」

 急いで自室へと向かいカバンを置くと、すぐ玄関に向かう。

「ちょっと出かけてくる」

「またあの子のところ行くんでしょ!母さんをズデ(捨て)ないで~」

 あの子って誰だ?と思いながら途中すがりつく陽子を振り切りバタバタと玄関から出て行く。


【愛田家・玄関前】

 鏡太の視界に不思議な光景。

『なんだこれは!』と愛田家の庭先を見つめ大声をあげる鏡太。確認するため近づいていく。

「こいつに何があったんだろう。これは狛犬こまいぬか?」

 鏡太はクマのヌイグルミを不思議そうに見つめる。

(美咲さんの仕業なのだろうか、おそなえ物まであるよ)

「まあ・・・お前もある意味、功労者こうろうしゃだよね。一応手を合わせておこう」

「次の出番を待て!巨大ハンマーよ!」(パンパン合掌がっしょう

 鏡太は神社の様な場所に飾られているハンマーに参拝さんぱいした。


 愛田家のチャイムを鳴らす。

「はーい(キタキター)。鏡君いらっしゃい。あがって♡」

 岬がドタバタしながら出てきた。(何してたんだろう?化粧?)

 岬の顔は少し色っぽい。赤いブラウスに白いキュロット姿。

「お邪魔します。圭介起きてないですか?」

「まだよ。今頃はおばあちゃんと一緒に船の上ね」(恐ろしやー)


「2階上がってみるかな。岬さん見てきます」「私もいくわ」

 トントンと軽快けいかいに階段を上る二人。ガチャ!圭介の部屋のドアを開け様子をみる。

「圭介・・・。まだ寝てますね」

「死んだお爺ちゃんも出てきたのね。お婆ちゃんと喧嘩だわ」

「リアルすぎ!」

「やめてよ爺ちゃん(ボクッ!アウッ!)」

(必死に仲裁ちゅうさいする圭介が見えた気がするよ)

「ううう・・・ううう~ん」「!!!」

「コイツ起きるつもりか!岬さん!急いであれを!」「わかったわ!」

 岬は急いで階段を下りていく。

        「巨大ハンマーよ。出番は早かった!」


 ドドドドドドド・・・。ハンマーを持ってきた岬が部屋に入る。

「持ってきたわ!」

「では、お願いします」

 鏡太は岬の前に片手をだし、お焼香しょうこううながすような仕草しぐさをする。

「いっくよーせーのっドーーーーーーーーン!」

 ハンマーを振り下ろした岬。圭介は見るも無残なアヘ顔。

「もう少し死んでてくれ圭介。(チンッ)南無ー」

(お前が起きると不都合が)

「鏡君、コイツ大丈夫かな?起きたらエヘエヘとか言いそうよ」

「もとからだから問題ないでしょう」

 笑いをえている二人がそこにいた。


 用も済んだし帰ろうかなと思う鏡太を引き止める岬。

「鏡君、せっかくだからウチで御飯していきなよ」(うん。と言いなさい)

「いや~母さんいるし(岬さん目つきが怖いよ)どうしようかなハハハ」

「たまにはいいでしょ。積もる話もあるし。ねっねっ」(ほら早く~)

「母さんに聞かないと何とも」(顔が般若になってる怖い)

「それなら私が連絡するわ。待ってて(ピピッ)」

 そう言うと岬は鏡太から距離をとり陽子に連絡を取る。


 陽子との通話開始。

「あっ陽子さん岬です」

(おばさんは禁止だし、ご機嫌とらなくちゃね)

「鏡君を今日、うちで泊めていいですか?」

(キャー間違えて泊めるって・・・思わず欲望がでちゃったわ。恥ずかしい~)

「そうね~岬ちゃんだから大丈夫よね、お母様もいるしOKよ」

「ご了承ありがとうございます。ではー」

 通信終了。嬉しさのあまりピョンピョン跳ねる岬。

(キャー!まさかよ!まさか)

「鏡君OKだって。ルンルン♫」

(スキップでくる岬さんが怖い。それに顔が凄くゆるんでる)


「そうですか、ご馳走になります。ところで岬さん。おばさんいるんですよね?」

(岬さんの手料理だけは阻止しないと)

「いるわよ」(鏡君なにか感じてるわ!野生の感ね)

「料理はおばさんだよね?岬さんはしないよね?」

(ジトー)何だか怪しいと岬を見つめる鏡太。

「切ったりとか少し手伝うだけよ」

(ズバリ聞かれたけど誤魔化したわ。フフフ・・・逃さないわよ~)

「なら良かった」(チョコの二の舞はゴメンだよ)

「鏡君はリビングでくつろいでいてね。料理できたら呼ぶから」

(よっし!何とか引き止めたわ)岬はさっそくキッチンへと行く。


「あら、岬あんたが料理作るの?あっ!母さん会合あるの忘れてたわ。帰りに外で食べてくるわね」

 岬の母さんは危機を脱出した。さすがである。


【岬クッキング開始!】

「さて、何作ろうかな(ルンルン♫)オムライスとかが言いかな~」

「まずは卵ね(グチャ)力加減が難しいわね (カラだらけ)食感大事よね」

「次チキンライスか~。これは材料が足りないわね。ちょっと行ってこよ」

        (しばらく放置の岬20分後帰ってきて再開)

「こんなものかな。次は卵焼かなくちゃ(これでいいのかな~)盛り付け完成!」

「意外とオムライス簡単だったわ。何か一品はさびしいよね」


「何か簡単にできるものないかしら。お鍋でもいいわね」

「まずはお出汁だしね。え~とお水いれて後は冷蔵庫のとか適当でいいよね」「隠し味にこれ入れてと(ドボドボドボ)入れすぎちゃった。まっいっか」

「よし完成!」


「次はデザートだけど、陽子さんに聞いてた大好物を蓋付ふたつきうつわにいれて驚かしてあげよう。きっと感激するわね!これで全部完成。あとは鏡君を呼ぶだけね」

「1品ずつ出してビックリさせよ。ウフフ♡」

【岬クッキング終了】


【愛田家・リビング】

 岬は料理完了を知らせにリビングへやってきた。

「できたわよ~」

「岬さん待ちくたびれたよ~もうお腹ペコペコだよ。随分、時間かかったね」

「材料足りないのがあったから調達にね」「そうだったの。で今日は何かな?」

「オムライスよ。今から持ってくるね」

 調理場へ行き戻ってきた。

『召し上がれ♡』とテーブルに置く岬。

「・・・・これは?」「やーねーオムライスよ」「・・・(コケッ)」

「オムライスって卵焼きの上ににわとりまるごと乗ってるんだ」

「(コケッ!コケ)ヘェー」

「食えるかーーー!」


 鏡太は自称オムライスの鶏を指して遅れた原因を聞く。

「岬さん。コレの(鶏)調達行ったの?」

「そうよ。捕まえるの大変だったんだからね。じゃ卵焼きだけでも食べてお願い」

 岬はニワトリの首をつかむとポイッと放り投げる。(コケッ)

 あらためて玉子焼きを見て驚愕きょうがくする鏡太。

「で、でけー卵焼き!」

「た・べ・て♡」

 可愛くお願いする岬に鏡太は少しデレ。

「も~少しだけですからね」

(パクっ・・ガリガリガリガリ)

「鏡クンどう?美味しい?」

『モゴゴ、ゴゴ』鏡太は口から血を流して涙を流す。

「感激してくれて嬉しい!」「つ、次いってみよー」


「次はこれよ!お鍋」

「岬さんこの白いの何ですか?」

(初めてみたよ白い鍋。それに湯気が出ていない)

「牛乳よ。隠し味にちょっだけ2リットル1本かな」

「それちよっとじゃなーーーい」

「まあ、美味しいかは食べてみないとわからないか。具材はなに?」

「冷蔵庫とその辺にあるもの適当に全部よ」

「そ、それって闇鍋て言うのでは?」「そうかしら?」

 相変わらず飛んでもない事する人だと思う鏡太。

「食べてみてよ~案外美味しいかもしれないじゃない」

(食べないと怖いもんな~拷問ごうもんだよ。目が血走ってるし)

「それじゃ~。にごってるけど、この辺りから」

 白くにごった鍋から箸で具材をつかみ取る。持ち上げたものに驚愕。

『ブッ!ラジャ・ラジャ』 

「あらやだ!私のだ恥ずかしい。見ちゃダメーーー!」ブスッ。


        「ウガアアアア・・・目が・・僕の目がーー」


「汚れちゃった~洗濯機に入れてくる」

 しばらくして戻る岬。

「今のは手違いよ。次こそ美味しい具材あるわよ」

「ホントにもう。これ最後ですよ」

 鏡太んは再び鍋にハシをいれる。(バシャ!何か出てきた)

「これは何?モゴモゴ」

 口から顔を出しているケロちゃん。

「鶏の帰りに具材になるかもと捕まえてきたケロちゃんだよ」

「食えるかーーー!」

 ケロちゃんを放り投げる。ゲコッ!ゲコッゲコ。 

「こんなの食べたらゲロちゃんだよ!」

「鏡君の食わず嫌い~」

「もう堪忍かんにんして~」

「もういいわよ!フンッ」

 鏡太が喜ばないのを見て機嫌を悪くした岬。プンプン怒っている。

「ごめんごめん」

 

「じゃデザート食べてくれる?鏡君の大好物だから~」

「い、いただくよ」(今度は期待出きそうだな)

「持ってくるね。はいどうぞ。フタ開けてね」

「いただきま~す(パカっ)パイナップル(手榴弾)じゃないか!」

 窓から投げる鏡太。どこかの家が消滅した!


「なんでこんなものを」「陽子さんが好物だからって嬉しくないの?」

「あのクソババアーー!覚えてろーー」

 さすがに激怒した鏡太であった。食べるものが無い鏡太はお茶漬けだけをもらって食べた。


 リビングで食休め中の鏡太。

「それにしても、おばさんいないんだもんな~まんまとハメられたよ」

 騙されたことに愚痴をこぼしていると、ふと気づく。

(え?おばさんがいないって事は、もしかして岬さんと二人キリ?)

 眠っている圭介は除外されていた。


「何かマズイ気がする」

 オロオロと落ち着かない鏡太。そこへ洗い物を済ませた岬がきた。

「鏡君はい。ジュース」

「ありがとう。ゴクゴク・・・」

「私、シャワー浴びてくるね♡」「ブーーーー」

(なんで?なんでお風呂なの?僕どうしたらいいの?)

 お泊りとは知らない鏡太は意味不明な行動をしてうろたえている。


「でもでも。ただ、お風呂に行っただけだよね。大丈夫だ落ち着け鏡太」

(ドキドキ・ドキドキ。でも岬さん、その気だったらどうしよう)

「考えるな鏡太!無我むがの境地になるんだ!」


「上がったわよ~。鏡君も入ってきて」

「(ちんっ)無我どころか成仏しました!」「鏡クン何言ってるのよ~」


 パジャマ姿の岬はソファーに座った。

「み、岬さん。あの~お尋ねしますが、なぜ僕がお風呂なの?」

「鏡君、しゃべり方が変よ。どうしてって陽子さんがお泊りOKて言ったわよ」

「母さんが?僕家に帰ります!」「ダメよ~逃がさないわよ♡ウフフ」


       「キャーーー助けてーーー食われるーーーー!」


「わたし鬼婆おにばばじゃないわよ。誰を食べるのよ~や~ね♡」

(鏡君たら、可愛いわ♡)

「ウチには病気で待ってる孫娘まごむすめがいるので許してください!」

「ソレどこの時代よ~」

「だって~御飯食べて体を綺麗にして帰さないて言ったらアレしかないじゃない」

「何もしないわよ!ただ泊まるだけよ。圭介のパジャマ出しておくから早くお風呂してきなさい」

「わかりました。じゃシャワーお借りします」

 岬に逆らえない鏡太はシャワーをびに浴室へと行く。


(ジャーーー。シャワー音)

「マジでドキドキしたよ~岬さん馬鹿力(能力)があるし」

 シャーーー。

「それに本気出されたら『食べて!』て言うしかないよ」

 シャーーー。

「にしても料理は味わうどころじゃなかったな。どうやれば、あんなのできるんだろ?レシピ見ないのかな?」

 その時、突然襲う腹痛(グキュ・キュルキュル・グキュキュ)

「や、やばい!は、腹が・・・」

「風呂上がるまで辛抱(キュルルル)ダメだトイレ行こう」

 鏡太は裸のまま浴室を出て急いでトイレへ向かう。


「も、もれそう・・・」

 急いでトイレのドアを開けた。衝撃が走る!目の前にはパンツをおろした岬。

(見つめ合う二人)

「キャ・キャーーーーーーー(ボグッ)」

 鏡太は岬に大事な所をられ裸で悶絶もんぜつした。


「ごめんね鏡君(チラっチラっ)可愛いマッシュルーム♡やだ私ったらポッ」

「多分トイレ行きたかったのよね。漏らすと大変だからオムツをはめておかないとね。あとは圭介の隣に寝かせておけばいいわね」

 岬は怪力で鏡太を持ち上げると2階へとあがっていく。

「今日は楽しかったわ。おやすみ鏡君♡」

 ある意味、初体験な鏡太の一日は終わる。


【とある空手少女の日記】

 今日は久しぶりに鏡君が家に遊びに来たわ。

 お泊りコースになるとわ思わなかったけどナイスよ、陽子おばさま。

 手料理は本当に久しぶりよ。だってウチのお母さん調理場いれてくれないもの。

 わたしの何がいけないのかしら?でも素晴らしい料理ができたわ。

 鏡君は喜んで少し食べてくれた~。嬉しい♡。

 初体験もしもを考えて先にシャワーを浴びた私ってはしたないかしら?

(キャ~♡)恥ずかしいと言ったらトイレしてるとこ見られちゃったよ~。

 でも鏡君ならOKよ。もっと話したかったけど寝てしまったので残念。

 また今度楽しみにしてるね。

 大好きな鏡君♡。


 チッチッチッ。翌朝

「ふぁ~よく寝たな~。んっ?(バブー)なんじゃこりゃ!」

「裸でオムツ姿って赤ちゃんじゃん。僕に何がおきたんだ?思い出せない」

「それに何か臭うな・・・まさか・・・イヤーー!」

(お婿むこにいけない、泣)

 悲惨な姿でウンチを漏らした鏡太であった。





























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