第6話 頭のネジがぶっ飛んでる人々

【前回のあらすじ】

 陽子の情報で休日に森林公園へときた鏡太と圭介。初めてみるフリマで奇妙なオカマと出会い変なアイテムを買わされる。その後、ドワーフの少女ノヴァと遭遇。圭介はノヴァのパンツをノゾキ小さくなってしまう。元の姿に戻すアイテムはノヴァの店にあるが圭介は痛さをともなうため拒否。放っておいても大丈夫だと思う鏡太は新たな発見を求めフリマエリアをうろつく。


「悪魔にドワーフよく見てみると他種族て、たくさんいるな~。それに珍しい物ばかり売ってるし、フリマに来てよかったかも」

 圭介のやつ、やたらとエロい事ばかりするから天罰もらうんだよ。ペッタンコな幼女にまで興味を持つなんて見境なさすぎwけど幼女のおかげで僕は助かったけどね。圭介には良い薬かなと思う鏡太。


「あの~買っていただけませんか」

 一人の女性の声に振り向く鏡太。なんて表現すればいいのだろう(女神様?)

 長い銀髪に白いドレスの様な服装をした女性。何かを売っているようだ。

 鏡太の顔色をうかがうと、女性は買って下さいと尚も話しかけてくる。

「故郷には病弱な妹がおりまして、買っていただけませんか~」「はいーー」

 情に訴えられ、負けて返事をした鏡太。シートに置かれている品をみる。

 並んでいるのは・・羽・・羽・・羽しかない。


「あの~これ何か違いがあるんですか?」

 鏡太の問いかけに女性は意味不明なことを言う。

「これがさっきで、これがその前で、これが今です~」

(違いがわからん!)

「どれも同じに見えますけど?」

 それでも女性は鏡太に買って欲しいと泣きついてくる。

「1で、1羽でいいですから・・・うっうっ」

「1羽か~さっき使ったしな、いくらですか?」

「5千です~」

「無理です!」

 所持金なくなるよ~。他も回りたいしな~。所持金を節約したいと思う鏡太。


「故郷に帰るお金もなくて・・・うっうっ」

 尚も情に訴える女性。悩む鏡太。

「そう言われても、1羽でその値段はちょっと」

「なん羽ならよろしいですか?少々待ってください」

 そう言うと女性は鏡太に背を向ける。

「待つって何するんですか?」

「うっうっ。またハゲるです~」

「ちょっと待った!ハゲるってもしや!」

(バサッバサッ)女性は背中から翼をだした。

「売るものが無くて、むしってたです~」

 もうやだ・・・(泣)


 元手がかからない羽を高額で売る女性に鏡太は文句を言った。

「あなた5千はぼったくりでしょ!」

「だって(しくしく)故郷の事は本当のことで(しくしく)妹が・・・」

「もう少し安いならな~」

「あと母は腰痛。兄もアホの病気で・・・シクシク」

「アホって・・・。もう、わかりました!1000キル払いますから泣かないで」

「ホントですか~」

「なんか、どさくさに腰痛とアホが増えてましたけど・・・」

「そうですか~気のせいですよ~。それではこれを」

「そ、そうですか(ヒクヒク)」

 コイツ~と思いながら鏡太は羽を受け取り代金を払う。

「ありがとうございます。助かります~。私たちの羽には不思議な力がありますから、お役にたつと思います~」        

 役に立つね~。またわけがわからない物を買ってしまったな~。そう思いながら鏡太は再び店をみてまわる。


「壺に羽に角ケース。あ~お金が飛んでいく~」

 特に使い道がわからないのが角ケースだよ!チンコ隠す以外の使い道てあるの?それに、さっきの人は有翼人種だよね。他種族は変わり者が多いのかな?疑問をかかえながら歩く鏡太。

(グルルル~腹の音)

「結構見て回ったな。そういえば今、何時だろう?なんだかお腹が減ってきたな」

「入り口の露店のとこ戻ってみるかな」

 鏡太は来た道を折り返した。


 しばらく歩くと一軒のお店を発見。

「あれは、タコ焼き屋!行ってみるか」

 鏡太はタコ焼き屋まで走り店の前で止まった。

「いらっしゃい!」

 元気な掛け声とともに頭に鉢巻をしている赤髪のお姉さんが出てきた。


「一ついいですか」

(このお姉さん猫耳だよ。オカマよりは似合ってて可愛いけど)

「作り置き切らしてるから、ちょい待ってね。今から急いで作るから」

「急がないので大丈夫です」

 待ってる時間が暇な鏡太は猫耳について聞いた。

「それ流行はやってるんですか?」

 両手をあげ猫耳ポーズ取る鏡太。

「あ~これね。角隠つのかくしなのよ」

 そう言って赤髪のお姉さんは頭からポンと猫耳を外した。

「商売してるとね、怖がられたりするもんだから着けてるの」

「なるほど着け耳か~。悪魔族って皆さんソレ着けてるんですか?」

「着けてないのもいるけど、大体はそうかもね。そんなにめずらしい?」

「珍しいと言うか怪しい人いたんですよ」

「あ~オカマでしょ」

       (この人、言いにくいことズバリ言ったよ!)

「あいつは悪どい商売してるから気をつけなよ」「悪どいて?」

「チャーム(魅了みりょう)使って商品買わせるのよ。やられなかった?」

「やられました・泣」(どうりで自由がきかないわけだ)

「証拠が残んないからね~あきらめるしかないかな。あたいはそんな汚いまねはしないから安心していいよ」


「ほっ。あの出稼でかせぎですか?僕、悪魔の人はじめてみるので興味でちゃって。色々訪ねてすみません」

「いいよ、いいよ。あたいの故郷こきょうはペンタグラム。各地を商売して回ってるけど、しばらくはここに滞在してるよ」

「ペンタグラムか~。どの辺りなんだろ?」

「悪魔族の住んでるペンタグラムはずっと東の大陸だよ」

 そんな国もあるのか~と鏡太は世界の広さを感じた。


「ハイ!お待ち」

 とタコ焼きの袋を鏡太に渡すお姉さん。

「色々と情報聞けたし、お礼にもう1パック貢献していくかな」

「気を使わせて悪いね~。はい、しめて600キルね」

 鏡太はお姉さんからタコ焼きを貰い受け600キル払った。

「ありがと、お兄さん!あたいの名前は『ベル・ターニャ』また買いに来てよ」

「ベルさんか、名前まで聞けたし得したな~」

 チャームを使わなくても話術で買わされ得をしてない鏡太であった。


 鏡太は道すがらパックを開けタコ焼きを食べ始める。

「たこ焼き美味しいな(パクパク)もう!ポケットでそんなに暴れないでよ」

 俺にも食わちぇろて圭介が胸元で叫んでいるのに気づいた。

「圭介も欲しいの?けど熱いよ」

『いいから速くくれ』

「しょうがないな~。はい!(グサッ!)ごめん頭に刺さった」

 モゴモゴと変な動きをする圭介。

「こ、この動きヤバすぎ!何かに似てるよ」

 笑いを必死にこらえる鏡太であった。


「お腹もふくれたし、どこへ行こう。フリマは変なの買わされそうだしね」

 そういえばコミケ(コミック・マーケット)があるって母さん言ってたな。行ってみるか。鏡太はそう思うと初めに案内板を探して確認した。

「え~と、現在地がココ、露店近くが入り口、池を囲んだ散歩道を右側にいけば、フリマで池を左へまわればコミケ広場か」

 こうして案内板みるとこの公園てかなり広いな。結構、遠いけど仕方ない歩くか。そう思い池を左周りへ歩いていく鏡太。


 ボート乗り場付近へ来た時、どこからか女性の叫び声が聞こえてくる。

「キャー理恵ーーーー!誰か!誰か!理恵を」

 辺りがざわめく。異変に気がつく鏡太。

「お願いです!誰か理恵を・・・」

 池の中央付近のボートから助けを求める女性。ボートから離れた場所で小さな女の子がおぼれている!

「大変だ!けど、どうしたらいいんだ!僕の念動力じゃ無理だし、泳げない」

 鏡太は辺りを見渡し使えそうな物がないか確認する。だが何も見つからない。


「くそ~急がないと・・・。今からボートで言っても無理だし」

 あせる鏡太。手に持っている羽を見つめ愕然がくぜんひざを折る。

「僕はなんて無力なんだろ・・・」

 そう呟いた鏡太は何でもいいから助ける力が欲しいと祈った。

「助けて・・・。お願い・・・します」

 絶望的な状況。泣きくずれる女性。女の子は今にも沈みそうだ。


「くっそーーー僕に!僕に力をくれーーー!」

 鏡太の絶叫!その瞬間、手に持っていた羽がピカー!と輝きだした。

 まばゆい光が鏡太を包む。突如、鏡太の背に白い翼が生えた。

「こ、これは奇跡なのか!でも、今は考えてる時ではない!」

「女神様ありがとう!今いくぞーー!」

 鏡太は白い翼を羽ばたかせ溺れている少女めがけ飛んで行く。


 そして間一髪、溺れて沈む少女の手を握った。少女を抱きかかえ母親の元へ連れて行く鏡太。周りの人々から歓声が巻き起こった。

「理恵ー。良かった・・・」

 子供を抱きしめ涙する母親。

「助けて下さって、ありがとうございます!ありがとうございます」

「何とか無事に助けられて本当に良かった」

「あの、何かお礼がしたいのですが」

「僕だけの力ではありません、お礼はフリマにいる女神様にでも言ってください」

 鏡太は注目を浴び照れくさいのもあって、その場から離れ歩き出す。


 少し離れた場所で念のためにと腕時計を使い救急に連絡する鏡太。

「この羽すごいな。お姉さんにボッタクリなんて言って悪いことしたな~。これ

5千キルどころじゃないよ」

 羽を見つめる鏡太。あらためて少女を救った羽に感謝した。

 そして再びコミケを目指し歩き出す。


「そろそろ見えてくるはずだけど、あそかな?」

 鏡太の行くてに人ごみと看板が見える。

「コミケ広場ここだ。へー色々でてるんだね。メイド姿のコスプレした人までいる。圭介が来てたら喜んだろうな~」

 すっかり何かを忘れている鏡太。

「あれが同人誌ていうものなのかな?可愛いキャラ表紙だな~」

 どれも初めて見るものばかりだ。何かワクワクしてきたぞ!と思っていた時、鏡太は気になる同人誌を発見!同人誌を手に取る。

「こ・これは!」

『ゾンビなんて大嫌い』

「僕も嫌いだ!ゾンビよりカッコイイ人種がいいよ」

(撃たれる生活には疲れたよ)と鏡太は毎朝の母の行為を思い出す。


 鏡太は気を取り直して辺りを見渡した。すると可愛い衣装を着た女性が多数いるのに気づく。

「コスプレも色々あるんだね、あれは何かのキャラなのかな~」

 鏡太がコスプレに注目していると黒服の少女が視界にはいる。

「あっちはゴスロリか~。ん?ゴスロリ?まさか!」

 ゴスロリの服装をした女性を追いかける鏡太。だが見失った。

「いない・・・。気のせいか?」

「さっきから見せろ~見せろ~て小さな声が聞こえるけどお店の人かな?」

『鏡、覚えてろよー』と小さな声の圭介。


「おっ!あれは今は無きナース姿!突撃ーーウオーー!」

 急いで近くに駆け寄る鏡太。一瞬だけ顔を見て全速力で通り過ぎる。

「ゼーハー、ゼーハー、心臓に悪い!」

(母さんナースはやめて!それにアレ気づいてたよ。ウインクされた瞬間、白衣の天使が悪魔にみえた!)

「お金も残り少ないし同人誌を買う余裕はないな~」

 所持金を心配し歩いている鏡太。


 背中にドンッ!といきなり誰かがぶつかってくる。

『キャッ!』と言う少女の叫び声。鏡太は声がする方を向く。

 そこには赤いリボンを頭に着けた少女が本をばらまき倒れている。

「ごめん!君大丈夫?」(あれ?似たような事が前にも)

 コクっとうなずくと本をひろって走り出す少女。

「あっ君!待って!あれ?今の紫音ちゃんに似てたな?待って紫音ちゃーん」

 少女は鏡太の声に気づかず走り去る。


「気のせいなのかな?ん、何か落ちてる・・・。これはBL本!」

 紫音ちゃんこんなの見るんだ~。と鏡太は少しショックを受けた。

 BL本が置いてある所を探せば会えるかもと紫音が消えた方向を歩いていく。

「何か行列が出来てるとこがあるよ。なんだろう?特売でもあるのかな?」

 鏡太が見つめる先には、どことなく物静かな女の子たちが並んでいる。


 販売員らしき男性の声がしてきた。

「新刊BL本『猫にタチ向かう犬』もうすぐ完売だよ~」

「なんてタイトルなんだ!う~ん、紫音ちゃんどこだろ。い、いた!」

 最前列の方に紫音らしき姿。新刊を受け取り鏡太がいる方向へ歩いてくる。

「紫音ちゃん探したよ。はい、これ忘れ物」

 BL本を渡す鏡太。それを見て紫音はあわてて返事をする。

「あれ、鏡君こんにちわ・・・あれ、ありがとうなの」

 何かハギレが悪い紫音に鏡太は質問する。

「BL好きなの?」

「うん。好き。鏡君と圭介のBLも好きなの」

「僕たちのはBLじゃないよ。ハハハ」

 鏡太の顔は笑っていない。


「昨日も二人メモしたの」

 紫音はカバンからメモ帳を取り出すと鏡太に見せる。

「こ、これ僕?」「うん」

(イヤーン)馬乗りどころか裸で合体する鏡太と圭介の絵が書かれていた。

「絵上手なんだね(ヒクヒク)今日は一人できたの?誰か一緒?」

「一人できたの、鏡君は?」

「僕も一人だよ」

 完全に何かを忘れている。そんなときクルルル~と小さな音が紫音のお腹から聞こえる。

「おなかへた」

「僕なんかおごるよ、紫音ちゃん何か食べに行こ」

「わたし紫音じゃないの」

「エエエーーー!」

 声がマスオさんになった。

「またまた冗談でしょ~やだな~からかうなんて~どう見ても紫音ちゃんだよ」

 紫音の言葉に動揺しまくりの鏡太。

「よく間違われる。わたしは『朱音あかね紫音しおんは双子の姉なの」

「マジで?」「うん。マジで」

         (どうりで雰囲気が違うはずだよ)

「ま、立ち話もなんだし御飯おごるって言ったから行こうか」「うん」


 鏡太は露店では悪いと思い、朱音を連れ公園の裏口(入り口から正反対)へ。

 そこから商店街の方へ歩いていき、一軒のファミレスへやってきた。


 テーブルに向かい合わせで座る鏡太と朱音。メニューを見ている。

「あまり高いのは無理だけど、ほどほどなら好きなの頼んでいいよ」

「うん。決めたの。ウフフ・・・」

「僕は飲み物だけでいいかな」

 接客ボタンを押すと店員がやってくる。

「ご注文はお決まりでしょうか?」


「僕はコーヒーで。朱音ちゃんは?」

「わたし、これとこれなの」

 朱音はメニューをみて指差す。オーダー確認をする店員。

「コーヒー1にサラダと」

 ジー。鏡太をしばらく見つめる女性店員。

「カップル・パフェですね(ニター)少々お待ちください」

(店員さん不気味!それに今の間はなんだ!)

「カップルて僕たち?」

「うん。そうなの」

「エー!なんでそんなもの頼んだの?」

「取材、ウフフ・・・」

 朱音の注文。変な目でみる店員。鏡太は不安を感じていた。


(二人でジュースてのはあるけど、パフェてどんなだろ?)

 そんなことを思っていると店員がやってくる。

「お待たせしました~。こちらがご注文の品です」

 ニタニタしながら普通のパフェをテーブルに置く店員。

「なんだ~。普通のパフェだね」

 と答え安心した鏡太はコーヒーを飲む。

「アーン♡」

「ブーーー!これってそういうこと?」

「うん♡」

「恥ずかしーーー!やっぱりするの?」

 鏡太の問にキョトンとしてる朱音。また口を開け『アーン』としている。


 覚悟を決めた鏡太。パフェをスプーンですくうと朱音の口へ。

「じゃいくね。(ドキドキ)」

「アーン♡」

 心臓が破裂しそう(バクバク)パクっと朱音はパフェを口に入れ満足顔。

 この後、お互いに食べさせ合いをしたけど正直、ジュースより地獄かもと鏡太は思った。

 そして何やら食べる間、朱音はちょくちょくメモっている。

「さっきから、なに書いてるの?」

「内緒♡ウフフ・・・」

(取材て言ってたな・・BL・・パクリ)鏡太は想像するのをやめた。


「今、小説執筆中なの」

「どんな小説を書いてるの?」

「鏡君と圭介が主人公の『ラブラブ天国』なの」

「はははっ(好きにしてーー!泣)頑張って」

「うん。がんばるの」 

(この子からBLを取り上げるのは無理だ・・・。姉妹でこうも違のかな)


「もしも~し鏡~。俺もパフェくれ~」

 誰も気に止めない圭介の叫びがコダマする。




























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