第5話 衝撃。興奮。ミステリー

【前回のあらすじ】 

 岬から追われる圭介を家にかくまった鏡太。玄関に靴を置き忘れるという致命的ミスをおかし、圭介は深夜に再び逃走する。親友が心配で探しにでる鏡太。深夜の公園にて圭介を発見。だが圭介は大鎌をもつ美少女イタズラをして追いかけられていた。美少女の名前はルビー。圭介はイタズラしたことを許してもらうが、ルビーより呪いを受けてしまう。果たして呪いとは何か?ルビーとはいったい?謎を残したまま鏡太は圭介をつれ公園をあとにする。


 鏡太と圭介は自宅に帰ろうと夜道を歩く。鏡太は公園で出会った不思議な少女について圭介に意見を聞いてみた。

「圭介~。さっきのルビーて子どう思う?」

「そうだな~。胸は小さいけど可愛かったな」

 圭介どこ見てんだよ!オッパイしか見てないのか!まあ、確かに小さかったけどねwゴスロリ姿は意外と似合ってて可愛かったけど。と思いながら少女の正体について聞く鏡太。

「胸の事じゃなくて、バンパイアなのかってことだよ」

「そうだな、まず金髪だろ、呪いとか言った、あのスキルと大鎌おおがま、間違いないかもな~」

「やっぱそう思うよね!想像してたのとは少し違うな~」

 怖いバンパイアのイメージで考えていた鏡太。美少女は想定外だった。

「鏡が来なけりゃよ、今頃は鎌掘かまほられてたぜ」

「圭介それなんか意味違うよ・・・」

 一度、掘ってもらえばアホが治るかもと鏡太は思った。


 鏡太の能力に疑問があるのか圭介は問いかける。

「でもよ、あれよく止めれたな~お前の念動力サイコキネシスて確か」

「うん。Fランクだし軽いものしか無理だよ。試しにやって見たけど数秒がやっとだった。次できるかは自信ないよ」

「ランクあがれば念動力は無敵だよな。俺も念動力が欲しいぜ」

「もう少しで上がる気はするんだけどね~」

 運良くは止めれたけど、前よりは能力あがってる気はするんだよね。そのうちランク上がるかもしれないな。


 それにしても彼女、大鎌返したらすぐ帰っちゃうしな~。色々聞きたかったけど。鏡太はそう思いながらつぶやいた。

「ルビーちゃんまた会えるといいけど」

「去り際に、また会いましょうて言ってたからな、どこかで会うかもしれないぞ」

「そういえばさ、鎌振って出来た空間てどう思う?あれスキルじゃないよね?」

「鎌の力かもな」

「圭介が言うとなんか炊飯器の釜みたいだよ」

「なんでだよ!」


 鏡太の家に戻ってきた二人。玄関のドアを開け中へとはいる。

「母さん、ただいま~。圭介、靴わすれずにね」

 言われた圭介は下駄箱に靴を入れている。

 陽子が玄関先へでてきた。白いブラウスに短いタイトスカート姿。圭介はフトモモばかり見ている。

「おかえり~お風呂の用意できてるわよ。男同士だし一緒に入ったら?」

 嫌そうに鏡太を見つめる圭介。

「え~。こいつとですか?・・・お、おかされる~」

「犯すか!親友でも一緒はやだよ。風呂くらいのんびり入りたいし」

 圭介と入るとな~チンチンのデカさとかエロ話ばかりだし、落ち着かないからね。鏡太がそう思っていると圭介は陽子に矛先ほこさきを向けた。

「どうせなら陽子さんと入りたいな~」

『もうや~ね~♡』と言って陽子は圭介に往復ビンタ。

「ん~でもそうね~。少しならいいわよ♡」

「えっ、マジっすか!やったー」

 陽子の裸を想像した圭介は鼻の下が伸び、股間がモッコリしている。

「母さん!」

「あら~鏡ちゃんも久しぶりに一緒に入る?」

「入りません!てか、からかうのよしてよね。いつまでも子供扱いして~」

「うふふ。冗談よ冗談。だって顔赤くして可愛いんだもん♡」

「え~陽子さん冗談なの~」

 凄く残念がる圭介。股間が遮断機のように下がる。

「圭介もまんま釣られてるし(ジト~)。僕は母さんに聞きたい事と調べ物あるから圭介は先に風呂しててよ」

「おうっ!じゃ先に風呂してくるわ」

 そう言うと圭介は浴室の方へ向かった。鏡太と陽子はリビングへ移動。


【黒井家・リビング】 

 鏡太と陽子はソファーに腰掛けた。公園の出来事を交えて吸血鬼の事について、陽子へ質問する。

「さっき公園で吸血鬼らしき少女に会ったんだ。名前はルビー・ブラッドて言ってた。母さん友達に吸血鬼いるって言ったよね?」

「いるわよ。いるけど名前が違うわね~。それと吸血鬼て全部”ブラッド”て名前に入ってるわよ」

「えーー!そうなの?」

 意外な陽子の言葉に驚く鏡太。

「苗字みたいなものかしら。それと宝石みたいな名前ばかりだし、母さんもよくわかんない。テヘっ♡」

         (母さん可愛くないんですけど・・・)

「あと大鎌持っててさ、帰るときに闇の中にスーて消えたんだよ」

「それは空間跳躍ね、行きたい場所へ自由に行けるみたいよ。母さんの友達もしてたけど大鎌がないとできないらしいわ」

 交通費いらないじゃん!便利な鎌もあるもんだな~と思う鏡太。

「空間跳躍か~家に帰るって言ってたけど。どこに住んでるんだろう?」

『バレンタインよ』と母さんは即答。

「バレンタイン?」

 どこだろ?鏡太は聞かない地名に首をかしげる。

「ジャポネアの外の国よ。ず~と北西の方にあるわ。かなり遠いわね」

「外の国か~。海外なんて言ったこと無いからな~。どんなとこ?」

 鏡太はジャポネアのネクロから出たことがない。非常に興味をそそられた。

「バレンタインは広大なエリアに吸血鬼だけが暮らしてるとこよ」

「吸血鬼だけの国か~。文化とか色々と違うんだろうな」

 まだ見ぬ土地に思いをはせる鏡太。

「そうね~。友達に連れて行かれたけど木々や花々に囲まれた宮殿や庭園。透き通る様な綺麗な泉もあって素敵なとこだったわ」

「へー。良い国だね。あと1つ質問だけど呪いてなにかな?」

「の、の、呪いなんて知らないわよ!」

 陽子の顔が急に強張こわばり、コーヒーを飲んでいた手がプルプルと震えている。なんだか怪しいな~。鏡太は問い詰めた。

「母さん何か隠してるでしょ?」

(母さんの態度は絶対何か知ってる!)

「し、知らないわよ(口笛)さて、お部屋でお肌のお手入れしよーと」

 陽子は一目散いちもくさんに自室へ逃げた。

「くそ~逃げられた。仕方ない部屋に戻って借りてきた本で調べるか」


 リビングから自室へ移動した鏡太。借りてきた本を探す。

「本どこおいたかな・・・。あった(ペラペラ)え~と呪い呪いはここだな」

『吸血鬼の呪いは時間で発動し、考えただけで恐ろヒーー!』著者の悲鳴。

「ヒーて、この著者ちょしゃに何があったんだ!」

 鏡太は苦笑いすると、よけいに呪いの事が気になりだした。

「そんなに恐ろしいものなのかな?これじゃ調べるのは難しいな~。時限式みたいだし、圭介にそのうち症状でるのかな?」

 ふ~、と風呂から上がってきた圭介が聞いてきた。

「俺がなんだって?」

「あっ圭介、体なんともない?」

「ほれこの通りいたって健康よ!」

 圭介は屈伸運動をして元気だとアピールしている。

「なら別にいいけど」

「呪い気にしてるのか?あれはハッタリよハッタリ、そんなん気にしないでお前も風呂行ってこいよ」

「そうだね」

 鏡太は深く考えるのを止め、お風呂に入ることにした。


【黒井家・浴室】           

(バシャ・バシャ・ザブーン)体を流し湯船につかる鏡太。

「ふ~。極楽ごくらく極楽~。てじじいみたいだ。今日も朝から大変だったよな~」

 今日の出来事を振り返っていると、いきなりガラッと浴室の扉が開く。

「あれ、お兄ちゃん入ってたんだ?」

「め、恵!い、いきなり開けるなよ!ビックリするだろ」

「恵もお風呂に入ろうと湯加減みにきたの。あっ!お兄ちゃん。昔みたいに背中流してあげようか?」

 そう言われても、恵もオッパイとか最近でてきてるしな~。さすがに兄妹でも意識してずかしいよ。ここは断ろうと思う鏡太。

「お前も、お年頃だしいいよ」

 遠慮のつもりで言った鏡太。恵はOKと受け止めた。

「いいの?じゃ用意してくるね!」

 そう言うと恵は浴室のドアを閉めバタバタと走っていく。

「おい恵!あいつ誤解したな。けどこれは、さすがにヤバイよな~」


 ガタガタと音がする。風呂支度をした恵が戻ってきたようだ。

「お兄ちゃん入るよ~」

「わっ。バカ!」

 心の準備が出来ていない鏡太は急いで背を向ける。ガラッと浴室のドアが開くと恵が入ってくる。心臓の鼓動が速い鏡太。恥ずかしくて恵の方を振り向けない。


「こんな姿やっぱり恥ずかしな♡けど恵がんばる!さあ~兄ちゃんも恥ずかしがらずに、こっちに来て~♡」 

「えっえーーー!」声が裏返る鏡太。

(恵、裸だよな~。けど兄妹だからいいのかな?)

「お兄ちゃん速く~恵のほう向いてよ~♡」

 出るとこ出てるからな~。お毛毛は生えてるかわかんないけど・・・。う~ん成長具合が少し気になるかも!息子よ正気をたもてよ!

 鏡太は妹の裸に多少、興味があった。

「それじゃ~。み、見るからな」

「お兄ちゃんスクール水着だよ♡けど恥ずかしいよ~」

 思いっきり裸体の期待を裏切られた鏡太。しょぼくれ苦笑いする。

「だよね・・・。ハハハ・・・」

「お兄ちゃんのエッチ♡」


 恵はスクール水着姿で鏡太の背中をゴシゴシと流している。

「お兄ちゃん、昔にくらべると背中大きくなったね」

「さすがに高校生だから大きくもなるよ。恵もあと2年くらいで身長とか大きくなると思うけどね」

 心の中でオッパイもと思ったけど言えない鏡太だった。

「恵も速く高校生なりたいな~。色んなとこ大きくなりたいよ」

 やはり女の子。恵は自分の胸ばかり見ている。


 ガタガタっ!と洗面所の方から音がする。

「鏡ちゃ~ん。恵ちゃんしらない?」「母さん!」「お母さんここだよ」と恵。

「ば、ばか恵」

「あら~。一緒にお風呂?恵ちゃんばかりずるい~。母さんも準備してくるわ」

 ドタバタと風呂の準備をしてるのか物音がしている。


「やばい!母さんまでくるつもりだ!」

(けど母さんだし、恵と同じで水着で、はいてますわよ!って来るに違いないな)

 浴室の扉に陽子の姿が映し出される。

「はいるわね~」

 そう言うと風呂場の扉が開き陽子が入ってくる。

「はいはい、どうせ水着でしょ!」

「着てませんわ!(ア~ン♡)」

 予想とはんしスッポンポンの裸体をさらした母に鏡太は側頭そくとうして倒れた。

「あらやだわ♡刺激しげきが強すぎたかしら?」

(もうやだ!この家族・・・泣)


 風呂からあがって自室にきた鏡太は疲れのせいかアクビを連発している。

「ファ~。めちゃ疲れた~。圭介そろそろ寝ようか」

「一緒にか?(赤面)」

「ばか!僕は床で寝るからベッド使っていいよ」

「悪いな、じゃ遠慮なく」

 床に布団を敷き寝床ねどこにつく鏡太とベッドに入り込む圭介。

 二人は深い眠りにつく。


 チュン・・・チュン・・翌朝。鏡太の部屋。

 ガチャ。静かに開くドアの音。陽子が部屋にはいる。

「鏡ちゃん起きなさ~い♡バキューーーン!」

 鳴り響く銃声。(この人確認もしないでベッドへ撃ち込んだよ!)

「ヒーーー!」

 突然の出来事に飛び起きる鏡太と圭介。


「あら鏡ちゃんじゃないわね~テヘッ♡」

「テヘッ。じゃないよ母さん!あれ?撃たれてない?よかった~」

「良くないわ!俺は姉貴かと生きた心地がしなかったぞ!それに銃弾が飛んで来るとは、なんて過激な目覚ましだ!」

 半泣きの圭介は目覚ましから銃弾が飛んできたと思っている。


「圭介君おはよ♡」

 銃を隠しごまかし気味に挨拶する陽子。

「母さん今日は学校休みなんだから、ゆっくり寝かせてよ」

「今から母さんと二度寝する?」「遠慮します」

 拳銃もって寝るからヤダ!それに悩ましげな声出すから寝られないし。どうなるか予想がつく鏡太。

「圭介。その挙手はなに?」

「だってよ~」

 朝から頭が痛い母と親友である。


「さて、ご飯にするわよ~。顔洗ってらっしゃい」

 陽子はそう言うと先に階段を降りていく。鏡太と圭介も洗面所へ向かう。

 顔を洗い終えた二人はキッチンへ来て座った。テーブルの上には朝食がすでに並べてある。

「今日はベーコンエッグにお漬物とお味噌汁ね。圭介君、好き嫌いないわよね?」

「陽子さんの料理なら何でも大丈夫っす!」

        (こいつならアレでも食べるな・・)

「はい、二人共た~んと食べてね」

 そう言って陽子は鏡太と圭介に大盛りご飯を渡す。

「いただきま~す」

 そう言った直後、また陽子がウロウロしている。

「あらら、また無いわね~どこかしら?」

「ギクッ!はっ!」

 鏡太は味噌汁を見つめはしでシャカシャカと、かき混ぜ始めた。

「ふぃ~。今日は無かった~」

「お前それ納豆じゃないぞ」

「もう you bee continued だけは勘弁だよ」

「それを言うなら to be continued だろ」

           (圭介はあれをみてないからな~)

 鏡太は安心して味噌汁を吸う。続いて大盛りご飯を頂上からくずすと

『ニョキ!』

       「もういやー!母さん!お子様ランチだよ!」

 見慣れた物が頂上からニョキと顔をだしている。それを見た陽子は素早く取り上げると手につける。

(圭介気づいてないのか?黙々ご飯たべてるよ)

「お前んちはにぎやかだよな」

「圭介のとこも賑やかじゃない」

「家なんか賑やかってより殺気が渦巻いてるだけよ、なぐられたあとは葬式そうしきみたいだぜ」

 光景が目に浮かぶ鏡太は同情した。


「ところで鏡、今日は何するよ?」

「休みって言っても僕達やることがないよね」

 休日の予定など考えていなかった鏡太は圭介の言葉に悩む。そんなところへ陽子が提案してくる。

「それだったら近くの公園行ってみたら?フリマやコミケ、略してフリコミ魔!みたいの出てるらしいわよ」

「母さんその略し方やだな~。まあ後で覗いてみるよ」

(でも母さんから耳よりな情報が聞けたな)


【森林公園・憩いの広場】

 近所の森林公園にやってきた鏡太と圭介。公園の入り口から奥の人だかりが見ええている。休日の賑わいに驚く二人。

「休みだけあって、朝からうじゃうじゃいるな~」

「なんか看板に書いてあるな」

 圭介は公園入口にある注意書きを読み上げる。

「え~と、公園内では他種族との戦闘行為などの一切の争いを禁ず。だって」

「てことは他種族がいるってことか?」

「そうみたいだね。観光や商売で来てたりとか滞在者たいざいしゃもいるのかもね」


 近所でもあまり遊びに来ない鏡太。新しい発見があるかもと期待感に胸をふくらませていた。

 そんなとき圭介がルビーと名乗った少女の話をする。

「あの鎌女かまおんな。また公園にいたりしてな」

 まさか~と辺りを見渡す鏡太。ルビーの姿は見当たらない。

 案内板をみながら圭介に行動予定を聞いてみる。

「圭介、露店ろてんの方にでも行ってみる?」

「朝飯食べたばかりだしな~。フリマとか行ってみるか?掘り出し物があるかもしれないぞ」

「だね。他種族の売り物とかあるなら興味あるし行こう」

 案内板でフリマの位置を確認したあと、二人は歩き始めた。


 入口から散歩道を歩き始めると目前に池があり、道は左右に分岐ぶんきしていた。

 二人は右の道を歩き始めた。するとフリマ・エリアと書かれた看板がある。

「ここみたいだね・・・ねえ圭介」

 目の錯覚か?と目をこする鏡太は圭介に確認をとる。

「なんだよ、何かあったか?」

「あそこに居るの、めちゃ気になるんですけど!」

 鏡太が指差す先には、頭に猫耳をつけた筋肉男マッチョ。何かを売っている販売員のようだ。

「ああ。気になるな。近づいてみるか・・・」「うん・・・」

 二人は怪しい人物の方へと歩き出す。


 完全に確認できる場所へ来た時、二人に衝撃が走る。

「!!!鏡、目を合わせるな!!!」

 鏡太はチラ見。ヤバイと感じ目をそらした。

「目を合わせたら地獄へひきずりこまれるぞ!」

「僕達~ん♡何か買って~ん」

(見るに耐えない!あれは猫耳オカマだ)

「シカトだシカト!急ぐぞ鏡!」

 鏡太と圭介は走った。が後ろ向き!店の前に来るとオカマを見て座り答えた。

 

「くださいな~」

「あら~いらっしゃ~い♥」

       (どうなってんだこれ?)(僕にもわかんないよ)

 アイ・コンタクトをする二人。

「坊や可愛いわね~サービスしちゃうわ~ん♥」

『ヒーーー!』鏡太と圭介、心の叫び。

(この猫耳オカマはなんだ!意識とは別な行動を・・これは能力なのか?)

「はい、あなたはこれ(圭介の頭に猫耳)あたしたち悪魔と同じね。ウフフ」

「あなたにはこれ(僕の息子に変な角ケースが)坊やたち可愛いから100キル(円)でいいわよん」

 (フルフル・・俺は嫌だーーー)圭介。(フルフル・・僕も嫌だーー)鏡太。

 拒絶きょぜつする二人の意思を無視する一言。

「くださいな~」

 また口が勝手にしゃべりお金を出した。

「毎度お~ん♥」


 怪しいオカマの店から離れると二人は自由になった。

「圭介、いまのって何だろう?やっぱスキルなのかな?」

「かもしれないな。100キルで猫耳なら俺はましだが、お前はな~」

「そんなに見ないでよ!僕も恥ずかしいんだよ。圭介変わってよ」

「やだぜ!そんなチンコケース。頭につけてみろよ。少しはカッコ良くなるかも知れないぞ」

「やだよ!あの悪魔いつか仕返ししてやる!」

 そんなわけ無いだろと圭介にツッコミつつ、鏡太は激怒した。

「それにしても悪魔て恐ろしいな。とくにオカマは・・・」

 恐怖している二人をよそに、みんなの視線が頭と股間に降り注いでいた。


 鏡太と圭介はフリマエリアを歩きながら色々な店を見てまわる。

「おに~さん、おに~さん」

 どこからか声が聞こえる。二人はキョロキョロ辺りを見わたす。

「女の子の声のようだけど、どこだろう?」

「ここよ、ここよ」『どこよ。どこよ』と圭介が返す。

「僕たちのことだよね?どこだろ」

 探すけど声の主は見つからない。二人はシートに壷やら色々置いてある場所まで来て立ち止まる。

「どこ見てるの下よ下よ」

『ツボか?』と圭介は足元を見る。

「ん?んんん・・。ほえ~なんだこれ」

「これって失礼だわよ、私たちは精霊族のドワーフなのよ」


 緑色の髪。小さくとがった耳。頭の中心に黒い大きなリボン。デニムジャケットに白いヒラヒラのスカートを着た。可愛くて小さな女の子が話している。

「へえ~ドワーフてこんなに小さいんだ、感激だな~」

 鏡太と圭介はドワーフをジロジロと観察している。

「小さいいうなーこれでも18才のレディなのよ!」

「えー!年上なんだ」

 と驚く二人。(このドワーフ小さいから幼児にしか見えないよw)


 そんな時、圭介はドワーフの女の子を抱えて持ち上げようとしていた。

「こら!何するのよ。やめ・やめ・・へんた~い」

 圭介から逃れようとジタバタする女の子。

「圭介やめなよ。可愛そうだよ」

「だってよ、見えそうだぜ18歳のパンチ~」

 ニタつく圭介を見て、コイツみさかい無いなと思う鏡太。

「やめるのよ!やめるのよ!やめないと後悔するわよ」

「もうちょい、もうちょいで見えるぞ~」

 少女が圭介の頭上へ来た時、それは起こった。


 ピカッーーー!と一瞬、物凄い閃光せんこう

「うわ!眩しい・・・なんだ今の光は?あれ圭介がいない?」

 圭介は閃光と共に忽然こつぜんと姿を消した。

「このアホやったわよ。乙女の大事なとこのぞくとこうなるのよ」

「圭介ーー!返事がないな」

 キョロキョロと辺りを見るけど圭介の姿はない。

「異次元にでも飛ばされたのかな?でも自業自得じごうじとくだよねw」

「異次元じゃないわよ」

『そこよそこよ』と地面を指差す女の子。

「んん~?なんだこの豆粒!」

「豆粒じゃな~い!俺だ俺だ」

 5cm程度の圭介が叫ぶ。それを見て驚きを隠せない鏡太。

「圭介なのかこれ!めちゃ小さいよ」

「下着を見るとそうなるのよ。私たちより小さくなるのよ」

「下着でなるの!僕、見なくてよかった~」

 幼女に興味が出なかった鏡太は命拾いしたと思った。

「たまに、お兄さんみたいなバカな変態いるのよ」

「圭介・・・これ元に戻るの?」

「う~ん、気まぐれ」(ガーン)

 少女の言葉を聞いた圭介は落ち込んだ。

     (二度とドワーフのパンツ見ようとは思わないだろうなw)

「気まぐれね・・・ご愁傷さまw(合掌)仕方ないから胸のポケット入れとくね」


「おに~さんは何か買わないのよ?そっちのエロエロより良い人みたいだし安くするわよ」

 少女に安くすると言われ品物を見てみる鏡太。よく見ると珍品ばかりならんでいる。鏡太は一つを手に取りドワーフの少女に聞いてみる。

「この不細工なハンマーみたいなの何するもの?」

「それは背を大きくする物なのよ」

「えっ!これで圭介なおるんじゃない?」

「そうでもないよ。叩き加減が難しいし、1回で1cm伸びるくらいなのよ」

「てことは圭介の身長が175cmくらいだから戻すには170回!」

(多分、死ぬ!良くてパーだよ・・・)

「どうしようかな~。買うかな~。チラッ」

 圭介は首を振ってるように見える。あとで考えるかと思う鏡太。


「そっちのツボみたいのは何かな?」

「う~ん・・・なんだっけ?」

「僕に聞かれてもな~w」

「え~と・・・凄くいいもの(良い物?)危ない物(え!)う~ん?お宝には違いないのよ。これ1万キル以上はするものよ」

「1万!すごいね!でも1万じゃ所持金ギリギリだよ~。さっきのハンマーはいくら?」

「6千キルなのよ」

     (これは悩む、ハンマーで圭介助けるかどうするか・・)

「お兄さんは割引するわよ。壷は半額でいいのよ」

「圭介捨てた!」

 鏡太の決断は早かった。鏡太の薄情さに圭介は複雑な気持ちでいた。


 気まぐれでも戻るならいいよね。それにダメな時は買いに来てもいいし。それに圭介みたら叩かれたくないようだしwなるようになるさ。と思う鏡太。

「お買い上げありがとなのよ。ハンマーはいいのよ?」

「必要になったら買いにくるよ」

「お休み以外は商店街にいるのよ。近くの人に『ノヴァ・アイゼン』で聞くと教えてくれるのよ」

「了解!僕は黒井鏡太。またくるよ」

 鏡太は自己紹介するとノヴァの店から離れて歩き出した。

「ノヴァさんか~。変な人だったな。よく見たら怪しそうな店がかなりあるよ」


































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る