第9話 エッチな誘惑は天国へのキップ

【前回のあらすじ】

 鏡太は小さくなった親友の圭介を元に戻すべく、ルビーとノヴァを連れトロイヤのテトに向かった。テト村長(ノヴァのパパ)より圭介を元に戻すアイテムを借り受ける事に成功。だが、それは巨大なハンマーだった。果たして圭介は無事に元に戻れるのか?物語はネクロに帰った場所から始まる。


 ルビーの空間跳躍により公園に到着した鏡太とノヴァ。鏡太は巨大ハンマーを抱えゼーゼー言っている。

「ふいーー重いよ~。もう少しコンパクトにして欲しい」

 鏡太の根性に感心して見ているルビーとノヴァ。

「あんた、よくソレ持てるわね。私じゃ無理よ」

「ゾンビすごいのよ。ドワーフだと百人はいるのよ」

「体は鍛えてますけど、ほ、骨からペキペキて折れてる様な音がします」

 重いハンマーをかついで来た鏡太の足はガクガク、ブルブル。ルビーとノヴァはゾンビは凄いな~と見ている。


 そんな必死な鏡太を見てルビーが理由を聞いてくる。

「そんな巨大ハンマー何に使うの?(ギクッ!)なにか怪しいわね~」

「大きくするのよ!大きくするのよ!」

「ノ、ノヴァさん!」

 鏡太はこれは不味いと誤魔化しにでた。尚も問い詰めるルビー。

「大きく?何を?あなた身長はあるみたいだし、変だわね」

「それは・・・」

「それはなによ?正直に言いなさい!」

息子ココ!」

 ドヤ顔する鏡太。

「バカーーー!」

 股間を指した鏡太は思いっきり殴られた。


「あんた冗談は顔だけにしなさいよ!白状しなさーい」

 ルビーの問い詰めに負けた鏡太。正直に話しだす。

「僕の親友の圭介が小さくなったんです。それでハンマーが必要で」

「そんなこと、でなんで小さくなったのよ?」

「ノヴァさんの下着を見て」

「あいつまだりてないみたいね!元に戻すことはないわ!一生あのままにしておきなさい」


 ルビーは鎌をブンブン回して怒っていたが、いきなりニタついた。

「やはり元に戻しましょ。フフッ」

(あの大きさと重さですもの見ものだわ)

「良かった~。けど圭介にコレ見せて素直に叩かせるわけがないですよ」

「それもそうね。何か良い手はないかしら?」


 二人が考える中、ノヴァが口をはさむ。

「私の下着ならイチコロなのよ」「却下!(二人)」

「けど下着ね~。ノヴァさん以外でなら妙案みょうあんかもしれない」

(チラッ)とルビーをみる鏡太。

「私は嫌よ!なんであんなバカなんかに見せなくちゃいけないのよ!」

「そうなると困ったな~下着がダメとなると水着とかなら、でも圭介だし普通の水着じゃ食いつかないだろうな~」

(チラッ)とまたルビーの方をみる鏡太。

「水着でも嫌だわ!」

 ルビーのOKはもらえない。鏡太はどうにかならないかと考える。

「水着なるのよ。なるのよ」

「ノヴァさんが?」

 鏡太は幼女の様なノヴァを上から下まで見つめる。

「無理だ!」

「失礼なのよ!これでもドワーフじゃナイスバデーなのよ」

「あなた知り合いになってくれそうな人いないの?」

 ルビーの言葉に心当たりを思い浮かべる鏡太。


 岬さんは姉弟だし除外。サクラ先生、アリサ、紫音、朱音はいきなりは無理だろう。僕が頼んで簡単にOKくれる人て・・・あの人しかいないよね・・・ハァ。


「やってくれそうな心当たりはあります。あとは方法ですね」

 鏡太はルビーとノヴァに方法を説明する。

「なるほど、面白そうね。あいつなら簡単に引っかかるわ、フフフ」

「では作戦開始で、ハンマー置いていくのでルビーさんお願いします」「了解よ」

 そう言うと鏡太は作戦を実行すべく実家を目指す。


【黒井家のリビング】

 ソファーに寝そべりTVを見ている陽子に鏡太は要件を伝える。

「母さんただいま。あのちょっといいかな?頼みがあるんだけど」

『OKよ♡』と即答する陽子。

「まだ何も言ってないよ!」

「鏡ちゃんの頼みなら母さんなんでもしちゃう♡」

 陽子はソファーの上で妙な動きをしている。

「気持ち悪いからクネクネやめて!」「もうイケズ~」(頭が痛い!)

「頼みって言うのはね」

 陽子に近づき耳元でゴニョゴニョと説明する鏡太。

「いやーーん♡息がぁ~♡」

「ご、ごめん。(ぶっ殺す!)わかった?合図するからね!」

「わかったわ上手くやるわね。お芝居しばいなんて母さんドッキドキよ」

「じゃ圭介の家、行ってくる」


【愛田家・玄関前】

 ピンポーン・ピンポーン。鏡太はチャイムを押す。

「あれでないな、おばさん出かけたのか?」

 鏡太はドアノブに手をかけ回してみる。ガチャ。

「あれ開いた!よし圭介の部屋に行こう。お邪魔します」

 家の中へ入り二階を目指す。 


 ゲージを覗き込み鏡太は圭介に話しかける。

「圭介~ただいま」「おう!鏡、何かわかったのか?」

「うん。それで今から一緒に出かけるよ」「おっしゃ~!これで戻れるな」

(現世に戻れる保障はないよ)


 鏡太からの合図待ちの陽子。

「今から出るようね。玄関で待ち伏せだわ」

 鏡太と通信中にしている陽子。腕時計から漏れる声を聞いて行動開始。


 その頃、鏡太はゲージを持ち自宅寄りの道まで出てきていた。

「ちょっと部屋に忘れ物したから、待ってて」

 そう言うとゲージに入った圭介を道路に置き去り。鏡太は愛田家の門柱に潜んだ。

(ゲージの鍵は外してある。あとは隠れて待つ)


「鏡ちゃん出てきた。圭介君だけになったわね。よし!」

 コツコツ道路にでる陽子。ハイヒールにミニスカ。

「ウヒョー!あれはミニスカの陽子さん!」

 すぐに陽子に気づいた圭介。エロ探知レーダー抜群だ。

「見えそう!おっ!そういえば俺、小さいから近くへ行けば!でも鍵がな~」


「きゃっ♡風が・・・。やだ~誰かに見られたかしら?」

 わざとらしく陽子はスカートの中をチラ見せ。

「ウオーーーたまらん!陽子さーん!」

 おりさぶる圭介。ガチャガチャ!

「あれ~その声は圭介くん何してるの?もしかして今見えた?いや~ん♡」

「はい!バッチリ」

「もっと私のパンツ近くでみたい?」

「みたいです!」

(食いついたわ)私の色気なら楽勝ねと思う陽子。

「でも、それじゃ~無理よね。うふふ♡」

「クソー!あれ?これカギ開いてるじゃん!」


「圭介が気づいた。母さんに集中してる今がチャンス!!」

 背後に回り腕時計で連絡。ハンマーと共に空間から出てくるルビー。

 鏡太はハンマーを持ち、圭介が飛び出る瞬間を待つ。


「見てみて~ん♡」

 陽子は圭介に見えるようにスカートを少しずつ上げていく。

『ガチャン!』と檻があかり飛び出していく圭介。

「ウヒョーーー陽子さーーーん」

 今だと鏡太は圭介に狙いをさだめ駆け寄る。一気にハンマーを振り下ろした。

『ドガーーーン!』と物凄い地響じひびきが辺りに響き渡る。

「圭介、君の事は忘れないよ。でも君は忘れるんだろうね」

(パーになって)気絶してピクピクしてる圭介。鏡太は手を合わせた。


 成功を見届け鏡太に歩み寄る陽子。

「鏡ちゃーーん上手に出来たかな?」「母さんグッジョブ!」

「見てみてチラッ!ミニスカ・ビキニ大成功♡」

「母さんみんな見てるよ。ハァ~」

 圭介は巨大ハンマーにより元に戻った。だが大きなタンコブができ前より身長が伸びた。


「上手くいったわね。このスケベには良い薬だわ!」

 ルビーは笑ってる。が突如とつじょひざをついたルビー。様子がおかしい。

「ルビーさん!どうかしたの?大丈夫?」「平気よ少し立ち暗みがしただけよ」

 平気と言うルビーだが、度重なる空間跳躍で恐らく疲労困狽ひろうこんばいなのだろうと鏡太は思った。ルビーの手を自分の首へ回して抱える鏡太。

「ごめん今日は無理させちゃったね。肩を貸すよ、つかまって」

「だいじょ・・血を・・」「血?そうか吸血鬼だから、僕のでよければ・・」

「それはダメ!・・・でも」

(血、血を吸わないと・・けど・・あーもう我慢できない)

 ルビーは鏡太の首へガブリと噛み付く。チューチュー。

(こ、これは!な、なんて美味しいのかしら!もう少し。もう少し・・・)


その光景を見ていた陽子。激怒の表情でルビーに駆け寄る。

「鏡ちゃーん、こら離れなさい!あなた何するの!」

「母さん・・・いいんだよ」

 鏡太はヘロヘロになりながら言う。

「良くない!赤ちゃんできちゃうじゃない!」

「そっちかい!(ガクリ)」

 鏡太は陽子の一言で僕パパになるのかな~と思いながら気絶した。


 陽子に怒られ鏡太の家から離れたルビー。

 ルビー:とんだ邪魔が入ったわね。鏡太か~凄く美味しい血してたわ。

     また会ったら我慢できるかしら私・・・。

     だめよ!だめだめ!そんなに吸ったら嫌われちゃうわ。

     ここは仲良くして定期的に摂取するのが良さそうね。

     連絡先は聞いたからどうやって仲良くなるかよね。

     私から連絡するのもね~あいつから連絡くれればいいけど・・・。

 ハア~と溜息をつくルビー。


 一方、気絶して家に運ばれ目を覚ました鏡太。状況整理中。

 鏡太:吸血鬼に血を吸われちゃったよ。

    そんなに痛くはないけど結構だるくなるな~。

    圭介はあの後、母さんが部屋に運んだみたいだし、数日は起きないよね。

    そういえばルビーとノヴァさんに、お礼言ってなかった。

    圭介作戦で連絡先は登録しておいたからかけてみよう。

 腕時計ロウを取り出しピッピッと通信、ノヴァにかける。


 ノヴァが出た。通話中・・・

「もしもしノヴァさん?」「誰なのよ誰なのよ」「僕ですよ僕」

「僕僕、知らないのよ。うちにはお金ないのよ」

「振り込め詐欺じゃないですよ!鏡太です」

(この人、僕の真似だなw)

「鏡太なの?どうしたのよ。あっ!あー。私出番なかったのよ」

「出番?あーそういえばそうでしたね・・ハハハ。でもハンマーの件だけで充分、助かりましたから、お礼を言っておきます、ありがとう」

「どういたしましてなのよ。あいつ(圭介)にはもう覗くなと言ってなのよ」

「分かりました。けど、もう二度としないと思いますよ。アハハ。また今度フリマも寄らせてもらいますね」

「必要なアイテム探しは店に来るのよ。何でもあるのよ・・・多分」

「その時はお願いします。では(プンッ通信終了)次はルビーさんだな」


 プププ呼び出し音。プン繋がった。ルビーと通話中。

「ちょっとあんた!遅いのよ!どれだけ待ったと思ってるのよ!」

「へっ?待った?」

「ま、待ってないわよ!こ、こっちの話よ」

「そうですか・・・。あの、さっきはありがとう助かりました。結構連れ回したし、何かお礼がしたいと思って」

「別にいいわよ。血ももらったことだし」

(でもそうね~。ここは仲良くなるチャンスかも)

「どうしてもって言うなら、どこか連れてって」

「どこかですか。う~ん公園やレジャー施設とかですか?」

「公園はいつもいるからパスね。遊園地とか行ってみたいかも。私、久しぶりにこっちきて遊ぶ所わからないのよ」

(なるほど~遊園地ね)

「ちょっと色々調べて決まったらまた連絡します」

「待ってるわよ」(通信終了)


 遊ぶ所か~母さんに聞くか、でもなろくでもないとこ教えそうだしな~。

 図書館とかにも、その手の雑誌置いてあるよね。


 連絡をもらって喜ぶルビー。

「キャー。ナイスタイミングだわ!これであいつとの仲も進展するわね」

 ルビーは鏡太とのデートシーンを思い浮かべる。

『ルビー・・・。鏡太・・・』見つめ合う二人。

「キャー!私ったらなんて想像を・・・。勘違いしないでよね!これは血のためよ。あいつに気があるわけじゃないんだからね!」

 一人ツンデレのルビー。

「早く連絡来ないかな・・・」


 鏡太はリビングに来てジュースを飲みながら考えている。

「ダメ元だし一応聞いてみるか。母さーん」「な~に?ミルクはまだですよ~」

「僕は赤ちゃんですか!あのね、このエリアで面白そうな場所ないかな?」

 陽子は飛んでも無いことを口走りながらキッチンからリビングへとやってくる。


「面白そうな場所ね。う~んオカマBARとか?」

「僕、未成年です!どこ紹介してるんですか!」

(それにオカマはちょっとな~)フリマの事を気にしている鏡太。

「健全なとこにしてよ~」

「オカマはだめなの~それじゃ~う~んと」

(母さんたまに夜いないけど、そんなとこ行くのか。ゴクゴク)


「じゃあ、コスプレ喫茶!」「(ブーー)どこが健全なの!」

「年頃の健全な男の子は行くものよ」「僕そこまで横道それてません!」

(ホントにもうゴクゴク)


「母さんたまにバイトしてるわよ」

「ブーーー!」

「店長からまだ二十歳でいけるね~て、お尻触られちゃったイヤン♡」

「セクハラ店長、めてきていいですか!てより母さんコスプレやめて~」


「だって~だって~お父さんが送ってくる給料じゃ苦しくて~まず生活費でしょ。あと鏡ちゃんの学費と学費と学費」「僕どんだけ学校いってるの!」


「それに毎月のおこずかいが鏡ちゃんに10万で」

「僕そんなにもらってません!」

「私が50万ね」

「ブーーー!あんたか!あんたが無駄使いしてるんだ!」

(どうりでオカマBARとか行けるはずだよ!父さん可哀想かわいそう

「だって~鏡ちゃん遊んでくれないから母さんもストレスがた・ま・る・の・よ」

「ストレスなら僕なんて胃がドロドロだよ(泣)」


「そういえば最近、禁止区域の近くにアトラクション・パークができてたわね」

「そんなの出来てたんだ、どんなとこだろ」

「母さんも行きたいな~(じろ~)」

「僕、試験勉強で忙しいから機会があったらね」

(母さんとは絶対行きたくねー!)


 期待はしてなかったけど最後に良い情報が聞けた鏡太。自分の部屋に戻る。

「ほかに情報は無いし行って見てもいいかな。じゃ日取りを連絡するか」

 ピッ。プププ。ルビー呼び出し中。通信開始。

「もしもしルビーさん鏡太です」「あら早いわね。どこ行くか決まったの?」

「禁止区域の近くにアトラクションあるらしので今度の休日行きませんか」

「いいわよ。楽しみにしてるわ」「僕も初めてなので色々調べておきますね」

「わかったわ、それじゃ休日に」

 通信終了と同時にピピッピピッ腕時計から着信音。

「あれ、まだ話あるのかな?はい」

「わたしも行きたいのよ。行きたいのよ」(プン!通信拒否!)

「なんで?あの人は超能力でもあるのか!」
























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