第28話 ポプラ遺跡① ー再出発ー

 ここはバレンタイン国:畜産都市ポプラ。

 牛・馬・にわとり・羊などあらゆる家畜がやしなわれ、主に精肉、加工食品として海外へ輸出したり商業施設で売買されている。

 今回の冒険は前回のダリア遺跡と違いルビーによる下調べが済んでいた。なので郊外にあるポプラ遺跡前まで直で空間跳躍してきた。

 遺跡は古墳の様な小高い土の山ができており、中心に木枠の入り口がみえている。

 今回の目的は遺産【双頭の鎌】の片割れを見つける事である。

 鏡太のパーティーはポプラ遺跡入り口の前にて役割の最終確認をしていた。

【パーティー構成】鏡太・圭介・岬・アリサ・ノヴァ・朱音・ルビー


「先頭は僕とルビーが受け持つ。中列はアリサと朱音ちゃん。フロアなどが見えてきたらアリサの出番だね。透視でモンスターや危険な物がないか確認お願い」

「わかりましたわ。どーんと任せてくださいまし」

「部屋が有っても迂闊うかつに飛び込んで行かないこと」

「今度は用心するなのよ」

 ノヴァはダリアでのマンイーターでこりていた。


「後列は圭介、岬さん、ノヴァさん。岬さんは背後の敵に気をつけて。ノヴァさんはたまに遠耳とおみみで怪しい物音がないか確認して」

「鏡クンわかったわ。後ろは任せて」

「任せるなのよ。どんな音も見逃さないのよ」


「逃走が必要な時は圭介は負傷者をかかえて退避してくれ。通常時はノヴァさんをダッコしてて欲しい」

「俺、ノヴァを抱っこしていくの?」

 圭介は不満そうに聞いてくる。

「僕は敵が出た時の対応で忙しいから圭介たのむよ。抱っこでなくて、オンブか肩車がいいかもね。パンツ見たら小さくなるし。ハハハ」

「確かにそうだなハハハ。んじゃノヴァ俺が肩車するよ」

「鏡太の指示出し我慢するのよ。よろしくなのよ」


「朱音ちゃんは皆がはぐれた時にテレパスで連絡係お願い」

 鏡太は皆に役割を言い終える。皆はそれぞれ自己確認している。


「じゃ、ここからはシリアスで作者さんお願いします」

 作者:任せておけ!鏡太に全敵集中でいくぞ!

「やめてーー!僕死にますよ!」

 作者:ダンジョンだからな~。笑いはここまでだ・・・多分。頑張りたまえ!

「それじゃ、みんな遺跡探検いくよ!」「おーー!」

 何が待ち構えているのか多少の不安はある鏡太。遺跡冒険へと乗り出した。


 遺跡へ入るとすぐに石畳の下り通路が続く。鏡太パーティーが通路を進むと下水道のような小さい水路がある場所へついた。少量だが水が流れている。

「こんなとこに水路があるね。これどっちへ行けばいいのだろう」

 チューチュ。チュチュ。小さいネズミの群れ。

「キャー!こっち来ないで~」

 アリサは鏡太に抱きつく。ジロ~とにらむルビーと岬。

「アリサただのネズミだよ」

「耳かじられるのよ~」

 ノヴァは圭介の上で暴れてる。

「アンタ鏡太から離れなさいよ!油断もすきもないわ」

 ルビーはいつまでも抱きついているアリサに激怒。岬はつぎ抱きつこうかしらと考えている。

(抱きついたのがアリサで良かったよ。岬さんなら序盤で死んでたよ)


「まあまあ。みんな落ち着こうよ。この通路さ、どちらに行けばいいかアリサわかるかな?」

 鏡太の言葉に透視するアリサ。

「右の方かしら。距離があるから微妙なんだけど何かの影が見えるわ」

「右から大きな物音みたいのするのよ。・・・多分」

「ノヴァさんもそう言うなら右にいってみようか」

 鏡太パーティーは左右に分かれた水路の道を右へと歩き出した。

「今回はライト持ってきたから見透しは良いけど、僕達だけだと静かで不気味な感じがするよね」

 カツン・カツンと皆が歩く反響音。ピチョン・ピチョンと天上から落ちる水滴音もする。

 パーティーは自分の足跡の反響音が聞こえる中を歩いていく。皆は緊張感してるのか、あまり話さない。


「待って!みんな止まって下さらない」

 アリサの言葉に一気に緊張感が増し一同、身構える。

「何か巨大な影がこの先の空洞から見えますわ。あれは何かしら?ネズミかしら?それともモグラ?顔はそう圭介みたい?そんなのがいますわ!」

「圭介~アリサの前いたらダメだよ~」

「すまんすまん。俺も透視に映るのかな~と」

 いたずらをした圭介は後列に戻る。

「みんな戦闘準備!ネズミなら火が有効なはず。ルビー。エンチャントお願い」

「わかったわ!」


 大気に宿りし精霊よ、我を守護する力を。『エレ・ストール』


 ルビーが呪文を唱えると全員の武器がほんのり赤く光っている。

「全員の武器にかけたわよ」

「ありがとうルビー。まずは僕が空洞に入る前に剣を飛ばして一気に天翔剣舞で攻撃してみるよ。怪物が動けなくなったら全員で止めをさそう」

 了解と全員が返事をする。


 静かに歩いて空洞入り口まで来た鏡太。パーティーは後方に控えている。

 鏡太は何がいるのか確認する。

「アレはハリネズミ!巨大なハリネズミがいるよ」

 そう言うと鏡太は一度、後方に下がる。

「あれは一気には無理だ!硬いはりで覆われてる様だから剣舞で致命傷が与えられないと思う。う~ん」

 鏡太はしばらく対策を考える。


「よし!これで行こう。まず圭介が飛び込み自慢の足で逃げ回る。その間、僕は剣を上空に待機させる。ハリネズミが上手く壁に激突しひるんだら、岬さんが尻尾をつかんで引っ繰り返して。腹が見えたら天翔剣舞を叩き込むよ」


「よっしゃ!ちと怖いが俺も男だ。やってみるぜ!」

 圭介がいつになく頼もしい。

「鏡クン任せておいて!」

 岬は腕をポキポキ鳴らしている。

すきができるまでは他は待機。圭介がチャンスを作るのを待とう」

「では作戦開始!圭介頼んだよ」「おう!行ってくるぜ!」

 圭介が空洞へと飛び出して行く。皆は動向を見守る。


「おーい馬鹿ネズミ!俺のスーパー透かしっ屁をくらえ!プス~」

 圭介の行動にハリネズミは無反応。

「おい!何で来ないんだこのネズミ?おかしいな?」


 ネズミ語:ん?何だドブネズミか。お前と遊んでる暇ないんだよ。

      俺は今すごく眠いんだよ。


 パーティーに戻る圭介。

「なあ鏡。アイツ俺見ても攻撃しないぞ!何かシカトでムカついた」

「圭介~仲間だと思われたのかも。プププ」

「ひっで~な。ムカついたから、もう一回やってみるわ!」

 圭介は再びハリネズミの元へ。

「おい!俺は仲間じゃねえぞ!こっち来いよ。お尻ペンペン!」

 圭介はお尻を出して挑発。


 ネズミ語:ん~何だ誘ってるのか?しょうがない奴だな。

      俺のはデカイから泣いても知らんぞ。


「おっ!興味を示したぞ。ほら来い。ほら来い」

 圭介は尻を振り尚も巨大ハリネズミを挑発。

「圭介どうやらハリネズミの気を引いたみたいだね。でも後ろ足からチラチラ見える角みたいなアレなんだろ?」

 その時!一気に加速したハリちゃんは圭介にオンブ!腰を小刻みに動かしてる!


「あ~あれBLなの!鏡君BLすごいの!」

「子供はみちゃいけません!あれはBLだけどBLじゃないの!」

 喜んでいる朱音に鏡太は目隠しをする。

「何か我が愚弟ぐていモテてるわね」「あれ何してるのかしら?」

 初めて見る光景に興味津々なアリサ。

「さあ~?スキンシップでしょ」

 ルビーもその行為自体を知らない。

「何よ私にも見せてなのよ。あー!セクシービーム出てるのよ!」

「ノヴァさん変なこと言わないでー!圭介ー!逃げろー」

「ヒーーー!こえーよー!アッアッアッ・・・イヤン♥」

「圭介オカマになる前に逃げろー!」

「岬ちゃん、いっくよーーー!おりゃーーー!」


 なんと!ハリネズミが圭介に集中している隙に岬が尻尾をにぎり圭介もろともひっくり返した。


「今だハー!圭介、離れて!」

 鏡太のレイピアが上空へと上がる!凄いスピードで旋回せんかい加速する!


「ヒーー!助かった!姉さんありがと」

 圭介は脱出!だがオネエなりかけ。

「よし!充分な加速は付いた!ハッ天翔剣舞!」

 旋回していた10本のレイピアはハリネズミの腹に突き刺さる!


「ギイ、ギイーーー!ギー」

「トドメだ!ハッ」

 鏡太は剣に集中。突き刺していたレイピアを抜き、再び上空へと飛翔させる。上空で分散し一瞬消えたレイピアはハリネズミの腹をメッタ斬り。


「ギギ、ギキーーーーー」

 巨大ハリネズミの断末魔だんまつまの叫び。


「やったぞ!巨大ハリネズミを倒した!作戦は少し狂ったけど、岬さんナイス判断だよ。圭介も見事オトリ成功だね」

「鏡にそう言われると何だか照れるわん♡」

「圭介ー!戻っこい!オカマになるな~」「BLさん誕生の瞬間なの!感激なの」

あしが速いオカマて怖いわね」

「ネカマと抱合だきあわせで売るなのよ」

 皆は圭介に好き放題いっている。

「今回は初めて巨大モンスターを倒せたし、第一関門突破てとこだね。みんな右の方に通路が見えているから、先に進もうか」

 右の通路は石畳みが奥へと続いている。


 パーティーは石畳いしだたみの通路を歩きだした。辺りにはネズミの死骸しがいやら何かの骨などが散乱している。通路は鏡太達の感覚では右に次第に折れてるように感じている。


「何か骨がやたら多くなってきたね」

「ほんとね~。歩き難いしパキパキと骨をむ感触が嫌な感じ」

「あっ!ごめんなさいですわ」

 アリサは何かにつまずき鏡太に抱きつく。

 女性陣の怖い目線がアリサに突き刺さる。鏡太はアリサを心配し聞いてみる。

「アリサ、何につまずいたの?・・・これはドクロ!人骨があるってことは誰かが探索に来てたということだね。冒険者なのかな?」

「何だか気味悪いのよ」

「そうだね。一応先へ進んでみよう」


パーティーが進むに連れて人骨らしきものが増えていく。


「数が多いわね。大昔から多数の人が、この遺跡に挑戦したみたいね」

「これだけ人骨があるて事は成功した者もいないて事になる。ここはダリア遺跡より危険かも知れない。みんな気を引き締めていくよ」


 鏡太の言葉に皆はうなずき、一気に緊張感が増す。しばらくすると部屋らしき空間が見えてきた。鏡太は立ち止まりアリサに指示を出す。

「アリサ何か見える?」

 透視を開始するアリサ。

「う~ん。気持ち悪~い・・・。ドクロの山よ。それ以外は何もないわ」

「ドクロの山か。用心して部屋に入ってみよう」


 パーティーは恐る恐る部屋に入る。すると至る所にドクロの山があるのが見て取れる。

「ドクロの山以外は何もないね。でも何て数だろう。こんな場所で遭難そうなんするとは考えにくいけど」

「お金落ちてたのよ。これ古い金貨なのよ」

 ノヴァは鏡太に金貨を見せた。よくみると辺りには金貨が落ちている

「結構あちこち落ちてるわね」

「売れば数百万キルくらいなりそうなのよ」

「えっ!そんなになるの?それならセラさん問題も解決するな。みんなで少し拾っていこうか」

 鏡太パーティーは金貨を拾い出した。


 怨霊:我の宝を荒らす者はだれだ・・・。宝を置いて行かぬと後悔するぞ・・


「な、なんだ!今の声は?みんな用心して」

 ゴゴゴゴ・・・。入口が閉まる音。

 突如、山積みの骸骨がいこつがカタカタと動き出す。

「しまった!入り口が!これはトラップだ!」

 骸骨は人型になっていく。それぞれ剣を持っている。

「骸骨兵士だ!みんな固まって戦闘体制!攻撃くるよ!」

 骸骨兵士はパーティーへ襲いかかった!

「キャー寄らないで!倒れろですわ!」

 アリサのレイピア攻撃。

「ハッ!これでもくらえ剣舞!」

「アタッ!アタタタタ。オワッター」

「岬さんの頭が終わってるよ・・・」

 皆が攻撃すると骸骨兵士は砕けるがすぐ再生。

「圭介、頑張るのよ!」「わかってるよ!オラッ倒れろよ!」

 圭介も剣を必死に振るう。ノヴァは応援だけ。

「これキリがないわ!何度でも起き上がってくるわ」

「このままではジリ貧だ!いずれ全滅する!どうすれば・・・」

「鏡太!あそこ見て!奥に通路が1つだけあるわ!逃げ込みましょう」

「わかった!みんな倒しながら通路へ逃げ込もう!」

 怨霊の声:宝を返せ・・・返せ~


 何度も蘇る骸骨を倒しながら通路へ逃げ込むパーティー。追いかけてくる骸骨。


「通路へ来たけど行き止まりだ!逃げ道がないよ」

「ちょっと待って!これ行き止まりじゃないわ!壁の置くに通路が続いてる」

 アリサが透視で通路を発見!

「鏡クンここ見て!前にもあった剣を入れる仕掛けがあるわ!」

 岬が左下のわきに仕掛けを発見!

「よし!剣を入れるよ。・・・あれ反応がない?どうして?」

 鏡太は何度となく剣を出し入れする。


 骸骨兵士は通路へ押し寄せている。必死に抵抗しているパーティー。

「まだ開かないの?なんで?どうして?」「もう持たないぞ!」


 怨霊:宝を返せ・・・返さぬ者に・・・死の洗礼せんれいを・・・


「宝?もしかして金貨のことか?・・・せっかくの宝だけど仕方ない。みんな拾った金貨を捨てるんだ!」

 パーティーのみんなは渋々、金貨を捨てる。

 全員が捨て終わるとゴゴゴと扉が開き始めた。

「今だ先へ逃げよう!」

 先の通路へ逃げると骸骨兵士は次々と元の骨の山に戻った。

「ふ~助かった。金貨がトラップの鍵だったみたい。金貨には手をつけない方が良さそうだね」

「ハアハア・・・とんでもない目にあったぜ。欲を出すものじゃないな」

「怖かったのよ!あんな金貨いらないのよ」

「私はお金には興味ないですわよ」

「さすが古代の遺跡ね。少し間違えれば即、全滅だわ」

「鏡クン。私新しい技編み出したわ!木人拳よ!」

「あれ骸骨!岬さんには良い練習台だろうね。ハハハ」


 危機を脱出したパーティー。緊張が抜け冗談を言えるくらいになっていた。

 扉を開けた先の通路は石畳が消え土で覆われている。


「ここからは通路が違うね。気をつけて先へ行こう」

「何かさっきからかゆいのよ」

 ノヴァは体中をポリポリかいている。

「そう言われれば痒い気もするけど、じゃないかな?洞窟とかにはたくさんいるからね」

「それもそうね。蚊でしょう」

 ルビーも納得したがノヴァは我慢できないで騒ぐ。

「痒い痒い!鏡太なんか虫いるのよ。服がやぶれていくのよ」

「えっ!どこ?・・・アリ以外何も見えないけど・・・ギョ!これは!」

 ノヴァのスカートが段々と短くなっている!

「ヤバイ!圭介!目を閉じろ!誰かノヴァさんのスカート調べて」

 圭介、鏡太は目を閉じる。

「キャ!なにこれ!アリがいっぱいいるわ!スカート脱いで!」

 ノヴァは急いでスカートを脱ぐ。ルビーがバサバサと叩く。

「これで大丈夫だわ。あとはこの布を腰から巻きつけてて」

「ふ~危ない。危ない。ルビーありがキョーーーーー!」

「キョーーて何よ!お礼くらいちゃんと言いなさいよ」

 ルビーの下着に動揺する鏡太。

「ウッヒョー!俺なんか幸せ!」

 圭介は自分の姉はシカト。それ以外の女性をガン見。

「何ジロジロ見て・・・キャー!見るんじゃないわよ!変態!」

「キャーなんですのコレ!服が穴ボコだらけですわ!」

「やんずかしい~。鏡クン見ないで~」

「痒いの。おっぱい見えそうなの」

 衣服の穴からは赤・青・黒・水玉と下着が咲き乱れる夢の花園。


「み、見たい!いやダメだ!でも見たい!ウオーーー!」

 顔を覆う鏡太の心の葛藤かっとう


 チラッ!誘惑に負けた。

「何見てんのよ!(ボクッ!)二人共あっち向いてなさい!」

(わたし以外見たらダメなんだからね!)嫉妬するルビー。


 アリを取り払い新しい服に着替えるルビー・岬・アリサ・朱音。

「もう見てもいいわよ。ここは危ないから先へ進みましょう」

「うん。・・・」(少しでも見れて幸せです・泣)


 舗装ほそうがされていない土の道をひたすら進むパーティー。

 行く手に部屋が見えてきた。立ち止まる一同。

 果たして何が待ち構えているのか・・・。













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