第2話 デンジャラス!

 鏡太が通う学校の名は『黄泉川よみかわ学園』男女共学。

 学園内の敷地面積は広く小等部、中等部、高等部の校舎、部活動等の多目的施設があり、生徒数も6000人と非常に多い。

 これは近辺に学校が少ないのもあるがゾンビは中々、死なないため人口増加が原因でもある。


 キンコーン・カーン・コーン、朝の始業を告げるチャイムの音。

 ここは高等部1年A組の教室。『おはよう』と朝の挨拶あいさつが飛び交う。

 鏡太はクラスメイトに挨拶し窓際の後ろから2つ目の席へ座った。


 しばらくして教室に入ってくる圭介。鏡太の後ろへ座るとぼやく。

「逃げるなんて、ひどいぜきょう

「ランチなら付き合うけど、ウンチは勘弁してよ~」

「ランチなら可愛い子ちゃんとだろ、それにな~連れウンチて言うだろ」

「連れションは聞くけど、連れウンチてまんま圭介じゃん」(ガーン)

「ひ、ヒデー。おっと忘れるとこだった、例のブツ持ってきたぞ!アリサにバレたが没収ぼっしゅうされずに済んだ!」

 圭介はパンパンとかばんを叩いてみせる。


「今日はどんなの持ってきたの?SMはやめてよね!トラウマだから」

「昨日発売の街角コスプレ特集だ!もうこれもんよ!これもん!」

         (圭介のクネクネ表現気持ち悪いよ)

「鏡、昼休みに一緒に見ようぜ!」

「昼休みか~。速くこないかな~」

 この前のSMは女王様だけみればエロかった。今度のコスプレも期待できそうだな。鏡太は圭介が持ってきた本の中身が凄く気になっていた。


 クラスの生徒達が雑談している中、長い黒髪をなびかせ紺色のスーツを着た女性が教室へ入ってくる。スカートの丈が超短い!毎度のことながら男子の視線はミニスカへとそそがれていた。

「は~い、貴方たち早く席につきなさ~い」

 この女性は鏡太の担任『緑川 サクラ』先生。見た目の年齢は25歳くらい。

 実年齢は不明。美人というより可愛い顔立ちをしている。

 

 クラスの生徒達はゾロゾロと自分の席へ。ホームルームが始まる。

「出席とるわね~小池くん(はい)千堂さん(はい)」

 次々と呼ばれて返事をするクラスメイト。先生はすべての出席をとり終えると生徒に聞いてくる。

「あれ?愛田君と黒井君はきてないのかしら?」

 鏡太と圭介はガタッと同時に席を立つ。

「先生!呼んでもいませんよ!」

 二人は絶対わざとだろと思っていた。

「あら、ごめんなさい。サボりかと思ってたわ」

「ひどいよ~。今日はマジメに出てきてますよ」

「日頃の行いが悪いからからだわ。二人そろうと変なことばかりするし」

「変なことってなんですか!先生、説明お願いします」

「先生もまだまだ乙女よ♡恥ずかしくて言えないわ~」

 サクラ先生は頬に手をやり恥ずかしそうにイヤンイヤンしている。

 乙女って見た目はウチの母さんくらいに見えるけど、可愛いいから年齢が全くわんないんだよね。と思う鏡太。


 どうしても理由を聞きたい鏡太は覚悟の程をみせる。

「何も言われても僕たちは耐えて見せます!」

「そう?なら言うわね・・・朝から合体はダメよ(イヤン)BLもほどほどにね」

         (とても耐えられないです・泣)

「あれ見てたのか!あれは、その~鏡がいきなり俺に馬乗りになって」

         (圭介それいったらドツボーーー)

「黒井君やだ大胆」「愛田、尻痛いか?」「いつかはやると思ってたわ」

 鏡太と圭介はまた生徒から散々言われる始末。

「若いっていいわね~。けど家でお願いね」「するかー!」


「そうそう。バカ話もここまでにして、問題はこれね」

 そう言ってサクラは教壇きょうだんの机の上にレポート用紙を置く。

「昨日のレポート読ませてもらったわ、将来について書くようにいったけど、勘違いしてる人がいるわね。そこの二人!」

 サクラは鏡太と圭介を指さす。エー!と反論する二人。

「俺?正直な気持ちを書いたけどな~」「僕もそのつもりだよ~」


「黒井君・・・。家庭環境がヤバイわね」

【1、撃たない母 2、しばらない妹 3、頑丈な肉体】


「アナタこれ願望!1と2は性転換か、どこかの神殿で転職ね」

 サクラは不気味な笑みを浮かべた。

「3は・・・お茶飲むず博士なら紹介するわよ」 

 一応、将来なりたいものだと思うけどな~。性転換は可能なのか!でも女になると圭介にエッチ攻撃されるよね。それに頑丈でもロボはいやだな~!と真面目に考える鏡太。


「問題は愛田君のほうだけど・・・」

「あなたの将来て1万と2000年後?こんなの普通、将来に書く?」


【1、ブラジャー。2、ブルマかスク水。3、女子トイレの便座】


「すでに人間じゃないわ!馬鹿だわ!」

 サクラは黒板に頭をガンガンぶつけ、現実逃避中。

「ヒドイな~先生。男なら一度はなりたいもんすよ」

 圭介そんなの書いてたのか!確かに男なら一度はなりたいものだけど、なれても無機物だから意思は無いと思うけどね。つくづくバカだな~と思う鏡太。


「黒井君は許せる範囲だけど、愛田君には特別に、ご褒美ほうびばつ)をあげないとね~」

 サクラはそう言うと圭介に向かって手招てまねきをする。褒美と聞いて喜んで行く圭介。

「先生なにかくれるんすか?」

 サクラは教壇の机にパサッとブラジャーとブルマを出した。オ~と男子生徒たちは歓喜の声をあげる。

「はい。先生の脱ぎたて♡着てくれたらもらっていいわよ」

「うっひょーーーマジっすか!着ます!」

 圭介はブラジャーとブルマを持ってダッシュで教室を出て行く。

 ドドド・・・(ガラッ)


「どうだ!」(馬鹿だ!ドヤ顔はやめて~)


「キャー変態よ!」「アイツいかれてるな」「マジ信じらんない」

 と生徒に言われても平気な圭介。鏡太は友達やめようと思った。

「サクラ先生のお宝ゲットだぜ!最高~」

 圭介はブラジャーとブルマ姿のまま自分の席に帰り着席。

「ギシッ。このお尻のフィット感・・・。なんだか生まれそう!」

「圭介、それ便座だよ」

「なんじゃこりゃー!」

「ご褒美よ♡それとブラジャーとブルマは新品だから。ウフッ♡」

※ピロリン!ピロリン!クラスメイトは一斉に写メる。

「投稿しようぜ~」「スクープだわ!」「明日の朝刊に載るな」

 騒然となる教室。親友のアホさに鏡太も笑い転げる。

「今度から欲望を書いたらだ・め・よ」「もうしません(シクシク)」

 サクラの言葉で凄く反省した圭介であった。

※腕時計カメラは立体映像フレームで被写体をロックするだけで撮れる。


 休憩時間。トイレへ行こうと廊下を歩く鏡太と圭介。アリサに出会った。

「よう!アリサお前も連れションいくか?」

「行くわけ無いでしょ!私はこれから教材を取りに行くのですわ!」

「みんなでやると気持ちいいぞ~なあ、鏡」

「僕にふらないでよ!気持ちいいのは圭介でしょ!」

 鏡太は立ち・立ち・座りで並んでションベンする姿を想像した。

(アリサだけ尻、丸出しなんですけど・・・。でもエロい♡)

「貴方たちバカやってるとらしますわよ」(速く消えなさいよ!)

「おっといけね~鏡いくぞ!」「そうだね、僕もうパンパンだよ」

 二人はトイレに向かい走っていく。


「ああは言いましたけど、私もパンパンでしてよ!」

 ダッシュするアリサの姿があった。


 午前の授業終了のチャイム音。鏡太と圭介が待ちわびた昼休。

「鏡、屋上行こうぜ」

『うん』と返事をし弁当を持って屋上へきた鏡太。

「今日は天気もいいし、屋上で食べる弁当は美味しいよね(モグモグ)」

「だよな~にしても鏡、いつもより弁当が豪勢だな~何が入ってんだ?」

「美味しそうなのが色々かな。今日の母さん気合入ってるよ」

「うらやまし~。姉貴がたまに作るけど、あれは食い物じゃね~」

「確かに岬さんのはちよっとね。料理本とか見ないのかな?」

「姉貴はそんなの見ないな。空手の本だけよ。まあ見ても美味くなるとはとても思えないレベルだな」

「家でもオバサンの手伝いとかしてるんだよね?」

「ウチの母ちゃん姉貴のクソ不味まずいの知ってるから、キッチンにバリケード作ってるぞ」

「おばさんも大変だ。ハハハ・・・」

 二人の笑い声が屋上に響く。

 自分の弁当を食べ終えた圭介は、鏡太の弁当を眺めて物欲しそうだ。

「母さん沢山いれたようだし。圭介デザートあげようか?」「サンキュー」

「たくさんとかうらやましいな、ウチはいつもバナナ1本だ!」

「でも、パイナップルは僕のだから食べないでよ」

 そう言うと鏡太はデザートの上蓋うわぶたを外す。

「こ、これは!!!」


「母さんのバカーーー!パイナップル(手榴弾しゅりゅうだん)じゃないかーーー!」

 弁当箱をぶん投げる鏡太。

「どうやって食べろと言うんだよ!ひどすぎるよ~」

 悲惨な状況に泣く鏡太。投げた弁当箱は屋上から落ちて中庭で爆発。

『チュドーーン!』『ヒーーー!』

 数人が吹き飛び犠牲ぎせいになった。

「鏡・・・あれ食い物だよな?あんな形の果物くだものだよな?」

 信じられない光景をみた圭介は現実逃避。 

 母さん手榴弾なんてどこで手に入れたんだ?奮発しすぎだよ~。弁当わたすときニコニコしてたのはコレだったのか!気をつけてね~て心配するなら初めからいれないで欲しいよ。あれは構ってちゃん病だなw。油断してたと思う鏡太だった。


 昼食を終えた二人。キラキラとした目つきで互いに見つめ合う。

圭介:さてあれだな。 鏡太:あれだね。

圭介は『ジャーン』と叫び街角コスプレ特集をカバンから出した。

圭介:やっぱメイドさんだよな。 鏡太:ミニスカ婦警さんもいいかも。

圭介:お主も好きよの~。 鏡太:お代官様ほどでも~。

二人:『グヘヘヘ』

 と不気味な笑いをする二人。目つきと顔は醜悪しゅうあくジジイだ。


 1ページ目を開き項目をチェックしている圭介。

圭介:前半はメイドさんからだな、15ページに鏡が好きな婦警さんもあるぞ。

鏡太:マジで?それは楽しみだよ。

『それじゃメイドさんからな』と圭介がページをめくる。

 ウオーと二人の感激の叫び声が屋上に響き渡る。

鏡太:この娘めちゃ可愛いね。足も綺麗だしスタイルがいいよ。

圭介:これなんてスッゲー巨乳だぞ!ウッハーもみて~。

鏡太:メイド服も色々あるよね。これなんて胸元あいててエロいよ!


圭介:次は病院のマドンナ・ナースだ!

鏡太:いやされる~。僕たち再生で済ますから病院いかないんだよね

圭介:そうだなエロさはないが、お姉さんにオシッコ取られたい!

鏡太:圭介の担当は多分、おつぼね様だよ!アハハ

圭介:ひえ~それだけは勘弁して欲しいよな。病状悪化するぞ!ハハハ


圭介:ミニスカ婦警に行きたいとこだが寄り道~

鏡太:え~早く見ようよ~。でも他のコスプレも気なるな~

圭介:キャラ物てのも案外エッチなのあるんだぞ!

 エッチと言う言葉の誘惑に鏡太は負けた。

鏡太:うわっ!これエロいね。このコスプレの人、谷間が見えてるよ

圭介:だろう。魔女っ子とかミニスカに負けんよ

鏡太:てよりミニスカだよね。それに露出がすごいな~これは当たりかも

圭介:だろだろ。俺の中じゃ、これが一番エロい!

 二人はベロンベロンに鼻の下が伸びている。


圭介:次は教壇に咲く一輪の花!セクシー女教師いくぞ!

鏡太:美脚でハイヒールがなんとも、こっちの知的な女教師てのもいいね

圭介:メガネ次第で変わるし、白いブラウスの透けブラがそそるんだよな~

鏡太:サクラちゃんもスタイル良くてミニスカで萌えるよね

圭介:コスプレは実物とは色気が違うな。パンスト最高!


「それじゃそろそろ婦警さん行きますか!鏡、準備はいいか?」

「ちょっと待って!さすがに興奮してノドがカラカラだよ」

 そう言うと鏡太はお茶の缶を開け一口飲んだ。一息いれた鏡太は圭介に準備が出来たことを伝える。

「よし。どんとこい!何が来ても驚かないよ」


「では最終兵器!道路に舞い降りた天使!いくぞミニスカ~」

 そう言うと圭介はページをめくる。お茶をすすりながらノゾキこむ鏡太。

(アア~ン♡)逮捕しちゃうぞとデカイ見出し!

「ブーーー!ゲホッゲホッ。か、か、」

 陽子が、しゃがみパンチラでマグナムを構えポーズを決めている。

 鏡太はコスプレ本を圭介から取り上げると木っ端微塵にやぶいた。

『ギャーーー!俺のコスプレが!』

 圭介は泣きわめきバラバラの本をかき集めている。


 圭介、母さんと気づいてないのか・・・。まあ髪型も違うし帽子つけてるからね。気づく前に処分できて良かった。それにしてもコスプレでパンチラは恥ずかしいからやめて欲しいよ。毎日見ていても慣れない鏡太だった。 

「何すんだよ~俺の生きがいだぞ!」

(お前の生きがい小さいな!)と思いながら鏡太は苦しまぎれの言い訳。

「う、う~んとすみに写ってた婦警さんがメチャ恵に似てたんで咄嗟とっさに破いた。ごめん、悪い圭介」

「恵ちゃんにか!で婦警・・・。みたいかも!」

「圭介~」

 こいつエロなら見境ないな~。とにらみつける鏡太。 








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