第3話 アホ炸裂!体験入部と出会い
ここは黄泉川学園。授業終了を知らせるチャイムの音。
鏡太と圭介が帰宅しようと廊下を歩いていると、前方から歩いてくるサクラ先生と出会う。
「貴方達いつも
「俺達が部活すか?似合わね~。帰宅部でいいっすよ」
「圭介は足速いから陸上向きじゃない?」
「俺の足は緊急時しか使わないの!」
(緊急時てエロ本買いでしょ!)
「一応体験させてくれそうな所をピックアップしたから行ってみて」
サクラはそう言うと部活勧誘リストの用紙を圭介に渡す。
「鏡どうするよ~」「そうだね~」
顔を見合わせ考える二人。
「暇だし体験してから決めようか圭介」
「二人共、頑張ってね~」
サクラ先生が見送る中、圭介と鏡太は廊下を歩き出す。
「初めは美術部か~。俺、絵が下手なんだよな。モデルとかならいいけどよ~」
「僕も同じだよ。美術の成績いつも悪いよ」
「あの~。体験できました~」
美術室の扉をあけて二人が挨拶すると一人の女子部員が出てきた。
「はいは~い。体験なら丁度良かったわ!モデルが足りないのよ。貴方達やってくれないかしら」
『おっ、ラッキー!』と鏡太と圭介は顔を見合わせる。
「まずは貴方からポーズとってみてよ」
圭介を指差す女子部員。
「自信あるっすよ~みよ!考える人!どうっすか?」
「便秘でウンコ出すことしか考えてない人ね」
圭介は尻を突き出しトイレで気張る姿。
「次はアナタね。隣でやってみて」
女子部員は鏡太を指差す。笑いながら圭介の横へ行く鏡太。
「圭介だめだな~。ポーズていったらこうでしょ。・・・ゲッツ!」
「アンッ♡」
「
(お尻に向けてやるなんて、この人、頭イカれてる!)
「もういいわ、写生くらいはできるわよね?」
ズボンを脱ぎだした圭介と一緒に美術室を追い出された鏡太。
「ポーズて奥が深いよな」「ホントだね」
この二人救いようがないバカである。
「次は空手部だね」
「悪い鏡、頭痛くなった。早退していいか?」
「早退てもう放課後だよ、あ~空手部って」
「ああ、姉貴だ(しょぼ~ん)」
圭介は死刑宣告を受けたような落ち込み方をしている。
『
美人で巨乳、ファンが多いが料理に難あり。
親友を元気づけてやる鏡太。
「僕たち男子だし、そうそう女子部には出くわさないよ」
「そ、そうだよな!行って挨拶してすぐ出ればOKだよな!」
「じゃ~道場いってみようか」
ガラッ!と圭介は道場の扉を勢いよく開ける。
「
ガラガラ・・・圭介は静かに扉を閉める。
「どうしたの?」
「あ、あね、キイーーーーーーー!」
圭介は悲鳴とともにダッシュで逃げだした。
それから間もなくしてガラッ!と勢いよく開く道場の扉。
「こら!圭介まちなさーーーい」
追いかける岬。ボコボコの圭介をひきずり戻ってきた。
「どうして逃げるのよ!条件反射で殴ったじゃない!」
「ばぁい、ずみまぜん」
「圭介。悪いことしてないんだし、逃げちゃダメだよ」
「俺も条件反射なんだよ、このビッ」
「ビって何!」
圭介をキッ!と
「び、美人のお姉たまが
(ビッチて言ってたら消滅したねw)
いい子ね~と圭介の頭をなでる岬。鏡太の存在に気づく。
「あら、鏡君ひさしぶり~」
「岬さんこんちわ。久しぶりじゃなく毎日、会ってる気がするけど」
「そうかしら?今度、手料理ごちそうするから、たまには家に遊びに来てよね♡」
鏡太を見た岬は可愛らしくモジモジしている。
「チッ!姉貴はいつも
『ボスッ!』岬のボデーブロー。悶絶する圭介。
「僕と岬さん?無い無い」
手を左右に振り答えた鏡太。小学校の頃を思い出す。
確か手作りチョコを岬さんがくれて、その後、告白された様な~?
その夜にチョコは食べたけど、それから3日間、寝込んで記憶がない。
あれ以来、岬さんの料理は超危険と理解した!う~ん。
思い出せない記憶があり、何か
「ところで貴方たち見学にきたの?」
『おう!』『はい!』と鏡太と圭介は岬に応える。
「困ったわ男子は今ランニング中よ。その間、私たち女子が道場つかってるのよ」 圭介はツンツンと僕を
「
鏡太と圭介は
「圭介。岬さん怒らせたら、あとで知らないよ!」
「今日はお前んち泊めてくれ頼む!」両手を合わせ頼み込む圭介。
「隣だから絶対ベランダ越しに飛んでくるって、意味ないと思うよ」
「だよな(トホホ)」
『次の部活は?』と僕の
道場の前に来た。勢い良く圭介が扉を開ける(ガラッ)
「たのも~(ヒュン!グサッ)俺はコントの落ち
「圭介はある意味、岬さんから逃げ延びた落ち武者だよw」
圭介の頭を見て見事なトドメだな。と鏡太は思った。
「弓道はやめだ!次だ次」
「どこ行くの?」
「相撲部」「・・・」沈黙する二人。
「鏡おまえ男抱けるか?俺は抱けねえ」「僕も抱けるわけないでしょ!」
「パスだな」「パスだね」
男には興味がない二人。『うん』と
「やはり女子が多い部がいいよな。綺麗なお姉さんとエロい事がしたい!」
「エロいは無理だよw。女子多いとこリストにないの?」
「華道部があるな」
「あそこ女子しかいないよね、僕達、大丈夫なのかな?」
「ポイポイと花飾るくらいなら、俺たちにもできるだろ?」
「そうかな~」
簡単ならいいけど嫌な予感がすると思う鏡太。
華道部の部室に来た。圭介がドアを開ける(ガラッ)
「あら、二人そろって何用かしら?」
青沼アリサが僕達を見て挨拶してきた。圭介は驚いてアリサを指差している。
「ゲッ!アリサ。この部活に入ってるのか?」
「でしてよ、ゲッは失礼ですわね」
「アリサ。僕達、見学にきたんだ」
「そうでしたの、経験はありますの?」
アリサの質問に応える鏡太。
「家の花瓶に
「でしたら素質があるか見せてもらいますわ」
アリサは準備を始めた。まずは圭介からやるようだ。
「望むところよ!でどうやるんだ?」
「まずはこの
(手順は聞いたけど難しいよね。圭介迷ってるよ)
「好きにってのも難しいな、まずはこれか(ドスッ)うぎゃ!」
「貴方、馬鹿ですの?自分を活けてどうしますの。あと全体のバランス、統一感も大事ですわよ」
「刺すときの加減が難しいだよ、花も色々あるしな~」
そう言うと圭介は
「ここは統一してこれだ!
「どうよ。俺の
「オツム(頭)がランランランですわ」
(この人、馬鹿ですの?黒井クンに期待ですわ!)
「圭介ダメだね~統一感て言ったらこうでしょ。まずヒマワリ畑をイメージして、これでどうだ!名作でしょ」
「ドヤ顔が名作!
(この二人だめだわ)と思うアリサ。
「
「ああ。活けられたことはあるが、活けるのは難しいな」
(そういえば圭介、池に逆さに活けられてたな)
「貴方たち、独創性はありますわ。練習すればモノになるかもしれませんわね」
(アリサは僕達を褒めてるのかな?)
「あと足りないのは~」考えるアリサ。
足りないのは?と期待して聞く二人。
「オツムかしら?」「ひで~」
「アリサ部活頑張ってね~」
鏡太はアリサに挨拶し二人は華道部をあとにした。
「
「部じゃないけど同好会もあるな。オカルトやマンガとかだな」
圭介はリストを見ながら行くか悩んでいる。
「マンガは好きだけど書くのは無理かも」
「同感だな」
鏡太はオカルト研究会の活動内容が気になって圭介に聞いてみた。
「オカルトて何やってるんだろう。あんまり怖いのはな~」
「あれだろエコエコとかだろ?環境にいいじゃねえか」
「それエコだよ!圭介、
「失礼なやつだな頭で湯くらい沸くぞ」
「それヘソで
「まあなんだ。ちょいと
それらしい同好会がある部室に来てみた。
「黒いカーテンが閉めてあるね。なんだか暗いし不気味だよ」
「中見えないな~」
小窓に顔を近づけ覗く二人。突然、開くカーテン。
「ど~な~た~」
「ヒーーー!で、出たーーー!」
廊下を走りながら会話する二人。顔は恐怖で引きつっている。
「圭介あれは僕ダメだ・よ・よ・ヨールでヒヒー」
「俺も口から心臓がで・で・でそうザンス!」
恐怖で訳のわからないことを言う鏡太と圭介。全速力で廊下を走っていく。
「ドンッ!」
突然、鏡太は誰かにぶつかった。倒れている少女と散乱してる本。
そしてなぜか座り込む圭介。
「もう圭介しゃがまない!君、大丈夫?」
ゆっくり起き上がると謝りながら本をかき集めている少女。
「ごめんなさい!ごめんなさい。本で前が見えてなくて」
「僕こそ話に夢中でごめん。手伝うよ」
「ありがとう」
鏡太は本を全部拾って少女に手渡すと質問する。
「たくさんの本だね、図書室まで運ぶのかな?」
「はい、そうです」
「僕達、暇だから手伝うよ。いいよね圭介?」
「OKだぞ。部活周りしか、どうせやることもないしな」
圭介の了解が出た鏡太は本を3人で分担して持った。
「君、図書部員?いつも一人で運んでるの?」
「はい、図書部員です。部員少なくて、いつも一人なんです」
少女は鏡太の問に元気なく答える。
「それは大変だね」
「圭介、図書部てリストにあるの?」
小声で耳打ちする鏡太に『無い無い』と返事をする圭介。
サクラ先生、部員が少ない所をリストに上げないなんて書き漏らしたのかな?
と鏡太は思いながら廊下を歩く。本を持って図書室を目指す三人。
「圭介!」
突然、背後からの怒声!振り向く先に
「み、岬さん!」「ゲ、姉貴!」
「そこでじっとしてなさい!」
そう言うと岬は怖い顔で廊下を走ってくる。ドドドド・・・。
「鏡わるい!これ頼む。あとでお前んち行くからな生きてたら会おう!」
鏡太に本を渡し叫び声をあげ廊下を走り去る。
「ヒエーーー!(ドヒューン)」
(
少女は『大丈夫ですか?』と圭介の事なのか、僕の事なのかを心配する。
「いつものことさ、それにしても圭介の分までだと結構重いな~」
図書室のプレートが見えてきた。入室する少女と鏡太。
「よいしょっ!ここでいいかな?」
「そこで大丈夫です」
少女のOKに鏡太はテーブルに本を置くとあたりを見渡す。
「へ~初めて来たけど広いし、沢山の本があるね」
「はい。かなりな数取り
「他種族ね~。どんな本あるの?」
「主に私たち不死族や(ゾンビや吸血鬼など)悪魔・精霊・有翼人種までの色々な歴史や文化・生態などの本ですね。生活関連のもありますよ」
「それだけ詳しい本あるならこの先、会う機会もあるかもしれないし、勉強しておいて損はないかも知れないな」
(突然、出会ったら怖いし、面白そうな本もあるかも)と鏡太は考え、本棚を見てまわり始めた。
適当に一冊を選びページをめくる。
「どれどれ。えーと、朝起きない息子は
見に覚えのある事にコケる鏡太。
「なんだこの本!」
鏡太は
『正しいゾンビの育て方』
(母さん
「それにしても本だらけだね~。とても一日で読み切れる量じゃないよ」
そうつぶやく鏡太に心配で後ろから着いてきていた少女が話しかける。
「貸出も出来ますから放課後など空き時間にでも読むといいですよ。あと図書室はいつも私がいますので」
少女はニッコリと微笑んだ。
「興味がある本もあるし、今度借りにくるよ。そういえば名前聞いてなかったね、僕は1ーAの黒井 鏡太よろしく」
「私は1-Dの『
紫色のリボンを頭に付けた物静かそうな少女は、そう名乗って挨拶した。
「鏡でいいよ、みんなそう呼ぶから」
「それじゃ、私も紫音で」
紫音にOKと返事する鏡太。
「それじゃ、せっかくだし、今日はこれ借りて行こうかな」
鏡太はさっき目に付いた一冊の本を差し出す。
『吸血鬼の見分け方ですね』と紫音は言ってピッと機械にあてる。
「鏡君、今日は本を運んでくれてありがとう。また来てくださいね」
「お安い御用だよ。僕でいいならいつでも言って、それじゃ僕いくから」
またね~と1冊の本を持って図書室を出て行く鏡太。
(紫音ちゃんか~。可愛い子だったな)
図書部員もいいかもと思いつつ廊下を歩く。
「さて、どうしよう。圭介はリスト持って逃げてるし」
「あら体験は終わったの?やれそうな部活はあった?」
職員室近くを通った時にサクラ先生が話してきた。
「まだしばらくは帰宅部になりそうです」
「あらそう、若いんだから体動かさないとだめよ。ところで愛田君いないわね」「今、
「しょうがないわね~」とサクラはため息をつく。
「先生、リストに図書部が無いですよ」
「あそこは部員募集はしてるけど貴方たち向きじゃないと思ってはぶいたのよ」 「そうだったんですか。仕方ないですね」
「入りたいときは入部届け出してくれたらいいわ。じゃ先生は仕事残ってるから失礼するわね」
先生にサヨナラと挨拶し鏡太も学園から外に出た。
「圭介のやつ上手く家まで逃げたのかな?」
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